グラナドスの演奏会用アレグロ分析のレッスンをしているのですが
今までグラナドスというとゴイエスカスくらいしか
まともに勉強したことがなかったので、
実際に自分でパラパラと楽譜を見ていて、
新鮮であると同時に非常に興味深くもありました。

エンリケ・グラナドス


そもそも私はドイツ系、フランス系の作曲家が好きで
自然そちらに嗜好が流れますが、
スペインの作曲家というと
後はファリャなら恋は魔術師三角帽子
アルベニスならイベリア組曲の抜粋、
ロドリーゴならアランフェス協奏曲とかその辺りの勉強くらいで
ガチンコでスペイン人の作曲家というものに
取り組んだことがありませんでした。


マヌエル・デ・ファリャ

スペインはバッハ以前にはビクトリアカベソンなどの作曲家がいましたが、
一般的には知名度は低い方であり、
近代になってグラナドスやファリャが現れるまでは
スペインの個性を活かした作曲家がいないと私が
感じていたことも理由の一つです。


トマス・ルイス・デ・ビクトリア


ビェニスなどはラヴェルやドビュッシーの
ピアノ曲の初演や献呈者として有名ですが、
スペインがクラシック音楽の歴史の中で
割と脇道なっている感は否めなせん。


ファリャは恋は魔術師や三角帽子が個人的には好きですが、
ドビュッシーやラヴェルほど個人的に興味が湧くという
感じでもなかったため、
久々に近代スペインの作風に触れたのですが、
非常に面白かったです。





スコアのダウンロードはこちら


実際問題あまりスペインというと日本同様に
クラシック音楽の歴史において絶大な影響を誇ってきたわけではなく、
グラナドスやファリャはスペイン趣味を十分に感じさせてくれますが、
個人的には技術習得の一つくらいにか考えていなかったため、
なんとなく勉強してきただけだったのですが、
演奏会用アレグロは激しい部分あり、情緒的な部分あり、
非常にピアニスティックな技法満載で
ロマンチックな作風は分析していて楽しくもありました。


ショパン(1810年生まれ)があと50年遅く生まれていたら
こんな感じの曲を書いたかも?
と思わせるような和声法やピアニズムで
(グラナドスは1867年生まれ)
リストほどはぶっ飛んでおらず(和声的な意味で)、
こういう曲調は現代人にも受け入れやすいのではないでしょうか。


演奏会用アレグロが書かれたのは1904年であり、
割と近代の作品なので、
オルタードテンションが豊富だったり、
ディミニッシュスケールやコンビネーションオブディミニッシュスケールが登場したり、
なんとスケールアウトな動きが出てきたり、
転調領域が近代フランス並みに広かったり、
近代スペイン音楽の一面を理解する一つの要素として
和声法や旋律作法や転調は個人的にはかなり有益でした。


演奏会用アレグロはショパン的なピアノ書法を土台に
シューマン的な和声とベートーヴェン的精神を持ちつつ、
スペインの民族色を出しているという印象を受けます。


こんな難易度S級のピアノ曲が私に演奏できるわけはなく、
あくまで分析しているだけですが、
作曲を独学で勉強している方にも
このように色々な曲の分析をお勧めします。


「グラナドス?というかクラシックの曲なんて
ボーカル曲やBGMに役に立つの?」
と思うかもしれませんが、
ボーカル曲でもBGMでも分析して得た和声法や旋律作法や
作曲的発想が大いに役に立ちます。



というよりはクラシック音楽は最も古い歴史を持っているだけあって
多くのジャンルの作曲的内容を包含していますし、
劇伴・BGMは思い切りクラシックの楽曲やオペラなどから
発想を得ているものが山ほどあります(特にゲームBGM)



グラナドスの演奏会用アレグロは作曲上の分析は
滅茶苦茶高度過ぎて手が出ないということはないので、
作曲における近代スペイン風趣味、ピアニスティックな技法の研究、
BGMなどの制作ネタ探しなどの役に立つので、
やってみるのも良いかもしれません。


自分で一生懸命曲を作るのも大切ですが、
誰かの曲を分析して知識や技術の幅を広げるのも
作曲していく上ではかなり有益だったりします。



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【テスト投稿です】
記事の内容がアメブロ規定の違反になるらしく、
削除されてしまいましたので、再度テスト投稿してみたいと思います。
また削除されてしまいましたら諦めようと思います。

文章の内容に問題があるのか、
著作権フリーの楽譜の引用に問題があるのか、
自作した譜面に問題があるのか、
もし教えて頂けるならお願い致します。

//////////以下再投稿////////

ドビュッシーのオペラである
ペレアスとメリザンドにおいて使用された
よく作曲で話題になるペアレス和声について書いてみたいと思います。


ネットで色々と調べていると色々な方が色々なことを書いていますが、
私が以下書くことは「こういう考え方もある」程度に
参考にしてもらえたら嬉しいです。

クリックで拡大


有名なペアレス和声は赤でコードネームが書いてある
A/Bbの部分ですが、(実際にはB♭B♭6
これについてはメシアンの分析から始まり、
色々な方が実に色々な解釈をしていますが、
バイトーナル(復調)だとか半音下の属和音による調性の拡張だとか
ハンガリー音階が取り入れられているとか
色々な意見があるものの、
ドビュッシーの意図が何処にあったのか?を全く別問題として良いならば
私にはただのハーモニックマイナーのダイアトニックコードに見えます。


A/B♭というコードはメジャートライアドの長7度上で
さらにメジャートライアドを鳴らすというスラッシュコードであり、
かなり複雑というか難解な響きを持っています。



この非常に個性的な和音がペレアスとメリザンドの冒頭で
使われているわけですが、
バイトーナル(復調)だとか、属和音による調性の拡張だとか、
ハンガリー音階云々というより
単なるハーモニックマイナーのダイアトニックコードとして
受け入れた方がわかりやすいのではないか?と思うわけです。


A/B♭におけるAコード(ラド#ミ)とBbコード(シ♭レファ)の
構成音が同時に存在するキーはDハーモニックマイナーです。


このDハーモニックマイナーの6番の音の上に
ダイアトニックコード(音階の音を積んで作るコード)を作ると
以下のようになります。


この和音はペアレス和音そのままであり、
現代的に解釈するとA/B♭B♭M7(#9,#11)にというコードになります。


実際にはB♭M7(#9,#11)においてソの音もフルートとクラリネットで
鳴らされているので、B♭M7(#9,#11,13)と書くのが正解ですが、
それでもDハーモニックマイナー出身であることは変わりません。


というより、ますますペアレス和声は
ハーモニックマイナーに立脚した和声であることを裏付けてしまいます。


ペレアス和音は〇M7を含んでいるなどとも言われますが、
それもそのはず、ペレアス和音はただのハーモニックマイナーの
ダイアトニックコードなのですから当たり前とも言えます。


コードスケール名はリディアン#2スケールで
テンションを含むコードシンボルは〇M7(#9,#11,13)となります。


これなら小難しい解釈を延々と述べるより、
「ペアレス和音の正体は一体なんのか?」という問題に対して
「ただのマイナキーのダイアトニックコードです」の一言で
終わってしまいます。



音楽理論を専門的に勉強していない方にとっては
「〇M7なのに#9thテンション?」
「#9thテンションってオルタードなんじゃないの?

と思われるかもしれませんが、
実際にはただのハーモニックマイナーのダイアトニックコードという
解釈が成り立ってしまいます。


以前私が書いた作曲の基礎理論本にも書いてありますが、
例えばCM7(#9,#11)というコードシンボルは非常に難解なため、
ほとんどの場合B/Cと書かれることが多いです。


これは演奏家さんへの配慮であり、
また広く大衆にわかりやすくするためだとは思いますが、
ハーモニックマイナーへの理解を遠ざける一員になっている気もします。


ハーモニックマイナーを食べず嫌いしている方は結構多いと思うので、
世の中全体のハーモニックマイナーへの理解が進ます、
ますますペアレス和音のようなコードが「??」となり、
難解な理由付けが出てくるような気もします。



もっともこれは現代人としての一つの解釈の仕方であって、
「ドビュッシーがハーモニックマイナーを意図して書いた」
言っているわけではありません。



合理的な解釈の一つに過ぎず、
たくさんの方がたくさんのことを述べていますが、
こういう考えも出来るというだけに過ぎません。


ドビュッシーがどういうつもりでこのような音使いをしたのか?は

結局はドビュッシー本人に質問してみるしか方法はなく、
それは不可能なので推測することしか出来ませんが、
彼のたくさんの作品を私なりに分析したりした上で、
彼の頭の中にこういう考えがあっても不思議ではないと思うだけです。



ドビュッシーの和声法に関してはたくさんの本が出ており、
勉強しようと思えば比較的簡単にできますが、
この問題について私の考えを裏付ける証拠もなければ
否定する証拠も見いだせず、
なんとも言えないのが個人的な印象です。



ただ現代において作曲する人間の一人としては
合理的に解釈した方が自分自身で応用するときに便利というだけです。



ドビュッシーがこの曲を書いたのは1893年から1902年と言われており、
作曲し始めたのは31歳頃ということになるので、
(後で改訂されたのもかもしれませんが)
一番成熟した50歳前後、すなわち前奏曲集の第1巻と第2巻辺りを
書いたときよりもずっと若い時代なこと、
ドビュッシーのほかの技法に比べて
ほかの作品での流用・応用が少ないこと
(例えば全音音階のように)
などを鑑みると意外と本人もよくわかっていなかったのかもしれません。



もしかしたらバイトーナル(復調)のつもりで書いたのかもしれませんし、
単なる思いつきで「これ、いんじゃね?」程度の彼のひらめきであり、
理論的な裏付けは彼の中ではなかったのかもしれません。


当時ハーモニックマイナーどころか
メロディックマイナーすらまともに作曲の世界では
活用が進んでおらず、
むしろメロディックマイナーに関しては、フランスにおいては
フォーレフランク、ドビュッシーあたりが開拓したようなものです。



彼の弦楽四重奏を聴くと
調性からの脱却を模索する方法として
旋法性やメロディックマイナーを活用しているのがわかりますが、
ハーモニックマイナーの積極的・汎用的な活用は全くなされておらず、
ハーモニックマイナーはただ音階として出てくるのみで
あとはエスニック趣味な音階としてあるいは民族音楽で
用いられていたに過ぎません。


現代でもそれは同じで、それを憂いて自分で書いた作曲の本にハーモニックマイナーの
積極的な活用法と理論的な整理内容を書きましたが、
ハーモニックマイナーの不人気さや作曲家の
食わず嫌いは当時も今もほとんど変わらない気がします。



ドビュッシーよりも100年後に生まれた私は
彼よりもずっと後に生まれたメリットを活かしあれこれを述べることが出来ますが、
旋法ペンタトニック全音音階などの内容に比べると
あまりハーモニックについてドビュッシーが深い考えを持っていたとも思えません。


ほかの膨大な曲を私なりに分析・解釈した上で
彼がどう考えていたのか?を解釈するなら
個人的には考え抜かれた理論的裏付けに基づく和声ではなく
「単なるひらめき」のように感じています。


ドビュッシーの作曲における発想はある種、
神懸かったものがあって
驚愕の念に駆られるものがたくさんあり、
特に深い考えがあったわけではなくても
凄い曲をたくさん書ける作曲家だったので、
ペアレスの冒頭のこの和音もその一つだったのではないか、
と私は考えています。



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独学で作曲を学ばれている方にお勧めな勉強方法というか、
勉強として取り組んで非常に有意義であると思われる曲を
ご紹介したいと思います。


実際有意義かどうかは主観によりますが、
少なくとも私個人の場合は
ドビュッシーによって目が開かれました。

良くも悪くも私は極めて強烈な影響をドビュッシーから受けています。

クロード=アシル・ドビュッシー



作曲とは何か?作曲とはどのように行うかのか?という
作曲に対する非常に根本的な態度や
音楽を音楽として興味深く意義あるものにするための様々な創意工夫、
旋律とはなにか?という問題、
調性とハーモニーの拡張、隠されたリズムの使い方、
また音色という楽譜に記すことの出来ない要素への
向かい合い方などドビュッシーから学んだことは
枚挙に暇がないくらいです。


私にも先生がいるけれど、
私にとっての作曲の先生はドビュッシーと言っても過言ではなく、
そのほとんどは独学ではありますが、
一体どれだけドビュッシーから作品から音楽における
示唆を得たのかわからないほどです。


それがボーカル曲であれ、BGMであれ、
ドビュッシーから学んだことはもの凄く役立っており、
これから作曲を真剣に勉強していこうという方に対しても
とても価値あるものになるのはないかと思います。


ドビュッシーにはとてもたくさん曲がありますが、
最も示唆に富んでおり、また学習という見地から有意義だと思われる作品は
個人的には前奏曲集だと考えており、これをお勧めします。

これを1曲ずつ分析して勉強していくと
得られるものは計り知れないと思われます。


著作権も切れいているので、
楽譜は楽器屋さんで簡単に手に入りますし、IMSPLでもDL出来ます。


IMSPLの前奏曲集第1巻のページ
音源や楽譜をDL出来ます。

分析のやり方はいつもこのブログで書いてるのと同じで
上にコードネーム、下にディグリーとコードスケールを書き込みます。
(出来れば出身キーも)


第1曲 ディルフィーの舞姫の冒頭の分析例



スコアへの直リンクはこちら


曲そのものをご存じでない方はスコアをDして
一度聴いてみて下さい。


実際の分析ですが、分析例の画像の左上のように、まずは調判定をします。
ドビュッシーに限らずクラシックのスコアでは
調号とそのときの調が違うのはよくあることなので、
まずは調判定能力が必須になります。


調判定くらい余裕だという方は多いと思うのですが、
ドビュッシーに限らず何かの曲に取り組むときに
調を取るのに苦戦する方がいらっしゃるかもしれません。


特に借用和音や内部調が増えると「??」となってしまうかもしれませんが、
調号や臨時記号、大きく見た和声の流れ、
作曲者がどの音をどのように扱っているか?
そして作曲者の意図を読み取る力が必要になってきます。


十全に分析を行い、たくさんの収穫を得ようと思うなら
クラシックの和声の知識、ポピュラージャズの理論の知識、
どちらも役に立ちますし、またどちらも必要です。



調判定に続いて、コードを付けます。コードを付けるのは比較的簡単で、
冒頭であれば、下からシ♭、シ♭、ファ、シ♭、レ、ファと鳴っているので
Bbコードであることがわかります。

KEY-BbにおいてBbコードはディグリーⅠなので下にディグリーを書き、
さらに下にコードスケールと出身キーも書き込みます。
BbMはBbメジャーの略。CmmはCメロディックマイナーの略です。


こんな感じで最後まで進めていきます。
これとは別に全体の小節構造などを別途書き出すと良いでしょう。
構成の勉強にもなります。


これだけだと寂しいので、
少しだけこんな風に分析していくと良いですよ、
という一例をお見せします。


実際にはコードやコードスケールや出身キーを明確にしつつ、
気づいたことなどを片っ端から楽譜に書き込んでいきます。


まず最初にピアノで弾いて気がつくのは、
ピアノの音の配置が倍音列そのままになっているということです。

6倍音までを完全になぞったボイシングになっています。


これは彼のオーケスレーションでも同じことが言えますが、
明らかに意図的に倍音列に沿ったボイシングを行っています。

もっとも和音が美しく響く配置の一つですが、
このようにドビュッシーの曲にはボイシングそのものに
意図や特徴がある場合もあるので無視できない要素です。


彼のオーケストレーションをアナリーゼするのも良いでしょう。



次に和声(コード進行)を見ていきましょう。

1拍ごとの出身キーが全部違います。

KEYーBbメジャーですので、
最初のBbはディグリーⅠで、Bbアイオニアンなので普通ですが、
次のAm7-5がくせ者です。

Am7-5はディグリーⅦm7-5ですので、
普通にダイアトニックコードのように思われますが、
旋律でシのナチュラルの音が出てくるため、
純粋な意味でのKEYーBbメジャーと考えることが出来ません。


旋律はシ♭→シ→ド→ド#という半音階なので
Am7-5のシをただの半音階的経過音と解釈することが出来ますが、
そもそも半音が4つも並ぶキーは存在せず、
ドビュッシーが通常のメジャーキー、マイナーキーを脱しようとした結果の
旋律であると個人的には考えたいので、
これは単なる気まぐれな経過音として考えるべきではなく、
立派な和声を構成する一つの音をして捉えたいと思います。


そうなるとAm7-5の部分では「ラシドレミ♭ファソラ」という
ミだけが♭になるスケールが見いだされますが、
ミだけが♭になるキーは何でしょうか?


Cメロディックマイナーですね。
これがすぐに出てこない場合はメジャー&マイナーのスケールの練習が足りない
ということになってしまいます。


和声学ではコードスケールという概念はありませんが、
出身キーという概念があるのでⅤのⅤの和音のように書かれますが
これは「Ⅴ度のキーのディグリーⅤの和音」という意味であり、
コードスケールがない代わりに出身キーを明確にします。



これをバークリー系の書籍のようにペアレントと呼んでも構いません。
呼び方は何でも良く、大切なのは調性の揺らぎを明確に把握して、
そして自分で応用できるレベルになれるかどうかです。

これを行うためにコードスケールや出身キーを把握するはとても役に立つのです。


和声のように音の並びから出身キーを見いだすことも出来ますし、
ロクリアン#2スケールはメロディックマイナーの6番目のスケールという
ポピュラー理論も役立ちますので、
どのみちこのAm7-5はCメロディックマイナーキー出身の和音であることがわかります。


3つめのFaugですが、
これはaugのド#をレ♭と読み替えてオルタードの♭13thと考えることが出来ます。


画像ではホールトーンスケール出身と書いてありますが、
♭13thだけならミクソリディアン♭6thかもしれないし、
ほかにも可能性があるのでは?と思うかもしれません。


♭13thはホールトーンでもミクソリディアン♭6でも当てはまる。
ほかにもドミナント系で当てはまるスケールは存在します。



全くその通りでホールトーンスケールはドビュッシーが良く使うスケールなので、
一例としてそう書いてあるだけで、
この部分で使われているスケールを、
譜面にある情報だけで特定することは出来ず複数の可能性に
絞り込むまでしか出来ません。


実際の作品でスケールの音がすべて出揃っている例はむしろ稀ですが、
分析の中で前後の流れや読み取れる作曲者の意図、あるいは一般的な原則から
おそらくは〇〇ではないか?と自分なりに解釈するのもOKです。


ホールトーンスケールと解釈するなら出身キーは「なし」ですし、
ミクソリディアン♭6スケールと解釈するなら出身キーは
Bbメロディックマイナーとなります。
ミクソリディアン♭6スケールはメロディックマイナーの5番目からスタートです。


つまり調の流れとしては
①key-Bbメジャー

②key-Cメロディックマイナー

③key-Bbメロディックマイナーもしくはなし

という流れになります。

たった3つの和音の流れだけを見ても
ドビュッシーのオリジナリティーというか、
既存の調性から彼なりの方法で脱却しようという意図が明確に見られます。


和声をしっかり勉強なさった方は最後のFaugは
属和音の第5音の上方変位なのではないの?と思われるのではないかと思いますが、
もちろんその分析も正解で、
単なる変化和音の一種として処理してもOKです。


しかし個人的にはシンメトリックなホールトーンや
ディミニッシュスケールを除けば
「出身キーを明らかにする」という行為は
作曲への応用としては非常に有益な行為だと思われますので、
このように分析しています。


またこの場合はたった1拍で四分音符1つですので変化和音解釈もありですが、
もしこれが1小節丸々使われていて、
旋律が色々動いていたら、
コードスケール分析が必要になり、
それに応じて出身キーも明らかにする必要が出てきます。


実際にはそうしなければいけない場合も多く、
今回のケースのように1拍のみであれば変化和音の一言で片付けることも可能ですが、
様々な曲への応用を考えると、やはりコードスケールとしても分析でき、
なおかつ和声的にも分析出来るという両方の解釈ができるほうが
「作曲」という見地からは有効です。

なぜなら
①key-Bbメジャー

②key-Cメロディックマイナー

③key-Bbメロディックマイナーもしくはなし
というキーの流れを学習者が理論的に把握出来れば、
自分のオリジナルの曲でこのアイデアをそのまま応用して使えるからです。

この曲は3/4拍子で四分音符1つずつで上述の流れですが、
オリジナルの曲を作るときに4/4拍子で1小節ずつコードが変わる曲にすれば
おそらくほとんど方はドビュッシーの応用だとは気がつかないでしょう。


大切なのは作曲家が音楽における技法を
明確に的確に自分が応用できるレベルで把握できるかどうかであり
(この場合はハーモニーの揺らぎや調性の拡張)
分析の方法は、極論を言えば、どんなやり方でも構わないのです。


前奏曲集が出版されたのは1910年ですが、
比較的初期の頃に書かれた弦楽四重奏や牧神と違って、
ドビュッシーのエッセンスが詰め込まれた内容となっており、
たった1小節だけでもなかなか面白いな、とは感じないでしょうか?


とくに将来BGM系のサウンドクリエイターを目指してらっしゃる方にとっては
非常に有益な勉強になると思います。


レッスンでもよくドビュッシーは取り上げていますが、
実際には割と高度な部分になってくると思いますので、
「書いてあることがドウもさっぱりわからん…」とか
「ある程度はわかるけれど、わからない部分もある…」という方は
より基礎的な内容をしっかり勉強すると良いと思います。


結局は何をやるにしても基礎が必要になるのは
音楽に限ったことはありませんが、
少なくともポピュラーの理論習得が終わっていないと
ドビュッシーは難しいかもしれません。
(出来れば和声も)


実際に勉強を進めるには誰のどんな本で勉強しても構わないし、
どんな方法で分析しても構いません。


結局は自分自身がより高いレベルで作曲できるようになれれば
それで良いわけで自分なりに一番良いと思った方法で勉強を進めてみてください。


私の場合はドビュッシーから多大な示唆を受けたというだけであって、
別の人は別の作曲家から同じものを受けるかもしれません。


一人ひとりの今現在の到達しているレベルや
精神構造、作曲家としての素養が違えば、
「何を」「どう受けとるか」は変わってくるのが当然ですが、
現代においてBGMや歌ものなどの作曲を学ぶ上で
ドビュッシーは非常にためなるので、
お勧めできる作曲家の一人であるということが言いたいわけです。


興味がある方は是非取り組んで見て下さい。


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リストの「リゴレット」による演奏会用パラフレーズ
分析をレッスンで行っています。

分析の方法は和声でもポピュラーでもどちらでもOKです。


原曲はヴェルディのオペラ「リゴレット」の中の
3幕の四重唱「美しい恋の乙女よ」のフレーズを
いかにもリスト的な超絶技巧で非常にピアニスティックにしたもので
原曲はヴェルディなのですが、多分にリストらしい和声的装飾が見られます。




スコアがDL出来ます。
リゴレット・パラフレーズのスコア
オペラ「リゴレット」のスコア


とうの昔に著作権が切れているので、
IMSPLでDL出来ますが、
オケ譜をPCの横長画面で見るのはかなり見にくいため
サブモニターを縦にして最近は見るようになりました。

こんな感じでモニターを使うとオケ譜も見やすいです。


自分ではこんな難しいの弾くのは出来ないけれど、
作曲的な見地からの分析であれば出来るので、
最近ピアニストの方から分析のレッスンを頼まれることが多いです。


ただ音符をそのまま弾くだけよりも和声的な側面、作曲的な側面を
きちんと理解していた方が良いのはよく言われることですが
演奏家さんにとってそれを理解しようと思うと
なかなか後期ロマン派ともなれば難しいらしく、
和声やポピュラーの理論をちょっと囓ったくらいだと
現実問題としてなかなか難しいかもしれません。


いつも感じることではありますが、
なかなか自分では触れない分野というものがあるので
今回も新たにリストに対して理解が深まって勉強になりました。


クラシックは曲があまりにも膨大なため、
どうしても守備範囲が誰でもある程度限定されてくるし、
個人の趣味にも偏りがちなので、
色々な曲に触れるのは私も楽しいです。


どうしても個人的には「作曲的な見地」から興味深いかどうか?が
対象になるので和声的には後期ロマン派であれば
ほとんど譜面を見ればわかるため、
どうしてもドビュッシー、ラヴェル、あるいは最近はメシアンや武満徹などに
偏ってしまいます。


実際にリゴレット・パラフレーズを分析し終わって、
思うのはこの時点(初演は1859年)で既に後の無調への
萠芽が既にたくさん見えること。


ドビュッシー的な平行和音(生まれるのは初演の3年後)、
スクリャービン(生まれるのは初演の23年後)を連想させるようなオルタードドミナントの和声、
そして極度の半音階と多彩な変位。
半音階的な和声はシェーンベルク(生まれるのは初演の25年後)に繋がっていくのでしょうか。


当時大活躍していたワーグナー(1813年生まれ)や
ブラームス(1833年生まれ)やフランク(1822年生まれ)たちの
和声法と見比べると、リスト(1811年生まれ)の行っていることは
極端に前衛的でもないけれど、
リストはこの中ではかなり無調に近い和声感を持っているように感じます。
(ワーグナーもそうですが)


リゴレット・パラフレーズがそうだというのではなくて、
彼のほかの作品も含めて見る作曲家としての全体的な和声感がそうだという意味ですが、
歴史上で最初に無調の曲を書いたのはリストだというのも頷ける和声感覚です。


要するにリストの頭の中はぶっ飛んでるという意味ですが、
これなら無調にたどり着くのも納得といった感じです。


あくまでリゴレット・パラフレーズに感じるは「無調の萠」であって、
曲は無調でもなんでもないですが、
リゴレット・パラフレーズを弾くピアニストさんにとって
理解しがたい部分があるのは大いに理解できますし、
普通に作曲が出来る人間にとってはどうということはないレベルであっても、
演奏家の方がちゃんと分析して、理解した上で演奏しようと思えば
古典和声では太刀打ち出来ないので困るのかもしれません。


こう色々とレッスンで分析をやっていると
最近はなんだかムクムクと自分の曲を作りたい気持ちが湧いてきて、
BGMとかポピュラーの歌ものではなく、
昔のようにもっとガチンコの芸術としての作曲がしたくなってきました。


なにか参考資料というかヒントにはならないものかと
久々にメシアンや武満徹のスコアを開いてみると、
「やっぱりこういうのがいいなぁ」と思うし、
やはりスコアを見ていて面白いです。


元々メシアン大好きだったのですが、
最近はさらに好きになってきました。


現代人として作曲をするのはどのような作品を作るべきなのか?
もちろん好きにやればいいのだろうけれど、
どうせやるなら過去の大家が自分の道を切り開いたように、
私も自分の技法を切り開いてみたいと感じます。


思うに作曲とは「これだけやったら十分」というものはなく、
多分一生修行なのかもしれません。


こういうのはお金にならないのは十分に承知しているけれど、
最も興味が湧くのは、自分がやってみたいと心の底から感じるのは
やっぱりメシアンや武満徹のような現代音楽だったりします。


もっと作曲しなければ。

せめて死ぬまでに1曲でもいいから
本当に心から納得できる曲を人生の総決算として作ってみたい。


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