作曲の仕事をしていると、

ビジネスとして色々な作曲家の先輩や

企業の社長さんなどとお話する機会がある。




そんな中で最近、個人事業として作曲事務所を

立ち上げてしまおうと考えるようになった。



というか、個人じゃ駄目だなぁと思うようになった。

今までの私は運が良かったというか、

たまたま上手く立ち回れていただけ。




さすがにスタジオは持っていないので、

○○スタジオと名乗ることは出来ないが、

音楽製作事務所みたいな感じで、

私一人でやろうと思えばやれる。





というか今現在やっていることと

なんら変わりはない。



何処かからお仕事を頂いて、

作曲して納品して代金をもらう。




せいぜい小遣い程度で、

年間で7桁には届かない程度だが、

やりようによっては個人事業の税率が

195万円以下くらいならやれないこともない。



課税所得金額
税率
控除額
195万円以下の部分
5%
0円
195万円超~330万円以下の部分
10%
97500円
330万円超~695万円以下の部分
20%
427500円
695万円超~900万円以下の部分
23%
636000円
900万円超~1800万円以下の部分
33%
1536000円
1800万円超の部分
40%
2796000円


わざわざ個人ではなく、

役所に届け出て個人事業として(または法人として)

やったほうが良いと思ったメリットは

まずビジネスとしてやり取りするときに、

個人よりも○○スタジオとか○○作曲事務所のほうが、

信用度がアップするということ。

(これが結構大きいと感じている)



実際いきなり法人化はまったく考えてないが、

場合によっては何年もあとに法人化できるかもしれない。




また企業側から見れば、

法人という信用なしに、

個人相手に仕事を依頼するのは

逃げられるかもしれないというリスクがあるので敬遠されがちだし、

(登記していれば逃げにくい)体裁も良くない。

(個人だと信頼がまるでないのが一番でかい)



作曲の仕事のみの場合で言うと、

何処かの事務所に既に籍をお持ちの歌手さんや声優さんと

仕事するときに個人としては受けて貰えない場合がほとんどだ。




事務所によっては同人を受けたりする場所もあるが、

ちょっと大きい事務所だと大体アウト。



また収入がある程度増えてくると、

さすがに登記せずには色々と面倒ごとが出てくる。




それに仕事の量があまりにも多くて捌き切れない時には

他人にそれを回したり、

事業内で行った業績であれば、

私が行った仕事でなくても、

○○作曲事務所の業績となるので、

そういうメリットもある。

(もちろん足を引っ張られてデメリットにもなりえる)




ほかにも銀行などからの融資が受けられやすいなど

メリットを論えば結構ある。




デメリットに関しては、

私のように基本的に会社員である場合は

何処かに勤めながら企業という形になるので、

会社での立場的な問題が出てくる。

(どこにも勤めていないなら問題なし)




自分で青色申告して、

住民税を個人で納めればばれなさそうだが、

給料明細に住民税が既に引かれているような

ケースではばれずに行うのはちょっと難しい。




あとは色々と問題があるが、

まぁお金のことだし、

やっぱり私の場合は会社にばれるか?ばれないか?が

一番の大きな問題となる。



役所から毎年、

「あなたこの所得はなんですか?」

「経費の領収書があれば税率下げてあげるよ」

という連絡がくるけれど。



というわけで、

やはり開業届けは出さずにやろうと考えている。



所得(売上-経費)が290万円を超えないと

事業税が発生しないし、特に届出を出さない問題もないので、

この金額の範囲内でやれば良いと考えている。




名前のある事務所に入って

盾になってもらうという手もあるし、

すべて個人でやる必要もなければ、

その力もないし、つもりもあまりない。




普通に納品書や請求書や見積もり上げたり出来れば

特に問題ないし。




それに今の日本は商業で作曲一本で食べていくのは

あまりに厳しすぎる。




商業音楽や音楽業界で生きていくことに

ほとんど関心がない私にとっては

何か副業を持ちつつ自分のやりたいことを

追求していくのが一番良い。



それで食べていけるし、

現在の所それが一番良い方法ではないかと思っている。





「作曲を続ける。」これが私の最重要目的であり、

ビジネス的なことは食べていける分だけあれば良い。




本来そんなに興味のある分野でもない。





AD

フランクの和声研究

テーマ:

フランクの「プレリュード、コラールそしてフーガ]のコラールの

冒頭を分析。




ちょっと弾いただけではわからなかったが、

細かく分析したみたけれどとても興味深かった。
フランクは異名同音をきちんと書かない作曲家なので、ちょっとわかりにくい部分がある。








音楽のブログ




↑ハ長調に直してあります。





非常に美しいコラール部分の和声だが、

フランク独自の音の使い方になっている。




まず主音和音から始まり6度の和音に入る。

その後Ⅲの和音に入る5度上行の弱進行。




こういった弱進行やドミナントモーションを避けた和声が


フランクの和声を特徴付けている。








そこからまたⅠに戻るが

今度は第1転回形で属9の根省の2転に入り、

2小節目は主音に入るがこれは主音和音ではなくて、

サブドミナントマイナーのAbを借りてきている。





このあたりから面白くなる。

サブドミナントマイナーとして現れたAbは7th化されて

A♭7の和音になる。




これはⅤのⅤの9の下方変位の短調からの

借用で比較的よくある手法だが、

使い方が2転になっているし、入り方も非常に面白いと思う。





通例どおりその後はⅤに入るが、

Ⅰ2→Ⅴではなくて、


Ⅰの1転からⅤ7の三転に入るのが面白い。

こういう和声法が まさにフランクの音楽の美しさの秘密のような気がする。








音楽のブログ





今度は和声は面白いがやってることはⅠーⅤーⅡーⅤ。

1拍ずれてバスが流れるように上手に共通音を選んでいる。






Ⅰの1転からⅤの4転というな流れは非常に面白い。

それがそのままバスとして

ⅤのⅤの9の下方変位の短調からの借用の和音の

2転の音になっている。





そしてⅤのⅠに進むがちょっと複雑。






和音でいうとB7という和音になるが、

これはハ調の固有和音ではなく、

普通に考えたらホ短調かホ長調のⅤの和音だ。






でも、そのあとなぜかE♭の和音に向かっている。

ホ短調かホ長調のⅤの和音と考えるなら決定的におかしいのが

レ#の後のミの#音。



こういった変則的なドミナントモーションが現れるには
クラシックの世界ではドビュッシー、
ジャズの世界ではビバップの時代まで待たなければならない。



この音は音階には存在しない音のなので

ホ短調かホ長調ではないのがわかる。

本来音階上に○7という和音は変化記号を用いなければ

1つしか存在しない。




G7という和音が出てきたら誰でもハ長調を連想する。

実際にはほかにも副属7の和音は借用和音、

変位和音などで色々な所に出てくる。




けれど、そういう場合は必ず臨時記号が付く。

#か♭が付くということは一時的に主調から

離れているということだ。




ハ長調なら変化は付かないがもし、

#がファについた和音が出てきたらそれはト長調(ホ短調)から

借りてきたか、一時的に転調していることになる。






この場合のB7という和音が何処からきているかというと、

F#マイナーキーから来ている。





そしてE♭7にはいるが、

これはⅡ度調のⅤ9の和音の下方変位だろう。

ジャズやポップス風に裏コードと言ったほうが

わかりやすいかもしれない。




そしてまた普通のⅤに入って続いていく。






まだまだたった4小節で曲はもっと続いていくが、

たった4小節でこんなに書くことがある。






やはり特に面白いのがメロディックマイナーだ。





自然短音階の場合はⅣ度の和音は○m7だが

ここではフランクはメロディックマイナーを使っている。

こういうところがフランクのすごいところだと思う。






特にB7のところのリディアンドミナントの


ミの#の音の使い方は個性的だと思う。






クラシックにはコードスケールという概念はなく、


すべて転位で考えるが、


こういう作風をみる限り、


当時の作曲家たちは


「転位で考えるけどコードスケール(旋法)で考えるのも面白い」


と思っていたのではないかと思われる・。






後のドビュッシーにも繋がるような印象だ。








AD

ショパンの和声研究。

テーマ:

ショパンの和声研究をしてみた。

ブログで作曲技法について記載するときに

専用のカテゴリーを作らなかったので

「作曲技法」のカテゴリーを作った。


思えば作曲が専門なのに

ミックスとかマスタリングのことをよく書いていた気がする。



歴史上名前が残っている多くの大家の作曲技法を研究し、

多くの墓(その作曲家の技法を用いて作曲すること)を作ったが、

ショパンがわりとノーマーク(作曲家として魅力的でないと感じる)だったので、

ショパンの墓を近日中に作ろうと考えている。



とりあえずショパンの作曲技法や和声分析を行ったことを

箇条書きにしてみる。



・ 極めて効果的且つ豪華絢爛なピアノ技法。ピアノ書法の歴史的な革新。

左手のアルペジオ音域の拡大・複雑化と右手の演奏技巧の高度化・多様化。



・ 和声を記号のみで見ると極めて古典的だが非和声音の多様化が興を添える。

非和声音の多様化は右手にも左手にも現れる。オルタードテンションなどが極めて普通に現れるが、半音および全音で和声音に解決するのが常である。



・ 調性のゆらぎは古典的な変化和音、借用和音、ハーモニックマイナー、メロディックマイナーを用いる。

ラヴェルなどのように旋法として用いるというよりは装飾的な用法だったり和音的な用法が多い。



・ 中央ドから2オクターブ下のド付近から倍音列に沿った(あるいは近似した)音響を基本的に用いる。

ショパンの時代の楽器としてのピアノの発達の程度からも最もよく響くと本人が感じていたと思われる。

音域の革新には関心がなかった模様。



・ 鍵盤和声の3層化

従来の左手・右手→左手・中央ド付近・右手に変化。旋律部・中間和声部・低音部に分かれるような書法が多い。



・ ポーランド民族舞踊やサロンの寵児としての側面。

マズルカ、ポロネーズなどの民族舞踊が背景にある。

リズムもそれらの民族的なものが多くドビュッシーなどのようにリズムに深い関心がなかったように思われる。


・詩的な表現者としての側面。

ノクターン(夜想曲)、バラード(譚詩曲)、アンプロンプチュ(即興曲)を好んだ。

2曲のソナタ(1番は除外する)においても

主題の有機的な発展というよりはどちらかというと即興的。

おそらく苦手だったか、そのような手法が自身の感性と合わないと感じていたかどちらか。



・ モーダルインターチェンジ

フリジアン→エオリアンなどが見られる。幻想即興曲(Op.66)冒頭の和音がG#mの部分など。



・ ピアノ曲以外にまともな作品なし。

あくまでその時代の範囲内での旋律と和声の美しさに自身の高度なピアノ演奏力を加味して作曲を行った。

管弦楽どころかピアノ以外の器楽の作曲に関してはほぼ素人で自身もあまり関心を示さなかった模様。


・ピアノ書法における対位法的な側面(バッハの影響)と

左手の和声を確定した状態でのアドリブ的な即興性(高度なピアノ技法の所持者だったことによる)の

2極化による作曲法。しかし対位法的な書法は常に部分的だったり内在的だったりする。



ショパンはピアニストとしての側面を除けば、

作曲家としてはそんなに難しいことはしておらず、

簡単に真似ることができる。



同時代を生きたシューマンやブラームスのほうが

よっぽど作曲家としては立派だと私は思っている。

特にブラームスは素晴らしい。




やっぱり私にとってショパンとは

作曲家ではピアニスト兼ピアノ曲専門の作曲家というイメージしか持てない。



そして作曲はピアノ曲だけに限定されるべきではないとも思っている。


よく言われることではあるが、

ピアノ限定で自身の個性を確立した作曲家であり、

どちらかというと作曲家に愛されるというよりは

ピアニストに愛されるタイプだと思う。




旋律や和声は綺麗だがそれだけであり、

そしてそれは個人の嗜好に寄ってしまう。



作曲技法的な高度さがみられないのが、

私にとってそんなに「作曲家」として関心をもたらさない理由。



極めて関心を惹かれるのは

ピアニストとしての側面で、

豪華絢爛で合理的で効果的で洗練されたピアノ書法は

ピアノ曲を書く上で大いに研究の余地がある。







AD

前々から気になっていたPIANOTEQに

PLAY版が出たので早速本家サイトから購入してみた。


音楽のブログ

PIANOTEQ


いずれ必要になると思いAdd onもすべて購入。

日本円で合計3万円くらいだった。



日本代理店でかなり詳しく説明がなされている。

http://www.minet.jp/pianoteq/pianoteq-pro

メディアインテグレーションのサイト説明




代理店の広告に書かれていることは書かないが、

物理モデリングピアノの凄さが伝わるスーパーピアノ音源だった。



ピアノの演奏における「振る舞い」を

ここまでリアルに再現している音源は

2010年の段階ではほかにない。



端的に言うと「本物のピアノを実際に演奏している感じ」

現在発売されている音源の中では最も近いのではないかと思う。




内部での倍音の振る舞いや、反射の仕方が

こんなにリアルだとは思わなかった。



そしてなにより表現力がとても高く、

ピアノでの即興演奏が楽しくて仕方ない。



まるで次の音が頭の中で先に聞こえてくるような感じだ。

というか即興演奏って元々そういうものだけれど、

それを後押ししてくれる感じ。



ほかにもベーゼンドルファー290を始め、

いくつかピアノ音源を持っているが、

いずれもサンプリング音源のため、

一音一音はリアルだが、

連続した演奏におけるピアノの振る舞いは

当然全く再現されていない。

(ただ各音を録音しているだけなので)



こんなにもピアノとしての振る舞いが大切なものだとは

思ってもみなかった。




まるで本当にグランドピアノを弾いているような錯覚があるが、

やっぱり一音だけ鳴らすと、

特に低音がリアルさに欠ける。



演奏の中ではメーカーの

大量のサンプルにあるように極めてリアルだし、

何か良いコンボリューションリバーブを持っていれば

かなりそれもカバーできる。




私はPIANOTEQのリバーブは切って、

VIENNASUITEのリバーブでやっているが、

これは本当にすごいと思った。



7年くらい前に、

SYNFULという物理モデリングのオーケストラ音源を購入したが、

その頃と比べ随分と技術レべルがかなり上がっていると感じ。



SYNFULも低音がリアルさに欠けていたが、

物理モデリングは低音再現が苦手なのだろうか?



特に空間における音の振る舞いの再現が極めて上手で、

この辺りがいくら大容量でも

ただアンビの音入りでサンプリングしただけのものとの違い

本当にその場にいるように聞こえる理由だと思う。



PLAY版ではマイキングやバイノーラルモードの位置を変えることが出来ない。

よりリアルな音響反射モデルを使うには、

上位版のPIANOTEQやPIANOTEQ PROを購入しなければ

ならないが正直購入しようかと思っている。





最初は既存のサンプリングピアノ音源にも飽きてきたし、

話題の物理モデリングピアノ音源に

無償add on多いし、

有償でも面白そうなadd onがあるから

買ってみようかなという軽い気持ちだったが、

PLAY版を使ってみて私の印象は大きく変わった。




差額を支払えば損することなく(得もしないが)

上位版にUPGRADEできるので、

近いうちにするだろうと思う。



最上位のPROにしてもいいと思っているくらいだ。



管弦楽器のように発音中に音色の変化があるものならともかく、

ピアノ(クロマチックパーカッションもそう)のように

打鍵後の音色変化が少ないものは

サンプリングでも十分だと思っていたが、

その認識は大きく変わった。



ハーフペダルやクオーターペダルの再現や、

倍音の鳴りのリアルさは本当にリアルだ。




一音一音のリアルさよりも、

全体の音響反射モデルを極めてリアルに

モデリングしていることにこの音源の凄さがある。




PRO版にすれば一音一音の調律も可能なので、

ドビュッシーを弾くサンソン=フランソワみたいな

高音高め、低音低めみたいな調律も出来るし、

古典やバロックの再現において

ヴェルクマイスターやキンベルガーの調律にも出来る。



今後さらなるadd onの発売は期待したいし、

このレベルですべての音源が物理モデリングされたら、

いつか本当に完全に実際の生演奏をモデリリングできる日がくるかもしれない。