Somebody loves you(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

よりによって

こいつと二人きりとは・・・。



八神は心から勘弁して欲しいと思った。



「ね、おもしろいのありますよ。 『ゾウの足の裏』だって。 どんな資料なんだって!」

夏希は暢気にそばの棚にあった背表紙を見て笑った。


「は・・・」

八神はもう笑う気力もなかった。



その時


「あっ!」

夏希はまた思い出したように叫ぶ。


「いちいち、うるさい。 エネルギー使うな。も~~。」



夏希は脱いだジャケットのポケットからさっき牧村にもらったバームクーヘンを取り出した。


「これ! さっき牧村さんがくれたヤツ。」


「へ・・」



悔しいがソレを見ておなかが鳴ってしまった。


「二つくれたから。八神さんに一個あげます、」

と夏希は笑顔で差し出した。


「あ、ありがと・・」


「やっぱ牧村さんっていい人~。 助けてくれたんだあ、」


「や・・こうなることは神様でもわかんなかったと思うけど?」

八神は力なく笑った。




そのころ




遅いなあ・・。



高宮は慣れない炊事をして、食事を作って待っていた。


彼女の大好きなエビチリを。



携帯に電話をしたが、全く繋がらない。



トイレから戻ってきた夏希は、パンプスを脱いで裸足だった。


「なんで裸足なんだよ。」


「え~、だって。 あたし、ストッキングも我慢できないんですよ~。あ~、気持ちいい。」

生足でペタとt座り込んだ。


「子供か?」


「家に帰るとまず、裸足になるんですから。」

膝上のスカートから伸びる脚をさすった。



生足・・。



八神は思わずゴクっと生唾をのみこんでしまった。


しかし



って! 加瀬だぞ!

こいつに感じてどーする!



自分に気合を入れた。



「ね、ここ見て! 高校時代、アキレス腱切っちゃって! その時手術した跡。 まだ残ってるんですよお・・」

夏希は無邪気にかかとの上をさして見せた。


「・・ああ、そう。」

八神はぐったりした。



「そーいえば。今日は早く帰らなくちゃって、言ってたけど、予定あったんじゃないですか?」

夏希の問いかけに、


「あってもね。もうこの状態ではどーにもなんないだろ・・」

がっくりと肩を落とした。


「デートですか?」

夏希がちょっとからかうように探ると、


「・・デート。 っつーわけでもないんだけど。」

「彼女と約束?」


「今日、ハンバーグ作るって約束しちゃって・・」


「ハンバーグ?」


「自慢じゃないけど、おれの作るハンバーグ、めっちゃくちゃうまい!っていつも真尋さんも褒めてくれるんだ。」



ハンバーグ・・



ぐー・・・。



夏希はよだれがたれそうだった。


「え、今度、呼んでください! そういうときは!」


「なんでおまえを呼ばないといけないんだよ。 それに・・」


「それに?」



「・・今日、誕生日だったし。」


「誕生日? え? 八神さんの?」


「おれじゃねーよ。」


「ああ、彼女の、ですか。」



「あ~~~!! どーしよっ!! すんげえ怒られる!!」

八神はいきなり頭を抱えだした。



「そんな怖い彼女なんですかあ? 幼なじみなんでしょう?」


「ほんっと、わがままで、感情の起伏が激しくて。 ムカつくと平気で蹴りとか入れてくるし・・」


「わ~~~~、」

夏希は想像してしまった。



「ま、でも、もう11時だし。 寝てるんじゃないですか?」

またも無神経なことを言い、八神はほとほと腹立たしかった。


「黙って寝ててくれりゃいいけどな・・・」

八神はもう考えるだけで、おどろおどろしくなってきた。




高宮はさすがに心配になり、夏希のマンションに出かけていく。

下でインターホンを鳴らしても全く応答がない。


仕方なく

またも斯波の部屋のインターホンを鳴らしてしまった。



「はあ?加瀬?」

迷惑そうに斯波は言った。


「いないみたいなの、」

萌香は玄関に来た高宮に話を聞いて言う。



「知らねーよ、そんなもん。 友達のところにでも行ってんじゃねーの?」


「でも、約束したのに。彼女、約束をすっぽかしたことは一度もない。 電話も繋がらないんです。」


「飲んじゃって忘れてんだろ? おれ、今日は加瀬に八神とレックスに一緒に行くように言っただけで、それから会話してないもん。」

斯波は冷たく言った。


「あたしも、今日はほとんど本部長について外出だったので、加瀬さんとは会ってなくて。」

萌香も申し訳なさそうに言う。

「そうですか。」


「おまえに知られたくないところだったりして?」

斯波がイジワルを言うと、ちょっとドキっとした。


「もう、何を言うてるの。」

萌香は彼をたしなめた。



「今日は南さんはずっといたはずだから。 聞いてみましょう、」

萌香は南に電話をした。



「加瀬?」


「ええ、まだ連絡もなくて帰ってないみたいなんです。」


「加瀬は・・。えっと、6時半ごろ戻ってきて、なんか八神と資料がどーのこーので。」

南は記憶を手繰り寄せた。



「二人で地下の資料室に行ったよ。」


「八神さんと?」

萌香の言葉に思わず高宮は彼女の携帯に耳を近づけた。


「でも、あたし8時過ぎまでいたけど、戻ってけえへんかったなあ・・。」

南のひとことで、



「じゃ、じゃあ、会社にいるのかしら、」


萌香がそう答えると、横で高宮が

「会社にも電話したけど誰も出ませんでしたよ、」

と言う。


「高宮、いるの?」

南が言った。


「ええ。 心配して。 え~? じゃあ、どこに・・。 というか、二人、一緒なんでしょうか。」

ナゾがナゾを呼んだ。



斯波は八神の携帯に電話をしたが、まったく繋がらなかった。



「う~~~ん、」



さすがに

どうしたのかと思い始めた。



周囲は騒ぎになりそうですが、当の本人たちはまだまだ暢気でした・・

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