「あさが来た」第76回~そもそも世に生まれたる者は、男も人なり女も人なり | 日々のダダ漏れ

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「あさが来た」 第76回
第13週 「東京物語
そもそも世に生まれたる者は、男も人なり女も人なり


あさ) あっ、いてた。
忠嗣) あさ姉!
あさ) 久太郎!
忠嗣) 久太郎って呼ばんといてぇな。忠嗣や。
    もう、えらい仕事も任されてるんやで。
あさ) ふ~ん。
うめ) えらいご立派になられて…。
あさ) お父はんお母はんに気付かれへんかった?
忠嗣) 大丈夫や。それに、お母はんは今、今井の
    分家の七回忌がある言うて、下総の市川ま
    で手伝いに行ったはります。
あさ) お母はん、元気にしてはるの?
忠嗣) 元気や、元気。近いうちに、大阪まで
    お姉ちゃんのお子の顔見に行かなて、
    いつも言うたはるで。
あさ) そら、うれしいなぁ。お父はんは?
    まあ、お父はんは心配せんかて元気やろけど。
忠嗣) あさ姉。お父はんらの話もええけど、
    アメリカの話も聞いてぇな。アメリカは、
    えらいとこやったで!
あさ) その話が一番聞きたい! アメリカのお方て、
    みんな背ぇが6尺5寸あるてほんま?
うめ) それよりもおあさ様、ほんまにええんだすか?
    せっかく東京まで来てるのに、
    親御様にお会いにならへんて。
あさ) そら、会いたいけど…うちが千代を、旦那様や
    お母様に任して、東京に勉強に来てるやなん
    て聞いたら、お父はん、どない怒りはるか…。
忠興) せやなぁ。そら、えらい怒らはるやろな。
あさ) そやろ。そやさかい…ん?
    今、久太郎が言うた?
忠嗣) (首を横に振る)
あさ) はっ! お父はん…!


**********

忠興) 忠嗣の様子が何やおかしい思て、
    仕事のついでに後追うてみたら、
    まさかお前がおるとはなぁ。
あさ) お久しぶりだす。
忠興) お久しぶりやあれへん!
    何で言わへんねや!?
あさ) お父はん、怒りはりますやろ?
    ほら、怒ってる…。
忠興) そら、怒るやろ! 嫁いだ娘がこっちに来る
    いうたら、孫連れて、土産持って、親に顔見
    せに来るいうのが、あるべき姿やないか。
    それがお前、親には知らせへん。千代は連
    れてきぃひん。勉強だけしに来ましたて!
あさ) お土産やったらありますさかい!
    これな、堀江のあみだ池で買うたあわおこし。
忠嗣) へえ~こらええな! お母はんに何て渡そう。
忠興) 土産なんてどうでもええんや!
あさ) すんまへん。せやけどお父はん、近頃はうち
    が育ってきた頃とは違て、おなごも学問した方
    がええいう風潮になってきてるみたいだす。
忠興) はぁ?
あさ) 福沢諭吉先生が書きはった、「学問のすゝめ」
    いうご本は、お読みになりはりましたか?
    「天は人の上に人を造らず」いう言葉も感じ入
    りましたんやけど、うちがもっとびっくりぽんし
    たのは、3年前に刊行された第8編だす。
    「そもそも、世に生まれたる者は、男も人なり、
    女も人なり」いうこのひと言だす。
福沢) うんうん。
あさ) おなごも男と同じ人だす。この世は男と女、
    両方によって作られるべきものなんだす。
    そもそも、男と女の違いは、腕っぷしの強さ
    弱さだけだす。せやのに、女が女やいうだ
    けで、男の言う事は何でも聞かなあかんい 
    うのは理不尽出す。これからはおなごかて
    勉強して、男の方と意見交わし合ういうの
    は、あっておかしない事やて思います。
福沢) そのとおり! ザッツ ライト。うん…ご無礼。
    ご無礼ご無礼。ご無礼。うん。いや~…。
    まさしく、男女は、体のつくり以外は、平等一様
    にして、男も女も、熱いお茶を飲めば熱いしね。
    おこしを食べれば、甘くておいしいな。
    男は特にね…遊びたいなと思うように、おなご
    もね、時には羽を伸ばして大いに遊びたいと思
    う。また、男が大いに学んで、世のために役に 
    立ちたいと願うならば、女もまた大いに学問を
    して、世のためになりたいと思う。これは必定。
    男女とは、全く同じものです。ところが、現実は
    いかがかな? 女は熱くても、男が、「その茶は
    ぬるい」と言えば、「ああそうですか」と我慢し。
    例えば、男が、「遊びも仕事のうちだ」と言えば、
    「そういうもんですか」と、家で家事をしながらじ
    ~っと我慢をしておる。日本の婦人は、「生まれ
    ては、親。嫁いでは夫。老いては子に従え」と
    そう教えられて、これに従うております。しかし、
    我ら日本男児、果たしてそのような事を強いら
    れて、それに従えますか? 従えますか?
    従えますか!? 従えますか?
忠嗣) 無理です。
福沢) うん…。
うめ) はれ? あなた確か、新橋の…?
福沢) いやいや…いかなる身分の人間も、
    自由と独立を妨げられてはなりません。
    それが私の考えです。
    夫人に対しても、同じです。
あさ) そやけど、おなごがそのように生きるいうのは、
    実際やってみますと、大層難しいことのように
    思われます。理解ある親や夫に支えられてい
    ますのに、それでも難しいのは、何でなんだす
    やろか?
福沢) やはり、その、夫や、家から、自由に生きるた
    めには、夫人も、経済の自立を図るべきです。
    しっかりした財産を持ち、世間に対して、己の
    責任を重とう持たねばなりません。
あさ) 責任?
福沢) うん。独立自尊。
    大いに学び、しっかり働いて…しっかり、稼ぐ。
    ああ、そうだ!
    あなたはいつか、おなごの社長になりなさい。
あさ) へ? 社長?
忠興) 失礼ながら、あなたもしや、福沢先生…。
福沢) いや、ご無礼、ご無礼! 愉快でした。
    これ、一枚だけ。懐かしいんでな。
    あ~ご無礼ご無礼。ご無礼!
    いや~愉快でした。
あさ) はぁ。行ってしまいはった。


**********

福沢) うん…。日本にも、
    やっと新しいおなごが出てきたか。


これから7年後に、福沢諭吉は、
新しい時代の女性の在り方を提案する、
「日本婦人論」を刊行します。
福沢の書物は、この先も長きにわたって、
あさの心を支える事になるのです。


**********

忠興) はぁ? 大久保様に会うたやて!?
あさ) シ~! ないしょにしてな。
    大久保様、大変なお仕事の合間縫うて、
    時々五代様に会いに来てはるそうなんだす。
    感激しましたわ。
    えらい大きい、温かい手ぇのお方でなぁ。
うめ) ほんま、偉ぶるとこのない、優しいお方で。
忠嗣) へえ…!
忠興) なんちゅう事や…。
    大体お前、炭坑はどないしたんや?
あさ) へぇ。炭坑はやってみて、先のある仕事や
    いうのはよう分かりましたさかい、どないか
    して復興させるつもりだす。長い目ぇで見た
    ら、今が辛抱の時やて思てます。今井みた
    いな、銀行への道は、遅なってしまいました
    けど…。
忠興) いや、銀行経営もなかなか難しい。まだ、
    日本に、遊んでるお金を銀行に預けて、そ
    のお金を銀行が、必要としている人に貸す
    っていう考えが根づいてないねや。
あさ) そうだすか…。そやけど、きっともうじきだす。
    五代様とこの町歩いてよう分かりました。
    この国の文明は今、まさに花開こうとしてま
    すのや。今井のお金を、金に変える人たち
    が出てくるのも、きっともうそない遠い話や
    あらしまへん。
忠興) なるほど。
あさ) お互い、辛抱の時だすなぁ。
忠興) はぁ? 何を生意気な!
うめ) おあさ様。
あさ) すんまへん。


**********

忠興) 認めざるをえんようやなぁ。あさと話してると、
    何やおなごと話してるようには思えへん。いや、
    男や女やいうような事やのうて、あいつはもう、
    一人の商売人なんやなぁ。

(回想)
忠政) あさは、男として育ててみたらどないや?
忠興) はぁ?
忠政) あさは実は男やったという事にして、
    今井の家督を、あさに継がせるんや。
    

忠興) 負けたわ…お父はん。

**********

大久保) よかとか? これはおはんが、イギリスに
     行っていた時に買ってきたという、とってお
     きの酒じゃっどが。
友厚) はい。これを共に空けるのは、大久保さん
    しかいないと、前から、決めておりもした。
    甘党のおまんさぁの口には、合いませんか?
大久保) うんにゃ…。ああ…。
友厚) ああ…。
大久保) おはんも、今はおいが、
     こそくな政治家になったと、思っているか?
友厚) はぁ? 何をおっしゃる。大久保さんは、
    日本の未来を、一番よく考えてるお方じゃ!
    大久保さんに、弱きになられたら…。
大久保) いいや。おいは、これから変わっど!
     今まで、外国やら、藩閥やら、いろんなもの
     に干渉されて、何も自由に出来なかった。
     じゃっどん、これからじゃ!
     これからは、大いにやってやっど!
友厚) じゃっど! その意気でごわんど。それでこそ、
    おいが昔から知ってる、大久保さんじゃ!

(笑い声) 
大久保) 明治が始まって10年。おいは常々、
     新しい時代が出来上がるには、
     あと、20年かかると思ってる。
友厚) 20年…。という事は、トータルで、30年か。
大久保) じゃ。今までの10年は、事を起こし、
     落ち着かせるまでの、始まりの時期。
     そして、この先10年は、政治を整え、
     民の産業を活発にする、建設の時期。
     五代。おはんには、
     ますます気張ってもらわねばならん。
友厚) おはんもです。
大久保) うん。おいも、あと10年は気張ろう。
     そしてその先の10年で、ようやく、
     新しい日本が出来上がる。
友厚) そうか。その頃には、
    日本はどげん国になってるんでしょうなぁ。
大久保) 外国に負けない、強い国じゃ。かといって、
     力でねじ伏せる訳ではない。本当に強いもの
     は、そんな事はしないものじゃ。
     戦は、破壊するだけのもの。もう、こりごりじゃ。
友厚) じゃな。あっ。
大久保) チェリーか?
友厚) 大久保さん、一つだけ、忘れておいもす。
    おまんさぁは、産業、農業、文化、教育。
    いろいろ細かい事まで日本の未来を考えて
    おられるが、女性を育てる道、それを作るの
    は、忘れているようでございます。
大久保) お…。そいは、見落としていたな。
     もしかしたら、その道を作る事の中に、
     この国を、戦いなくして強くする方法が、
     隠されているのかもしれんのう。
     ファースト・ペンギンの出番じゃ! ハハハ。
     おはんのおなご好きも、
     悪い事ばかりじゃ、ないなぁ。
友厚) はぁ? 何をおっしゃる。
    さあ、飲みに行きもんそ!
    もっと、日本の話をしもんそ!
大久保) おう!

(笑い声)
友厚) ん! ああ…。
大久保) ああ…。

**********

そして、いよいよ、
あさたちが、大阪に帰る日となりました。


三坂) また昨日もお泊まりになったんですか?
友厚) うん…ちょっと飲み過ぎてしもた。
    そろそろ行かな。
    あささんの汽車を見送る時分や。
三坂) そのあとは、渋沢様との会合です。
    お忘れないよう。
友厚) 分かってる、分かってる。
    今日はあまり天気がようないみたいやなぁ。

(ドアが開く音)
三坂) 五代様! 大変です!

**********

男性) 号外、号外! 号外、号外!
    号外、号外! 号外、号外!

(号外を読むあさ)
あさ) 暗殺て…。

明治11年、5月14日の、事でした。

**********

そもそも世に生まれたる者は、
男も人なり女も人なり。

ドラマの中では出てきませんが、こう続きます。

この世に欠くべからざる
用をなすところをもって言えば、
天下一日も男なかるべからず、
また女なかるべからず。


ザックリ言ってしまえば、男だけでも女だけでも駄目。
世の中における、それぞれの役割は、平等にある!

とはいえ、平等といっても、肉体的ハンデは当然ある
訳で、それぞれの違いを活かした上で、平等にチャ
ンスを得る機会がある事が望ましいと思いますが…。

どんなに文明が進んでも、いまだに女性の活躍を制
限し、抑圧している世界は存在している。人の心は、
果て~しなく、自由でもあり…不自由なものでもあり。
「平等」という問題は…人間の永遠の課題なのかも。

あさの商売人としての資質を見抜いていた忠政の先
見の明に、負けたとつぶやく忠興も、どこか嬉しそう。
久太郎、いや忠嗣君は、まだまだ頼りなさそうだしw
忠嗣のアメリカ話を、もう少し聞いてあげたかったよ。

今まで大久保利通という人には、まるで興味がなか
たのだけれど、あさが来たの中の大久保さんは可愛
げがあって、今回グッと好感度アップした人物でした。

今までの10年は、事を起こし、
落ち着かせるまでの、始まりの時期。
そして、この先10年は、政治を整え、
民の産業を活発にする、建設の時期。

その先の10年で、新しい日本が見えてくるはず…だっ
たのに。暗殺はいけません。暴力反対! 暗殺反対!
五代、大久保のツーショットがもう見られないと思うと、
寂しい限り。おヒゲの大久保さま、お疲れさまでした!


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●「あさが来た」HP


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