$Piattの私的映画生活

    63年の傑作時代劇を「クローズZERO」「ヤッターマン」の三池崇史監督が豪華キャストでリメイクした
    時代劇エンタテインメント大作。権力を笠に言語道断の蛮行を繰り返す将軍の弟を暗殺すべく集められた
    13人の刺客が、300人を超える軍勢を相手に壮絶な戦いに臨む姿を描く。(allcinemaより)

    8月試写会で鑑賞し、あらすじまで書いておきながら諸事情により遅れてしまいました。

    あらすじは こちらグッド!

                    $Piattの私的映画生活

    これはネタばれになるのでしょうか…どこまで書いていいものか、迷うところです。
    この映画を鑑賞した後、工藤栄一監督作品(脚本;池宮彰一郎)「十三人の刺客」も鑑賞しました。
    ストーリーは、ほぼ原作どおりです。
    ただ、クライマックスの殺陣シーンで敵の数は53人、しかも時代劇史上最長30分と、話題になった作品。
    この名作をリスペクトしながら、大胆にそれを上回る殺陣300人が50分に渡って繰り広げられる死闘。
    かなり、迫力が増していることに、この作品に込められた監督の意気込みを感じる。
    これは、なかなか面白い。

                     $Piattの私的映画生活←今年の夏は暑かったからねぇ…

    監督は、海外でも高く評価を受けている三池崇史監督。
    映像化不可能といわれる企画を次々に可能にしてきた鬼才映画監督。
    作品は「スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ」のエンタメから「着信アリ」のホラーまで幅広い
    (妖怪大戦争はコケたけど…)が、多分、作り手の意向は同じ臭いがする。

    過去の名作を時代を越えて映像化する、その意味は何なのだろうか。
    もちろん、原作を知らない世代にもこんな素晴らしい作品があったんだと知らしめる意味もあるだろうが、
    なにより大きいのは、DVDや劣勢の白黒作品で忘れられそうな名作を、今現代の息吹を与え、新しい解釈で
    みせることだという。
    「この映画はライブだ。観客もキャストもスタッフも一緒に喜んでくれたら嬉しい。」と、監督は言って
    いたのを思い出した。(なにせ、試写で見たのが随分前なので…)

                      $Piattの私的映画生活


    映画監督にもタイプはそれぞれあるが、どこの国の監督もそれはきっと変わらないのではないだろうか。
    役者と話し合いながらコツコツ作る人、こだわりを持ってすべて自分の世界観で創る人、職人のような
    勤勉さで考え抜いて造り上げる人、それなりに作る人または閃きで創る天才(滅多にいないかも)…
    いずれにしても、映画が好きで好きでたまらないということは大前提なのだが。
    三池監督は、職人タイプの人なのではないかなと思う。


                      $Piattの私的映画生活


    ≪ここからネタに触れます、ご注意ください。≫

     ➀ 伊勢谷友介演じる野人の存在

       山形ロケということで、山中の風景を生かしている。最近、山形ロケの作品はけっこう多い。
       「おくりびと」「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」「蝉しぐれ」最近では「必死剣 鳥刺し」まで、
       未開の自然が残っている、ロケ地招致など様々理由はあるだろう。
       だが、山形の風景を見ていると、癒される自然の風景とは違う威厳を感じるのだ。
       その山のどこかに、山の神様が住んでいるような気がしてくる、特に夜になってざわざわと木々が揺れる
       様は本当に何かが潜んでいるように怖い。
       おそらく、野人は山の神をイメージしたのではないだろうか。だとすればその後の行動も納得がいく。
       (岸部さんとのアクシデントはアドリブだそうですが…。)

                        $Piattの私的映画生活


      ➁ オリジナルとちょっと食い違う後半

       稲垣吾郎演じる冷血暴君、原作より圧倒的でした。何もそこまでやらなくても…。でも、そこまで
       徹底的だからこそ、あの十三人の刺客たちが際立つのだろう。
       そして切腹や残虐シーンの気持ち悪い音、あれだけで何もかも想像できてしまうなど、観客の感性を
       信頼してくれている、誰がみても分かる映画創りをしていないのも好感持てた。
       オリジナルでの新左衛門は言わずと知れた時代劇のスター、片岡千恵蔵、倉永役は 嵐寛寿郎共に当時
       60歳。
       そろそろ主役の座を若手に譲って脇役に徹しようかとする年齢、散々仲間をけしかけて、大スターは
       クライマックスでようやく腰を上げる。
       一方、役所広司の新左衛門は先頭切って皆と共に戦っていく。
       この姿勢が現代の先頭に立つものの在り方ではないだろうか。
       自分が命を預け、“使い捨てる”と言われてもいいと思える人物、それを台詞や演技ではなく、その人物の
       本来持っている雰囲気で味あわせてくれた、これはリメイクして成功だったと言えるだろう。
       この作品鑑賞後はぜひ、オリジナルと観比べて欲しい。

                       $Piattの私的映画生活

       ところで、イーグルスの名曲は…?
       まぁ、いいか…

       聴きたい方は こちら音譜グッド!


       罠しかけて、多人数で征伐するというと、どうしても巨匠黒澤の「七人の侍」と比較して評価してしまう
       のは仕方ないのかもしれない。

                        $Piattの私的映画生活

       それにしても、主人公が13人は多すぎだ。個性を描き切れない、群像劇がメインじゃないんだけど…
       ちょっと残念。
       でも、平山九十郎が刀をそこらじゅうに突き刺し、その刀を取替えながら二刀流でバッタバッタと敵を
       なぎ倒すところなどは「座頭市」だったり、あらゆる“時代劇”へのリスペクトは感じられた。
       (そう言えば韓国映画で“墨攻”という10万VS1人っていうのもあったな…。)

                        $Piattの私的映画生活

       なお、作品はフィクションだが、暴君のモデルとされたのは11代将軍家斉で、参勤交代の道中、道に飛び
       出した三歳児を切り捨て御免とした事件が元になっている。

       暴君が老中になってもならなくても、この事件の24年後、1868年5月3日(慶応4年=明治元年4月11日)、
       江戸城が明治政府軍の手に落ち、2百数十年続いた江戸幕府はついに崩壊する。

       時代の悲哀、兵どもが夢のあと…。

                         $Piattの私的映画生活


       監督: 三池崇史
       製作: 上松道夫他
       プロデューサー: 大野貴裕他
       エグゼクティブプロデューサー: ジェレミー・トーマス  「戦場のメリークリスマス」「ラスト・
                                 エンペラー」他カンヌ映画祭審査委員を務めた
                                 こともある。彼が海外向けに大きく貢献している
                                 が、果たして日本文化の機微まで伝えることは
                                 出来るだろうか。
       原作: 池宮彰一郎
       脚本: 天願大介

       出演:2010年版=比較=1963年版

         役所広司  島田新左衛門(御目付七百五十石)=片岡千恵蔵
         山田孝之  島田新六郎(新左衛門の甥)=里見浩太朗
         伊勢谷友介 木賀小弥太(山の民)= 山城新伍
         松方弘樹  倉永左平太(御徒目付組頭)=嵐寛寿郎
         伊原剛志  平山九十郎(浪人)=西村晃
         平幹二朗  土井大炊頭利位(江戸幕府・老中)=丹波哲郎
         松本幸四郎 牧野靭負(尾張家木曽上松陣屋詰)=月形龍之介
         稲垣吾郎  松平左兵衛督斉韶(明石藩主)=菅貫太郎
         市村正親  鬼頭半兵衛(明石藩御用人千石)=内田良平

         沢村一樹  三橋軍次郎(御小人目付組頭)=阿部九州男
         古田新太  佐原平蔵(浪人)=水島道太郎
         高岡蒼甫  日置八十吉(御徒目付)=春日俊二
         六角精児  大竹茂助(御徒目付)=片岡栄二郎
         波岡一喜  石塚利平(足軽)=和崎俊哉
         石垣佑磨  樋口源内(御小人目付)=加賀邦男
         近藤公園  堀井弥八(御小人目付)=汐路章
         窪田正孝  小倉庄次郎(平山の門弟)=沢村清四郎

         吹石一恵 お艶(芸妓)/ウパシ(山の女)=丘さとみ(ウパシは×)
          ×(多分、落合宿の女)=藤純子
         谷村美月  牧野千世(采女の嫁)=三島ゆり子
         斎藤工   牧野采女(靭負の息子)=河原崎長一郎
         阿部進之介 出口源四郎(明石藩近習)=×
         内野聖陽  間宮図書(明石藩江戸家老)=高松錦之助
         光石研   浅川十太夫(明石藩近習頭)=原田甲子郎
         岸部一徳  三州屋徳兵衛(落合宿庄屋)=水野浩


         141分 日本映画(東宝)R12指定
         2010年9月25日公開 全国東宝系ロードショー

        (2010年9月25日初稿:2010年9月30日加筆修正)


         


       ※コメントへの返信は、怪我のため遅れますので、ご了承ください

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