Teardrops(13) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「おまえが自分のことを軽蔑してるって・・そんなん言うてた。」

志藤はさらに続けた。


「おれが・・?」


「私のことなんか・・斯波さんは嫌いなんだって。」


「な、なんで・・」


「わからへんけど。 でも・・裏を返せば、おまえだけには嫌われたくないと思っているんちゃうかなあって。」




斯波は思わず自分の胸を押さえた。

もう

見るからに動揺している。



「そ・・それって・・」


「う~~ん。 まあ、憶測でモノを言うたらアカンけど。 栗栖はおまえのことが好きやな、」



心臓が

口から飛び出そうだった。



「ほ・・ほんとに??」



中学生か、とつっこみたくなるほど斯波は動揺があからさまだった。



「か・・彼女の隠したい過去って・・なんなんですか?」

斯波は思い切って聞いてみた。


「んー・・それはおれの口からは言われへん。」


「志藤さん、」


「涙出そうやった。 その話聞かされたとき。 おれにも娘がいるから、なんだか身につまされてしまってな。 なんでコイツがそんな思いをせんとあかんねんって・・胸が痛くてどーしようもなかった。」



わけはわからなかったが

斯波はその言葉だけで

胸の中が

いっぱいになって。



「それで・・察してくれ。」

志藤は斯波を見た。


「・・・彼女を十和田会長から離す手立ては・・ないんでしょうか、」

ポツリとそう言う斯波に


「切り離して・・どうするつもりやねん、」

志藤は少しイジワルな質問をした。


「え・・」


「自分のものにする?」

ちょっと笑ってそう言った。



すると斯波は少しムキになり、

「じ、自分のものにしたいから、彼女を救いたいんじゃありません!」

と言った。



飲んでいるせいなのか

もう目まで真っ赤・・・



志藤はこの状況でもおかしくなってしまい、

「で、なに? もうやっちゃったの?」

ついでに聞いてみた。



「はっ・・・」



瞬間でかなりの沸騰をしたと思われ、斯波は絶句してしまった。



そしてすぐに我に返り、



「やっ・・・やってませんっ!!」




そんなこと

そんなこと・・




想像しただけで

・・興奮する自分が抑えきれない・・



斯波はまたぐーっと焼酎を飲んでしまった。




「おまえ、すごいなあ・・。 あんな色っぽい子がそばにいてなんも思わないなんて、」


志藤はさらにからかった。



頭が

もう

宇宙空間のように無重力状態だった。



「・・たまに・・耐えられなくなることも・・あります・・」




思わず

本音が口をついて出た。



志藤はふっと笑って、


「そうそう。 素直にならなくちゃ。」

と言った。



二人は

とっくに

惹かれあっている。


お互いに不器用で

自分の気持ちを素直に出せなくて。


だけど

思いをぶつけ合っても

この二人に未来があるのか。

それは志藤にも

わからなかった。




でも



「その気持ちを、ぶつけてみたら?」



志藤はそんな言葉を口にした。



「え・・」



グラスの中の氷が溶けて

からんと音を立てた。




志藤の一言が斯波を突き動かします。

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