『くちびる ためいき さくらいろ』森永みるく著/百合ワールドへ
テーマ:書評 Hなマンガ&小説森永 みるく
- 評価:★★★☆星3つ半
(僕的主観:★★★★★星5つ)
僕は、マンガならほぼジャンルを問わずかなりの幅で読んでいます。あまり書評に書かないがヤオイ系や
H系の作品、レディースコミックも、凄まじい数を読んでおります。我ながら凄い乱読派だな、と思う。
僕が大学ぐらいのころに『快楽天』というHなマンガ雑誌があって(いまもあるはずコンビニで時々見かけるので)、それに96年ぐらいに掲載されていたのを覚えている。それが、
『にくらしいあなたへ』
だった。懐かしいなー。たしか雑誌で読んだのが、あまりに良くて単行本を探し回ったのだが、見つけられなかった作品だった。どうも、僕が好きになる作品は、絶版になりやすい。
>「快楽天」「星組」に96年~97年に掲載された「にくらしいあなたへ」全7話「きみとわたしと安全
ピン」「きみとわたしとコピー機と」「楽園の雫」「The Spring Ghost Love Story」「時が許す夢の罪」
を掲載。 ワニマガジンですのでちょっとHな展開になっていますが・・・
http://www.mangaoh.co.jp/topic/topic_h.php
絵もすげー上手いし、これがなんでメジャーになれなかったのか、今でも不思議。検索してみたのだが、どうも、成人向けの雑誌を少しづつ書きつつ、同人誌の世界
に行っていたみたいだ。そしていまは、百合の分野に突入!らしい。僕は同人誌は全然わからないので、見逃していた・・・・。10年間(笑)。くそぅ。誰か、導いてくれないかな。
話がずれた。
もう絶版らしいが、『Sutdy after shcool』 『にくらしいあなたへ』、『メア』とか、全部ではなく連載とかで、少しづつ読んだ記憶があるが、もう一度手に入れたいなー。古本屋とかで出会いたいものだ。
- 森永 みるく
- Study after school
- 森永 みるく
- ミルクシェル
■森永みるく作品の魅力
しかし森永さんは、人間関係はなんとか描けるが、「世界」はまったく描けないので、設定やストーリーの構成力が足りないのだろうなぁ。おしい。すげーキャラクターの心理描写が上手いのに。系統的には、恩田陸の書評で書いた系統の世界観 の持ち主なので、まさかこの人に政治なんかは描けないだろうなー、と思う。
どこまで、対人関係の繊細な感情の移ろい「のみ」にしか興味がないと思う。
この乙女の清純な気持ちは読んでいて恥ずかしくなるが(笑)、それ以外は、まったくなにもない。物語の背景が全然構築できないので、ドラマツゥルギーが全然発生しないのだ。それは、凄く残念。イマイチ、★が3つなのも、スキだが・・・・・そのへんが限界か。だが、心を捉えてやまない作家ですね~。
いまは、なんと百合の世界に(もともとは成人男性向けのHマンガ家だったんで)いて、その初のコミックスが、上記の『くちびる ためいき さくらいろ』だそうだ。でも、作風から、「そこ」に行き着くのは、実は、必然だった気がするなー。
今回の作品は、読んで、ほぼ触れるか???、もうちょっとで触れる???ぐらいの、ライトな感じで、Hシーンが全然ないところは、作風の変化にびっくりしたが・・・・
読み進めるうちに、まったく触れない、すごおぉい純情ピュアな女の子同士の関係を描いているのに、強くセクシャルな印象を(いい意味で)受ける。さすが、元Hマンガ家だけあって、裸なんか描かなくてもエロティシズムは、上手く描けている。やっぱうまいなー。むしろ、こっちのほうが、僕としては、好きかも。
あらゆるHな表現・・・・エロティシズムを描くときに、やはり僕の好みとしては、SEXもセクシャルな描写も、そこに登場人物たちの魂の渇望や、相手との精神的な繋がりの文脈の中で描かないと、即物的なモノに近くなり、ぜんぜん燃えないなぁ。
そういう意味では、森永作品を過去に読んだ時、そのHさにすごぉい胸がトキメいたのだが、それはやはり、SEXやHなものを、登場人物たちの精神的な繋がりの文脈で描く作風だからだと思う。
ちなみに、だから、この百合のマーケットで書くことは、へたに成人誌で書くよりも、彼女の本質にあっているし、傑作を書ける可能性を感じる。もう少し、舞台設定を勉強して取り込めば、かなりいいものがかけそうな予感を、この作品には垣間見ました。期待です。こういう成長するのって見るの、うれしいなー(笑)。
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■エロティシズムの描写というのは、作者の「対人関係の理解」を映し出す
ちなみに男性の漫画家、小説家、映画監督には、
この繊細なセクシャルを媒体とした関係性
が、120%完璧に描けない人が多い。
男性が描くHなものは、非常に即物的なモノが多く、いかに世の男性が、「関係性」というものに鈍感なのか、ということがわかる。
実は、森永みるくさんが、女性だということは、さっき知ったのだが、連載当時(ハードなエロマンガなんだってば(笑))からこの作風は女性にしか書けまい、と確信していた。10年を経て、自分の感覚が正しかったことが証明されてうれしい。
僕は、エロティシズムは、表現において重要だと思っている。男性向けのHなマンガも、それこそHな写真や雑誌、AVからたとえば、男同士の愛・・・というかぶっちゃけSEX!(笑)やレディースコミックスらを、読みまくって見まくっていると(笑)、、、やはりSEXや性欲などを、どのように扱っているかというのは、いろいろ表現者の求める本質や性別によって類型があることが分かってきます(←って、そんなことよくわかるなーじぶん、とつっこみ(笑))
- 谷崎 潤一郎
- 痴人の愛
↑これなんか、性愛の描写が上手いなーと思う。
とにかく全編やりまくりなの(笑)に、せつなさしか伝わらないこの作品とかも、えがった。
- 栗本 薫
- グランドクロス・ベイビー
- 栗本 薫
- TOMORROW―終わりのないラブソング
↑これなんか、もう涙ナシにはみれん(笑)。とりわけ、最初は主人公の美少年が、野獣のような男にレイプされまくる(笑)のだが、、、、、
やってやってやって・・・・・・
おーい、そこまでします????
というところまでやりまくって(笑)、そのあと全然手が出せなくなるのだが、その後の触れないほうが、すうっごいHというのは、さすが分かっているなー(笑)。と思う。SEXを描くのに、文脈を使い分けているので起きる現象です。
- 新条 まゆ, 高橋 ななを
- 覇王・愛人 生誕編―黒の序曲(プレリュード)
↑鬼畜・新條まゆさんなんかも、もう小中学生の女の子がターゲットの雑誌で、爆発的なSEXシーンの連続(笑)ですが、それも、すべて肉体の繋がりよりは、精神的な繋がりを求めていることが、はっきりわかります。見る人が見れば。
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■百合の世界で
・・・・実はねー清純な百合の世界って、好きなんだよねー(笑)。
でも、これ何がスキなのか?、といえば、それは、
「時が止まって閉じ込められた学校」のような空間
で、相手の魂だけを見るせつなさ、繊細さが、たまらなく美しく魅力的だからだ、と思う。
それは、ある種の鮮烈な覚悟とせつなさを感じさせます。
袴田めろ『最後の制服』や吉田秋生の『櫻の園』、竹宮恵子『風と木の歌』、木原敏江『摩利と新吾―ヴェッテンベルク・バンカランゲン 』、那州 雪絵『ここはグリーンウッド』、今野緒雪『マリア様がみてる』、恩田陸『麦の海に沈む果実』・・・・・いまぱっと思いつくので、こんな感じだが、「こういう」感じだ(笑)。
わかる???。
たぶん、わかる人には、あーーーわかるということで、わからない人には、チンプンカンプンかもしれない(笑)。
時間が止まった、とは、「成長を拒否している」という意味。
・・・・・この辺の文学論は、チェーホフとか、ほんとはそーいう高尚なのでやるとかっこつくのだが(笑)。
- 木原 敏江
- 摩利と新吾―ヴェッテンベルク・バンカランゲン (第8巻)
- 那州 雪絵
- ここはグリーン・ウッド (2)
- 長沢 智, 今野 緒雪
- マリア様がみてる 5 (5)
買ったことはないけど、最近は、こんなのもあるんだねー。
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■ほんものは、どこにいてもほんもの
いや、Hなマンガの世界でも、一般紙のメジャーでもいいのだが、どちらでもそれほどブレイクはしなかったのは、今もって不思議。
日活ロマンポルノが、日本の映画低迷期に優秀な監督輩出の母体となったことや、アダルトビデオ出身の世界的に評価される映画監督というのもけっこう多いことを考えると、けっして、B級とか日陰に思われる世界でも、結局は、表現者としてほんものかどうか、がすべてだと思う。
成人向けのHな漫画からメジャーに進出する人も、多いのだよ。花見沢Q太郎さんなんか、『REC』で、ついにアニメ化だしさー(笑)。
- 花見沢 Q太郎
- REC 2
あと週刊マガジンで、堂々と連載している『エアギア』の大暮維人さんなんかも、むかしは、アレレ??か・な・りHなやつ専門だったはずなのにー(笑)。いまや、超メジャーでしょう?。これも、アニメ化されたはず。
- 大暮維人
- エア・ギア (1)
愛すべきハートフルなメイドものの傑作『まほろまてぃっく』のぢだま某さんも、ここではいえない御専門ののかたでいらっしゃいましたし(笑)。これのアニメ化作品も、えがったなー(笑)。
- 中山 文十郎, ぢたま某
- まほろまてぃっく (1)
・・・・・・・・・・・・これを、成長とか出世と捉えるかはともかく、
表現者が、様々な世界から「世に出てくる」「成長していく」「ジャンルを変えていく」こと・・・・・・
つまりは、変わっていくこと、その変遷
に、僕は凄く興味がある。
四方田犬彦先生の意見ではないが、表現・文化とはしょせんオリジナルなんてなく、さまざまな核となる物語が、時代や空間を経て伝播し変遷して、姿を変えていくだけだと僕は思っている。
本物であれば、必ず、人に支持され残る。そして、伝播していく、と僕は思っている。
ヤオイでもBLでも百合でも・・・・・僕には、まったく抵抗がない。なぜならば、その愛が本物ならば、それは本物だからだし、その伝えたいことの本質が本物であれば、けっきょくそれは、本物なのだ(トートロジー(笑))。
・・・・・・・・・・なんか、真面目な話になったな(笑)。
いや、Hなの、好きなだけなんですが(笑)。
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■追記
とてもいいエントリだってので、ご紹介を。(ご迷惑でしたら、ご指摘願います)
『ゆうきさらのほんよみにっき』さん
http://d.hatena.ne.jp/yuuki_sara/20060220/1140409701
とっても興味深かったです。
一度、「攻め」なのか、「受け」なのか、という感情移入の軸を、分析したみたいなーと思います(笑)。








1 ■本物かどうか?
私はそんなにHなのを読んでいるわけではないけど、これは分かるような気がするなぁ。H系でもいいものは、いいですもんねー。でも、それでいうと、「つゆダク」なんかは、何が良かったのか良くわかんないんだけど。笑
今日は、「櫻の園」の文庫が105円で売っていたので、買ってきました。微妙にシンクロしてるかも、とちょっと嬉しかったのでした(いや、ほんとに微妙ではありますが)。