前回の投稿に引き続き「頑固親爺の徒然手記(難問解決への道標) 報道の精神はどこにある 」への感想である。


G氏のご意見によれば、小田氏は、いじめを抑止するための方策を3点挙げていると指摘されている。

G氏は小田氏が「いじめはなくならない」と考えていると主張されていたから、つまり、小田氏は「いじめはなくならないが抑止できる」と考えていると理解されているのだろうか?


個人的には、この種の問題は抑止できれば十分で、残りはレアケース・事故として扱うのが現実的だと思うので、そういう解釈ならそれで構わないと思う。それはそうとして、その3点とは何かについて引用させていただきたい。

いじめを抑止するための方策に関して次の3点挙げておられる。
 その1は、本能的な欲望を抑制する機能は大脳皮質がつかさどっているから、躾や教育等による大脳皮質へ働きかけが重要であること。
 その2は、いじめには必ず罰を与えること。
 その3は、幼児期のスキンシップが大切であること。

皆さんはこの文章の意味が理解できただろうか?


恐縮ながら、私には「その1」に書かれている内容が分からなかった。幸い、小田氏の著書にこれに対応すると思われる箇所があったので、原著を元にして自分なりに要約したい。私の解釈としては、この本は、いじめを抑止する方策を次のように指摘していると考える。


いじめを抑制するためには、しつけや教育が重要である。具体的には、

1. いじめには必ず罰を与える
2. 同情心を育てる
この二つが重要である。


1. は原文では次のようにより具体的なことが書かれている。

弱い者を攻撃すれば、もっと強い者から攻撃をされるという怖さを教えることである。

(小田晋著、大人社会のいじめを心理分析しよう、p.62)


2. は、いじめられている人に対して「かわいそうだ」という心を持つことができれば、いじめは抑止できるという話だ。もっともだと思う。しかし、どうすれば同情心が育つか。小田氏は、幼児期の母親の影響が重要だと主張なさっている。

母親の腕に抱かれ、やさしく話しかけられることで子どもの心は落ちつき、情緒的な部分が育っていく。

(同書、p.84)


なお、これらがいじめを「抑止する方策」である点に注意が必要である。これはいじめる側の立場にならないための提案であって、いじめられている人への自衛策ではない。幼児期のスキンシップ云々という話は、現にいじめが発生する状況になってしまったら手遅れなのだ。


では、いじめられる側はどう対策すればよいか。もちろん、この本はそこも具体的に述べているのだが、最初に紹介したように、この本は大人社会におけるいじめを想定して書かれている。だから、今回の中学生の件に適用することは難しいかもしれない。


例えば次のような対策が提案されている。

会社や周りの人間との間に距離を置いてみる (p.101)
思い切って自己主張してみる (p.102)

自己主張というのは本文中では「喧嘩」という表現もされている。「モーニング」というマンガ雑誌に、先日、いじられ役のキャラが年に一度ブチ切れてクラス中を凍りつかせるという話が出ていた。確かに普段おとなしい人が怒ると怖いものだ。


(つづく)