メロキュンプレゼンツ!!
《ハッピー♡プレゼント!!》
相変わらずメロキュン要素は少ないので
口直しは、こちらでどうぞ。↓
メロキュンお祭り会場
アンラッキーガールに幸運のキスを♡ 3
頬を膨らませて呟くキョーコに、蓮は一層愛しさが募り
思わず抱きしめたい衝動に駆られる。
ぐっと握り締めた手に力を入れ我慢するが
もう一人の自分が甘い誘惑の罠を囁いてくる。
慰める為なら、抱きしめても構わないんじゃない?
過去にも、あっただろう。
コーンを心配して、涙する彼女を慰める為に抱きしめたじゃないか。
別に、難しく考えなくてもいいさ。
心は甘い囁きに、激しく揺れている。
でもまだ------- 中途半端な関係のまま
今の彼女には触れたくない。
できればちゃんと気持ちを伝えた後で、抱きしめたい。
頭を振って、背後のテーブルの方に振り返り
今持っている箱を置き、代わりに置きっぱなしになっていた
もう一つのマフラーを手に取った。
「これはね、さっき百瀬さんから贈られたものなんだ。」
「うっ…すみません…全く同じもの…ですよね……」
近くで見ると、本当に同じものなんだと実感して
どんどん自分が惨めになってくる。
この贈り物が不似合いの自分とは違い
よく似合う、敦賀さんと同じスターの百瀬さん。
また先ほどの二人の仲睦まじい姿が思い起こされ
キョーコの胸がきゅっと締め付けられる。
「10日ほど前だったかな…屋外のロケだったんだけど、その日は風がきつくてね、ひどく寒い日だったんだ。」
俯き、唇を噛み締めているキョーコに
蓮は淡々とその日の事を話し始めた。
「なのに、現場の都合でずっと外で待機になっちゃって、お互いすっかり冷えてしまったんだ。隣でずっと震えている百瀬さんの首元が、酷く寒そうで可哀想になってね、俺がしていたマフラーを外して、貸してあげようとしたんだけど・・・突然、突風が吹いて、マフラーが飛ばされたんだよ。」
「そうだったんですか…」
「すぐに見つかりはしたが、引っかかっていた木の場所が高くてね
脚立に乗っても届く場所じゃなかった。現場に迷惑もかけられないし
残念だったけど、マフラーは諦めたんだ。」
「…ついてなかったですね…私、社さんからは失くしたとしか聞いていなかったので、理由は聞いてませんでした。」
「その場に社さんはいなかったから、仕方ないよ。」
「だから百瀬さんは、お詫びのつもりで同じものを探して、俺への誕生日プレゼントにしてくれたんだ。」
「それは・・・そうしますよね・・・普通・・・
やっぱり私の出る幕じゃあ、なかったんだ…」
「そうじゃない!それに…百瀬さんがくれた物は…
俺が飛ばしたマフラーとは違っていた。」
「同じじゃないんですか!?」
せっかく喜んで欲しくて、大切にされていた物を贈りたかったのに----
蓮の言葉を聞いてキョーコは、すっかり拍子抜けしてしまった。
しかし蓮は気にすることなく、言葉を続ける。
「うん、同じなのは、こっち。最上さんがプレゼントしてくれた方だよ。」
自分がこんなにも運の悪さを呪い、落ち込んでいるのに
しれっと嘘を言う蓮にムカつき、言葉も荒くなる。
「もう同情なんていりません。どちらも同じ柄のマフラーでしょ!」
「いや・・・それが、違うんだよ。」
蓮は両方のマフラーのロゴと反対側の面を差し出して
キョーコに見せた。
「こっちが百瀬さんから貰った物で、こっちは最上さんから貰った物だ。
よく見て。最上さんの方には、ここに小さなマークが刺繍されているだろ。これが俺のマフラーの印だよ。」
これは・・・・ 以前
敦賀さんに頼まれてオムライスの上に書いたのと同じマーク。
「……∞(無限大)のマーク…」
「うん、日本ではそう呼んでいるね。英語では、『インフィニティ』と言うんだ。」
「…敦賀さんは以前、このマークを私に書かせて、食していた事がありましたね。」
「クスッ・・・そういうこともあったね。」
BJをやり遂げる為に、
久遠の闇に打ち勝とうとして食べた、『マウイオムライス』
------あなたはできる
絶対勝てる
自分の可能性を信じて
可能性は、無限なんだから---------
「あの時、自分で限界を決めてはいけないって、最上さんは言ってくれただろ。」
「その節は、生意気なことを言って、申し訳ございませんでした!」
「いや・・・本当にその通りだと思った。
だからそれからも、新しい仕事のオファーを貰う度、いつも自分に言い聞かせていたんだ。自分で勝手に限界を決めてはいけない。可能性は無限大だ。
負けられない----絶対勝てる、ってね。」
「そ、そうですか---///」」
「でね、以前その話をアールに話したら、ちょうど持っていたマフラーに、お守りにすればいいと、この∞のマークを刺繍してくれたんだ。」
「そうだったんですか・・・だから、大事にされていたんですね。」
「ああ・・・このお守りがまた
俺の元に戻ってきてくれて、本当に嬉しいんだよ。」
「でもなぜ、このマフラーにだけ、∞(無限大)の刺繍がされていたんでしょうか?社さんは、この話をご存知だったんですか?」
「いや、知らない筈だ。多分、偶然だと思うよ。偶々、アールが来日している時に社さんから連絡があって、失くしたマフラーをもう一度プレゼントしたいという話をしたらしいから、彼が気を利かして、また刺繍してくれたそうだ。この前の電話で、彼本人が言っていたからね。」
「ええ~~っ、知ってたんですかぁ~~!!」
両手を頭に当てて、素っ頓狂な声で叫ぶ彼女に
気圧されそうになりながら頷く。
「あっ、ああ・・・・まぁ・・・でも、俺はてっきり社さんからのプレゼントだと思ってたから・・・・ちょっと、びっくりした。」
「だ、だから、百瀬さんからのプレゼントもすぐに開けて確認されたんですか?」
「うん・・・・ごめん・・・・・・」
「もぉ・・・・なんて間抜けなんだろう・・・
敦賀さんが知っているとも知らずに、サプライズプレゼントだとか
気に入ると思うとか、昨日散々偉そうに言ってた自分が恥ずかしい・・・
はぁ~~っ・・・最悪・・・・
やっぱり私は、アンラッキーガール・キョーコよ!!
最凶の厄女(やくじょ)なんだわ!」
顔に手を当て、絶望の叫びを上げるとキョーコは
その場にへなへなと蹲ってしまった。
(最凶の厄女?どういう意味だ?)
「よくわからないけど、最上さんが社さんに頼んでくれたから
このお守りを貰えたんだよ。
俺にとって君は、幸運の女神--------
決して、アンラッキーなんかじゃない。」
抱えた膝に顔を埋めているキョーコの前に跪き
その柔らかい茶色の髪に蓮はそっと手を伸ばした。
「本当はね、無くしたこと、ちょっとショックだったんだ・・・まるで無限の可能性なんてあるわけないと、誰かに笑われたような気がしてさ・・・
でも、また、戻ってきた。こういうのって、思ってた以上に嬉しいものなんだね。」
「でもそれは、偶然で、私のせいじゃないですから・・・
それに、これがどれだけ敦賀さんにとって、大切なものでも、見た目は同じです。同じ物が二つあっても、両方身につける事はできません。
敦賀さんはお優しいから、どちらか一つだけ身につけるなんて、できないくせに!」
「まぁ・・・そう言われればそうだけど・・・」
ポリポリと頭をかいて、困ったように言葉を濁す蓮に
キョーコはポツリと呟いた。
「・・・やっぱり・・・他のものにすればよかったな・・・」
瞬間、蓮の心に
不埒な欲望の火が灯る。
「なら、最上さん、もう一つ欲しいモノがあるんだけど、いいかな?」
「えっ!何かあるんですか?」
「うん、ひとつだけあるよ。」
「どうぞ、仰って下さい。私が買える物なら何でも!」
「物じゃないんだ。」
「・・・・・・・?」
「君の------------
俺の幸運の女神である、最上さんからの祝福のキスが欲しい。
今ここで・・・それを頂戴。」
すぅーっと目を細め、薄い紫色のオーラに変わってゆく。
顔を斜めにして覗き込む表情は、自分が一番苦手とする夜の帝王。
人差し指を唇に当てる仕草が妙に艶かしく、意味深で、見つめる視線から逃れられない。
ぶわわぁぁ~っと真っ赤になる顔を背ける事もできず
フリーズしてしまい、何も考えられない。
耳の奥で、鼓動が大音響で鳴り響き、
まるで賑やかな爆竹祭りのようだ。
「最上さん・・・・?」
ショートして壊れたおもちゃのように固まっている彼女が気になって、声をかけても返事がない。
いつもなら、面白いほどに驚いて飛び退くのに、今は反応もない。
ただ青褪めるのではなく、真っ赤になっているから
ここはまだ、マシと思う方がいいのか。
彼女の場合
純潔を誓った相手だからといって
俺だけ特別ってわけにもいかないしな・・・
現実、容赦ないな・・・・・
蓮は、気持ちを切り替えるようにふぅっと息を吐き出して、もう一度、キョーコを見た。
「冗談だよ。こっちはまだ、君には刺激が強すぎたようだね。」
表情を緩め、穏やかに笑うと、顔をゆっくりと横に向けた。
それでも暫くは、どうするか迷っていたキョーコだったが
観念したのか、ゆっくりと蓮の左頬へと唇を近づける。
(それに・・・ここでカウントされて、次が無くなるのはもっと嫌だから・・・・)
キョーコに聞こえないように、小さく呟いた言葉は
キョーコのリップ音に消されていった。
熱を持った唇が僅かに震えていて、役をつけていない、最上さん自身が贈ってくれた証のような気がして、歓喜に胸を踊らされる。
こんな事くらいで浮かれている事が
もしも社さんにばれたら
また遊ばれそうだが
彼女からのものはどんな事でも嬉しいと思えるのは
恋した男の弱みだから仕方ない。
離れていく温もりに、一抹の寂しさも感じるが
今はこれ以上は望めない。
「ありがとう、最上さん。」
蓮は立ち上がり、持っていた二つのマフラーをそれぞれの箱に戻して、キョーコのプレゼントの方だけを、自分の鞄に直し込んだ。
そしてもう一度振り返ると
まだ、さっきと同じ状態でしゃがんだまま
真っ赤な顔で固まっている彼女に声をかける。
「そろそろ時間だから、先行くね。」
彼女の頭をポンと叩いて、横を通り過ぎた。
~そろそろ時間だから、先行くね。~
そう言って、今のキスも大した事でもなかったように
敦賀さんは離れていった。
確かに敦賀さんにとって、頬チューなんか
挨拶程度のレベルで
全然特別じゃない事も知っている。
それでも------
私にとっては
清水の舞台から飛び降りるほどの覚悟が必要だったんだから!
ちょっと悔しくて、立ち上がり振り向くと
真っ直ぐ歩いている敦賀さんの背中が
とても遠いものに見えた気がして、急に怖くなった。
私・・・・・・・・・
もしかして、敦賀さんに呆れられた?
こんな面倒くさい子なんて、鬱陶しいと思った?
敦賀さんの中でも私は、いらない子になってしまったの?
ドクドクと嫌な汗が背中を流れ出し、過去の記憶と重なっていく。
手を差し出しても振り払われ
何度呼んでも振り返る事はなく
置いていかれた、幼い日々。
いつも私が見ていたのは、冷たい母の背中だけだった。
また-------
私は一人
置いて行かれるの・・・・・・
イ、ヤ、ダ・・・・
あんな寂しい思いは、二度としたくない。
「待って、行かないで!」
焦って駆け寄り、部屋を出ていこうとした敦賀さんの背中に
必死でしがみついた。
敦賀さんに気持ちがバレないようしようとか
ただの後輩でいようとか
そんな事
何も考えられなかった。
ただ-------
置いていかれたくなかった。
これで
今の心地よい関係が終わりになったとしても
きっと後悔しない
だって
私は貴方を
ずっと好きでいる事には変わりないんだから------
次で終わりたいけど・・・
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