Say anything(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

真尋のCDを聴きながら、その不思議な音の魅力に

萌香は体中が気持ちが良くなって、いつの間にか寝ていたようだった。



あの人が言ったとおり

すごく

音がきらめいて。



生きてるって・・・

わかる気がする・・




萌香はゆっくりと起き上がって、朝日が昇り始めた外を見るためにカーテンを開けた。



もう梅雨も明けようとしていて

これから暑い夏が始まる。



薄紫色の空を見ながら

ぼんやりと外の景色を見た。



「これ・・ありがとうございました。 とてもよかったです、」

萌香は会社に行き、斯波にCDを返した。


「ああ・・それよかったらあげる。」


「え?」


「ウチにいっぱいあるから。 他にも・・ウチのオケのCDとかDVD。 いっぱいあるから。」

斯波は引き出しからたくさんのメデイアを取り出し、萌香の手に乗せた。


「こんなに?」


「少しはウチの仕事も理解してもらわないと。 まあ・・勉強にはなるから、」

斯波はふっと優しい表情を彼女に向けた。


「ありがとう、ございます。」

萌香もニッコリ微笑んだ。



「あ、萌ちゃん。 こんなトコにいたの?」

南が休憩室を覗くと萌香がひとりでコーヒーを飲みながら雑誌を読んでいた。


「今、外出から帰ってきて。 これおみやげ。 チーズケーキなんだけどさあ、バーになっててめっちゃ美味しいねん。 どう?」

南はケーキの箱を開けて、萌香に1つ差し出した。


「・・あ・・ありがとうございます、」

小さな声で礼を言った。


「ここチーズケーキ専門店で。 志藤ちゃんがさあ、チーズケーキ好きやから、よく買うんやけど。」


「本部長が・・?」

意外そうな顔をして彼女を見た。


「そう! あの男、酒はめっちゃ飲むねんけど、甘いものが大好きで。 実家が京都の嵐山で和菓子屋さんやってんねん。」


「へえ・・」

さらに意外な顔をした。


「あたしとランチに行くとさあ、かならずデザートにプリンとかケーキとか、女子みたいなもん食べるし。 それで、カッコつけてんねん。 笑うやろ?」

南はおかしそうに笑ったので、萌香もつられて笑ってしまった。



こうして

たまに笑顔を見せてくれるようになった。



南はそれが少し嬉しい。



「この時計。 めっちゃカワイイ! どこで買ったの?」

南は萌香の腕時計に視線を移して彼女の手を取った。


「え・・・銀座ですけど・・」


「なんか派手派手しすぎなくって、落ち着いた感じでセンスええやん。 お店、教えて。」

人懐っこい笑顔で言われて、


「はい・・」

萌香は素直に頷いた。



志藤ちゃんは

彼女は何か大阪での不倫騒ぎの他にも背負ってるもんがあるんやないかって

そう思ってるみたいやけど。


あたしは

同じ女として

過去なんか気にして欲しくない。


どんなことあったか知らんけど。

最近は

彼女の素顔は

ただただ

おとなしくて、控えめで。

本当に女性らしい子なんやないかって

そう思うようになって。



世間に負けまいとして

意地を張っているように見えたし。



あたしだって

いろんなことあって

今、自分がここにいる。

志藤ちゃんだって。



誰だって

人生いろいろあったって

思うから・・・。




南は萌香を優しく見つめた。



「ごちそうさまでした、」

萌香は丁寧に南に礼を言って立ち上がる。


「こんなもん! どーってことないって。 今度さあ、ここのお店、お茶できるから一緒に行こう、」

南が明るくそう言うと、萌香は何も答えなかったが、

笑顔で会釈をした。



少しずつ変わってゆく萌香を南も感じていました。

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