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   室伏謙一  (公式ブログ)

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 9月26日、第192回国会(臨時会)が開会した。会期は11月末までの66日間。本年度2次補正予算、TPP・関連法案、労働規制緩和関係法案、日露協力関係法案と重要議案が目白押し。それに、消費税率引上げ延期に伴う関連法の改正案を提出されるが、一応形式改正とされているので、こちらは審議時間はあまり取れらないだろう。

 臨時会は総理の所信表明演説に始まる。今回の安倍総理の所信表明演説、内容的にはここ数ヶ月の主張や「成果」の宣伝を繰り返す内容が多く新しさに欠けるところもあったが、一方で、一億総活躍の実態が働き方改革であること、地方創生がいつの間にかリニア新幹線の整備の前倒しやクルーズ船受入れのための港湾整備といったような大規模なハード整備にすり替えられてしまったこと、TPP対策と言いながら輸出関連施設の整備というやっぱりハード中心の施策の比重が大きいこと等が明らかになった。(無論、公共交通網の整備といった必要なハードの整備や更新は必要であり、国土強靭化の必要性も認識しているところ、頭ごなしにハード整備を否定するものではないが。)

 また、外交・安全保障(「地球儀を俯瞰する外交」の部分)に関しては、日米同盟(実際には同盟ではないが。)を「希望の同盟」とし、世界の諸課題に共に立ち向かうと頓珍漢なことを言いつつ、日露関係の改善・強化という真っ当なことを言うというチグハグな部分もあった。(安倍政権に好意的な見方をすれば、アメリカに気遣いつつ日露関係を強化するという意であり、苦心の跡がうかがえるということになるが。)

 さて、外交・安全保障に関する発言の締めくくりとして、現場の警察官、海上保安官、自衛官へ「心からの敬意を表そうではありませんか」との呼びかけが行われ、自民党議員が立ち上がって拍手喝采を送り、演壇に立つ安倍総理までペタペタと拍手するという場面があった。まるで北朝鮮のようだといったと酷評する声を、その場にいた野党議員から聞いたが、私の目には「北朝鮮のようだ」というのとは異なる性格の行動であるように見えた。

 すなわち、野党、特に民進党への挑発である。

 安倍総理は演説の最後に、憲法について改正という言葉を一切使わずに議論を深めていこうと呼びかけ、こう締めくくった。

「決して思考停止に陥ってはなりません。互いに知恵を出し合い、共に「未来」への橋を架けようではありませんか。」

 民進党の代表となった蓮舫氏、代表選でも盛んに「提案」を繰り返していた。それも踏まえて、「そこまで言うなら憲法についても「提案」を出してごらん。」とでも言わんばかりである。

 そしてその民進党、衆議院では幹事長の野田佳彦氏が代表質問を行ったが、彼はまんまとその挑発に乗っかった。その典型的な例は、自民党の憲法草案を「国民の権利を軽んじ、天賦人権説を否定」するものとしてその撤回を求めたことであろう。

 そもそも自民党の憲法草案といってもあくまでも一つの政党として作成した案である。つまり、その内容の妥当性云々は別として、自民党内で議論を経て党の成案として得られたものである。したがって、党内から見直しの意見が出され、再度議論するというのなら分かるが、他党からとやかく言われる筋合いのものではない。憲法審査会において個別の論点として国民の権利や天賦人権について議論し、自民党の考え方は不適切なりと主張するというのはいいだろう。しかし、一つの党が党として表に出すために決めたものを不適切だ、撤回せよというのは、自民党の選挙公約は不適切だから撤回しろといっているのに等しく、本末転倒も甚だしい。だが野田氏はそれを対立点にしてしまった。

 これでは提案する政党はどこへ行ってしまったのか?と思われても仕方あるまい。なんと言っても民進党、護憲教条主義者から、自民党を飛び越えてしまいそうな改憲論者までいるごった煮というより、憲法改正については呉越同舟と言っていいような政党である。そんな政党に党としての憲法改正案など作成できるわけがない、安倍政権からすればさしずめそんなところだろう。

 自民党にも改憲派から護憲派までいるが、党としての方針を示した上でしっかりと議論を尽くす。そこまで言うのなら、まずはその草案を出して外で議論してみよう、そうした地に足のついた考え方が通じる。しかし、民進党は一旦党内で対立となれば、執行部が「引き取る」と称して独断専行する。議論が尽くされないから不満や鬱憤がたまる。そんなこんなでは「提案」など容易くできないだろう。

 そこを、一番対立が起きやすい憲法改正で突かれたということであろう。

 一方、蓮舫代表の質問は・・・基本的には衆院での野田氏の質問と同期をとりつつも、代表質問で行うべき大所高所からの質問よりも細かな事項に比重が置かれる傾向が見られた。彼女は委員会審議で微に入り細に入りギリギリ攻めるのには長けているが、党代表として質問するにはまだまだということだろうか。「提案」について肩透かしにあったのみならず、結局何に主眼を置いて質問したかったのか、ぼやけてしまったと言っていいだろう。安倍総理は細かな事項については関係府省が作成した答弁を読めばいいだけ。総理と野党第一党の党首の論戦としてはお粗末だったと言わざるをえないだろう。

 これでは民進党執行部は安倍政権の単なる「オモチャ」である。
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