『花降る午後』『蛍川』 宮本輝著
テーマ:書評 小説(日本)
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- 宮本 輝
- 螢川
★★★★★星5つの名作です。芥川賞受賞作で、彼の本質である川三部作の最初の作品です。
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「柔らかく見えても、実は世界の絶望をよく理解して、いつもその恐怖に畏怖している感じ」
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僕の妹?(笑)である兄妹ブログのつなさん(『日常&読んだ本Blog』 )と会話中に、ふと出てきた言葉。
コメント欄で何も考えないで書いた言葉だったが、ちょっと本質突いているなー(笑)と自画自賛。
ちなみに、つなさんの宮本輝の書評は、以下です。
『本をつんだ小船』 : http://ameblo.jp/tsuna11/entry-10005185001.html
『青が散る』 : http://ameblo.jp/tsuna11/entry-10001693122.html
■死の臭いがする宮本文学
宮本輝には、死の臭いが濃厚だ。
僕が蛍川に出会ったのは、高校受験の現代文の授業であったと思う。宮本輝は、受験意よく出題される作家で、「このときの作者の意図は?」とか言う設問がよく出る。
その解釈のために、短い蛍川を、細かく分析した授業を高校受験の夏期講習かなにかで受けた記憶がある。
あれは・・・・最高だった。
受験勉強というよりは、最高の知的ワンダラーンドだったような気がする。
このときの論理分解の作業が、文脈を読むという貴重なワザを身につけるきっかけになった気がする。あのときの先生は、名前も忘れてしまったが、素晴らしい先生であったのだと思う。僕は、毎回授業の後に専制のところに遊びに行き、時間を忘れて話を聞いたものだった。宮本輝、夏目漱石、田山花袋、萩原朔太郎の青猫も、高村光太郎も、小林秀雄もすべてこの先生に教わった気がする。(そう考えると凄い授業だったのだな・・・。)
そして、その授業の一番最初の授業であったのが、この蛍川。
そのあまりに深さ、青白い人魂のような蛍が、闇夜に浮かぶ壮大なシーンのイメージに僕はただただ圧倒された。
静謐。
という心理学用語があるが、これはアパシー(無気力・無感動)で最悪の人間感情のことをさす言葉に隣接する概念だそうだが、そのイメージ・感覚が、心と頭に、ぶぁーーーと広がる感じ。
まるで、黄泉の川から死者を眺めているような、不思議な諦念。
そうした舞台背景で、濃厚な父親との愛憎溢れるドロドロして、腐っていて、それでいてあったかくて不思議な絆の中に描かれる、まるで父子関係は、もう圧倒的な情感を感じさせる。
- 宮本輝の作品には、プロフェショナル・・・・・なにかに自己を捧げる凄まじさ、凄みのシーンがよく出てくる。
『優駿』で、あるトップランクの天才ジョッキーが、クラを数センチ動かすのに、夜も寝れないほど考え抜き、乗馬直前まで考えに考えきっている姿勢を見て、自分が頑張っていると思っていたジョッキーが、
「本気というものはああいうものなんだ・・・おれは、なんて甘かったのか・・・」
見たいな述懐をするシーンがある。
これは、人間内面に抱えている「凄み」「深み」が、あるレベルを超えたところにある時に、素晴らしい才能が発揮されるが、同時にそれは狂気としにも直面している、という人間理解を宮本輝が持っていることを指し示しているのだと思う。
これは蛍川の死の感覚と相通ずる・・・というよりも、相似形な人間理解で、人間というのは内面にそういった凄みを抱えて生きているのであって、それがない人間は、価値がないんだ・・・という作者の強い意志があるのだと思う。
だから、宮本輝の本を読むとき、僕はとても励まされる。
それは、すべての人間が実は地獄を心に抱え、しかしながら、それをギリギリのところで生に転じて、生きているのだ、という作者の前向きな人間理解があるからだと思う。
■関西弁萌え!!
個人的には、深い思い入れがある作品。
僕は、人妻とか年上とかには、全然興味がないのだが、唯一の例外がこの作品であり、宮本輝の小説だ。宮本輝の、人妻、未亡人、年上の女性(笑)という属性は、ものすごく好き。
長年、なぜに?と不思議に思っていたのだが、つなさんの一言で解消。
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ああ、これは、関西弁がかわいいんだ!!!
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以上、証明終わり(笑)。証明していないけど(笑)。






1 ■受験国語が最高の教養の場。
受験国語が、「最高の知的ワンダーランド」になることはよくありますよね。私も「蛍川」の息を呑む蛍の描写の場面のテキストをよく覚えています。
恥ずかしながら、中学受験のテキストで奥の細道の平泉、「国敗れて…」のくだりを読んで、授業の最中なのに涙ぐんだことを覚えています。
宮本輝は「ここに地終わり」、あとは「人間の幸福」(でしたっけ)を読んだ記憶があります。