前回のドビュッシーの和声法①に引き続き、
牧神の午後への前奏曲の和声分析の続きを書こうと思ったが、
色々と検索していたら非常に素晴らしい
牧神の午後への前奏曲の分析PDFを見つけたのでご紹介したい。


http://nichifutsugenon.main.jp/faune.pdf
ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」の作品分析
夏田昌和氏



作品の形式や主題展開や対位法的要素、和声や転調、
ホールトーン、ペンタトニックなどの使われ方を分析した非常に素晴らしい内容で、
牧神の午後への前奏曲の勉強を行いたいという方は
是非一読の価値があると思われる。


私のレッスンでも牧神の午後への前奏曲の全曲アナリーゼを
カリキュラムの一環として行っているけれど、
こちらのPDFの方がずっと詳細に全体をアナリーゼしていて
牧神の午後への前奏曲の内容をかなり細かく把握できる。



一通り拝見させて頂いたけれど、
素晴らしい内容の一言で、
是非勉強中の学生さんは見てみるべきだと思う。


これは本にすれば売れるのでは…??
というくらい素晴らしい。


実際に勉強される学生さんへのアドバイスだけれど、
まず理解するにはある程度の作曲の予備知識が必要になる。


そして作品全体の分析なので、全小節のすべての和声進行に関して
分析されているわけではないという点にも注意が必要だ。
どちらかというと「作曲技法」に焦点が当てられている。


そういうわけで夏田先生の分析とは別に自分自身で
牧神の午後への前奏曲をしっかり分析しようと思ったら
全部の小節の和声分析を自力で行うと良い。



全体を見渡して「どうしてここでこの和音が出てくるの?」とか
「どういう理屈でこの和音から次の和音に進んでるの?」
疑問が出てくるレベルだと分析は難しいかもしれないが、
基本的な和声の地力があれば
ホールトーンと平行和音の部分を除き古典和声、
もしくはジャズ(ポピュラー)のコードスケール理論で
分析可能なのでやってみると良いと思う。



僅か110小節の短い曲なので
すべての小節に和音記号(コードネーム)を付けて分析するのだ。


分析の方法は和声的な方法でも構わないし、
ジャズ(ポピュラー)的な方法でも構わない。


自分が得意な方でやればOKだが、
両方できるのが望ましい。




お馴染みの芸大和声的な分析方法。


ジャズ(ポピュラー)理論での分析では
コードネーム、ディグリー、コードスケール、出身キーを書く。



上の画像は牧神ではなく、ラヴェルの亡き王女のためのパヴァーヌの冒頭だが、
このように細かく全小節を分析していく必要がある。


もちろん牧神の午後への前奏曲のスコアを見るだけで
理解できるレベルの方には不要な作業だが、
そこまでのレベルに達している学生さんは少ないと思うので
是非一度やってみて欲しい。



ここまでやらないと真の意味で分析したことにはならないし、
またここまでやって初めてドビュッシーが牧神の午後への前奏曲で
使っている生きた和声を学んだことになる。



残念ながら夏田先生の分析にはそこまで書いてはいないので
自分でやるしかない。


もし自力では出来ないのであれば、
残念ながら勉強不足ということになってしまうので、
基礎をもう一度復習すると良いと思う。
あるいは誰かに習うのも良いかもしれない。



音大生の作曲学科レベルの方なら問題なくできるレベルだが、
ちょっと難しそうだな~という方は
夏田先生の分析を十全に活かすためにも
全小節の和声分析を行ってみることでかなり勉強になるはずだ。



ちなみにホールトーンと平行和音の部分を除いて
全部の部分をちゃんと合理的に分析することが可能で、
ジャズ(ポピュラー)の分析の方法であれば
すべてディグリー、コード、コードスケール、出身キーを明確にすることができる。
(もちろん和声分析も完璧にできる)



全曲やってみればドビュッシーがいかに理知的で
独創性に溢れ、豊かな和声間隔を持っているのかがよくわかると思う。
そしてそれを自分の曲でも応用できるようになるだろう。
(これが一番大事)


分析方法は和声のやり方でもジャズ(ポピュラー)のやり方でも
どちらでも良いと書いたが
個人的には両方できるようにしておいた方が良いと思う。

現代を生きる作曲家としては
コードネームやコード進行でも分析できた方が有利だし、
実際ほとんどの人がそうだからだ。


和声学にはコードスケールという概念がなく、
すべて転位か変位で考えるため、
理論的に把握して自分でも応用できるようにするという目的なら
コードスケールを当てはめた方が絶対に有利なのだ。


両方のアプローチのどちらからでも理解できるように頑張って欲しい。


また夏田先生にも今後とも頑張って欲しいと思います。


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ドビュッシーの和声法について、
「牧神の午後への前奏曲」を軽く分析しつつ、
思ったことを書いてみたい。


ドビュッシーの和声法に関しては
全音音階とか旋法とか五音音階とか
そういった分かり易い部分がよく本に書かれているけれど、
全音音階で1曲まるまる作られている曲は稀で
部分的に調性を埋没させるために用いられることがほとんどだし、
五音音階もそれほど特筆すべき技法だとは思わない。


ドビュッシーは確かに旋法を使うけれど、
旋法性の強さならラヴェルもかなり強いと思う。


私が個人的にドビュッシーの和声法の特筆すべきだと感じる部分は
「機能和声」の範囲に収まる和声法
それに旋法や全音音階を組み合わせるセンス
そして何よりもリズムだ。


彼を総合的な作曲家として見たときには
「実は古典的である」「主題展開の独創性」「楽式」「リズム」などなど
言いたいことはたくさんあるが、
ドビュッシーの機能和声のセンスだけを抜き出しても
非常に素晴らしいと思うので、この点のみに焦点を当てたい。


旋法や全音音階などはどちらかというと簡単に習得できるが、
やはりその土台・根本・基礎スペックとして
機能和声を十二分に理解していないと
やはり高いレベルの作曲は出来ないのだということが
彼の曲を聴いているとよくわかる。


普通の機能和声の使い方が極めてハイセンス&高度なのだ。




楽譜はこちらでDLできます。


以下分析を軽く行ってみるが、
実物のスコアと見比べながら見て欲しい。


また分析を容易にするために
和声学の考えとジャズ(ポピュラー)における
コードネームとコードスケールの考えを踏まえながら考えていくので、
内容を理解するにはある程度の和声学とポピュラー理論の基礎知識が必要です。



まずあまりにも有名な冒頭のフルートによる
無伴奏の主題。

クリックで拡大


ここ自体は特に和声付けはされていないが、
この主題が全部で9回変奏されるのが
この曲の主だった展開方法になっている(変則的な変奏曲)。


減5度をテーマにした特徴的な主題であり、
リズム的にも面白い。


クリックで拡大

最初に和声付けがされるのは4小節目の途中からで
ハープ、オーボエ、クラリネットで和声付けがされる。


鳴っている音だけを見てポピュラーのコードネームを付けるならば
F#7(9)かC#m6かA#m7-5だが、
オケのハープのグリッサンドはF#からスタートしているし、
和声的にもⅤのⅤの根音省略と見るのが一番自然と思われる。


もちろんメロディックマイナーからの借用で
C#m6(Ⅵm6)と見ても良いし、
A#m7-5(#Ⅳm7-5)と見ることも出来る。


判断材料が少ないので、断定は出来ないが、
普通に考えればⅤのⅤと思われる。


次に2回繰り返されるテーマとして
F#7→B♭7が出てくるが、
Bb7の部分について分析してみる。


クリックで拡大(8小節目)

1回目に登場する5小節目のBb7の部分は
普通に♭Ⅴのドミナントコードだが、
2回目に登場する8小節目のBb7では
ホルンで9thと#11thの音が登場している。


なぜⅤではなく♭Ⅴなのか?というと
主題で提示されているように減5度がこの曲の重要要素になっているからだと思われる。


ほかの部分にも明らかに減5度を意識した和声付けがたくさん登場しているので
ドビュッシーの調性からの脱却を試みる一つの手法として捉えることが出来る。


この部分は和声が付いている部分での
初めてのメロディーらしいメロディーだ。


この部分のメロディーの作られ方を知るために
和声学では本来コードスケールという考え方をしないのだが、
ここではコードスケールの考えを用いたほうが
現代人にはわかりやすいので
「コードスケール」とこの和音の「出身キー」を考えてみたい。


B♭7にメロディーで9th(ド)と#11th(ミ)のテンションが用いられているということは
B♭リディアンドミナントスケールに確定となる。
第5音が鳴っているのでホールトーンはありえない。


和声学ではホルンのミは変位だが、
ドビュッシーはおそらくこの音をメロディックマイナーキーからの
借用として考えているような気がする。



B♭7(9,#11)で使われているB♭リディアンドミナントは
出身キーはFメロディックマイナーだ。


減5度を主体にしたメロディーを主題に用いていること、
最初の和声進行が減5度であること、
メロディックマイナーからの借用で旋律を作っていること
(リディアンドミナントを使っている)
などからドビュッシーが通常の機能和声・長調&短調の世界から
飛び出そうとしているのがよくわかる。


実際にその試みは成功しているしているし、
だからこそこの曲は近現代の音楽の始まりであると
評価を受けているのだ。



この辺りで「え?リディアンドミナント?なにそれ?」という方に
アドバイスなのだが、そういった方はジャズ(ポピュラー)の理論と
和声学を勉強する必要がある。



少なくともドビュッシーは和声学を一通り終えて、
ジャズ(ポピュラー)の理論も終わっていないと
分析すること自体がほとんど不可能なくらい高度な曲が多いので、
まだという方は、まずはそちらを頑張って欲しい。
(私の作曲レッスンでもこの曲の分析が自力で出来たら、
和声法の勉強の及第点にしています)



和声学は芸大和声でも、その他の和声理論書でも良いし、
ジャズ(ポピュラー)の理論は国内で簡単に理論書が手に入るので、
どんな本でも構わない。

私が最近書いた本でもこの辺はかなり詳しく述べているつもりだ。

ただ出来ればなんちゃって本ではなく、
ありとあらゆる理論が網羅されているものが望ましい。



長くなりそうなので、続きは次回にしたい。


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Sound ToysのNative Effects Bundleに入っている
FilterFreakは購入してみるまで
「フィルターってHPFやLPFでしょ?別にこれは役に立たなさそう」と思っていたが、
豈計らんや、こんなに面白いプラグインは久しぶりというくらい
使ってみて面白かった。



ミックスで通常フィルターエフェクトというと
単純にカット目的で使うHPFやLPFをイメージするけれど、
FilterFreakはミックスにおけるカット目的のフィルターではなく、
どちらかというとシンセで積極的に音作りを行うための
フリケンシ-とレゾナンスに相当し、
既に出来上がったWAVEトラックに対して大胆な音作りを楽しめるプラグインだった。



ハード音源時代のMIDI制作ではフィルターに相当する
CC#71(Brightness)とCC#74(HarmonicContent)を
動かして色々な音づくりを行うことが多かったが
(CC#71をレゾナンス、CC#74をカットオフ・フリケンシーとも言います)
イメージ的にはそれに近い。



もちろんソフト音源にインサートエフェクトとして使えば、
楽器の種類を問わず実に多種多様なフィルターエフェクトを楽しめる。




FilterFreak1


FilterFreak2


FilterFreak1は1バンド、FilterFreak2は2バンドのフィルターの動きを駆使できるので、
FilterFreak2は通常のシンセやMIDI規格では作れない音を作り出せる。



FilterFreak1もHPF、LPF、BPF、BRFなどのフィルターに加え、
BRFはバンドリジェクトフィルタのことです。)
スレッショルドやアタック・リリースに加えLFOやADSRまでついているので
MIDI規格に比べたら遥かに自由で複雑な音作りができる。


面白いのがシンセのパラメーターとしてではなく、
インサートエフェクトとして使えるという点で、
ドラム&パーカッションやあらゆる生楽器などにも使えるので
音作りの幅は実際にはとても広い。


プリセットも非常に多く、ドラムに使用するフィルターエフェクトには
興味深いものが多かった。


ギターやベースにも通常の発想では出てこないような
エフェクトがたくさんあり、
フェイザーやフランジャ-などの一通りのエフェクトを既に持っていて
「何か斬新なエフェクトはないか?」と探していらっしゃる方には
お勧めできるプラグインだ。


たかがフィルター、されどフィルターという感じで
「フィルターでこんなにたくさんのことが出来るのか」と思うくらい
驚きの高性能だったので、
購入前は全然期待していなかった分、得した気分だ。


Sound Toysは独創性やエフェクトのアイデアを売りにしているけれど、
フィルターというシンプルなエフェクトの可能性をここまで追求しているメーカーの姿勢に
自分でミックスするときも、頑張ればもっといろいろ出来るんだなぁと気付かされた。
(Sound Toysのほかのプラグインもアイデアに溢れています)



電子音楽・ダンス音楽で聴こえてくるキックやスネアやSEの音も
「どうやってこういう音を作ってるんだ?」とわからないものもあったが、
FilterFreakを使ってみて「なるほど」と思う部分もあり、
意外や意外、かなり掘り出し物というか興味深いプラグインだった。


体験版が使えるのでエフェクトの新しい可能性を探っていらっしゃる方にお勧めです。



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作曲のレッスンをするに差し当たって、
色々と準備をしているのだが、
和声や対位法の勉強の中で生徒さんに「この本良いですよ」とお勧めしても
絶版で今はもう購入出来ない本がたくさんある。


和声の勉強で個人的にとても良いと思っているのが、
「和声法~基礎理論・大作曲家の和声様式」という本で
前半が和声法の基礎、後半に大作曲家の和声様式が書かれている。


和声法 : 基礎理論 大作曲家の和声様式
イヴォンヌ・デポルト, アラン・ベルノー著 ; 永冨正之, 永冨和子訳
日仏音楽出版



前半は基礎内容なので、
他の和声本でも勉強できるが、
後半部分が非常に価値があって
バッハ、ベートーヴェン、モーツァルト、シューマン、ブラームス、
フランク、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルの和声の特徴が
譜例付きで書かれている。


和声の勉強の本当の価値は
禁則の暗記でも、課題を解くことでも。譜例の暗記でもなく、
自分自身の作曲のための和声感覚の練磨にある。


そのために過去の大作曲家たちの和声に触れて
その素晴らしい感性を自分の中に吸収し、
最初は真似でも構わないから、より高度な和声技術を習得し、
最終的には自分自身の作曲技法に活かすことに勉強の意味があるのだ。


これはクラシックのみならず、ポピュラーでもBGM系の楽曲でも
大いに役に立つ。


もっと大雑把に言えば「ハーモニーに対するセンスの向上や引き出しの多さ」を
身に付けるための勉強とも言える。


もちろん受験のためだとか、論文などを書くための学術的研究にも意味はあるが、
そういったことを例外として
「作曲のため」と和声学習の目的を絞るならば
大作曲家たちの和声法の勉強は欠かせない。


芸大和声の赤・黄・青本の3冊が終了したら、
どんどん色々な作曲家の和声語法を勉強するべきだと思う。


古典的なベートーヴェンやモーツァルトからスタートするのはもちろんとして、
シューマンやフランクやブラームスやフォーレなどの和声は大いに学ぶ所があるし、
ドビュッシーやラヴェルのように調性から飛び出した和声法も
より高く、より広く自身の作曲技法を伸ばしたいならどうしても勉強する必要がある。


要するに「フォーレとかドビュッシーっぽい曲が書ける?」と言われて
「書けるよ」と実際に書いてみせるレベルになる必要があるということだ。


もちろん過去の大作曲家の作品に比肩するような曲を書くのは
極めて難しいが、
ここで問題になっているのは作品全体のクオリティーではなく
「彼らの和声語法を理解して、応用できているか?」という点であり、
フォーレやドビュッシーはこういう和声進行が多い、和音の使い方が多い、転調パターンが多いetc…、
などのようにちゃんとわかっていて使えるかどうか?ということだ。


作曲という観点から見た場合、
ここまで出来るようにならないと和声を勉強する意味はあまりないように思える。


しかし実際にはここまで出来るようになる人は意外と少なく
多くの人は芸大和声の赤・黄・青本の3冊やその他の和声本などで
勉強をしたものの「結局あまり和声の勉強って役に立ってないなぁ~」という
感じになってしまっているのはもったいないと思う。


畢竟、作曲家は作曲しなければ作曲家ではないのだから
禁則の暗記とか教科書のバス課題やソプラノ課題を解くだけでは
十分な和声の勉強とは言えないだろう。


ではどうやって大作曲家の和声法を勉強したらいいの?という話になるが、
楽譜を見て研究するか、誰かがまとめた本を勉強するか、
誰かに習うかの三択になる。


楽譜を見ただけでわかるような天才肌の人は何の苦労もしないだろうし、
近くに教えてくれる人がそんなに簡単に見つからないという人も多いだろうから
結局は本などで独習するのが一番現実的となる。


そういう意味ではそんなに分量の多い本ではないけれど、
和声法 : 基礎理論 大作曲家の和声様式は名著だと思う。



大学などの図書館では借りられることが多いが、
それが難しい場合は購入するしかないものの
既に絶版状況で古書店やオークション頼りになってしまい、
新品を店頭で買うのは無理っぽい。


古書販売もオークションもプレミアがついて
割高(時には割高どころか本体の数倍)になっているものが多く、
手に入るのもいつになるかわからず、
値段も高くつくとなると勉強する方も困ってしまう。


独学で学ぶとなるとやっぱり良い本と出会えるか?は
生命線に当たる部分なのに
作曲の本はこういうのが結構多くて(ほかにも何冊もある)、
ニッチな市場には熱烈なファンがいるけれど、
出版社も採算が取れないので結局絶版になってしまうみたいなものが結構ある。


スキャンして電子版にして売れば、
出版社も儲かると思うのだが色々権利関係とか難しいんだろうか?



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Sound ToyのNative Efecct V4を購入したので、
ぼちぼちほかのプラグインの感想なども書いていきたいが、
まずはSound ToyのRadiatorを導入したので、
それについて色々と書いてみたい。


Radiatorは有名なAltec 1567Aをシミュレートしたマイクプリアンプのプラグインで
既にほかのメーカーからもプラグイン化されているものの、
アナログ感を得られる素晴らしいプラグインだったので
色々とその「出来」について研究してみた。


Sound Toy Radiator

Altec 1567A 実機


個人的にAltec自体、あまり制作用というイメージはなかったけれど、
近年Nomard FactoryからリリースされたAll-Tech 9063B
本プラグインのように最近は再評価?されているらしい。


Altecはどちらかという制作用ではなく、オーディオマニアの方が好んで使う
鑑賞用というイメージがあった。
(勝手なイメージかもしれないが…)


Nomard Factory All-Tech 9063B


All-Tech 9063Bは購入してみたものの、
いまいちピンとこなかったのだが、
今回のRadiatorはシンプルながらかなり良かった。


1960年代のヴィンテージ機器なので実機を使ったことはないのだが、
そんな私にも「Altec 1567Aはこういう感じなのか~」思わせてくれる
振る舞いをしてくれる。


弄れるパラメーターはとても少ないのだが、
まず通しただけの状態で低域と高域が僅かに持ち上がっているのがわかる。

通しただけの状態。


通しただけでこのように僅かに音が変わるのは
ヴィンテージ機器によくある振る舞いだが
こうして周波数を分析すると色々と参考になる。


また2バンドのトーンコントローラーがついているが、
Bassを最大まで持ち上げるとシェルビングで12dBくらい持ち上がる。

Bassをブースト

逆にBassを最小まで下げるとブーストしたときの半分程度しかカットされない。


Bassをカット

この辺りは使っている時に聞いていてもわかるのだが、
同じだけパラメーターを動かしてもブーストとカットで
量が違うのはいかにもヴィンテージらしくて面白い。


Trebleを最大までブーストするとは18kHz付近の空気感が加わる部分がブーストされ、
中域が10dBほどゴッソリ削られる。

Trebleをブースト

これもなかなか特徴的な振る舞いだ。
自分でパラメトリックEQを設定するときの参考にもなる。


Trebleをカットすると6Hz辺りから
やんわりシェルビングで中域から低域に掛けて5dB程度持ち上がる。

設定ではパラメーターを最大まで回しているが、
こちらもBass同様に同じだけパラメーターを
動かしてもブーストとカットで量が違う。


Trebleをカット


こういうEQでの高域のカットもやんわりしていて
いかにもヴィンテージな感じがして好きだ。


こういうカットカーブはやはり自分でEQを使うときの参考になる。


次にマイク録りとライン録りの違いも再現できるので
こちらも検証してみたい。

本プラグインにはノイズのスイッチとマイク or ライン切り替えスイッチが付いている。

ノイズスイッチとマイク or ライン切り替えスイッチ



マイク録りの位相

ライン録りの位相


マイク録りとライン録りの画像をよく見比べて欲しいのだが、
マイク録りのほうが中域がほどよく凹んでいるのがわかる。
(相対的に見てライン録りは中域が多く含まれている)


基本的にレコーディングの段階で
ライン録り(DIを使って)は中域が少し堅くなることが多いが、
きちんとDIを使ってライン録りしたような特性が再現されているのはさすがSound Toyだ。


メーカーが拘っている部分でもあるし、
私たちユーザーもミックスでマイク録りとライン録りのニュアンスの違いを
活かしていけると思う。


ケースバイケースで一概には言えないのだが、
ベースなどのライン録りはマイク録りに比べて
低域がやや少なくなるが、これも上の2つの画像を見比べると
ちゃんと再現されているのがわかる。
(マイクはやんわり低域がシェルビングで持ち上がっているし、
中域が多いと相対的に低域が少ないように感じる)


さらにインプットとアウトプットの量も
音作りに大いに活かすことができる。

インプット多め、アウトプット少なめ(キャラ強い)


インプット少なめ、アウトプット多め(キャラ弱い)


左端(一番低い周波数)が0dBになるようにして
インプットとアウトプットの特性をわかりやすくするために
極端に調整してみたが、
インプットが多いとAltec 1567Aの個性が強くなるのがわかる。



上の画像かなり極端な設定だし、BassとTrebleも弄っていないが、
インプットを多くするとBassとTrebleを動かした時に
よりその動きが強調されるような振る舞いをする。


この辺りもヴィンテージ機器特有だ。


インプットを増やすとノイズも増えてくるが、
その辺はデジタルプラグイン宜しく自由にオンオフできるので融通が利く。

多少はノイズがあったほうが良い場合もあるので、
こういう細かい設定も有難い。



そして毎度おなじみの
倍音付加は以下の通り。

倍音付加のスペクトラム

12AX7というメジャーな真空管を用いたプリアンプなので、
ほかの真空管同様に偶数・奇数に関係なく倍音が付加される。


非整数倍の倍音も多めに加わっているのが、
程良いサチュレーションになっている。



耳で聴いただけでわかるのがベストではあるが、
こういう「振る舞い」をきちんと理解して
レコーディングしたり、プラグインを使ったりするのは
私はかなり大事なことだと思っているので、
自分の持っている録音機器やプラグインを
なんとなく使っている方は一度深く分析してみるといいかもしれない。



手持ちの機材やプラグインで
「これあんまりいい音で録れないんだよなぁ~」とか
「このプラグインはいまいちパッとしないんだよね~」
みたいな不満があって、新しいものが欲しいこともあるかもしれないが、
今持っているものを十全に使いこなしてからでも
新品を買うのは遅くないので、
色々と試してみると勉強になると思う。



これは個人的な経験から思うのだが、
今持っているものを十全に使いこなせなかったら
もっと高性能で新しい機材やプラグインや音源を買っても
やはり同じく使いこなせないかもしれない。


すべてのツマミがどういう振る舞いをするのか研究して完全に把握し、
ぶっ壊れるまで使うくらいの気持ちで道具と向き合う姿勢は
作曲でもミックスやマスタリングでもとても大切なのだ。


1つ1つは些細なことかもしれないが、
それが積み重なってくると無視できないほどの大きな差になって
自分の作品のクオリティーに顕れる。


音楽作品には実に多種多様な要素があるけれど
センスだけに頼るのではなく、
時にはこういう研究や分析も制作に役に立つので、
自分の持っている機材やプラグインを分析してみるのも良いかもしれない。



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最近WUPして手に入れたWAVESのAbbey Road REDD Consoles
ヘッドアンプ特性がどんなものがちょっと気になったので
実験してみた。


REDD .17




REDD .37 51

最近はVSTのコンソールシミュレーターも充実してきて、
どれを使おうか迷ってしまうくらいラインナップが増えてきたが、
WAVESのAbbey Road REDD Consolesは
EQやヘッドアンプのシミュレーターが充実しているので、
個人的には結構気に入っている。



この手のプラグインはヘッドアンプ特性が売りの1つだと思うのだが、
(実際にSlate DigitalのVCCWAVESのNLSはGainとDriveのみ)
ヘッドアンプ特性のみに焦点を当てて実験してみた。


まず何もしていない1kHzのサイン波。

クリックで拡大。


余計な倍音などは一切含まれていない。


これにREDD .17のDRIVEのつまみを少し右に回してみた。

REDD .17のDRINEを少しだけ加えたスペクトラム


REDD Consolesを使ってみて思ったのが、
思いのほかヘッドアンプの歪みが強い。


今まで使ってきた中で歪ませることの出来る限度が非常に高く
「やんわり」「うっすら」ではなく誰が聴いてもハッキリわかるレベルまで
強烈に歪ませることが出来る。


そういう意味では歪み系のプラグインとして使うことも出来るくらいだ。


但しやり過ぎると結構簡単に
「バリッ!」っといってしまうので注意が必要。



特性としては偶数・奇数の区別なく全体的にまんべんなく倍音が加わり、
非整数倍もほとんど出ていないので、
まるで真空管のような綺麗な歪み方をしていると感じた。


次はREDD .37。
REDD.37と REDD.51は一つのプラグインで
ヘッドアンプのみを切り替えることが出来る。

REDD .37のDRIVEを少しだけ加えたスペクトラム


こちらもREDD .17同様にに強烈に倍音が加わる。
倍音スペクトラムに多少の差異は見い出せるものの
基本的にはほとんど同じ。


聴覚レベルでは倍音の変化がほとんどわからないレベル。



さらにREDD ..51。

REDD .51のDRIVEを少しだけ加えたスペクトラム


こちらもREDD .17、REDD ..37とそれほど大きな差異は見い出せない。
倍音増幅の特性は3つとも似通っている。

但し高域の減衰特性は変わっている。


次にアナログのツマミを検証してみる。


REDD .17でアナログのツマミだけを最大まで右に回したスペクトラム。

アナログのツマミを回したときの特性は
WAVESのHeliosコンソールと似ている。


WAVES HLS CHANNEL


全体的にノイズが加わるが、
S/N部分が気になるなら回す必要はない。


しかし完全にデジタルのみで作っているなら
多少ノイズが加わった方がアナログ味が出るので
ちょっぴり回す(時には大きく)のも良いかもしれない。





それぞれの倍音特性の比較をしてみたが、
耳で聞いてハッキリ倍音増幅の違いがハッキリわかるほどの違いがないため
アンプタイプはどれでもいいのかなぁ~と思った。


まだまだ使い込んでいるとは言い難いのでなんとも言えない部分もあるけれど
極端な設定では違いもある程度現れるが、
普通に使う分にはどれもそんな変わらない気がする。


同じAbbey Road製 だし、コンソールのシリーズも同じなので
似ていて当然だと思うが、
実験してみてどれを選んでも倍音増幅にはそんなに違いがないことが
わかっただけでも収穫だ。


通した時の高域のEQカーブに違いがあらわれているが、
そこを踏まえておけばこれでいちいち迷わなくて済む。




むしろREDD .17とREDD .37 51は
設定できるEQのタイプが違うのでこちらの好みで選んでいくべきだと思う。




REDD .37を通しただけのEQカーブ

REDD .51を通しただけのEQカーブ

REDD .17を通しただけのEQカーブ



またこのコンソールの強みとして
LRだけでなくMSでモニタリングできるのも良い。

MSでもモニタリング出来る。

書き出すときにM成分だけ、S成分だけなんてことも出来る。



この手のプラグイン(アナログ機器のシミュレート)は
通すとデジタル特有の音の細さや不自然なまでの冷たさ(綺麗過ぎるという意味)が
緩和されてアナログ的な暖かみが出るので
個人的には大好きだ。


もうちょっと使い込まないとEQ部分はなんとも言えないけれど、
アナログ的な味が満点のコンソールなので、
ほかのAbbey Road製品も含めてAbbey Roadのプラグインが大好きな私にとっては
お気に入りのコンソールシミュレーターの一つになった。


細かい融通が利くタイプではなく
かなり趣味性の強いプラグインだけれど、
アナログ感の付加や各トラックに行う大雑把なEQ処理には
十分使えるプラグインです。



使い方紹介動画


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DTMマスタリングのやり方


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ボーカル曲の作り方の勉強のまとめとして
最後に最も重要なメロディーとコードの分析の復習をしてみたい。

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前回までの内容
①コード進行と曲の小節構造
②メロディーの作られ方
③編曲
④ミキシング&マスタリング

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以下の画像は最近私が作ったボカロ曲のBメロの抜粋です。


画像① クリックで拡大


上の画像①のメロディーとコードに対して
ディグリー、コードスケール、出身キー、非和声音などの
分析を出来る範囲でしてみよう。


譜面を見て音が頭の中で鳴らない方は
鍵盤などで弾いてみるか、
下の動画の38秒からが画像①の部分なので聴いてみて下さい。

【九の花】初音ミク
http://www.nicovideo.jp/watch/sm21481962


分析のポイント
①五線の下にディグリーを書く。
②コードの下にコードスケールを書く(出来れば出身キーも書く)
③コードトーンには音符の下に赤点を書く
④非和声音(経過音)などの分析を書く
⑤その他、気付いた点などを書く




お手本はこんな感じです。

比較的難しい?と思われる部分のヒントと
その部分の正体を自分で説明できるか考えてみましょう。


①1小節目のD7(レファ#ラ)の部分のメロディーのファの音について。
なぜD7なのにファ#ではなくファが使えるのか?

②2小節目のFm(Ⅴm)について。なぜⅤではなくⅤmなのか?

③2小節目のB♭7/A♭(Ⅰ7)について。なぜⅠM7ではなくⅠ7なのか?

④4小節目のC#dimの正体とコードスケールはなにか?またなぜドが使えるのか?
コードスケールや出身キーはなにか?

4小節目のC/Dの正体はなにか?なぜミのナチュラルが出てくるのか?
コードスケールや出身キーはなにか?


この曲の難易度的にはポピュラー理論の中ぐらいなので
ある程度作曲の勉強をしていないと難しいかもしれないが、
果たして自分がちゃんと理解できるか考えてみて欲しい。


ディグリーやコードスケール(出身キー)、非和声音の分析などが出来て
音使いなどもすべてわかるのであれば(説明できるという意味)、
ポップスの曲を見て分析できない、意味がわからないということは
ほとんどないと思う。



解答の一例 クリックで拡大


どんな曲を分析するときも大体上の画像のような感じで行って
ノウハウを貯めていく。


ここでは詳しい音楽理論に関して説明はされていないので
初心者のうちはわからない部分がたくさん出てくると思うけれど、
ひとつひとつ虱潰しのようにわからない箇所を潰していけばいい。


そうこうしているうちに理論も身に付き、
センスも磨かれてきて、作曲のレベルは上がってくる。


ある程度作曲を勉強していないと
使うこと自体ができないコードやメロディーの音があるので、
ポピュラーといえどもコードやメロディーに関して勉強しておいた方が絶対に有利だ。
(クラシックやジャズはもうちょっと難しくなる)


なかなか自分がわからない部分・出来ないに遭遇しないと
自分に足りないものは見えてこないものだけれど、
たくさんのヒット曲を分析する中で
得られるものは山ほどあるので、
是非たくさんの曲を分析してみて下さい。


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前回までで
①のコード進行と曲の小節構造
②のメロディーの作られ方

③編曲
について述べてみた。


最後はミックスやマスタリングに関してだが、
どんなテクニックが使われいるのかを知るには
基本的に「良く聴く」しか方法がない。


教則本などを除けば
市販のヒット曲のミックステクニックが開示されいる例は
ほとんどゼロと言って良いと思う。


なのでカッコいいミックスを聴いたときに
「こういうのってどうやってるんだ?」と自力でわかるようになるには
相当プラグインやDAWの使い方に通じていないと難しいのが現状だ。



中には独創的なアイデアで「え~?これどうやってんのか全然わからん」というのもあるが
まずはDAWや一通りのプラグインの使い方を覚える必要がある。


中には説明書を見るのが嫌いだとか
英語だから読めないと言う人もいるが
そんな言い訳をせずに地道に頑張るしかない。


基本的なことから応用的な内容まで
DTMマガジンサウンド&レコーディング・マガジンなどで
よく特集が組まれていたりするので
雑誌やネットなどで情報を集めるのも良い。



コンプやEQの基本的な使い方からサイドチェインなどの
比較的応用的なテクニックまで情報を集めたければ
結構簡単に集まるはずだ。


昨今はネットの発達に加えて、
〇〇のテクニック99シリーズやレシピ本などもあるので、
単に「断片的な情報」を集めるだけならかなり容易な時代になった。



エンジニアが教えるミックス・テクニック99


エンジニアが教えるボーカル・エフェクト・テクニック99



一番良いのはだれか教えてくれる人を見つけることだが、
機会があればスタジオでエンジニアさんのミックスを
邪魔しない程度に見せてもらったり、
同じくミキシングやマスタリングなどの勉強をしている友人などと情報交換するのも良いと思う。



勉強する書籍としては既にたくさんの書籍が販売されているが、
PROTOOLSやCUBASEなどでセッションファイルをまるごとお手本として
見ることの出来る良い教則本として
Production Mixing Mastering with WavesHit Record
個人的に結構勉強になった。


Production Mixing Mastering with Waves


Hit Record



イメージしている音とそれに近づけるためのコンプやEQの設定を
解説を見ながら実際にセッションに触れることが出来るので、
文章や音だけの教則本よりもかなり学習効率は良いと思う。


WAVESの教則本は断片的にコンプやEQの設定を解説するのではなく、
ほかのトラックとの関係性を考慮しながらミックス→マスタリングまで
1曲まるごとお手本と出来るのがほかの本との相違点だ。



基本的なことがわかれば後はひたすら経験の蓄積と
色々なイメージを具現化させるための
試行錯誤を行って練習を積むのだが、
慣れてくると段々と聴いただけで
どういうテクニックが使われているのかがわかってくる。


ボーカル一つとってみても
ガッチガッチにコンプが掛かっているボーカルや
比較的ナチュラルなボーカル、
あるいはフェーダーで表情を付けたり、
プリディレイを極端に長くして特殊効果を狙っていたり、
ロングやショートのディレイやリバーブを複数使って色々工夫していたり
千差万別のテクニックがあるけれど、
とにかく情報を集めて自分でそのテクニックを実践するという
行程を繰り返して自分の引き出しを増やしていくしかない。



なかなかネットや本の情報を集めただけでは
独学での上達が難しい分野かもしれないけれど
とにかく情報収集してたくさんミックスやマスタリングの経験を積むことで
少しずつレベルアップしていくことが出来るはず。


独学で勉強する場合は
良いお手本を見つけられるかどうかがカギになると思うので
頑張って探してみて下さい。



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前回までの①のコード進行と曲の小節構造②のメロディーの作られ方
分析出来たら次は編曲を軽くさらってみる。


実質①と②で「作曲の分析」の行程は終わりで
ここから先は「編曲」の分野になり、ちょっと勝手が変わってくる。


単純にメロディーとコード進行のみを制作する技術のアップを狙うなら
①と②の行程をひたすら繰り返すだけでも十分に効果がある。


編曲に関してはアナリーゼする時に
バンドスコアがあれば一番手っ取り速いのだが、
昨今はバンドスタイルでない曲のほうが多いくらいなので
バンドスコアが出ていないものや
バンドアレンジでない曲を無理やりバンドアレンジにして出版されているスコアもたくさんある。


またバンドスコアはかなり簡略化されている場合が多いので、
スコアの音を全部弾く=原曲再現でない場合も多々ある。


編曲に関しても基本的に作曲の分析と同じで
「どんな楽器が何をしているか?」がわかれば
あとは自分でも真似ていけるので
実際には特筆すべきことはなかったりする。


…と言ってしまうとそれで終わってしまうので、
もう少しアドバイスを書いてみたいが、
アレンジで悩む人の多くはアレンジの前段階、
つまり楽器の種類や演奏法についてよく知らない人が多い。


例えばギターのアレンジに関しても
「曲中でギターをどう使うか?」以前に
「ギターの音域」「ギターのボイシング」「ギター特有の演奏法」「エフェクター」などの
基本的な内容をちゃんと知っていないと
ちゃんとしたギターのアレンジを作ることが難しい。


弦は6本なので当然コードボイシングや演奏法はピアノのようにはいかないし
ブリッジミュート、ブラッシング、チョーキング、ハンマリング、プリング、
ピッキングハーモニクス、アーミング etc…
ギター特有の演奏法もたくさん存在する。


エフェクターに関しても最低限、歪み系の音作りや
コーラス、フェイザー、フランジャー、ワウなどのエフェクトについて知らないと
良いギターアレンジを行うのは難しい。


どんな楽器にしてもアレンジを学ぶには
①楽器の音域・特徴・演奏法などを学ぶ。
②実際の楽曲での出したい効果別の使い方。ほかの楽器との関係性を学ぶ。
の2段階を分けて考えると良いと思う。


クラシックでいうところの管弦楽法だが、
ヴァイオリン一つとってもsul ponticelloやsul tastoや
ピチカートの基本的な演奏記号から
様々なボーイングの可能性まで考慮するように
バンド系の楽曲でも同じように考える必要がある。


バンド系の楽器であるギター、ベース、ドラムは
教則本などを買って勉強すると良いし、
出来ればギターやベースは自分でも軽く弾けると良い。


シンセの音作りやGM配列の楽器などについても
一通り勉強すると良いと思う。


そして初心者の方にとって
一番有用なのが、バンドスコアをそのまま入力してみることだ。


あまりにも初心者的過ぎて中級者以上の人にとっては
「わざわざ打たなくてもわかるよ」と言う声が聞こえてきそうだが、
アレンジの初心者にとってはまずは見よう見まねからという意味で
「自分の好きな曲のバンドスコアを一曲通して全部入力してみる」という行為は
かなりためになる。


単に楽器の使い方だけでなく、
曲の組み立て方やブロックごと(A、B、サビなどの)の
アレンジの違いや曲の盛り上げ方なども参考になるはず。


またバンドスコアではなく、
ヤマハなどで好きな曲のMIDIを購入するのも勉強になる。


実際に作るときはDAWに入力するので、
昨今のソフト音源の進歩によって「MIDI入力テクニック」の方法は変わってきたものの
初心者の方にとってはMIDI入力テクニックの研究は
まだまだ勉強になると思う。



まずは楽器の奏法や音域などを学び、
次に好きな曲をDAWにバンドスコアなどを見ながら入力することで
勉強を進めていけば段々ノウハウが溜まってくるので、
地道に手間暇かけて頑張って欲しい。


アレンジテクニックは料理のレシピみたいなもので、
どんどん新しい料理(曲)に挑戦して
自分のレパートリーを広げていく必要がある。


慣れてくると食べるだけで(聴くだけで)
使われている素材や調味料(楽器や演奏法)についてわかるようになるし、
自分でも再現できるようになる。


ハンバーグやカレーやコロッケやエビチリなども
やはり一度は挑戦してみないと
材料や組み合わせや行程のレシピを身に付けたとは言い難いので
とにかくアレンジは日々の研究して努力するしかない。



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前回の①コード進行と曲の小節構造の続きで
今回は②メロディーの作られ方について書いてみたい。


その曲のコード進行と小節構造がわかったら
次はどんなメロディーの作られ方をしているのかを
分析してみることで
ヒット曲のメロディーの作られ方や自分の癖などに気付くことが出来る。


まずはメロディーの和声音(コードトーン)と非和声音(ノン・コードトーン)を
分析する。


画像①クリックして拡大


上の画像①ではコードトーンに対して下に赤い点()を付けているが、
即時判別できるならばコードトーンには何も書かなくてもOK。


次に6種類の非和声音だが、
これは経過音、刺繍音、倚音、逸音、掛留音、先取音を
メロディーをよく見て書き込んでいく。

画像①では各非和声音の頭文字だけをとって
「経」とか「先」のように書いてあるが、
自分でわかれば「ケ」とか「セ」などのように
簡便にするためカタカナなどにしても良い。


こうすることでヒット曲で非和声音が
どのように使われているかがわかるわけだが、
これが結構勉強になる。


今回の曲(MICHELLE BRANCHの「Everywhere」)であれば二重倚音や
二重先取音や逸音などの使い方が面白い。


またリズム的な側面も非常に重要で
16分音符の細かいアンティシペーションがたくさんある。


テンポは101とミディアムテンポの曲だが、
16ビートを感じさせる複雑なリズムとアンティシペーションによって
スピード感があり退屈を感じさせないメロディーになっている。


自分一人で作曲していたら
なかなか使わないリズムや非和声音の使い方と出会うことも多いし、
何よりもヒット曲のリズムと非和声音の生きた使い方を学べるのは
自分で作るときの大きな参考になるはず。


メロディーの作り方は誰にも「癖」があって、
何十・何百と作ると「毎回似たようなメロディーになってしまう…」みたいな感じで
マンネリになってしまうことがある。



それはいつも同じようなリズム同じような非和声音の使い方
同じようなフレーズ感を使っているという部分に
原因があるのだが、
それは個性であると同時に悪く癖にも成り得るのだ。



話し方、歩き方、物の食べ方など誰にでも癖があるものだが、
メロディーの作り方にも癖があり、
他人のメロディーを分析を通して見ていくことで
自分のメロディーも客観的に見ることが出来るようになる。



またヒット曲などに見られるメロディーの作られ方のコツや
ポイントなどもたくさん分析すると見えてくるが、
ここではその内容は除外する。



上記のようにリズムと非和声音(ハーモニー)の側面で
メロディーを分析するのはとても有益なのだが、
コードスケールなどの音楽理論を知らないと
上記のやり方が通用しない場合が出てくる。

画像②クリックして拡大


画像②のE♭コードの部分(ディグリーはⅡ)のメロディーをよく見て欲しいのだが、
コードがE♭なのにメロディーではソ♭が使われている。


E♭=ミ♭・ソ・シ♭なのに、メロディーでソ♭が出てくるのは
コードとメロディーの関係が合わなくなっておかしい?のだが、
こういう風に「なんでこの音が出てくるの?」とか
「どうしてこのコードが出てくるの?」のように
ノンダイアトニックコードやメロディーが出てくると
途端に分析が難しくなる。

普通に考えるならば
E♭=ミ♭・ソ・シ♭ならば、メロディーではソを使うべきだが、
なぜかそうなっていない。


どういうつもりでミッシェル・ブランチはソ♭を使っているのか?


ここで重要になるのがコードスケールなのだが、
E♭のところのコードスケールはなんだろうか?

答えは「E♭スパニッシュ8スケール」で、
ソ♭の音は#9thのオルタードテンションだ。



「え?なにそれ?」と思われた方は
どうしてもコードスケールの勉強が必要になる。


コードスケール理論がわからないと、
分析していても意味がわからない部分がたくさん出てくるが、
わからないことをわからないままにしておくのであれば
分析の意味はあまりない。


例えばCメジャースケールで作曲していて
白鍵のみで曲を作ると単純な曲しか作れない。


ところが実際のヒット曲ではCメジャーキーでも
なぜか黒い鍵盤がコードやメロディーにもたくさん登場する。


これらは色々なテクニックが使われているからなのだが、
黒鍵が出てくる部分は
自分で意味がわかっていないと応用できないし、
丸々パクるような使い方も自信を持って行えないかもしれない。



この辺は前回同様、音楽理論の世界に入ってくるのだが、
こういったことがわからないとどうしても高いレベルの曲を書くことに
足枷になるのでまずは基本的な理論を習得することをお勧めしたい。


私が以前書いた本でも
コードとコードスケールの関係を徹底的に明確にすることで
作曲における曖昧さを払拭することにかなり力を使っている。


勉強する方法や本は何でも構わないのだが
少し厳しい言い方をすると
こういった基本的な音楽理論を知らないと
ヒット曲の分析すらままならないのだ。



コードスケール理論がしっかり習得できている人は
出来ればすべてのコードの下にコードスケールを書き込むと良い。


最終的には見た瞬間にわかるようになるのが理想だが、
とにかく誰のどんな曲でも「この音使いの意味が理解できない」という部分を
なくすことが大切だ。


登場するすべてのコードのコードスケールがわからなければ分析は難しいし、
それが出来ないと自分で作曲するときの応用も難しい。


基礎から固めて行かないと高いレベルに到達するのは難しいのだ。



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