どなたかの参考になるかもしれませんので、
まだまだ全然使い込んでおらず、
中途半端ですが、Spitfire Audio「Sable」を使ってみた感想を
軽く書いてみたいと思います。


Saibleは一応チャンバーーストリングスということで
室内楽の弦楽合奏音源ですが、
デモを聞いてわかる通り、室内楽というよりは
室内楽兼、そのまま小規模なオーケストラでも使えそうな印象を受けます。
壮大なオーケストラというのはちょっと迫力に欠ける感じです。


MURAL

メーカーとしてはSaibleラインが室内楽の弦、
オーケストラはMURALラインという感じなのでしょうが、
MURALのストリングスを聴くと、なるほど3管編成くらい?のオケだと
思うのですが、Saibleラインでもオーケストラの弦としては
やや淋しいかなと思わないでもないですが、
使いようによっては行けると思います。


音はスーパーリアルでviennaとは方向性が違うリアルさを持っています。
…というかリアル過ぎて、これは打ち込みか生演奏かの判別は
出来ないのではないのではないでしょうか。


操作性はviennaと比べると使うのが簡単にも思えます。
viennaのような複雑な機能はあまりなく、
しかし追い込みなど必要がないリアルさを持った音源です。


代わりにViennaに比べると超絶重く
WIN764bit i7980XX メモリ16GBで動かしていますがかなり鈍重です。
ロードにもかなり時間がかかり今まで使ってきたソフトの中では一番重いので
このソフトを動かすためにメモリを新しく注文したところです。


HDD容量もかなり必要で、
Saibleの全部入りを購入したのですが、
WIN環境で約220GBの空き容量が必要になります。


以前の記事でリバーブが云々と書かせて頂きましたが、
その辺は別としてもストリングス音源、あるいはオーケストラ音源で
リアル系をお探しの方にとって
十分に納得のいくクオリティーだと思います。


最初からWETな音が収録されているのが特徴なので、
C=Close
T=Tree 
A=Ambient
O=Outboard
の4つの中から自分でマイクの配分をミックスして音を作ります。
リバーブでいちいち悩まずに良い音が出るので楽ちんです。


残響を活用した音作りの自由度はあまりありませんが、
その分かなりリアルな素晴らしい響きがします。


Viennaは読み込んだ時点だと乾いた音ですし、
デモ音源としてメーカーがアップしているようなクオリティーにするには
難しいViennaの操作とVienna Suiteのリバーブのような
高価なリバーブとその使い方、
そしてある程度の打ち込みテクニックが要求されますが、
Spitfire Audioはもちろんある程度の打ち込みテクニックは要求されますが、
Viennaよりは取っつきやすい印象です。



当時は日本代理店でまだ販売されていなかったので
直接本家サイトで買ったのですが、
Spitfire Audioで最初に驚いたのがなんと説明書がありません。
普通PDFなどで説明書があるので、当然あるものだと思ったら、
動画を見て覚えてくれという感じでした。


クリプトンさんが日本正規代理店で続々Spitfire Audio製品の
ラインナップが増えていますので、
既にあるのか、これから作られるのかわかりませんが、
日本語説明書が出来るのかもしれません。


しかしViennaを始めとして普通のキースイッチなどのソフト音源を
問題なく使える人にとっては難なく操作できるレベルです。


SpitFireがなんという名称で呼んでいる技術なのかわからないのですが、
ViennaのベロシティーXフェードと同じく、
コントロールチェンジで音量兼ニュアンスが変わっていくタイプで、
ベロシティーレイヤーはMIDI CC#1コントロールチェンジで管理されます。


ViennaのベロシティーXフェードとは大体以下のようなものです。

例えばヴァイオリンを弱く弾いた時は弱いニュアンスで音が鳴ります。

その音を音量を大きくすれば、
弱く弾いたときのニュアンスのまま音だけが大きくなり、
実際にヴァイオリンで大きな音を出した時の音とは大きく異なります。


逆も同じで、思い切り強く弾いたときの音を
音量だけ下げても、弱く優しくヴァイオリンを鳴らしたときの
ニュアンスにはなりません。
思い切り弾いた時の音が小さい音で再生されるだけです。

音を1つ1つ別のサンプルとして扱えるタイプの楽器、
具体的にはピアノやドラムなどは
様々なベロシティーを用意して、
それをノートオンごとにMIDIデータで呼び出せば良いのですが、
ヴァイオリンのように音が持続する最中に
強弱のベロシティーをクロスフェードして
切り替える技術がベロシティーXフェードです。


ハード音源時代は好みのベロシティーレイヤーを探して
MIDI CC#11 Expressionで音量変化を出していましたし、
今のソフト音源でもそういうのはあると思うのですが、
あくまで一つのベロシティーレイヤーの中での話しで
前述の通りニュアンスの変化までは再現出来ませんでした。


音量の変化と共に強弱のニュアンスも同時に変えるためには
ベロシティーレイヤーの異なるサンプルを切り替えていく必要があるわけですが、
まさが127段階のサンプルを用意することは非現実的ですので、
大体3~8くらいのベロシティーレイヤーを音量の変化と共にクロスフェードで
切り替えて現実の弦楽器で起こるのと同じ変化を再現出来るのが
ベロシティーXフェードでこれによって弦楽器の再現がかなりリアルになりました。


当然レイヤーの数が多いほど自然な印象になります。


Spitfire Audioも同じタイプで非常にリアルです。
ベロシティーレイヤーの数が一体いくつなのかはわかりませんが、
クロスフェード位置が全くわからないほど自然です。
かなり重い音源なのはレイヤー数が多いというのもあるのでしょう。




基本操作画面ですが、左からDynamicsベロシティーXフェード(みたいなもの)、
VibratoとRelease、TightnessやExpressionはそのままの意味です。

Expressionはただの音量のようです。


パッチの数という意味でならViennaのほうが圧倒的に奏法は多いです。

またしょうもないことなのですが、面白かったのが下の画像です。



見た瞬間にフラジオレット奏法とハーモニクス奏法が区別されてる?
あれ?なんで?と思って思わずネットで一緒だよな?と思いつつ
調べてしまいました。


表現の問題だと思うのですが、
菱形のマークがSpitfireでは開放弦を使った
自然フラジオレット(ナチュラル・ハーモニクス)で
様々な整数倍音を再現するパッチとして使われ、
flautと書かれているのが人工フラジオレット(アーティフィシャル・ハーモニクス)、
ギターでいうならピッキングハーモニクスで
4倍音(2オクターブ上の音を得る奏法)でした。


ギターやベースではハーモニクス、
ヴァイオリンなどではフラジオレットと呼ぶことが多いですが、
区別されているのでパッチを実際に鳴らすまで
なんだこれは?と思ってしまいました。


総評するとVinneaとはまた違ったニュアンスのリアルさです。


もし将来ViennaのSYMPHONIC CUBEを買うなら、
SpitfireのSTORY SO FAR 'MURALの方がいいかも?とちょっと悩んでしまいます。
(値段が高すぎるのが問題ですが)

ViennaはEnsemble ProMIR Proのような補助ソフトがあるので、
その辺はViennaの方が強いですが、
音としてはSpitfireの方が好みです。


最後までお読み頂き有り難う御座いました。

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ミヨー プロヴァンス組曲

テーマ:
たまには私の個人的に好きな曲を紹介してみたいです。

好きな作曲家はたくさんいますし、
好きでなくとも私自身の向上のために有益である作曲家もたくさんいますが、
どうも私は近現代のフランス系が好きらしく、
フォーレドビュッシーラヴェル辺りからスタートし、
ミヨーメシアン、あるいはブーランシェ
もっと後ならジェラール・グリゼートリスタン・ミライユあたりが好きです。


ミヨー(1892年生まれ)を紹介してみたいと思いますが、
ドビュッシーのちょっと後くらいの世代の人で
複調性、多調性をよく使う作曲家です。


ミヨー プロヴァンス組曲
Darius Milhaud, Suite provençale, Op.152, Plusieurs



ミヨーにはたくさんの作品がありますが、
わかりやすい作品としては「プロヴァンス組曲」なんかが好きです。

プロヴァンスはフランス南部地方で
ゴッホが訪れてたくさん絵を描いたのでも有名です。
(サン=レミやアルル時代)


第一楽章はとても元気が良くて
現代のRPGのオープニングで鳴っていても良さそうな感じです。


結局のところ音楽は趣味嗜好の問題でありますが、
大作曲家たちの誰によらず尊敬出来る部分は
各々が明確な個性を獲得している点です。


wikiからのコピペですが、
ある日ミヨーがザビエル・ルルー(先生)に自作のヴァイオリンソナタを見せたところ、
ルルーは「君は私のクラスで何をしているのかね? 
君は既に自分の和声語法を持っているのに、
さらに因習的な和声を習おうとしているのか。クラスを去りたまえ」

と言ったと言われています。


Darius Milhaud Sonata for Violin & Piano I

前述の逸話のがこの曲かどうかわかりませんが、ミヨーっぽい感がちゃんとします。

ミヨーに限らず近現代の作曲家の多くは金太郞飴みたな作品が多く、
デビューまでにみっちり修行をして如何にも若書きみたいな未熟な作品がほとんどなかったり、
あるいはブラームスみたいに厳しい自己批判から未熟な作品はすべて
暖炉で燃やすみたいな場合が多く、
wikiの逸話に出てくるヴァイオリンソナタが1番のソナタかどうかはわかりませんが、
個性を既に獲得しているように思えます。



ともあれモーツァルトの曲はモーツァルトっぽいし、
ショパンの曲はショパンっぽいです。


またもしドビュッシーがまだ生きていて、
彼の新曲が出て予備情報なく私がそれを初めて聞いたらおそらく
「なんかこの曲ドビュッシーっぽいな…」と思うはずです。


そのくらい明確な個性があるわけですが、
和声法だったり、管弦楽法だったり、リズムだったり、もっと別の部分だったり
色々なところに理由があり、それを掴めばある程度までは
芸人のようにモノマネすることが可能です。



そういったことは学習段階としては有益ですし、
仕事の上で役に立つこともあるでしょうし、
私自身もやってきましたし、
今まさにやっている学生さんもたくさんいると思うのですが、
やはり音楽の進歩において最も望む物は個性の獲得ではないでしょうか。


私自身もその個性を獲得したいと思っていますが、
まだまだ修行中という感じです。


聞いてその人の曲だとわかるというのは凄いことだと思います。



また学生時代に何の本で読んだか忘れてしまいましたが、
ミヨーは復調のアイデアを得るのに、
バッハのフーガの技法を見ているときに復調部分を発見した…とか
丘の上にいるときに色々な角度から別のキーの音楽が同時に聞こえてきたとか
そんな話を読んだことがあります。


具体的にどの部分かは本には書いてなかったのですが、
私の作曲理論の本からの抜粋になってしまい恐縮ではありますが、
楽譜をさらってみたところそれっぽい箇所を見つけました。



バッハ フーガの技法 8度のカノン 60小節目

上段と下段をそれぞれ分離して考えてみると
たしかにキーが違うように見えます。

上段が二短調、下段がイ短調

上下バラバラで考えてみるとたしかにキーが違うように見えます。


前情報なしで上の譜面を見せられて
調判定しろと言われたら誰もがニ短調と答えるのではないかと思います。


フーガの技法は楽器が指定されていないので、
例えば弦楽器などで弾いた場合は
各々のパートはキー違いになり、
ミヨーが具体的にどの部分を見たのかはわかりませんが、
おそらくはこういうことだと思います。
ほかにも探せばありそうです。


バッハが復調を意識して書いているとは思えないのですが、
結果的にそのようなスコアになり、
ミヨーには復調に見えてインスピレーションを得たという感じでしょうか。


最後までお読み頂き有り難う御座いました。

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ハーモニックメジャースケールすなわち和声的長音階は
近年ジャズ・ポピュラーによって命名されたスケールではありますが、
ほかにも山ほど例があるように
やはりクラシック音楽に前例が存在します。


例えばオルタードドミナントsus4における
ドリアン♭2スケールやフリジアンの用法は
命名そのものはおそらくジャズのバップ期以降ですが、
ドビュッシーやラヴェル(あるいは後期ロマン派)に既に用法があります。


ただ彼らはそれを○○という風に命名せずに使っていただけであって、
マイルス・デイビスがそうであったように、
バップ期の現行の高度なジャズ・ポピュラー理論の構築に
寄与したミュージシャンたちはクラシック音楽を研究しています。
(モードジャズ時代にマイルス・デイビスはラヴェルを研究していました



本題のハーモニックメジャースケールですが、
私自身もBGMのお仕事でちょくちょく使っているのですが、
すぐに出てくる例としてはドビュッシーに登場します。



ドビュッシー : スティリー風タランテッラ




楽譜の箇所は01:34あたりから


初版では「スティリー風タランテッラ」、
再版では「ダンス」というタイトルで発表された曲ですが、
思い切りハーモニックメジャー出身の和音を使っています。


コードスケール名としてはリディアン♭3になりますが、
これはクロマティックオルタレーションとかそういう言い逃れが出来ない
完全なハーモニックメジャーの用法です。


楽譜に書き込んでありますが、
コードネームがAbm6、あるいはAbmM7(#11)で
スケール構成は「R・ 9・ 3・ #11・ 5・ 6・ M7」となり、
完全なリディアン♭3スケールとなります。


ドビュッシーは調性を脱するために、
全音音階、旋法、ハーモニックマイナー、メロディックマイナー、平行和音など
様々な技法を駆使していますが、
ハーモニックメジャーも使っています。


ドビュッシーがハーモニックメジャーを考案したとは資料もなく考えにくくもあり、
コンディミのように「19世紀頃のヨーロッパでは
なんとなく作曲家たちの間で知られていた音階」
みたいな
感じなのではないかと推測しています。


ハーモニックメジャースケールに関する詳細な説明は
前に書いた作曲本でも説明していますし、
市販の理論書などでも解説されていることが多いので、
詳しく知りたい方は検索を掛けたり、
ATN系の理論本などを漁ってみて下さい。



リストの有名な愛の夢にも見つけることが出来ました。

愛の夢3番


リストのほうはドビュッシーほど露骨ではなく、
準固有和音のⅣとしての要素が強いです。
(ポピュラーの用語ではサブドミナントマイナーです)


但し準固有和音のⅣ(Ⅳm)ならコードスケールは
ドリアン、あるいはメロディックマイナーなのですが、
リストは#11th(ソ)を使っているので、
やはりリディアン♭3スケールとなり、
ハーモニックメジャー出身のコードということになります。


リストは歴史上最初に無調の曲を書いた作曲家であり、
実際にやってみるとわかるのですが、
かなり発展的な技法を駆使しています。


ドビュッシーやラヴェルとはまた違ったタイプですが、
ほかにもかなり高度な部分がたくさんあるので、
どう考えてもわかってやっているとしか思えません。


リストのほかの曲を探せばきっと見つけることが出来ると思いますし、
同時代の作曲家の楽譜を見ても
もしかしたら見つけることが出来るかもしれません。
(探すのが面倒くさかったので2つだけの紹介ですが…)



リストは1811年生まれで、愛の夢は1845年作曲なので、
大体150年くらい前には一部の進んだ作曲家たちの中では
知られていたスケールなのではないでしょうか?


ロマン中期くらいまでなら探せばひょっとしたら
見つかるかも??くらいに思っています。



主にジャズ系アーティストやBGM系の作曲で有名なスケールですが、
一通りの音楽理論を見渡して考えてみると
調性という枠組みの9割くらいは既に100年以上前の
後期ロマン派、あるいは近代フランス楽派の時点で
作曲の理屈は完成してしまっているようです。


12音技法などの無調楽曲は難解であり、
またその破壊的な部分があまり多くの人に好まれないようで、
ポップスやロックなどが今は大人気の現代ですが、
やはり人間は調性音楽が大好きなのかもしれません。


ハーモニックメジャーは厳密には調性とは言い難いですが、
BGMではもちろんボカロ曲やボーカル曲でも使っていいわけで
いわゆる音楽理論と呼ばれるものを一通り習得しておくと
色んなところで役に立ったりします。


最後までお読み頂き有り難う御座いました。

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