ピアノ男のソナチネ(第2楽章)~「やっぱり僕にはピアノしかないんです!」1音1音を大切にする事に目覚めたミスターピアノ男の軌跡

このブログは脳出血を起こして体と頭と目が不自由になってしまった義理の母マミーのリハビリと介護、そして病弱な妻かっちんとチワワのちーくんのお世話をこなしながら自宅で法務事務所をやっている40男が繊細なピアニストになるまでの日々のドラマを綴ったものである。

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7月10日(月曜日)、その日は朝から義母マミーはデイへ行っていた。

そして夕方5時前には帰宅してきた。

僕が音大受験生になってから、マンションの部屋まで僕がマミーを連
れて帰って来ると、妻のかっちんがマミーの靴を脱がせたり、その後
うがいや手洗いをさせてくれるようになっていた。

かっちんなりに、少しでも受験生の僕にピアノの練習をさせる時間を
与えてあげようと思ってくれていたようだ。

しかしその日は、何故か僕がマンションの部屋まで上がってきても、
かっちんは出てこなかった。なので僕がマミーの靴を脱がせて、う
がいや手洗いをさせる為に車椅子のマミーを洗面所に連れて行った。

するとマミーは叫んだ。

「痛いっ!」

見ると、マミーの車椅子のフックに乗せてある右足のつま先が洗面台
横の出っ張りに当たっていた。しまった!とは思ったのだが、特に何事
もなさそうだったのでマミーをトイレの便器に座らせる。

そして便器に座ったマミーの外出用のズボンを家用のズボンに履き
替えさせると、マミーを車椅子に移してまた洗面台で手を洗わせよ
うとした。

するとまたマミーが叫んだ。

「痛いっ!」

しまった! またマミーの右足のつま先を洗面台横の出っ張りに当てて
しまった。

早くピアノの練習がしたくてあわてていたのだろうか?

ブツブツ言うマミーに僕は言った。

「いつも足を引っ込めてって言ってるのに、引っ込めてないから当たっ
たの!」

それを聞いてマミーは言った。

「そうか、わてが足引っ込めとかんとあかんかったんやな。どうも
すんません・・。」

話はこれで終わるかと思いきや、この一連の行動を見ていたかっちん
が烈火の如く怒りだした。

「何や、その言い方は? あんたが気つけてあげたら良かったんやろ?
やり方が粗いねん! さよちゃん(マミー)は目見えてへんねんからな!!」

この言葉に僕は反論した。

「マミーが文句ばっかり言うからだよ!」

「そりゃ痛かったら「痛い」くらいは言うやろがっ! 人間なんやからな!」

「違うよ、痛いのを痛いって言うのはいいけど、その後「こんな所に足
を持っていくな!」とかブツブツ文句言い出したんだよ!」

「そりゃ痛い事されたら文句も出るやろがっ!」

「そうじゃない、そうじゃないよ! マミーはいつもだよ! いつも文句しか
言わないよ!」

「それはあんたが失敗しかせーへんからやろがっ!」

「違う、そうじゃない、そうじゃないよ! いつだって文句ばっかりだよ! 
かっちんもマミーも文句しか言わない! だから僕も言ったんだよ!」

「はぁ? 私が文句? 私が何時あんたに文句言うたっちゅーねんっ!」

「いつもだよ!!」

「いつもって何時や! 私は近頃は言いたいことの100分の1も言うて
へんねんからな!! どんだけ私が我慢してるかわかっとんのか!!」

「我慢してるか知らないけど、それが僕にはちゃんと伝わってるんだよ!!」

「そんなもん知らんわ!! あんたが勝手に感じてることを文句言うてる
言われても私は知らんで!! 私は言いたいことの100分の1も言わん
と今までずっと我慢してきたんやからな!!」

その後、これでは埒があかないと思った僕は仕事部屋へと走って逃
げ込むも、かっちんが追っかけて来た。なので今度はお風呂場に逃
げ込むのだが、またかっちんが追っかけて来たので、また仕事部屋
へと逃げ込む僕。

そんな事がエンドレスで続くのかと思いきや、マミーをそのままほお
っておけないと思ったのか、かっちんはマミーの所へと向った。

良かった・・・。

しかし仕事部屋で一人残った僕はこの件について色々と考えた。

一体どうしてこんな事になってしまったのだろうか?

この僕たち家族のギスギス感は一体何なのだろう?

マミーの介護やリハビリをめぐっては、今までも僕とかっちんは色々
と衝突してきた。

僕はマミーの既存している能力を少しでも向上させたいと思っている
ので、マミーに対して一切甘やかしはしない。

今回の洗面台の横の出っ張りの一件も、いつもマミーには出っ張りが
あるから足を引っ込めるようにと促していた。

すると言えば分かるマミーは大抵は足を引っ込めてくれる。(この時
は引っ込めなかったので問題が起こってしまったわけなのだが・・)

しかしかっちんは違う。言葉でいくら注意しても、マミーのように脳
に問題のある人は日によって理解力にムラがある。

いつもなら足を引っ込めてくれても、いくら言っても全く引っ込めて
くれない日もあるのだ。

なのでかっちんは洗面台横の出っ張りにマミーの足が当たらないよう
に、いつも注意しているようだった。

だから僕にもそうしろと言いたかったのだろう。

だけど僕には僕の考えがある。今、出来ている事をさせないと、どん
どん出来なくなってしまうのは目に見えている。だから何と言われよ
うとも、僕は僕の思う方法でやるしかないのだ。

しかし僕とかっちんのやり方は違っても、僕のやり方が間違いだとは
思っていないかっちんは、マミーの介護やリハビリに関しては僕に口
を出さないと決めていたようだった。

しかし、この時限りは自分の大事な母親の右足のつま先を2回も洗面
台横の出っ張りに当ててしまった僕に、ついにかっちんの堪忍袋の緒
が切れてしまったようだった。

だけど、慎重な僕が2回も同じ失敗を繰り返すなんて、よくよく考え
てみると、やっぱり僕はピアノの練習がしたくて少しあわてていた
ようだ。

そんな事を考えている内に、今まで胸の中にあった疑問がどんどん
吹き上がっていった。

元々はマミーが僕に「音大に行って」と言って始まった僕の超ハード
な音大受験生活~。

だけど音楽の才能が全く無かった僕にとっては、その道のりは生半可
なものでは無かった。

だからとりあえず人よりも練習しなければならないという事で、朝の
7時~深夜の2時までピアノのある仕事部屋に篭って、仕事や用事
のない時はずっとピアノや楽典の勉強に明け暮れた。

そんな僕に気を使っていた家族(マミー&かっちん)も、よっぽどの事
が無い限り、なるべく僕を頼らないようにしてくれていたようだった。

だけどやはり無理があったのだ。

この日、かっちんの堪忍袋の緒が切れたと同時に、今までかっちんが
我慢してきたことが全てかっちんの口から龍の様に吹き出てきた。

僕がピアノ弾いてる時はマミーがトイレに行きたがっても、ずっと我
慢させていた事、かっちんはマミーをベッドから起すことこそ出来ない
が、ベッドに寝かせる事は練習すれば出来るかもしれない。そしたら
イチイチ僕の手をわずらわせなくてもよくなるからと、訪問リハビリ
の先生に簡単にベッドへ移乗できる方法を教えてもらっていた事、そ
の他にも色々言ってたけど沢山ありすぎて忘れた。

とにかく受験生を抱える家族は気使って大変だったという事だった。

マミーを、かっちんを喜ばせる為にと始めた音大受験だったのに、こ
んなにも家族に負担をかけていたと知った時、僕の頭はやっと冷静に
なった。

音大音大、ピアノピアノ言ってたって、僕のしてる事は指動かしてる
だけ。指動かしたいだけ。

ピアノブログの友達たちは、みんな本当にピアノや音楽が大好きな人
達ばかりで、あんなにピアノが上手なのに今よりも少しでも良い演奏
が出来るようにと日々心を込めて真摯な気持ちでピアノに向き合って
いるというのに、僕は一体全体何やってたんだろ?

楽器としてではなく道具としてピアノを扱い、芸術を音楽をピアノを
愛でるということは一切せずに、ただただ指を器用にしたかっただけ
速く動くようにしたかっただけ、こんな気持ちでいる人間が音大に行
くだって? 

笑っちゃうよ。

アヒャヒャヒャヒャヒャ~♪

 
そんなこんなでこの日(7月10日)、笑いが止まらなくなってしまった
僕はやっと冷静になり音大受験やピアノから手を引く事となった。



長い、長いわ・・・だけどまだもうちょっと続く~


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