Forever and ever(6) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

そんな翌日。


「あ、八神~。 いる?」

真尋がいきなり事業部に現れた。



「え・・どーしたんですか? 今日、なんかあったっけ・・」

八神は彼の姿に首を捻る。



「ああ。 別にないけど。 さっきちょっと雑誌のインタビューの仕事あったからさあ。 ついでに。 えっと、」



真尋はズボンのおしりのポケットからおもむろに銀行の封筒を取り出し、



「ハイ、」



それをそのまま八神に手渡した。



「は?」

意味がわからぬままそれを手にする。



「なんかさあ、こーゆーのおれよくわかんなくって。 銀行のキャッシュコーナーに行ったのも何年ぶりか。お金下ろすだけですっげえ時間かかっちゃった。」


「・・なんのお金??」

八神は怪訝な顔をした。


「え? だから。 結婚祝い。 そーゆーの普通するんだろ?」

ケロっとして言われたが。



「ちょ、ちょっと待ってください・・」



どう考えても

この封筒の厚みと手ごたえは

『お祝い』の域ではない!



おそるおそる封もしていないその中を見ると・・



数えるのも恐ろしかったが・・おそらく4~50万は入ってると思われ・・・。



「まっ、真尋さん・・コレは・・」

恐ろしくなってブンブンと首を横に振った。


「え? 足りなかった? 普通どんくらいあげるの?」

真尋は本当にそこがギモンのようだった。


「あ、あげる本人にそんなこと聞かないで・・・。 てゆーか、こんなにもらえません!」

怖くなって封筒ごと彼に返した。


「え~~? せっかく一生懸命おろしてきたのに。 なんかゼロの数とかわかんなくなっちゃって。 テキトーに押しちゃった。」



いとも簡単に言ってくれちゃって・・。



「ほんっと! 普通、こんなにあげませんよ! 結婚祝なんて、」

声が裏返りそうだった。


「そうなの? でもさあ、おろしてきちゃって、またいれるの面倒だから。 いいよ、」

真尋は返されてむしろメイワクそうだった。



「ダメです! こんな大金!」

八神が思わず声を大にして言うと、南が寄って来る。


「なにしてんの? 大声出して。」


「ちょっとぉ、聞いてよ。 八神、おれがせっかく『結婚祝』だって祝儀やってんのに、いらないってゆーんだよ。」

真尋は南に言いつけた。



「え~? ほんと? アホやな・・もらっとけばええやん、」

南は八神を責めた。



「ちがっ・・・。 ちょっと・・尋常じゃない金額が入ってるんですよっ、」

八神は必死に言い訳した。



「え? ほんま?」

南は真尋の手にある封筒を取り上げた。



「真尋~。 ふつうこういうのはな、祝儀袋にいれてくるねんで。 あんた、こんな銀行の封筒で・・」


「え? しゅうぎぶくろ? なにそれ、」


「ほらあ、のしのついたヤツだよ! ちゃんと結婚祝用のがあるんやから・・」


「そんなのいーじゃん、どーだって。」



金額と関係ないところで言い争う二人を傍観してしまった。



南は中身を見て、

「これいくら入ってるの?」

普通に真尋に言った。


「たしか・・・50万だったと思う。 5をつけたんだから!」



「適当な・・」

八神は浮世離れした真尋の感覚にもう

唖然とした。



「まあ、おかえしとかも大変やから。 これはちょっとあげすぎかもね。 返って気を遣わせちゃうし。20くらいにしといたら? あ、2がつくのって縁起悪いんやったかな?」


「え、なんで?」



「割り切れるってのが縁起悪いみたいやねん。 じゃあ、30にしとくか。」



「30でも多いですよ・・」

もうどいしていいかわからなかった。



「もー、めんどくさいなあ。」



真尋はそこから20枚数えて引き抜いたあとの封筒を八神に再び渡し、



「ほら、新婚生活なんだからいろいろいるもんあるだろ? 旅行の足しにしてもいいし。 それに遣えって。」


「いや・・でも、」


「もう黙って受け取れよ! なら、おつりが出たら返してくれればいいから!」



真尋は

むちゃくちゃを言い出した。



「祝儀におつりって・・」

八神はもうキャパオーバーだった。



「まあまあ。 真尋なりに八神には感謝してるんだってば。 この子の気持ちやから受け取ってやってよ。 真尋がこんなに稼げるようになったのもさ、八神のおかげかもしれへんし、」

南はニッコリ笑った。



「・・そんな、おれなんか・・」

八神はちょっとセンチになった。



「まあ、これからもこの調子でよろしくねってお金かもしれないし。 受け取っておいたほうがいいと思うよ、」

南の言葉にせっかく浸っていた気持ちをぶち壊され



「そーだ、そーだ。」



威張りくさって言う真尋の不気味な笑顔にも

ゾッとした。



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