前回の「対位法・フーガの勉強にお勧めの本」と
同じシリーズで「和声の歴史」という本があります。


和声の歴史 オリヴィエ・アラン著


こちらもクラシックの和声法や対位法を勉強なさっている方に
とてもお勧めな本です。


禁則や譜例を淡々と学ぶのではなく、
和声を歴史的な流れに基づいてを学べるので、
無味乾燥に色々な理論を勉強している人にとっては
今自分が勉強している内容がどういう歴史的変遷を経て
現代に至ってるのかを知ることはためになるかもしれません。


個人的にはバッハ以前の作曲家から
ストラヴィンスキーなどの近現代の作曲家まで
様々な譜例と歴史的考察を以って
研究的な姿勢から本文が書かれているのがとても面白かった。


特にバッハ以前の作曲家に関しては資料も少なく、
10世紀から15世紀くらいまでの
和声の歴史を知ることが出来るのはとても有難い。


これ一冊で十分ということはなく、
この本で登場した楽譜を集めたり、
知らなかった作曲家について詳しく調べてみたりすることで
さらに和声に対して深い理解を持てると思う。


例えば事実上日本における和声の学習の教科書になっている
「和声ー理論と実習」には
「Ⅱ7の和音の第7音は予備を必要とする」とか
「先行和音→Ⅴ9の並達9度は2度上行のみ可でそれ以外は避けるべき」など
色々な内容が書かれているが
それが「なぜ?」なのかは書かれていない。


「Ⅱ7の和音の第7音は予備を必要とする」とは書かれていても
どうして予備が必要なのか?
現代ではⅡm7を自由に取り扱うのになぜ和声では予備を求めるのか?
などについては一切触れていない。


だから勉強する学生はそれを鵜呑みにするしかなく、
「なんだか良くわからないけれど、本にそう書いてあるからそうする」
という浅い理解になってしまい、結局作曲にあまり役だっていない人も多い。


和声をたくさんの時間を使って勉強したのに、
あまりに役立っていないという人は
おそらくそういう理解で止まっているはず。


結局のところ和声とは作曲技法であると同時に様式でもあるのだから、
ある程度は歴史的な側面を学ぶ必要がどうしても出てくるのだと思う。


少なくとも高いレベル作曲を習得したいなら、
和声の歴史的な側面からの研究も必須だと個人的には思っている。


そういう意味ではこの本は
私が知りたかったたくさんのことを教えてくれた。


ただ和声の起源から近現代までのあらゆる記述は非常に興味深いのだが、
専門用語がたくさん出てくるので、
和声学が一通り終わっていないと理解が難しいかもしれない。


和声学を習得した人向けに歴史を解説するよ、という感じなので
予備知識がないと「???」という感じの部分も多いかもしれないが、
既に和声に関してある程度の勉強が終了している人は
一度読んでみると良いかもしれない。



和声に対して考え方が変わるかもしれません。
少なくとも私にとっては得られるものがたくさんありました。




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対位法やフーガを学ぶ上で
ガチガチの理論書や実際の楽曲もいいけれど、
とても面白かった文庫本(半分くらい理論書か?)があるので紹介したい。


フーガ (文庫クセジュ 674)

著者はマルセル ビッチュ(マルセル・ビッチとも) ジャン ボンフィスで
マルセル・ビッチュは対位法でも有名な人。


フーガは今の調性音楽よりもずっと長い間、
音楽の世界において主役を務めてきたが、
昨今(の日本)では既に失われつつある技法と言っても良いかもしれない。
(音大とかでバリバリ作曲する人は別だと思いますが)


昔は「音楽」=「フーガ」という時代もあったくらいで、
音楽を作る、作曲をする=フーガを書くという意味だったことすらあった。


しかしフーガは現代では作曲家の修行のひとつや単なる古典趣味になりつつある。
対位法自体は絶対になくならないし、
本気で作曲をやるなら絶対にしっかり勉強した方がいいに決まっているが、
対位法=なんだかよくわからないものという人には
この本は結構お勧めだ。


フーガの歴史的背景を膨大な譜例や資料から考察してくれているので
それが一番ありがたい。


フーガ以前のフーガから
ストラヴィンスキーやメシアンまで語ってくれている。


これを読めばフーガとは何かに対して
大きな理解が持てるだろうと思う。


出だしの一文が非常に印象的だったのを覚えている。

ジョスカン・デ・プレのミゼレーレとストラヴィンスキー詩篇交響曲の第2楽章とには
どのような共通点があるのだろうか?
アンドレア・ガブリエリリチェルカーレB.バルトーク弦楽器・打楽器・チェレスタのための音楽のアンダンテ楽章の間には?
表面上の共通点は極めて捉えにくい。
しかしこれらの作品は、フーガ(fugue)という一語によって
強い絆で結ばれている云々…」




個人的にはフーガは大好きだが、
そのままのフーガは、現代における芸術作品としては通用しにくいので
ストラヴィンスキーやバルトークのように使うのは非常に興味深い。


ある意味フーガ=音楽なので、
大いに勉強することで得るものがあるはず。


少なくとも私にはあった。
単に歴史的な知識云々ではなく、
実地の作曲において、フーガと全く関係のないゲームのBGMとか
ポップスの曲を書くときでも役立っている。


フーガ=バッハの器楽フーガ(ヘンデルの声楽フーガ)と捉えられがちだけれど、
実際にはもっと広い世界が広がっているので、
色々勉強するときっとためになるはず。



作曲における莫大なスペックの底上げという意味では
大いに価値ある分野なので、
「え~、フーガぁ?ちょっと興味はあるけれど…」という人にはお勧めの本です。



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WAVESから新作のコンソールシミュレーターが出た。


REDD.17




REDD.37


Abbey Road REDD Consoles Pluginという名前の通り、
Abbey Roadスタジオのクラシックコンソールプラグインだ。


MercuryのWUPが切れているのでまだ手に入れてないが、
これは楽しみだ。


WAVESは最近までテープやコンソールのシミュレーター系のプラグインを
出してこなかったので、ここ最近で他メーカーに追いついてきた感じ。



音はクラシックコンソールのシミュレートのようだし、
EQ,ヘッドアンプの歪みやスプレッド機能が付いているようだ。



WAVESのSSLを愛用していたけれど、
なんだか最近はどんどん新しいプラグインが出てくるので
古臭く感じるようになってきた。


やっぱ新しいものを取り入れていかなければいけない。



個人的にはAbbey Roadのプラグインが大好きで
TG12413、TG12414、RS124、RS135などは
今でもミックスでよく使う。

TG12414



TG12413


RS135


基本的に全部ソフト音源で作ってしまうので、
Abbey Roadのプラグインのようなヴィンテージ系のプラグインで
デジタル臭さを払拭するようにしている。
(デジタル系の曲は逆にやらないが…)


昨今はこういうヴィンテージ系コンソールなどの
プラグインとしての復刻が増えているけれど、
もっとやって欲しいなぁ。


実際に使ってみたらまた感想を書きます。




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