「ひよっこ」 第85回
第15週 「恋、しちゃったのよ」
ヒデ＆元治のシェフデビューと
乙女たちの近況
おはようございます。
暑中お見舞い申し上げます。
「ひよっこ」、
先週はこんなことがありました。
実さん、
こんなすぐ近くにいるんですね。
そしてこの女優さん、
気になりますね。
時子） あっ！ 川本世津子！ 川本世津子！
みね子とどんなふうに
関わっていくんでしょうか？
「ひよっこ」第15週の始まりです。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
川本世津子さん、35歳です。
子役、娘役、ヒロインと、
長年活躍を続けてきました。
テレビで彼女を見ない日は
ないという、大物女優です。
へぇ～そうなんですね。
客） 川本世津子さんが来たって
言えば宣伝にもなるしさ。
客） 頼むよ。
客） ね？ せっかくこうしてさ…。
世津子） やめなさい。
私そういうの大嫌いなの。
分からない？
申し訳ありませんでした。
（鈴子に頭を下げる世津子）
世津子） （乙女たちに）ごめんなさいね。
一同） いえいえ。
世津子） 素敵なお店ですね。
今度寄らせて下さい。
鈴子） ありがとうございます。
お待ちしております。
世津子） さっ、行きますよ。
時子） あの！
世津子） はい？
みね子） 時子？
時子） 私、助川時子といいます！
駆け出しも駆け出しなんですけど、
女優です。
世津子） うん。
時子） いつか…。いつかご一緒に仕事
できるように、頑張ります！
その時は、よろしくお願いします！
（頭を下げる時子）
世津子） うん。待ってる。おばあちゃん
になるまでにお願いね。
時子） はい！ ありがとうございます！
世津子） それじゃあ、ごきげんよう。
高子） ごきげんよう！
みね子） いがったねえ、時子。
時子） うん。いがったぁ。
みね子） 頑張っぺ！
時子） んだね。
世津子） あの…
２人ともさ、それ、どこの言葉？
みね子） えっ？
時子） あ…。なまってました？
すみません。
世津子） うん…
あっ、いや、そうじゃなくて。
あっ、でもね、なまりあるの恥ずかし
いと思うの、やめた方がいい。クニ
の言葉を忘れたり、捨てるんじゃな
くて、標準語っていう、違う言葉もし
ゃべれるようになるといいんだよ。
英語もできる人みたいにね。
時子） はい。
世津子） うん。で…えっと…どこの言葉？
みね子） あっ、あの、茨城なんですけど、
奥茨城っつう北の方にある所で。ね！
時子） んだね。
世津子） へぇ、茨城かぁ…そうか…。
あ…ありがとう！ それじゃあ。
（世津子に頭を下げる乙女たち）
鈴子） 申し訳ありませんでした。
一同） わ～！ きれいだったね～。
優子） すてきな人であったねぇ。
幸子） 優しそう。
豊子） んでも、相手が男でも、ビシッと
しゃべるところがいいです。
時子） だよね。
澄子） おめぇ、
相手が誰でもビシッと言うべよ。
豊子） ん？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
鈴子） 若いのに筋が通ってたね。
高子） うん。
省吾） そうだね。ちょっと怖いけど。
元治） もうちょっと近くで
見たかったなぁ。
秀俊） 先輩、集中。
元治） はい。
そうそう、忘れるところでした。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
幸子） 乾杯～！
５人） 乾杯～！
今日は、乙女寮の同窓会でしたね。
（ジュースに添えられたオレンジを
ペロリと食べる澄子）
みね子） さすがだね。
幸子） さっ、聞こうか、優子。
みね子） そうだね！ どうしたの？
優子） 実はね、私…。結婚するんだ。
５人） え～！？
みね子） え～！
優子） 秋田さ帰って、水産物の加工工場
で働いてあったんだけんど。やっぱし、
結構、工場の仕事体つらくてね。した
ら、事務の仕事やればいいって社長さん
言ってくれて…。
みね子） うんうん…で？
優子） うん…でね、そこの息子がね、
４つ上なんだけんども、いてね。
アハハ…何て言うかその、ちょっこし
素敵で。私の、初恋の人であったん
だけんど。「結婚しねえか」って言っ
てくれて。
みね子） へぇ～！
（笑い声）
幸子） そうなのよね。
優子） ん？
時子） そうなのって？
優子） いや、あのね、私思うんだけど、
結局ね、優子みだいな子がね、
一番幸せつかんだりすんのよ。
みね子） へぇ、そうなんですか？
優子） どういうこと？
幸子） ガヅガヅガヅガヅしてる人よりね、
「私なんかいいの」みだいな女の子が
ね、結構幸せつかんだりすんのよ、
これが。
豊子） あぁ、そいはわがります。
谷崎潤一郎の「細雪」っていう小説が
あるんですが。四人姉妹なんですけど、
一番おとなしくて、何事にも消極的な
３番目、三女が最後には一番幸せに
なります。
みね子） 相変わらずあんたはすごいね。
豊子） どんも。
（笑い声）
幸子） でも、あれだね。うれしいね。
みね子） うん。
優子） みんなに会って、
話したかったんだ。
時子） 改めて乾杯だね。
幸子） だね。
豊子） ですね。
時子） おめでとう！
４人） おめでとう～！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
元治） また乾杯かよ。話長えな、おい。
秀俊） 出しましょう、先輩。
元治） おう。前菜、出ます。
高子・省吾） はい。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
澄子） あの座敷童だった優子さんがね、
お嫁さんがよ。
優子） またしゃべるの？ それ。
みね子） わ～！
省吾） 前菜になります。
元治） トマトのファルシ、
「乙女寮風」です。
秀俊） トマトを器にして、中に魚介のマリ
ネを詰めました。エビとタコは青森、タ
マネギは秋田、ブロッコリーとトマトは
山形、卵は福島、キュウリとニンジンは
茨城産を使っています。
澄子） これ一皿で…。
豊子） 乙女寮だなぁ。
時子） きれいだね。
元治） どうぞ。
幸子） いただきます。
５人） いただきます。
澄子） んめぇ～！
豊子） 出たな、ヤギ。
澄子） おいしいねぇ。
元治） よっしゃ！
秀俊） スープ出しましょう。
元治） おう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
鈴子） どうぞ。
高子） どうぞ。
秀俊） ヴィシソワーズでございます。
元治） ジャガイモの…。
豊子） ジャガイモとネギを使った
冷たいスープですね。
みね子） やっぱあんたすごいね。
幸子） んめえ！
優子） んめえ！
時子） んめえ！
豊子） んめえですね。
元治） よし、メイン出すぞ。
秀俊） はい！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
鈴子） フィンガーボールです。
（口に運ぶ澄子）
みね子） あっ、澄子！ それ、違うよ。
飲むやつじゃないがら。
あ～びっくりした。
元治） メインは、ローストチキンと、
グラタンでございます。
時子） すごいね！
（拍手）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
秀俊） 先輩！
２人のいわば、シェフデビュー戦。
うまくいきましたね！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
幸子） あぁ、ダメだね。あいづはダメだ。
全然ダメ！ 相変わらず何て言うが、
経済観念ってもんがないのよ。
あっ、でもね、実はね…。
みね子） 何？
優子） どうしたの？
幸子） 婚姻届は出したの。
５人） え～！
時子） 結婚したんじゃないですか、
それって。
優子） どういうこと？
幸子） 団地にね、申し込むのに、
独身じゃダメだから。
そのために、届けだけ出した。
みね子） あ～。
豊子） ん？ 当たらねかったら
どうするんですか？
幸子） うん、別れる。
豊子） えっ！？
時子） テレビのドラマのオーディション、
こないだ、最後の10人まで残って、
そこで落ちたんだよ。
（拍手）
みね子） すごいね！
時子） 落ちたは落ちたんだけどさ、
成長してるでしょ？
みね子） うん！ 最後まで残って
落ちたなんてすごいよね！
豊子） そんですね。最後に落ちた
なんて大したもんです。
優子） んだよね。最後に落ちたなんてね。
みね子） そうだよね！
時子） そんな、落ちた落ちた言わないでよ。
みね子） ごめん。
（笑い声）
豊子） 簿記と、速記とそろばんの資格を
取りました。そして、税理士と通訳の
試験を受けようと、今思ってます。
ゆぐゆぐは、会社を経営したいと考え
てます。そこは女性だけの会社にした
いと思っています。
みね子） あんたより強力になってんね。
豊子） はい。はい。
（石けんを配る澄子）
みね子） これ、あんたんとごで
つくってる石けん？
澄子） はい！ 毎日使ってっから、ほれ、
おれなんかほれ、つるつるですわ。
みね子） あ～本当だ！
時子） 本当だ！ つるつる！
みね子） 楽しくやってんの？
社長さんいい人だったもんね。
澄子） 本当の父ちゃんみてえです。
社長さんとこの夫婦には子どもがい
ねくて、「澄子は、うちの子どもだ」っ
てしゃべってくれてるんですよ。
優しいです。ごはんも、社長さんとこ
の夫婦と一緒に食べてんです。
豊子） まだいっぱい食べてんだが？
澄子） うん、食べてるよぉ。
（笑い声）
みね子） 相変わらずだな。
澄子） みね子さんはどうなんですか？
みね子） 私？ うん。仕事は順調。
充実してます。
時子） あっ、みね子。
みね子） ん？
時子） 何か垢抜けてきたんじゃないの？
東京の女になったっつうか。
みね子） えっ？ 本当？
幸子） 好きな人でもできたの？
優子） えっ？ そんたの？
澄子） いやいやいや。
みね子） ん？
豊子） 相変わらず田舎娘ですね。
みね子） 何？ 豊子！
（笑い声）
豊子） すいませ～ん。
（笑い声）
お父さん。
乙女寮の乙女たち、
みんなそれぞれの場所で、
頑張って生きてます。
ずっと、ずっと一生の友達でいたいな。
そして、時々会えた時に、
みんなに自分のことを、
笑って話せるような人でいたいなと
思いました。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
川本世津子と時子のくだりは、あまちゃんオ
マージュなのか。みね子と時子の方言に反応
したのは、もしかしたら…実を知っている？
彼女は後半のキーマンとなるらしいので…。
優子の重大発表は想定内の結婚するという
話。そこから展開する話が実に女子らしい。
ガヅガヅガヅガヅしてる人よりね、
「私なんかいいの」みだいな女の子がね、
結構幸せつかんだりすんのよ、これが。
谷崎潤一郎の「細雪」でもそうだったという
豊子。変わらないね。何だかうれしいねえ。
元治とヒデのシェフデビューとなる前菜は、
乙女達の故郷の食材を使った、乙女寮風。
粋だね～。なかなかやるじゃん、２人とも。
んめぇ～！
出た～！ 澄子のヤギが。豊子のツッコミも
うれしい。ホント懐かしい。ほっこりする。
続くスープにも、「んめぇ！」と絶賛の嵐。
メイン料理に喜ぶ乙女たちの姿を見て、厨
房に戻り、喜び抱き合う元治と秀俊に萌え。
いや、萌えというより微笑ましいというか、
何だかんだ言って仲よしの２人が可愛くて。
文句を言いつつ、雄大と結婚していた幸子。
時子は最終オーディションに残れるまでに
成長し、豊子は相変わらずの勉強家、ゆく
ゆくは女性だけの会社を設立したいとまで。
澄子は会社の社長夫婦に可愛がられ、み
んなに手土産の石けんを配れるように…。
よかったね、澄子。一人お裾分けすることが
できないことを恥じていた澄子。きっと社長
が、お土産にって持たせてくれたんだよね。
一番心配だった澄子が、可愛がられていて
ホッとしたよ。乙女たちが幸せでよかった。
表にはもう一人、気がかりだった愛子さんの
姿も。愛子さんも幸せでありますように～！
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