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評価:★★★★4つ
(僕的主観:★★★★4つ

周防正行監督の大ヒット邦画『Shall We ダンス?』 をピーター・チェルソム監督がリメイクしたものです。リメイクものは見るに値しない作品が多いが、これは見事。邦画の脚本自体が、素晴らしかったせいもあるが、ハリウッドの製作人が、変にゲテモノ的に解釈しないで(米国にとっての日本は相変わらずサムライとゲイシャガール)、ストレートに理解して「良さの本質」を描いているので、とても見やすく、見応えのある作品にまとまっている。見比べる価値もあるし、リメイクということで期待していなかったこともあり、なかなかに感動した。


ジーンと泣けちゃいました。同行の妻も泣いていたから、多分デートで見るにも十分な作品でしょう。


どこかのインタヴューでで主演のリチャード・ギアが、



「オリジナル版の周防監督の脚本は、完璧であって、リメイクにあたって変えるところはなかった。」



と云っていたが、まさにその通り。


演出の要である各キャラクターの動機(モチヴェーション)の解釈は、100%といっていいほど同じであり、そもそものオリジナル作品の脚本構造の完成度の高さが、リメイクされて(役者や状況を入れ替えて)初めて際立って理解できた。いい脚本は、シュチュエーションや役者を問わないのだな、と関心しきり。


しかし、ただ一点だけ、邦画と全く異なる解釈が為されている部分がある。



それは、リチャード・ギアとスーザン・サランドンの夫婦関係の解釈だ。



これはリチャード・ギアも喧伝しており、結構有名な話だが、実際に映画を見ると日米の夫婦関係の違いを非常に強い形で見せられて、非常に興味深かった。これほど見事にツボが違うのは、たぶん米国における家庭・夫婦観と、ものすごく異なっているということだろう。異文化理解にも重要ポイントかもしれない。


実は、個人的には『この部分の米国解釈』に僕は、落涙。


ネタバレ(まだ見ていない人は読まないほうがいいかもしれません)


まぁ、というほどでもないので書いてしまうと、


そもそも日本版も米国版も日常に飽きている主人公(日本はサラリーマンで米国は遺言処理のサラリーマン弁護士)が、その日常つまらなさからくる心の空洞を、草刈民代・ジェニファー・ロペス役のダンス教師というマドンナにほのかな恋心を抱くことから始まり、その恋心が『ダンス』という「非日常のここではないどこか」へ主人公と連れ出してしまうことで、埋めるという脚本構造になっている。


日本版の主人公役所広司の妻はあくまで影の存在であり、脚本のメインはあくまで「主人公のダンス教師への憧れ」である。


いわゆる寅さんシリーズのマドンナのような存在である。そして、包容力のある妻は、そんな男のわがままを影から見守ってあげる、大きな包容力のある存在として描かれている(ように僕には思える)。だから、核家族である家庭を成立させている大きな要因は、夫婦の愛ではなく娘の存在である。


そうすると、男性の「日常の退屈さによる脱出願望(=ダンス教師への恋心)」は、妻との関係よりも明らかに上位に来てしまうのだ。もちろん、道徳的に浮気を肯定するのは変だから、ここで解釈としては妻との関係は、「娘がいること=家庭そのものを維持すること」は、しょせん一時の火遊びよりも「もちろん」大事なんですよ、という言い訳が存在する。つまり、妻というより母の包容力という意味だ。


ところが、米国版で主人公であるリチャード・ギアは、そうした自分の「日常の退屈さによる脱出願望」を、妻と一緒に解決できなかった自分を悔いて贖罪意識を強烈に持っている。


これは、米国人が持つ夫婦という関係が、一種の絶対性を持っていて、あらゆることより上位に来る価値観であるということではないかと、僕は思ってしまう。




えっ?わからないですか?




よく米国とアジアの違いは、横と縦の違い、と文化人類学的に比較されます。


米国人にとって親孝行(=親や子供を大事にする)という価値観よりも、横(なによりも配偶者と友人たち)が優先するのです。


逆に、日本や韓国、中国などアジア人(実は中身は微妙に違うが)は祖先崇拝感覚が強く、妻(他の氏族)との関係よりもそもそも「イエ」の方が優先するので、親への孝行と子供への関係の方が、重要と長年考えられてきた(らしい)。


ここに西洋文化による騎士道精神から発達したロマンティックラブが微妙にエッセンスされて、米国においては、「配偶者との関係」というものは、強烈な純粋さを持つ「ものでなければならない」という圧力が存在するのだ。


じゃ、なんで離婚が多いの?。


とか突っ込まないでくださ(苦笑)。これは、文化の型を云っているのです。それ以外に近代の女性の経済的自立の問題もありますし、なによりもそういった倫理的基準による圧力が大きいせいで逆に結婚が長続きしないという逆説も存在すると思うので。


まぁ難しい話は置いておいて、


つまりですね、この話の本質は「日常の退屈さ」に倦む主人公が、はじめは「ダンス教師へ憧れ」にはじまり、その憧れが「ダンス」という非日常へ主人公を連れ出すことにあります。その非日常の中で主人公は癒されるわけですが、リチャードギアのあの後悔溢れた懺悔の演技は、



それを世界で一番大事な妻と一緒にできなかった自分を悔いている、のです。




彼は自分が許せなかったんです。




なんとかっこいい男だ!!!。


僕はここで、涙がとまらなかった。(そのとき流れる音楽も、またいい!)


それに不器用で言葉では説明しない男性の演技をさせたら、リチャード・ギアは天下一品。


『プリティーウーマン』の実業かも、ほんとうは物凄いロマンチストなどだけれど、それを忘れて経営者をしているうちに、自分でも自分が仮面を着けていることを忘れてしまった孤独な男を演じていました。


パイオニアLDC
プリティ・ウーマン ディレクターズカット


たぶん、団塊の世代(いわゆる周防監督や役所広司)までの日本的家族観は、どうしても強烈に家族優先主義の色合いが強く、バブルの80年代を超えたあたりを子供時代・青春時代に原体験を持つアメリカナイズされた世代とはかなり異なるのではないでしょうか。


僕は断然、米国の解釈に共感しましたし、日本版も素晴らしかったがあーこれは疲れたオヤジが見る作品だなーとも思いましたもん。あのころは、『失楽園』に代表されるオヤジ世代の終身雇用制が崩れる中での不安感を煽る作品が広範囲に売れた時代でしたので、その臭みも強く感じました。

パイオニアLDC
失楽園



そういう意味でこの夫婦の描き方で、


実は脚本の本質がいっきに変わってしまうのです。


同じ、「日常の倦怠感」からの脱出でも日本版は男性側からのみ描かれていて、米国版は、夫婦というものを主体に描かれているのです。


これは非常に興味深い日米文化論比較だったと、思いました。


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ファーストトレーディング
クォ・ヴァディス

評価:★★★★星4つ

(僕的主観:★★★★星4つ)



やっぱペトロニウスがかっこいいよなー。


成熟した大人って感じ。


シェンキェーヴィチ, 木村 彰一
クオ・ワディス 上 (1) (ワイド版岩波文庫 289)
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ROME[ローマ]コレクターズBOX

WOWWOWの公式ページ

http://www.wowow.co.jp/drama/rome/top.html


『ROME[ローマ]』はアメリカ合衆国のHBOとイギリスのBBCが共同制作した海外ドラマである。総制作費は200億円以上、制作期間は企画から撮影終了まで約8年という破格のもの。


「紀元前1世紀、世界史を塗り変えた1人の男、カエサル。この物語は彼が共和制ローマを揺るがし、帝政の礎を築くまでの愛と策謀にいろどられたドラマである。戦地ガリアを平定し、民衆の心をつかんだカエサルは、三頭政治の盟友ポンペイウスと袂を分かつ。宿敵となったポンペイウスの背後では、反カエサルの元老院議員たちが暗躍する。時に奸計をめぐらし、時に運命に翻弄される女たち。自らの浮沈を賭け、野望を貫く男たち。そして歴史が激しく動く時、そこにはいつも2人の兵士のまなざしがあった。」


こんなものがあったのね、、、、TSUTAYAに久しぶりによったら、あって、うぉて気分で借りました。やっと塩野七生さんのローマ人の物語が、マルクス・アウレリウスの息子コモドゥス帝時代になって、下記の言及がたくさんあったので、借りようと思ったら、こんなドラマを見つけてしまってホクホクです。壮大な凱旋式やローマの都市が再現されていて感無量です。盛り上がっている時に、、いろいろな情報に接していると、自分の中のイメージがどんどん熱く膨らんでいき、たまらないです。ギリシア・ローマの基礎知識は、さまざまな情報を読み解く時の基礎とんるもののようで、これって、基礎教養だったのだなーと最近感心しています。また異なる世界の扉が開かれた!という感じです。


ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
グラディエーター
東北新社
ローマ帝国の滅亡 デジタルニューマスター版
アット エンタテインメント
クオ・ヴァディス DVD-BOX

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□『銀河市民 Citizen of The Garaxy』ロバート・A・ハインライン②
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□『300-スリーハンドレッド』 ザック・スナイダー監督 ギリシア・ローマ史の教養が欲しいね
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□『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』米原万里著②/ヨーロッパ的なモノ
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□『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』米原万里著①/コミュニストの子
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□『オリガ・モリゾウナ反語法』米原万理著/浦沢直樹のMONSTERに似てる
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300 <スリーハンドレッド> 特別版(2枚組)

評価:★★★星3つ

(僕的主観:★★★★星4つ)


■ギリシア・ローマ史の教養のあるなしで見えるものが違ってくる


塩野七生さんが、『ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)ローマ人の物語10』のp169でフランスの生まれのマンガでヨーロッパのほぼすべての世代の人に馴染みの有名な『アステリックス(Asterix)』 が、日本で受け入れられなかったのは、ギリシア・ローマの歴史が教養として一般化していないからだと書いていました。(アステリックスは、もちろん300の原作ではありません。)

塩野 七生
ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)ローマ人の物語10 (新潮文庫)


Rene Goscinny, Albert Uderzo
Asterix at the Olympic Games (Asterix)

『アステリックス(Asterix)』は、古代ガリア(今のフランス)の英雄であるウェルキンゲトリクス (Vercingetorix、紀元前72年 - 紀元前46年)がモデルといわれています。この時期は、ちょうどかの有名な『ガリア戦記』を書いたジュリアス・シーザー(カエサルのことね)によってヨーロッパ世界が制圧される時期をベースにしています。



ナポレオン3世が、フランス解放の英雄として建てた銅像。

カエサル, 近山 金次
ガリア戦記 (岩波文庫)

なんというか、マンガとしてははじめ人間ギャートルズに、深みを持たせて実ははすっごくおしゃれで知的な設定が大人心くすぐる・・・みたいな、ヨーロッパでは子供から大人までほとんどの人が知っているようなメジャーなマンガです。

でも、この古代ガリアなんていう設定がなんで受けたのかといえば、この時代にばらばらで統一する意志のなかった部族社会のガリア民族が、ウェルキンゲトリクスという英雄の下で、対ローマ・対カエサルで初めてまとまったという民族主義の原初の記憶であること。そして負けてローマの軍門に下り、ローマ化された・・・・・言い換えればヨーロッパ世界というものが生まれるスタート地点なんですよね。

野蛮人であったガリア人が、ローマ化した・・・いいかえればそのカエサルの素晴らしい統治センスのおかげで、ガリアの風俗を残したままのローマ化が可能になりヨーロッパ社会・ヨーロッパ文明ん幕開けとなったという意味で、物凄くエポックメイキングな歴史のターニングポイントで、ヨーロッパ市民(特にフランスやイギリス)にとっては、日本人の徳川家康とか織田信長みたいな、風景のように当たり前の知識なんですよね。もちろんそれが、ローマ人のカエサルに制圧・侵略されたという事実に対する諧謔とともにね。

この背景知識がなければ、このマンガの人のよさそうなおっさんのカエサルやひげぼうぼう長髪みつあみに長ズボンの人のよいオヤジのキャラクターの意味が全然わからないでしょう。なんでも、フランスには、アステリックス・パーク(解説には日光江戸村みたいなものと書いてあった(笑))なんてものさえあるらしい。



いや、何が言いたいのかというとね、300の話とは全く関係のない話をこうやってつらつら書いたのは、このアステリックスという超メジャーなものが、日本でなんで受け入れられなかったのか?ってのは、きっと、背景知識の有無なんだろうって思ったんです。それが、この300でも、その背景知識を透かして読み方をする人と、ただ単にバトル映画として見る人とに、はっきり分かれるんだろうな、と思ったからです。


ハリウッドのメジャー超大作は、だれにでもわかるように(ナショナリティーによる背景知識などがなしで見れる)脚本を作るものなのだけれも、実際には、ポピュラリティーに支えられるエンターテイメントが受け入れられるには、実は背後に様々なものが描かれていて、そのナショナリティーの持つ文化コードみたいなものがないと、まったく理解しないまま「部分だけ」を楽しんで終わりになることがあるってことなんです。

この300も、元の原作が、そういったマンガであるだけに、ヨーロッパの一般人の持つ想像力をベースに読み解かないと見えないものはたくさんあるのだと思うのです。まぁそんな読み解くようなマネをして映画をみる人はそうはいないと思いますが、僕はそうやって隠れたレイヤーの奥を探すのが好きなんですってば。


こういう歴史ものの映画・小説は、古代ギリシア・ローマの歴史などに関する教養があると、見え方が全く違ってくるし、その素晴らしさ面白さも、鼻血ブーものに進化しますよ。なによはともあれ、ヨーロッパ文明の基礎のようなものですからね。ちなみに、最高の導入本は、やはり塩野七生さんの著作かなぁ。あとはガリア戦記なんかも。下記のあたりの映画は、ぜひ勉強してみると、全く違う面白さにあふれていますよ。


□参考~古代ギリシア・ローマ史の映画

http://www2s.biglobe.ne.jp/~tetuya/EIGA/rome.html

フランク ミラー, 関川 哲夫
300(スリーハンドレッド)
 
   
   
 



■集団戦闘がマンガのように~映画というよりはアニメだ

***************

ほとんどがブルースクリーンを前に撮影されたものでしょうから、演じ手はその自分が映像となった時のイメージを自分の中で作りあげないとならないから大変だったと思います。なんせ、これだけのバトルものなのに、スタントマンよりビジュアルエフェクトのスタッフの方が多いなんて。モノクロではないですが、色彩度の薄い色調に赤だけが強調される感じ。つい最近なら「硫黄島からの手紙」のような光りのコントラスト。
そこにスローモーションが時折挿入され、時間を自由に操りながら見るものを引き付けます。血が迸り肉体を剣が刻んでいく様はとても恐ろしいのですけど、その戦士たる男達の気迫せまるような、戦いに対する美学にはむしろ映像美を感じてしまうほど。作られた肉体と単なる野獣とは違ったスパルタの精神性溢れる戦いのプロフェッショナル集団には、こんなバトルシーンなんて苦手一辺倒だった私でさえも、見惚れちゃうくらい。(あー、結構男の肉体美には贔屓目かも。苦笑;)
「トロイ」でも唸ったのですけど、スパルタの戦士の集団戦法は目を奪われちゃいましたよ

シャーロットの涙
http://blog.goo.ne.jp/charlotte26/e/2a7d3d7292bebe108d64f46584f14f9b

***************




シャーロットさんの意見が、非常に典型的だが、バトルシーンが秀逸で、トロイなんてじゃない!。この映画は、本当は内容よりも、「これ」を見るものなんだろうとは思います。凄く画期的な作品であるのは間違いないと思います。



■ペルシャの専制君主がたまらなくかっこよかった


何が一番面白かったかというと、 この作品は、ペルシアと全ギリシア連合との戦いであるテルモピュライの戦いを描いた作品なんですが・・・・・・


>紀元前480年、スパルタ王レオニダスの元に大帝国ペルシアの使者が訪れ、スパルタに服従を要求する。レオニダスはこれを拒否し、その使者を殺害する。そしてわずか300名の軍勢で100万のペルシア軍を迎え撃つ。


この面白さの核は、



1)小さい国が超大国に勝った!


2)ギリシアの独立と自由と民主主義を守った!



というシンプルな、侵略戦争への抵抗の物語なんですよね。




ようは小国の集まりである古代ギリシアで、その中でもペルシャ帝国に比べたら小粒のスパルタが、自由と独立のために大国と命をかけて戦い、そして勝ち抜くという物語なんですね。ようは民族主義の称揚と民主主義バンザイの政治的メッセージ映画にも取れるわけです。イランと米国が険悪な時期に、イラク戦争を遂行中で小さなイラクをたたきつぶす超大国アメリカのくせに、臆面もなくよくこんなウソくさい政治プロパガンダが描けるな、アメリカ資本は、って思う人は多かったと思います(笑)。


>この映画に対し、イラン政府がイラン人の先祖であるペルシア人を激しく冒涜しているとして非難している。

実際、これこういうニュースが世界中に流れましたもんね。


ところがね、僕は思うのだが、この映画を見て、仮に単純な民族主義と民主主義擁護の物語だと思ったとしたら、それはやはりちょっと頭が悪いし、歴史の知識がなさすぎるなーって思うのです。もちろん大衆には教養はないので、イランの反論は、わからないでもありません。けど、ある程度教養があると、実はまったく異なる意味も見えてしまいます。監督はたぶ意図としてはいないてゃ思いますが。


あの凄まじいかっこよさの中に、 実は、ペルシャの王の偉大さが何度も現れている、と僕には思えるんですよ。むしろ諧謔というか皮肉が凄く見えてしまうのです。まったく西洋民主主義の擁護の単純ストーリーで、ペルシャを悪と描いているにもかかわらず、それがにじみ出てしまっている。 ヴィジュアルもそう考え得ると、ぐっとくる。





ペルシャ王の偉大さを、ちょっと分解してみましょう。見ていることが前提ですが、こういう背景知識を持って見ると、確実に僕と同じように読み解けると思いますよ。ネットでもそういう意見の人は多数いたもの。


まず、


①多様性を尊ぶこと


スパルタ人は、人間を画一的にしか認めない。ギリシア古典民主主義は、と置き換えてもいい。 だから、体が不自由なものを戦力としても仲間としても認めず、その異者の排斥が、戦争での負けにつながっている。


これはギリシア・ローマ歴史を学べばいやというほどわかりますが、民主主義というものが成立する場合には、構成員の完全なる平等を実現するために、構成員以外の人間を強烈に差別して区別することが前提となるのです。


ギリシア古代民主主義のお手本である都市国家アテネでは、市民権をもらえるのは、両親ともアテネの市民であるという時だけ。仮に何十年もアテネに住み、学者や商人としてアテネに人生を捧げても、一切市民権はもらえませんでした。


バルバロイという言葉に代表される異民族への強烈な排他思考は、古代民主主義の大前提なんですよ。そして理論的には、現代の民主主義も、この問題点から解放されていません。純粋な民主主義者は、構成員の完全なる平等を維持するために、移民を強烈に嫌います。ようは「自分たちの仲間」の範囲が凄い狭く限定しないと、平等を旨とする民主主義は機能しにくいのです。


古代ギリシア民族があれだけの才能と活力に恵まれながら、結局都市国家を超える政治形態を生み出すことができなかったことも、このこととリンクしています。


ところが、アジアの専制君主国家では違います。アジアの専制君主は、、、、というかユーラシアの伝統なんでしょうが、貴族や平民や奴隷などなどさまざまな構成員のタイトルや民族がゴッチャな混淆で存在しているものを、王という特異点で、ひとまとめにしています。


だからクセルクセスは、異なる者の多様性を、完全に受容している。


見よ!このアジアの王の偉大さを!!!


備考だが、「平等」という価値観は、安易に純粋さや異者排斥に結びつきやすく(というか表裏一体)、また「多様性」を持つということは、「異なるもの」を「異なるまま」包含することで、単純な平等では括ることができない概念であることは、イデオロギーに毒された人は真剣に考えるべきことだと思う。




ちなみになんか、ルネクレールとかあのころの見世物小屋的な張りぼてを思い出させるのだが、ヨーロッパ文化のオリエンタリズム的感性ってのは、100年経っても全然変わらないのだなーと感心の美術デザイン。


②宗教的寛容性


また、都市国家スパルタの頑迷に比べると、いかにペルシャやアジア圏の政治制度が、宗教的民族的多様性を許容しているかが如実にわかる。 ギリシャの宗教も、国土も、統治権さえも!!!まかせるって交渉しているんだぜ。


出すのは、軍隊だけでいいって。


こんな寛容な支配者いねーぜ(あっても共和制のローマ同盟ぐらいだな)。


そういうのが、知っている人が見れば、やっぱり一発でわかっちゃう。


しかもねーこれは、事実なの。


言葉だけではないんです。東大の山内教授のオスマントルコ帝国の政治制度の研究を見ればいいのだが、、、アジア圏には、非常に宗教的多様性や民族多様性を尊ぶ姿勢が強く、 皇帝の下で、 他民族が何百年も共生できる文化があるんです。 何を目的とするかで、政治制度の評価は変わって来ると僕は思う。頑迷な民主主義万歳の意識は、民主主義の名のもとに行われる侵略や排他的な意識の蔓延るのを止めることができない。

山内 昌之

イスラームと国際政治―歴史から読む (岩波新書)

栗本 慎一郎, 樺山 紘一, 山内 昌之, 阿部 謹也, 河上 倫逸, 山口 昌男

いま「ヨーロッパ」が崩壊する―殺し合いが「市民」を生んだ、「野蛮」が「文明」を生んだ合本

栗本 慎一郎, 山口 昌男, 山内 昌之

いま「ヨーロッパ」が崩壊する〈下〉「野蛮」が「文明」を生んだ

山内 昌之

ラディカル・ヒストリー―ロシア史とイスラム史のフロンティア (中公新書)



だから阿倍仲麻呂が中国で総理大臣をしていたり、オスマントルコ帝国の歴代の総理大臣が、イスラム教徒ではない異民族(とりわけキリスト教徒が多いのだよねー)が多かったりしたんです。


あれだけ、スパルタ、民主主義バンザイ!!!の映画なのにさっ。



さすが、ペルシャ!!!



アルスラーン陛下がしろしめす土地(笑)。



・・・・・・・オチはそれっかよっ(笑)。


田中 芳樹

王都炎上・王子二人 ―アルスラーン戦記(1)(2) (カッパ・ノベルス)

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グレイズ・アナトミー シーズン2 コレクターズ・ボックス パート2

評価:★★★★☆4つ半 (うまく終わらせたら、間違いなく★5つ!)

(僕的主観:★★★★★5つ


『グレイズ・アナトミーシーズン1』  でしょ?でしょう? ウタさんへのコメント返し
http://ameblo.jp/petronius/entry-10041389301.html

『グレイズ・アナトミーシーズン1』 これ・・・・一話が、最高レベルに面白いっ!
http://ameblo.jp/petronius/entry-10040696035.html


シーズン2を昨日妻と見終えた。


面白い。昨今のドラマとしては最高の出来だ。外科医という非日常と日常が激しく切り替わる題材をテーマにしているという面白さは、もちろんだが、そのギャップと意識の切り替えを見事に演出しきっていることと、脚本構造のうまさに、アメリカのドラマのエンターテイメント技術の極致を感じる。


間違いなく面白いです。僕の紹介にしては、珍しく年齢性別ジャンルフリーの作品です。エンタメだけではなく、外科医という職業を通して見えてくるものも素晴らしく奥が深い。誰が見ても面白い&考えさせられると思うので、かなりのおススメです。僕は、医療モノのジャンルの傑作として名高い『ER』『HOUSE』も見ていないのですが、これを見せられるとみなきゃなーと思っています。


ワーナー・ホーム・ビデオ
ER 緊急救命室 I ― ファースト・シーズン DVD セット vol.1

http://ja.wikipedia.org/wiki/HOUSE


**************


□Seriously....I Love My McLife~グレイズアナトミーファンに送る最新アップデートと海外ドラマ情報
http://ameblo.jp/double07/

ちなみにグレイズアナトミーの紹介ブログではここが一番濃いかなー。でもまーただあらすじのそのまま解説なので、ドラマを見ればいい話だとは思いますが。ただ凄い分量です。

*グレイズアナトミー*シーズン2*エピソード10*
http://ameblo.jp/double07/entry-10013500875.html

*グレイズアナトミー*シーズン2*エピソード11*
http://ameblo.jp/double07/entry-10014329595.html


■バーグ部長とクリスティーナの恋がお気に入り


全体を通して、一番気になっているのは、外科部長代理の黒人の外科医のバーグ(Burke)と韓国系アメリカ人のクリスティーナ(Cristina)の恋愛。



 
Boil down that island talk and he just meant that all anyone needs is someone to step in. And let us know we're not alone.


特にこのシーンは、胸にぐっときた。


登場したてでは脇役で、その陰険さと仕事中毒のカタブツぶりが凄く厭味な感じで悪い印象だった黒人のバーグ。


そして、あきらかに目標と成功しか念頭にない余裕のない韓国系のクリスティーナ(それもはっきりいって顔がかわいくない)。脇役ということもあり、凄く嫌な印象だった。


ところが今では鮮やかな逆転ぶり。彼らの人間味が出てくるにつれて、クリスティーナの凄まじいツンデレっぷりにノックダウンだし、ウルトラエリート医師で尊大な性格のバーグのクリスティーナにメロメロで初心な少年みたいな態度に、もうノックダウンですよ。主人公の恋愛なんかより、はるかにこっちの方が、感情移入する。


いやーいい方が悪いのですが、アジア系の俳優ってアメリカドラマでの扱いって、脇役であまりい扱いがいいことがない。描き方も、韓国系の伝統重視の男尊女卑とか、中国系のコミュニティの結束の強さとか、日系のヤクザとかヲタクな猛烈サラリーマンとか、そういうステレオタイプなものばかり。


日系、韓国系、中国系ですが、いつもほんとに脇役。けど、この作品は群像劇になっていて、脇役が主人公級に注目される脚本の構造になっている上に、最初の印象の悪さから逆転しているため、すっごいめちゃくちゃ印象がいいの


韓国系には、クールビューティーな感じの美人が多いけど、そっちではなくて、こういうどちらかとキツイ顔立ちでしかもあまり美形とは言い難い、しかも性格も上昇志向ばかりで最悪に描きながら、これほど人間味があって、かわいく描かれているキャラクターって珍しい。脚本家に拍手を!!。クリスティーナにメロメロですよ、僕も(笑)。

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