Smile again(18) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

斯波の家のインターホンが鳴り、萌香が出ると、夏希が皿を手に立っていた。



「加瀬さん・・?」

ちょっと驚いたが、すぐににっこり笑って


「どうぞ、」

と部屋に招いた。



「あのう・・さっきゴハン作ってたんですけど・・・これ・・」

夏希は皿を差し出す。


「これ?」


「田舎からピーマンをたくさん送ってきたので、」


「ピーマン?」


「ピーマンのごま油炒めです。」



すっごい大量の・・・・。



萌香は目を丸くしながら、



「えっと・・あの、清四郎さんもいるけどよかったら、あがって、」

と笑顔を作った。



夏希は顔をひきつらせて笑いながら、


「ハイ・・・」


少し考えた後、二人の部屋に上がる。



彼女が

ここまでこれたことが、萌香は意外で少し嬉しかった。




「加瀬、」



斯波は少し驚いた。

隣にいるとはいえ、彼女と会うのは久しぶりだった。



「や・・痩せたな、」



思わず見たままを言ってしまった。

頬がげっそりとこけている。


「あんま・・食べられなかったんで。 斯波さんもよかったらどうぞ・・・」

大量のピーマン炒めを勧めた。



「こ、これ・・?」

一瞬、怯んだが、彼女があまりに真剣な顔をしていたので思わず口に運んだ。


そして、飲み込んだ後、



「味が・・」



「え・・・」



「味が、ついてねえぞ。」


夏希はハッとして、


「そう言えば、なにもしなかった、」


「気づけよ、」



すると萌香が、

「じゃあ、もう一回、ちょっと味つけてくるから。」

機転を利かせてそれを持ってキッチンに行った。



「おまえは食ってるのかよ、」

何を言っていいのかわからなかった。


「はあ・・」

曖昧な返事をする夏希に、



「おまえが食わないと、心配じゃないか・・」



斯波は照れながら、そう言って彼女から目をそらした。



斯波さん・・。



その気持ちだけで

もう、涙が出そうなくらい嬉しかった。



「はい・・・」

夏希は目を潤ませてふっと微笑んだ。



「え、おいしー・・・」

夏希は萌香が調理し直してきたピーマンと塩昆布炒めを食べて驚いた。



「ピーマンって塩昆布とすっごく合うの。 シンプルだけど美味しいのよね、」



「感動・・・。 ピーマンと塩昆布だけなのに、」

夏希は夢中で食べてしまった。


「ほら、そればっかりじゃなくて。 今日はカニクリームコロッケも作ったし。 ゴハンも食べて、」

萌香は彼女に差し出した。


「カニクリームコロッケ、」


夏希はそれを見たとたん、おなかがグウっと鳴ってしまった。

それを聞いた二人は思わずぷっと吹き出した。



「体は正直だな、」

斯波は笑う。


「一気に食べないで。 少しずつ。」

萌香も優しく夏希を見た。


「ハイ・・・」

食欲が出てきた夏希に二人はホッとしていた。



夏希は萌香の作ったコロッケを食べながら



「おいしい・・・」



と、つくづく言って、感極まってはらりと涙をこぼした。



「加瀬さん?」



「ゴハンがすっごく、おいしいって・・思える・・・。」



どんどん

どんどん



涙が溢れる。



「おいしい。 ほんっと、美味しいです・・・」



そう言って涙ぐむ彼女に

萌香は優しく背中に手をやった。



ごはんが美味しいという当たり前のことを実感できる幸せを夏希は思い知っていました・・

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