【文献紹介】『メディア文化とジェンダーの政治学』 | 虚無の中での遊戯

【文献紹介】『メディア文化とジェンダーの政治学』

休みが無いときは、数時間の空き時間さえ有効活用しようとしていたのに、
いざ暇になると寝て過ごして後で自己嫌悪に陥るという。
恐らく一週間のうち丸4日くらい寝てると思う。病気か。
あまりにも睡眠時間が長いと、頭が働かなくなるんですよね。
だから、読みたい本も読み進められない…。


さて今日紹介する本は

『メディア文化とジェンダーの政治学』
著 田中東子 
世界思想社 2012年7月




過去に他の本で発表された論文をまとめて加筆、修正して再録したものです。
私の目的は「第7章 オルタナティヴな空間を生みだすポピュラー文化ーコスプレにおける文化消費と文化生産を例として」
だったのですが、読みながら「なんか読んだことあるなー」と思って、
あとがきの初出を見たら
『コスプレする社会』でした。
どうりで!!!!
一瞬損したような気がしましたが、他の章もジェンダーとメディアの関連について
論じられているので、まぁ一応研究対象の範疇かしら。

内容はほとんど同じなので、広い意味でのコスプレという行動に関心が
ある方なら『コスプレする社会』、ジェンダー論の一環としてコスプレを
知っておこうという方なら『メディア文化とジェンダーの政治学』を
読むといいでしょう。

ちなみに、他の章は
第1章 今日の女性たちとジェンダーをめぐる問題
第2章 メディア文化とジェンダーを研究するためのアプローチ
第3章 メディア表象とジェンダー構築のメカニズム
第4章 「主婦」向け情報番組が仕掛ける罠ー沈黙は饒舌に包囲される
第5章 メディアスポーツとジェンダーージェンダー化される身体とミクロポリティカルなスポーツ空間
第6章 スポーツ観戦をめぐる性差のポリティクスー女性たちの文化実践とまなざし

となっています。第1章ではジェンダー研究のこれまでのあらすじ、のようなものを
知ることができます。
実は他の章はまだ読んでいません。

コスプレについてですが、「コスプレイヤーの多くが女性であり
その7割ほどが男装という現象は、ジェンダーやセクシュアリティの
撹乱をもたらしている事を示しているのかもしれない」という点は
非常に興味深いです。何故コスプレするのは漫画やアニメといった二次元キャラクターで、
しかもトランスジェンダーに走るのか、という議論は今後の課題として
持ちこされているので、是非ともその続稿を読んでみたいです。

社会的には消費者として扱われる女性が、
コスプレという文化の中ではモノを作り、イベントを企画し、
写真を撮り、それを発信するという創造者、生産者になれることが
女性がコスプレをする理由の一つではないか、というのも
なるほどなぁという理論でした。