前回の続きです。


前回リズムトラックの各音を
ソフト音源のプリセットを使わずに、
シンセサイザーを使って自力で制作するという方法を紹介しました。


今回はその続きで、
実際のリズムパターンにグルーヴ感を出すための
方法の紹介です。


グルーヴというとなんとも定義しずらいが、
なんとなく「ノリ」というか「リズムの音楽的なうなり」というか
カッコ良さの抽象的な表現なので、
どういうリズムにグルーヴを感じるかは個人差があります。


グルーヴ感に関しては
wikiを見ても、やぱり抽象的なことしか書いてない。


グルーヴ感の出し方というよりは
MIDI入力テクニック的な内容になってしまうけれど、
良ければ以下、参考にしてください。


まずオリジナルで作ったキックやスネアの音を
KontaktやBatteryなどのサンプラーに張り付けて
自分だけのドラムキットを作る。
そしてそれをDAWに入力していきます。

ここまでは誰でも出来るはず。


ベタ打ち

サンプルMP3はこちら


マウスでカチカチ入力していくと
上記の画像のようにVelocity(音の強さ)が一定で
発音のタイミングも揃っており、
このままではいわゆるベタ打ちで、
あまり良いリズムパターンとは言えません。


そこでキックやスネア、ハイハットにそれぞれ強弱を付けます。


この付け方には基本的な4/4拍子に基づく
拍の強弱のルールによって行われるのが一般的だけれど、
作曲者の意図によって、ジャンルによって、状況によって、
必ずしも基本通りの強弱が付くとは限らない。



Velocityの強弱を付けたデータ


上の画像は一般的な4/4拍子に基づいて
任意で強弱を付けた例です。


画像下の縦線がVelocityですが、
線の長さがバラついているのがそうです。


ハイハットの音量は拍の裏が弱くなるようにしてありますが、
裏ノリにしたいならば拍の裏を強くすることもあります。


この辺りは完全に任意で、
作曲者の演奏表現の顕れなので、
絶対的なルールがあるわけではありません。


さらに発音のタイミングも機械的で
いまいちノリが感じられないので、
8分の裏で鳴るハイハットをやや跳ね気味(シャッフル)にし、
また拍の頭のハイハットをやや走り気味にピアノロールでズラします。


ベタ打ちのピアノロール


発音を少し調整したピアノロール

サンプルMP3はこちら

サンプルなのでちょっと大げさになっているけれど、
ベタ打ちに対してキックに強弱の周期が生まれ、
ハイハットは僅かに走る+ややシャッフルというリズムになっている。


これが良いか悪いかは全くの別問題として
ノリ、グルーヴをDAWで表現するには
このような方法で行っていくことが出来ます。


こういったことはドラムの演奏経験がある方(ほかの楽器も役に立つ)や、
リズムに関する研究などを普段から行っている方は
感覚的に出来るはず。



けれども、全くの初心者の方は
「どう強弱や緩急を付ければいいのかわからない」という風に
なってしまうと思う。


こればっかりはどちらかというと
演奏方面の経験からくるものなので、
ドラムのことを勉強するのが一番早いし、
ベースやギターなどでもノリやグルーヴという言葉はよく用いられるので
それらの楽器に手を出してみるのも良いかもしれない。


またループもののサンプル素材を購入して
自分のお気に入りのグルーヴ感を持ったループを選び
CUBASEなどに付いている
グルーヴ抽出系のソフトを活用するという方法も
現代ならばアリだ。



参考動画
Cubase5オーディオデータのノリをMIDIデータに反映



これならば自分がどういうグルーヴをカッコいいと思うのか?を
データとして客観的に見れるし、
それがわかればMIDIに反映させるのも容易くなる。


個人的にはReasonを使っているので
サンプル素材を活かすために
Recycleを導入しようかとも考えている。


こういったベタ打ちではないMIDIデータ作りは
なにもリズムトラックに限ったことではなく、
ピアノやストリングスやギターなどあらゆる楽器に
適応される問題なので、
いずれにしても演奏方面の知識や感性が必要になるし、
その辺が弱い方はMDII素材集を購入したり、
前述のWAVEの素材のグルーヴを抽出できるソフトを
活用していくしかない。


ToontrackのEZ DrummerSuperior Drummerなど
最近のドラム音源は最初からMIDIフレーズ付きなので
それらを分析することも参考になるし、
勉強しようと思えばなんとでもなる時代なので、
努力次第でいくらでもベタ打ちを脱却できるようになります。


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WAVES Center

ステレオワイドなミックスやマスタリングで活用できる 
WavesのCenterについて書いてみたい。


このプラグインはミックスがモノラルっぽくなりがちで、
もっとステレオワイドな2mixにしたいという方や
マスタリングでMSのS成分の音を増やしたり、
M・S個別でバランス調整を行うのに活用できる。


このプラグインは音声をLRではなくCenterとSide、
つまりMS処理におけるMidとSideに分割して
ボリュームフェーダーで両者のバランスを調整したり、
簡単なイコライジングが出来るプラグインだ。


ステレオ感がいまいちな2mixをワイドに広げたいときに
マスタリングでも活用できるし、
ミックス時にドラムのアンビエンスやシンセのパッド系音色
あるいはミックスバスやマスターバスに挿すことも出来る。

WAVES S1

類似品にWAVES S1があるが、
効果も用途も異なるし、
単純に音をワイドに広げたい時や
左右の異なる音像を作りたいときはS1を使うが、
それ以外はCenterを使うことが多い。


CenterとSidesのフェーダー

CenterとSides(多分LRなので複数形のSides、以下Side)の
フェーダーで両者のバランスを簡単に取れるが、
単なるMidとSideのフェーダーコントロールだけなら、
MS処理が出来るEQやコンプのGAINと同じなので、
このプラグインって意味あるの?という感じになる。


このプラグインの面白いところは
単なるMSの音量調整だけでなくて
ちゃんとミックスやマスタリングで上手く使えるように
予めある一定の音楽的なEQカーブが設定されている点にある。


この特性をちゃんと理解していないと上手く使えないのだ。


まずはCenterから見てみたい。

Centerを10dBカットした場合(クリックで拡大)

上の図はCenter(M成分)を10dBカットした場合だが、
M成分すべてが10dBカットされるわけではなく、
実際にはローエンドとハイエンドの減衰は少なく
中域が凹んでドンシャリっぽくなっているのがわかる。


低域は具体的には500Hzあたりから100Hzあたりにかけて
高域は4kHzあたりから10kHzにかけてシェルビングしている。


つまりCenter(M成分)をカットすると
Center(M成分)の中域だけが減衰する。


丁度この辺りはボーカルがいる音域なので
これによって歌入りの2mixからベースやキックなどを残して
ボーカルを消す(小さくする)のに使えるし、
実際にそういうプリセットがある。



次にSideを見てみたい。

Sideを29dBカットした場合(クリックで拡大)

10dBだと画像でわかりにくいため
思い切って29dBもSide(S成分)を減らしているが、
Center(M成分)と逆の動きをしており、
ローエンドとハイエンドのみが減衰して
かまぼこ型のようなEQカーブが出来上がる。
(ハイの減衰はかなり少ない)


また画像を見ると29dBカットしても実際に
ローエンドは11dBくらいしか減衰していない。
(フェーダーの数値がそのまま音量の減衰と一致しないのは
よくあることです)


M成分と全くの対照で
低域は500Hzあたりから100Hzあたりにかけて
高域は4kHzあたりから10kHzにかけてシェルビングしている。


MとSでEQカーブが一致することで
変にバランスが崩れないようにしてある。


実際に良く使う設定は
マスタートラックにCenterを挿して
Sideのフェーダーをお好みで上げるという
やり方を個人的には使うことが多い。
(全部が全部やるわけではありません)



これによってMS処理におけるS成分が最初から多い2mixを
モニター出来るので、マスタリングでのMS処理をするときに
大体どうなるかが予測できるようになる。


最近の歌ものの曲のようにM成分もS成分も思い切り音が入っていて
音圧があり、ステレオワイドな感じしたいときは
予めこうしておいた方が失敗が少なくて済むのだ。


こうすることでDAWのパンを最大までLRに振った状態よりも
さらに広がりのある2mixを作ることが出来る。
(S成分を無理やり増やすので)



マスタリングで行うであろうMS処理を先に
ミックスの時点で体感しておくことで
「2mixでは良かったのにマスタリングのMS処理で
色々いじくったらなんかおかしくなった。
マスタリングって難しい…」

という事態を避けるのに役立つし、
なんならそのまま書き出すことも出来る。
(どうせマスタリングで行うなら
ミックスで行っても同じです)



ちなみにこんな設定だ。


Centerは0dB、Sidesは6dBブースト。

Centerは0dB、Sidesは6dBブーストという設定なのだけれど、
実際は以下の画像のようなEQカーブになっている。



上記の設定でのEQカーブ

Sideを持ち上げても、実際に持ち上がるのは
Sideのローエンドとハイエンドだけで
全部が均等に持ち上がっているわけではないことがわかる。


実際にミックスで使っている所感としては
ローは低域は500Hzあたりからのシェルビングなので
鍵盤でいうと大体「中央ドの1オクターブ上のド」のあたりから、
ブーストが始まるということになる。


この周波数帯域はボーカルやあらゆる楽器の基音が密集する帯域で
基音をやんわりを持ち上げることでSideの音量が上がったように聴こえる。


なぜ500Hzからのシェルビングなの?と思うが、
全部均等に上げてしまうと中域の
音の堅さや輝きなどが存在する
1kHzから4kHzあたりまで上がってしまい、
S成分がM成分を必要以上に邪魔してしまうということが一点考えられる。


そしてもう1点はミックスでS成分に音を入れにくい周波数が
個人的にはこの中低域の周波数(具体的には100Hzから300Hzくらい)
だと感じているのでWAVESの製作者さんが
「こんな感じがMSでやるときに音楽的なんじゃないの?」という
判断に基づいてるのだと思う。


また高域は空気感、アンビ感を出すのに適切な設定になっている。



要するに単なるMSのレベルを均一で変更するものではなくて
MSそれぞれのフェーダーを動かすと
ある程度音楽的な観点に基づいてEQカーブが
形成されるプラグインということだ。


この「音楽的な観点」というのがWAVESの製作者さん独自のものなので
人によっては「オレとは合わない」ということになるだろうし、
また別の人にとっては「これっていい感じじゃん」という風にもなり、
結局は好みの問題となるが、
個人的には丁度ここが欲しいという部分を上手く扱っているので
良い感じの設定になると感じている。


ここまで詳しくわかってしまえば、

「それってマスターにMSイコライザー挿して
上の画像みたいなEQカーブを好みで作れば同じってこと?」

と考える方も出てくるはず。


Centerの内部処理がどうなっているのか詳しいことはわからないが、
理論的にはEQカーブとMS成分の周波数分布のみを考えるなら
同じということになる。


またCenterにはほかにも
LOW、HIGH、PUNCHのパラメーターが
CenterとSideにそれぞれ振り分けることが出来るが、
これは上述のEQカーブをより顕著にするものであり、
PUNCHも主に中域から高域(WAVESの製作者さんがパンチと考えた帯域)が
持ち上がるようになっている。


LOW、HIGH、PUNCH


要するにワンタッチでWAVESが音楽的と考えた
MSの音像やEQカーブに対する効果を得られるというものだ。



Centerはそのまま挿しても十分使えるが、
このように特性を分析することで
ミックスやMS処理に対する考え方のヒントを得ることが出来る。



どう考えても私なんかよりもWAVESの制作さんたちのほうが
ミックスに対する理解は深いに決まっているので、
彼らの作ったパラメーターをそのまま利用することで
カッコいい音を得るのも良いけれど
(簡単操作で良い音がWAVESのコンセプトっぽいが…)
その中身を分析することで自分自身のMS処理に対する
考えを発展させて行く上での参考にもできるのだ。



また訳もわからずただ使うよりも
何がどうなっているのか自分で理解している方が
ミックスやマスタリングを行う上で
良いに決まっているので、そういった意味でもこういった考察は役に立つ。



まだまだ私は勉強が足らず修行中の身なので、
もっと勉強しなければならないのだけれど、
誰かの役に立つかもしれないので、
良ければ参考にしてください。


Centerに関する動画なども参考になります。





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