練習を休むのがためらわれる人へ

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休養は大切だとわかっていながら、それでも「1日休むと3日遅れる」ことを恐れて休養を取れていない人がいるかもしれません。しかし、身体を動かさずとも頭の中で練習することによりトレーニング効果が得られるのであれば、身体を休めることもできるのではないでしょうか?



Pascual-Leoneらが行った研究では、1日2時間のピアノ練習を①実際にピアノの鍵盤に触れて練習したグループ、②頭の中でのリハーサルを繰り返すことによって練習をしたグループ、そして③何も練習をしなかったグループの3つに分けて5日間練習を行ってもらい、その効果を比較しました。②の頭の中での練習、つまりメンタルトレーニングをしたグループは、ピアノの前に座りましたが、宙で指を動かすこともせず、鍵盤に触れることもせず、音のイメージをしながら指が鍵盤の上を動くのを視覚化するトレーニングを行いました。



このグラフはそのトレーニングの結果です。黒丸が①の実際にピアノに触れて練習したグループ、白丸が②のメンタルトレーニング、四角は③の何もしなかったグループです。メンタルトレーニングのグループの5日目の結果は、①のグループの3日目と同レベルとなりました。さらにメンタルトレーニングのグループは、5日目に実際にピアノを使った練習することにより、①の手を動かしながら練習をしてきたグループと同じレベルへと上達が見られました。

実際に身体を動かすことなく、頭の中でのトレーニング(メンタルトレーニング)をすることでも実際に鍵盤に触れて練習をしたグループの脳と同じ神経学的変化が起こったとされています。また、メンタルトレーニングと身体を使ったフィジカルトレーニングの組み合わせが、フィジカルトレーニングだけの場合よりも技術の向上につながるとされています。



頭の中でのリハーサル、メンタルトレーニングをすることによって、実際に運動をする時に必要な脳の部分が活動してくれます。怪我をしてしまって練習を休まなければいけない時や、本番前に体力を温存しておきたい時などにメンタルトレーニングは役立ちます。フィジカルな部分(身体)は休養しつつ、身体の動きをコントロールしてくれている部分である脳を上手にトレーニングしてみましょう。


参考文献
Pascual-Leone A, et al; Modulation of muscle responses evoked by transcranial magnetic stimulation during the acquisition of new fine motor skills.: J Neurophysiol. 1995 Sep;74(3):1037-45.
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