先日入荷しましたペトロフP194Storm、
プレップアップ作業が完了しました!
楽しみにされている皆様に下記ご報告、
長い記事ですのでどうかご覚悟を...。
各ベッディングスクリューを調整した後
鍵盤筬と棚板に浮きが生じていたため、
慎重に削りながら合わせていきます。
ヨーロッパ製ピアノを輸入販売するには
時折こうした木工作業を行う必要あり。
鍵盤のバランスキーピン前後を調整。
プレップアップの作業工程に興味のある
ピアノ技術者が今回もサポートに。
アクション、鍵盤を外して筬のネジ締め。
専用のポジドライバーを使用します。
鍵盤の高さをあらかじめチェック、
パンチング紙を抜き差しして調整。
もちろんキーピンもクリーニング。
土台を手入れした後キーホールを掃除、
木屑をブラッシングして取り除きます。
キーホールを掃除しつつ鍵盤遊び調整、
専用工具で地道に整えていきます。
アクションに力を伝えるための鍵盤後部
キャプスタンの先端も綺麗に磨きます。
(左がアフター、右はビフォー)
そういえばハンマーフェルトの整形作業を
忘れていました。綺麗な卵型となるように
慎重にひとつずつ心を込めて行います。
高音域のハンマーはまとめてファイリング、
艶々しく色気を帯びた音を意識しました。
ハンマー&弦の合わせを正確に実施後、
今度はサポート合わせを行います。
ハンマーシャンクのローラースキンと
黒鉛が塗られたレペティションレバー、
かみ合わせを精密に調整します。
場合によってレペティションレバー後方
フレンジにのり紙を貼って角度を調整。
レペティションレバーを合わせた後は
鍵盤後方バックチェックとハンマーの
合わせ作業、ひとつずつチェック。
ジャックの前後位置を確認&調整
続けてジャック上下の調整を実施。
レペティションレバーのレベルよりも
0.2mmほど低くなるようにチェック。
そして繊細なピアニッシモを操るための
ハンマー接近調整、LEDライトで照らし
0.5mm単位でひとつずつ精密に実施。
接近のポジションが決まったらドロップ、
落下距離を2mmに調整しました。
鍵盤あがき、深さ10mmに調整します。
白鍵のアフタータッチを適度な感触に
打弦距離(ストローク)を設定します。
ストローク調整後、白鍵のアフタータッチを
参考にしながら次は黒鍵の深さを調整...
ハンマーストップ調整、弦から15mmに
スプリング、ダンパーの点検を行った後
A=442Hzで調律作業を実施。
fff~pppまで各音量レンジを聴き分けて
針刺し作業、丹念に弾力性を整えます。
弦跡をもとにソフト(シフト)ペダルの
整音作業も忘れずに行います。
音質の粒を整えるべく3弦合わせ、
市販のピアノでここまで調整されている
ケースは極めて少ないのが業界の実情...
こうして数日に及んだプレップが完了、
P194Stormがようやく「楽器」に。
洗練された艶々しい音、豊かな響き...
ピアノを愛好する方々に自信をもって
お勧めできるクオリティになりました。
1台ずつピアノに向き合い手間と時間を
惜しまずにプレップしたチェコの名器...
皆様のご試弾をお待ち申し上げます!
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