「チャンミン、ユノ君よ。」
廊下から母の声が聞こえた。
「いないって、言って!」
部屋の扉を開けずに返事をすると、いきなり扉が開く。
「誰がいないって?」
急にユノが入ってきた。
「な、何だよ、急に!」
「おまえと見ようと思ってな。」
ユノは、僕にレンタルDVDを渡す。
「これ、もう見たやつじゃん。」
「ああ。今日、デートだったんだけど。」
「なんだよ、自慢かよ。」
「それが、最高に退屈な恋愛映画で、俺はどちらかって言うと、SFかアクション映画の方が好きだから、これみて、すっきりしたくてね。」
「なら、家で見ろよ。」
「一人で見てもつまらないだろう。」
「彼女と見ればいいだろう!」
「俺は、おまえとみたいの。」
膨れっ面したけど、本当は嬉しくてたまらなかった。
DVDをセットすると、
「この間は悪かったな。」
僕より先に謝ってきた。
「別に。」
素直じゃない僕。
「まあ、俺達の仲だもんな。」
ユノは僕の肩に手を回した。
ユノにとっての俺達の仲って何?
わかっているのに、聞きたくなる。
その答えが決して、僕の想いとは違うのに。
「気持ち悪いな。手を回すなよ。」
その手を振り払った。
「そう言うなよ。」
ユノは離れないように僕にわざとしがみつく。
ねえ、ユノ。
この想いを伝えなければ、こうやって、僕に触れてくれる?
いつまでも、、、。