Piece of dreams(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「三田村社長が?」

志藤はその話を聞いて少し驚いた。


「・・食事の約束もしていたようです・・。 いいんでしょうか、」

斯波は戸惑っていた。


「あの難しい人がなあ。 ま、女は好きそうやけど。」


「なんか・・任せてもいいのか、不安です。」


「え?」



「食事ですめばいいですが、」

斯波が心配していることは志藤にもすぐにわかった。



彼女が畠山の愛人をしていた話は

なんとなく

事業部の中にも知られるところになっていた。



「・・頭はキレる子やから。 わかってると思う。 プライベートで誘われたら・・おれらには口出しでけへんし、」

志藤はタバコをくわえた。



昼休み

志藤は大阪支社に電話をした。


「幸太郎?」



「久しぶり、」



電話の相手は大阪の同期入社で企画部のチーフを務める成田紗枝だった。


「珍しいわね、あんたから電話なんて、」


「や、ちょっとな。 ・・そっちの企画に、栗栖萌香って子がおったやろ?」


「ああ、栗栖さん? もうなんかした?」

その言葉が何を意味をするのか

志藤は大阪での萌香の存在を思ってしまう。



「逆に彼女が畠山専務を利用して東京に行ったんやないかって言われてるくらいしたたかな子よ。」

紗枝は落ち着いてそう言った。


「利用?」


「わざと問題を起こして。 東京へ転勤になるように仕組んだんやないかって。 前に一度一緒に仕事をしたことがあるけど、とにかく絵に描いたような美女で。 男ならまあ、ほっとかへん。 しかも、仕事はどんどんテキパキと進めるし。 言うことないわね。」


「そうか・・」


「そうか、あんたんとこ行ったんやな。 めっちゃめんどくさいの押し付けられて、」

彼女はクスっと笑った。


「もう、どーしていいかわからへんねん。 この前もちょっとメシ行こうかって誘ったら、あっさり断られたし。」

と言うと、紗枝はさらに笑って、


「それは・・・志藤幸太郎にとってはショックやなあ。 女の子誘って断られるだなんて。」


「笑うな、」

ブスっとして言った。



「・・まあ、ちょっともう少し調べてみるわ。 それを言いたかったんやろ?」

紗枝は志藤の思惑を汲み取ってみた。


「・・悪いな。 頼む、」


「あんたから頼まれごとするなんて、初めてちゃう?」


「え・・。 そうか?」


「あんたはいっつも何考えてるかわからないトコあったし。 大阪にいた頃とは、もう別人やしな、」

ちょっと心が痛かった。


「・・おまえはまだ結婚せえへんの?」

話題を変えるように言った。


「部長と同じようなこと言わんといて。 セクハラになるで。」

紗枝は笑った。



「あんたからそんなん言われると。 ちょっとは傷つくやん。 女心を汲み取るのは歯をみがくのとおんなじくらい簡単なんやろ?」



頭の回転が速くて

デキる女の彼女から言われたひとことは

志藤の心の中をやりきれないもので満たしていく。



「ま、ええわ。 また電話する。」

紗枝はそう言って電話を切った。



はあ・・・。



志藤は小さなため息をついて天井を見上げた。



その紗枝から連絡があったのは翌々日のことだった。


「・・なんかナゾの多い子でな。 友達もおらへんかったし、あんまりようわからへんかったんやけど。」


「悪かったな。 余計な仕事させて。」


「総務の子にちょっと探りいれたんやけど。 彼女、生まれは京都みたいやねん、」



「京都?」

自分と同じだった。



「高校までは京都にいたみたい。 それで大学に入るときに大阪に。 他にも社内では彼女と関係があった男性社員がいたらしい・・とか、噂やけどな。 そんなんもあったけど、」

この前聴いた話と同じだった。


「・・でも。 これも噂でしかないねんけども・・・畠山専務どころやない、めっちゃ大物の愛人もしてたって、」


「え?」


「すっごい高級マンションに住んでたらしいねん。 大学卒業したばかりの女の子がとても住めるようなとこやないみたいで。 親とは別居してて履歴書の家族の欄は空白やったんやて。」


「空白・・」


「緊急連絡先も、自分トコ以外に記してなかった・・って。」




ますます

萌香に対して

ギモンがふつふつと沸いてくる。




萌香のナゾはまだまだ深く・・

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