Teardrops(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

・・すんごい・・

CDやDVDの数・・・



斯波の部屋は

クラシック音楽のメデイアや本で埋め尽くされていた。



それは

一応国立の音大を出ている自分でも

ここまではないだろう、というくらいのものすごい量で。



ほんまに

コイツ

音楽以外の趣味、ないねんな・・。




父親のことは

憎んでいるようだが

国立音大の学長で、クラシック評論家の第一人者の父・斯波宗一郎の息子として

やっぱり

同じような道を進んでいる。


ここに来る前は

フリーで評論を書いたりする仕事をして

世界中で

クラシックコンサートを聴いて。


以前、彼が所属していたクラシック専門誌の編集長からの紹介で

ウチで仕事をすることになった。



おれでも

頭が下がるくらい

クラシックのことは勉強しているし

事業部を任せる人間は

コイツしかいないって

初めから思っていた。




自分を見せずに

本当にストイックに仕事に打ち込み


今は

安心して北都フィルを任せられるって

思っている。



ため息をついて斯波の寝顔を見た。



そんなコイツが

恋をした。




同じように

誰も頼る人間もなく

一人で頑張って生きてきた

幸せの意味を知らない

女に。




なんだか

ものすごく斯波のことが気の毒に思えて。

何とかしてやりたい、と思いながらも

こればかりは手を貸すこともできない。




・・と思っていると



斯波はいきなりガバっと起き上がった。


「あ?」

志藤が驚くと、そのままトイレに駆け込んで猛烈に吐き始めた。


「あ~あ~・・もう・・」



見かけと違って

酒がダメで。


ビールコップ一杯でもう激しく酔っぱらってしまう彼にとって

今日は

感情に任せて

カンペキ

キャパオーバーになるまで

飲んじゃったし。




志藤は彼の背中をさすりながら


「ほんっと弱いな、おまえ・・」



いつもはクールな彼の

このギャップが

おかしくなって、笑いを堪えた。



そのまま

志藤も疲れてしまったので、リビングのソファに眠って

泊まってしまった。




ん??




コーヒーの匂いが鼻をくすぐる。

目を開けると、斯波のほうが先に起きてキッチンにいた。



「・・なに・・起きれたの・・?」

志藤はテーブルに置いたメガネをかけながら言う。



「あ・・きのうはすんませんでした。 なんとか起きれました。」



また

いつもの彼に戻っていた。

くわえタバコでコーヒーを二人分注いでいた。




志藤も一目を置く、彼の願いを何とか叶えてやりたいと思うのですが・・・

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