Time goes by(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・・ほんっと、おれって何やっても、ダメだなあって、」



その後は美咲にそのまま抱きつくように

子供みたいに泣きながら、自分のダメさを彼女に訴えた。


「も~・・・そんなことないよ。 慎吾、今まで一人で東京で頑張ってこれてほんとに偉かったじゃん、」

美咲はそんな八神の頭を優しく撫でながら、まるでお母さんになったかのように慰めた。



「おれ、いったい・・何やってきゃいいんだ。」


「今は好きなことしてられるじゃない。」

美咲は静かにそう言った。


「慎吾・・事業部で仕事しないかって誘われたって、あたしにほんっとに嬉しそうに話してくれて。 すっげー嬉しいって。 また音楽の仕事できるんだって・・・あたしは、ちょっと寂しかったけど。」


「美咲・・」

八神は目だけ彼女に向けた。



「やっぱり・・東京がいいんだなあって。 慎吾、ここじゃなくって東京に行きたいんだって。 あたしのところにはいてくれないんだって。 寂しかった、」

美咲はそのときのことを思い出して、ちょっぴり悲しくなり八神の背中に手を回してぎゅっと力を入れた。


「でも。 事業部に入ってからの慎吾もすっごく楽しそうだったし。 大変なんだろうけど必死に頑張ってるのわかるし。 みんなからもほんっと・・かわいがられてて。 うらやましいくらいいい職場だよ。 慎吾に何もなかったら、誰もそんなに面倒見てくんないよ。」



誰の

どんな言葉より

気持ちがあったかくなっていくのがわかった



「失敗なんか。 慎吾、今まで失敗したってへこたれずに夢中で頑張ってきたじゃない。 あたしは、そういう慎吾が・・好きだから。」

美咲はそっと八神にキスをした。



うんと小さかったとき。

おれたちはこうやってひとつの布団でじゃれあいながら眠った。



今こうして

お互い

一糸纏わぬ姿で

抱き合い

抱擁し

お互いを求め合う。



いつの間にか

おれたちは

ただの男と女になって。



体を

交わし。



今だって

すっごく後ろめたい気持ちでいっぱいだけど


おれの本能が

美咲を求めてしまうような気がして



それはもう

理屈じゃあなくて。

悔しいけど

美咲を『女』として認めてるんであって・・・。




「おっはよ。」

いつもは寝坊してばかりの美咲が先に起きて朝食の仕度をしていてくれた。



「ね・・スクランブルエッグがいり卵になっちゃった、」

美咲は皿の上の代物を見せた。



「なにこれ、」


「まあまあ、味は一緒だから。」

美咲は八神のためにいれたコーヒーにミルクと砂糖を入れた。



「勝手に入れるなよ・・」

寝起きで不機嫌そうに言いつつ、それを飲む。



うまい・・・



自分が

どういう味のコーヒーを好きだとか。

別に意識をしてやったわけではないのに

美咲はわかっている。



「あ~あ、寝癖スゴっ・・。 アホ毛立ってるし~。」

美咲は八神の頭をなでつけながら笑った。


「アホ毛とか言うなっつの、」



でも

がんばろ。



なんかそう思えてきた。



おれ、ほんっと

志藤さんから事業部で仕事しないかって言われたとき、部屋中をジャンプして回るほどはしゃいじゃったし。



あの時の気持ちを

忘れないようにしよう。

自分のミスは自分で何とかしなくちゃ。

それが仕事なんだから。



美咲に自分のダメさを吐露する八神ですが、やっぱり彼女がそばにいてくれることにほっとしている自分がいて・・

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