A heart to believe(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

この

笑い方!


身振り手振りが大きいとこも!


高宮は目の前のおばちゃんを前に固まった。



まさか

まさか????



「し・・失礼ですが。 お名前は・・・」

声が裏返りそうだった。




夏希はインターホンが鳴ったので、高宮だと思い飛んでいく。


「はーい!!!」

ことさら元気な声で出た。


「あ~~~。 あのさ、」

モニターに後ろを伺う様子の高宮が映し出される。


「高宮さん? どーしたんですか? どーぞ、」

施錠を解くボタンを押した。


「や・・・あのね。 お、お母さんが、」


「え? なに?」



「お母さんが・・・いらしてるよ、」



彼の言葉の意味を理解するのに数秒を要した。



「・・・へっ・・???」



気まずい・・。



エレベーターの中でも夏希の母とは言葉を交わせなかった。



「あのう・・・」

と声を掛けられ、


「は、はい!」


「あなた・・・・えっと、秘書とかしてる人ですか?」

探るように言われて、


「えっ! ええっと・・・」



エレベーターが到着した。



夏希はその前で待ち構えている。


「お、お母さん!」


「夏希。」


なんで母がここにいるのか。

もう頭の中がごっちゃごちゃだった。



しかも、高宮と一緒に・・・・。



「あんた、おなか痛いなんて言うから。 ま、あたしも7日まで休みだしって思って、」

福島弁丸出しで母は言う。


あのまま

電話をするのを忘れていたことを思い出す。


「あっ・・・っと! ご、ごめ・・・・。 なんか、すぐ治っちゃって、」

夏希はもう全身から冷や汗が出た。


高宮は耐え切れず、

「あ・・おれ、帰るから。」

と言うと、夏希よりも母が、


「いえ! どうぞ。」

きっぱりと言った。


「は・・・はい。」

二人は固まった。



ば、ばれてる。

絶対に!

仮病で帰らなかったこと。



夏希はお茶を淹れながらも手が震えた。



母は持ってきた大きな荷物から、

「これ。 『おなかの調子が悪い』ときは、りんごだから。 ちょっと季節外れだけど。 すりおろして食べるとおなかにいいし。」

手品のようにいっぱいりんごを出されて、もう夏希も高宮も胸がちくちくと痛んだ。


「あ・・ありがと・・」

夏希はひきつった笑いを見せた。



高宮はこの重苦しい空気を打ち破るように、


「あのっ! おれ・・い、いや・・ぼくは!」

と夏希の母に切り出すと、


「この人? 大阪に行ってるとか言う秘書の人。」

思いっきり指を指された。


「あ、う・・ん・・・。 あの、高宮さん。 4月から・・また東京に戻ってきて。 社長の秘書なんだよ、」

夏希はモジモジしながら高宮を紹介した。


「へえええええ、偉いんだあ、」

全てが嫌味に聞こえる。



「や・・それほどのことでも・・ないです。」

高宮はまたも勇気を振り絞り、



「あの! ぼくは!」

と言おうとすると、


「えっと・・・高宮さんでした? せっかくいらっしゃってるんだから。 夕飯はどーすんの?」

母は無視するように夏希に言う。


「えっ、と。 カルボナーラ・・」


「かるぼなーら? どこの料理?」


「え、パスタだよ・・」


「パスタ? ああ、スパゲッティのこと?」


「生クリームとチーズと卵の。 あとベーコンとか入れて。 胡椒が利いてて、すっごく美味しいんだよ、」


「食べたことないなあ・・・。 なんか、しつこそう。」


「ほんっと! おいしいんだってば!」


「買い物は済んでるの?」


「うん、」


「栄養のバランスが悪いから。 ほら、ブロッコリーも持ってきたから。 これ茹でて。 マヨネーズつけるだけでもおいしいから。」



こんなにたくさん。

あたしのこと心配して持ってきてくれたんだ・・。



夏希はそう思うと、母に対して申し訳なくて申し訳なくてたまらなかった。



「それにしても。 なーんか散らかってる部屋だね。 ちょっとは片付ければいいのに。 『休み』なんだから。」

母はイスから立ち上がる。



もう

勘弁して欲しい・・・。



高宮はいたたまれない気持ちだった。



夏希は料理を始めたが。

「あっ! 胡椒がないよ~! これ、胡椒が肝心なのに!! コンビニ行ってくる!!」

いきなりエプロンを外し、出ていってしまった。



おいっ!!

この状況でおれとお母さんを二人っきりにするなっ!!



高宮は心で叫んだ。



が。



シーンとした空間に



「あの・・・」



何を言いたいとか。

具体的にはなかったが。


高宮は母に話しかける。



丸っきり予想外の夏希の母の登場に高宮はもう脂汗もんですが・・

人気ブログランキングへ 左矢印お気に召しましたら、ポチっ!ぶーぶーお願いします!!