ちょっと前のニュースだが、マンションの耐震強度の計算方法が二つあって、違った値が出るということで、話題になっていた。最初の計算では強度不足だったが、別の方法で計算したら基準値の120%の強度があるから大丈夫だ、というのである。


このことは3月9日の朝日新聞の社説でも話題になった。その趣旨を超要約すると、認可された計算方法が2つあるのなら、同じような結果が出ないとおかしい、なぜ違うのかちゃんと説明しろ、ってところだったと思う。


それもある意味正論かもしれないのだが、個人的には、同じような結果を出せというのはちょっと納得できない。それが数学であれば必ず同じ値になるかもしれないが、工学であるとか、統計学的な手法とか、検定とか、ある種の曖昧な要素を前提にした場合に、計算方法が2つあったら、2つの違った値が出るのは別に珍しくないことだ。そもそも、同じ結果が出るのなら、計算方法が1つだけあればいいはずではないか。


ただ、今回の事例では、「許容応力度等計算」だと85%という値が出たのに、「限界耐力計算」だと120%以上の耐久力、という値になったという。確かにそれでは、ちょっと差が大きすぎるような気もする。


ま、しかし、問題はその差が大きいということではないので、この話はそこまでだ。実は、その後の判断がおかしいのだ。


今までにも、フェイルセーフという考え方を何度か紹介した。リスクがあるときに、危ない方に転んだことを想定して、それでも大丈夫なように設計する。これがフェイルセーフの基本的な発想である。


なぜあえて危険な場合を想定して設計するのか。簡単だ。実際に危険な場合になってしまったら危ないからだ。


さて、もうお分かりだろう。建物の強度のような、人命に関わるハイリスクな要素を判定するときに、もし2通りの評価結果が出て、どちらが正しいのか判断できないのなら、危ない方の結果をもとにして物事を考えなければならない。


オリンピックでメダルを10個取れるつもりで選手団を送り込んだ。ところが1個しか取れなかった。そういう結果が出ても、別に人が死ぬ訳でもない。スポンサーは困るかもしれないが、次からは厳しくしよう、でも構わないかもしれない。


建物も、同じような考え方でいいのか。計算では大丈夫なのに、実際に地震が起きたときに倒壊して死者が出てしまった。しょうがないから次から厳しい方の値にしましょう。そんなことで済む話なのだろうか?


問題ないとされたビルが実際に地震で崩壊した場合、居住を認可した機関の責任が問われるのだろうか。それとも、計算で120%だったから誰にも責任はないのか。試算結果の差が出たことについて、国土交通省は検証を行うという。結果を期待したい。

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20060325-01


今月初めに、東京都交通局が、都営地下鉄の駅名標携帯ストラップを販売したのだが、製作上の不都合により、発売開始日が延期されるというトラブルがあった。一体どういう不都合があったのか?


実際に購入してみたので、画像を紹介する。一見、普通のストラップのように見えるのだが、これをどうやって携帯電話に付けるのか考えてみると面白い。この種のストラップは、携帯電話にヒモの部分を通して、さらに、ストラップに付いたアイテムを輪にくぐらせる。このストラップの場合、どう見ても、プレートが長すぎて、輪をくぐらせることができないのだ。


このような不具合は、事前に試作品を作ることで避けることができる。ストラップの場合、ヒモの材質とか、長さとか、実際に携帯電話に付けてみないと分からないこともあるし、試作品を作るというのは効果的だろう。


ソフトウェアの場合、試作品を作ること自体がすごく大変なことがある。その場合、テストのための試作品を作ったりするのだが、完成版と全然違ったりすると、試作した意味が薄れてしまうので、注意が必要である。


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