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永野 護
ファイブスター物語 (8)
評価:★★★★★5つ 傑作マスターピース
(僕的主観:★★★★★5つ傑作


「湿地で救出を待っておられるのは我らが光皇その方である!! 戦車隊!! いやA.K.D.軍人としてその働き 陛下にお見せしろ!!」



『ファイブスター物語』を深読みする。/SomethingOrangeより
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20071231/p3


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話の進展が遅かったり、時々何年もの休載に突入するという欠点はありますが、天才永野護による日本を代表する傑作です。この機会に読んでおきましょう。


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はい。同感です。物語としても、僕らのような深読み人種にとっても、もうすべてを超越する最高傑作です。日本史に残る(笑)とさえ思っています(いいすぎ?)。


にしても海燕さんな、あいかわらず同じことを連想します(苦笑)


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そうすると、部族社会で殺し合っている人々の願いは、統一なんですね。国際社会は、統一国家として独立して初めて、意見を述べることができる。ところが、部族社会というのは、言い換えれば、統一のシンボルが部族(=血縁とか)による社会だということで、国民的アイデンティティを統合するシンボルを欠いているんですね。アフリカとか中東の地域を非常に遅れた地域として蔑む気持ちが先進国に生まれるのは、この統合国家と視点シンボルを独力で築き上げる、、、言い換えれば、国家という部族での利害を超えた幻想の「正しさ」を生み出すことのできない人々という意識があり、これは、たぶん鶏と卵の議論ではあるものの、否定できない。

http://ameblo.jp/petronius/day-20071202.html
『小さな国の救世主2~3 おざなり将軍・いまどき英雄の巻』 部族が殺し合う世界で②
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この記事はまさに、この天照救出の話を連想していました。


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しかし! もし、ひとたび天照帝その人の身が失われたなら、そのすべてが一気に崩壊するかもしれない。

 つまり、A.K.D.にとって天照こそが唯一の統合のシンボルなのであって、その天照が失われたなら、A.K.D.の平和も繁栄も供に失われ、デルタ・ベルンは再び戦乱の世に帰って行くかもしれないのだ。

 戦車でMHに突入した戦車隊の隊長たち、天照ひとりを守るためでなく、A.K.D.を、その平和を守るために彼らは死地に赴くのである。

 ほんの数秒、数十秒でも天照の身柄を危険からそらすことが出来たなら、その死には意味がある。

 そして、逆に、兵士を指揮する側は、何千、何万の兵士を殺そうと、天照ひとりを守らなければならない。しかも、その理由を兵士に説明することは出来ない。

 当然、兵士たちのモラルとモチベーションは低下していくばかり。しかし、それでもなお、天照の存在はすべてに優先する。人命よりも! 人道よりも! 倫理よりも道徳よりも! 天照のほうが重要なのだ。

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素晴らしいな、、、と思うのは、「このこと」つまりは、


兵士を指揮する側は、何千、何万の兵士を殺そうと、天照ひとりを守らなければならない。


これを、指揮官が全員ちゃんと認識していることです。これが正しいかどうかはともかく、いま現在の事実であるからには、これをするしかないんです。国家の統合の要というものは、何よりもまして優先して守られなければならないものなんです。この捏造された幻想の物語をちゃんと理解していないと、たとえば、戦前日本の国体や天皇の命を守るために暗躍した軍人や政治家たちの発想がさっぱりわかりません。


まずもって、冷静にこのことを評価するには、その時の人間がどんな物語を生きていたことを感情移入して共感して理解しないと、非常に卑劣になっていまいますものね。もちろんこの問題は、全体と個の話を呼び寄せる永遠のダイナミズムなので、どちらが正しいとは単純に云うことはできませんから、凄く矛盾したものなんでしょうが。

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ROME[ローマ]コレクターズBOX

WOWWOWの公式ページ

http://www.wowow.co.jp/drama/rome/top.html


『ROME[ローマ]』はアメリカ合衆国のHBOとイギリスのBBCが共同制作した海外ドラマである。総制作費は200億円以上、制作期間は企画から撮影終了まで約8年という破格のもの。


「紀元前1世紀、世界史を塗り変えた1人の男、カエサル。この物語は彼が共和制ローマを揺るがし、帝政の礎を築くまでの愛と策謀にいろどられたドラマである。戦地ガリアを平定し、民衆の心をつかんだカエサルは、三頭政治の盟友ポンペイウスと袂を分かつ。宿敵となったポンペイウスの背後では、反カエサルの元老院議員たちが暗躍する。時に奸計をめぐらし、時に運命に翻弄される女たち。自らの浮沈を賭け、野望を貫く男たち。そして歴史が激しく動く時、そこにはいつも2人の兵士のまなざしがあった。」


こんなものがあったのね、、、、TSUTAYAに久しぶりによったら、あって、うぉて気分で借りました。やっと塩野七生さんのローマ人の物語が、マルクス・アウレリウスの息子コモドゥス帝時代になって、下記の言及がたくさんあったので、借りようと思ったら、こんなドラマを見つけてしまってホクホクです。壮大な凱旋式やローマの都市が再現されていて感無量です。盛り上がっている時に、、いろいろな情報に接していると、自分の中のイメージがどんどん熱く膨らんでいき、たまらないです。ギリシア・ローマの基礎知識は、さまざまな情報を読み解く時の基礎とんるもののようで、これって、基礎教養だったのだなーと最近感心しています。また異なる世界の扉が開かれた!という感じです。


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うぅぅ・・・・・・・かっ、、考えたな。記憶喪失設定ですか!。・・・・・いい、、いいですよ、この設定。冬のソナタでも何でもやってくれ!(笑)。・・・学園の制服姿がたまりません。ローマの円柱とかを思わせる学園の壮大な回廊にいいねぇ。


がんばれゆえゆえ!。



つーか、来週休載かよ・・・また生きる楽しみが・・・・(涙)。でも、いいんだ、、、最後に君の姿が見れて。。。。ちなみに、


ユエ


とカタカナで呼ばれるのも悪くないですね。うんうん。ちょっとしあわせ。



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コミックス・ウェーブ・フィルム
秒速5センチメートル 特別限定生産版 DVD-BOX

評価:★★★★☆星4つ半

(僕的主観:★★★★☆星4つ半)


■自分にとって大切な場所~心に刻まれる時間


人生を生きていると、時に濃密な時間に出会う時がある。その風景と匂いは、胸の奥底にその時間濃密さとともに、長く長く残りつづける。時々、「それ」と対応するかのように、記憶の中のノスタルジーを呼び起こしてくれる「なにか」に出会うことがある。いつも、突然に。


僕の妻の実家は栃木県にあります。降りしきる雪の中、寒さにドキドキしながら僕は宇都宮線で、よく帰ります。だから僕にとって、宇都宮線は特別な線で、ここに揺られている時間は、僕にとって心に刻まれている風景なんです。


・・・・そして、僕は、子供の頃から愛する人と桜を見ることが、人生の夢の一つでした。忙しくてなかなか行けないけれども、妻と靖国や千鳥が淵で桜を見ることが、僕の人生の幸せの一つでもあります。結婚して、初めて二人で桜を見に行ったとき・・・僕が恋人と一緒に桜を見たのは、実は妻が初めてだと思って驚きました。ずっと恋人と行こうとおもっていたのですが、なぜかそれまで付き合った人とはいくことがありませんでした。別に運命を信じているわけじゃないけれども、やっぱり僕は彼女と出会うべくして出会ったんだな、、、と桜の降りしきる花びらの中で彼女の横顔を見ながら思ったものです。千鳥が淵は、行った人はわかると思いますが、本当に桜が降りしきって空間を全部埋め尽くすように花びらが舞い散るんですよ。


だから、第一章の「桜花抄(おうかしょう) 」は、本当に胸に突き刺さるほど引き込まれた。

**********


東京の小学生、遠野貴樹と篠原明里はお互い特別な想いをかかえていた。卒業すると明里は栃木へ転校し、それきり会うことが無くなった2人だが、夏のある日の手紙をきっかけに文通を重ねた。その年の冬、鹿児島へ転校すると決まった貴樹は、ある大雪の日に明里に会いに行く。(約28分)



**********


中学生の貴樹にとって、栃木は夢のように遠い場所だろう。その彼が、明里に会いに行くために、大雪の降る宇都宮線で、彼女のもとへむかう。




ただ、ただ単にそれだけの話。たった28分。


それなのになぜこれほど心が震えるのだろうか。新海監督の作る世界は、なぜか心の中に眠る風景を深く揺さぶる効果があるようだ。演出や画面の作り込みが、僕にはどうして岩井俊二さんの空間と凄く重なります。


新宿駅に向かい、乗り換えて、宇都宮線に、、、途中から岩井俊二監督の『リリィシュシュのすべて』のような田園風景や開けた土地が、電車の窓を流れていく。僕は、営業時代このあたりをたくさん回ったので、夏の美しい風景が今も胸に残っている。関東圏で、ちょっと足を延ばすとまだこんなに美しいのだ、、、ととてもその緑の濃さに驚いたのを今でも覚えている。

ビクターエンタテインメント
リリイ・シュシュのすべて 通常版

全編、流れる繊細な映像。その一つ一つが、自分の「特別な思い出」と重なり、不覚にも涙が出そうになった。


桜。


なぜかわからないけれども、これを愛する人と一緒に見ることができれば、きっと生きている意味もあるだろうと僕は漠然と思っています。そのノスタルジーというか思いこみがどこから来たのかは今持って良くわかりません。だから生まれてくる子供には、必ず桜の文字をつけようとずっと思っていたほどにです。




この「桜花抄」には、自分の個人的な記憶を凄く刺激されるものがあって、僕にはとても感動的だったが、それ以上に、いま僕が生きている空間と時間が、たぶん新海監督の世代とそして作ろうとしている空間とほぼ重なるのだろう、全編不思議な気持ちがしました。


ちなみに、僕は独身時代も僕は神奈川に住んでいたので、まさに山崎まさよしさんの『One more time , One more chance』もとても好きな曲で、妻と・・・当時の疎遠だった彼女と久しぶりに桜木町で会った時に、待つ時間に、この曲をMDで聞いていたのもはっきり覚えています。別に狙ったわけではなく(笑)、山崎さんは大好きな歌手なんでね。・・・なんか、いやー浸っちゃうなーあまりに、ハマりなんで(苦笑)。ちなみに、僕は遠距離恋愛の末、妻と結婚したので、この明里と貴樹の気持ちは、とてもよくわかります。


山崎まさよし, カラオケ, 森俊之, 中村キタロー, 山崎将義
One more time, One more chance
山崎まさよし, 天門, 山崎将義, 森俊之
One more time,One more chance 「秒速5センチメートル」Special Edition

リンドバーグの歌や、数々のシーンがあまりに自分の経てきた体験と記憶と重なるので、内容以上にこの作品には、強いシンパシーを感じました。まぁ作中が1999年から2008年にかけての作品なので、僕とまさに、ほぼ同時期同年齢に近い時間の流れを扱ってるので、当然なのかもしれないです。



■記憶の中にある風景~ノスタルジーを喚起させる手法


長々と自分に重ねる話をしてきたのは、この作品が、、、新海誠監督の演出技法が、


観客の記憶を喚起させる映像を作り出すこと


にその本質があると僕は思うからです。この映画は見る人の記憶によって、見え方や解釈・感興が相当変化するであろうと思うのです。基本的に、この作品の感想は、そのほとんどが、その人の個人的な恋愛記憶・体験や自意識をめぐる言説になるであろうとは疑いようもない。


それは、この作品の目指しているのは、いやこの映像が目指しているものは、個々人の心の中にる風景を引き出してきて再現させることにあるわけだからです。ある種の究極の演出方法の一つであると思う。ノスタルジーの演出法としては、最高度のモノといえると思う。


以前に、僕は新海監督を評して、こう書きました。


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けれども、一番注目したのは個人的には前作『彼女と彼女の猫』(5分)の印象だった。この作品(彼のHPの作品群)を見たときに、たぶんこの監督の才能の凝縮点は、

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①「モノそのもの」のリアル感


②ピュアなラブストリー(思いっきり純愛で、下手したら恋にすら到達する前(笑))

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じゃあないかなぁという仮説を立てました。長編オリジナル映画の出る前の頃です。


実に、実験映画的な絵やオブジェの使い方が、平凡な日常を世界を凄く美しいものに感じさせるので。「ほしのこえ」も「彼女と彼女の猫」も恋愛前の、淡い濃いみたいなもののピュアさが前面に出ているので、もしかしたらこの人は、人間そのものよりも

「モノそのもののリアル感」



に恋してしまう人なんではないかな?と思いました。



あれですね、ハリウッド映画の『アメリカンビューティー』に出てきた少年が、ビニールが風に飛ばされるをずっとビデオに録画して、美しいと感動するシーン、あれですね。

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
アメリカン・ビューティー

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実際に、DVDのロングインタビューで、


実際のそのものではなくて、見た人の記憶にある風景を書こうとしました


といったことを言っています。これ、実は、画面作りで岩井俊二さんがいっていたことと全く同じなんですね。


キング
Love Letter

岩井さんの傑作『LoveLetter』も記憶を巡る遠距離恋愛を扱った作品で、まるで双子の姉妹のようにそっくりな印象を僕は持っています。岩井俊二さんの叙情的な作品が好きな方は、絶対に新海誠監督のこと好きだと思いますよ。


たぶん、モノそのもの・・・・背景にこだわっているうちに、自分が見ている…見ていない風景は、モノそのものではなくて、自分の心というフィルターをかけた「あったかもしれない風景」なんだ、ということなんでしょう。そして、それはどうも最大公約数で、かなり同じ印象のイメージを持つようですね。


人間は、写実的なモノそのものではなくて、自分というフィルターを通した世界を眺めており、自分というフィルターを通した風景こそを見たいと切実に願っているものなのだ、という部分を演出技法に昇華していったのではないか、僕は考えます。


ちなみに、小説が出ているそうなんで、早速買います。


新海誠
小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)

映像では、語られていない部分がたくさんあるはずで、それをぜひ知りたいです。ちなみにネタバレですが、星が主観で最高にならないのは、テーマからいって正しいとは思うものの、第三章の結論が、やはりそれではさびしいと思うからなのです。


ちなみに湧き上がる感興が、これと全く同じでした。




谷川 史子
くらしのいずみ (ヤングキングコミックス)

評価:★★★★☆星4つ半

(僕的主観:★★★★★星5つ)


佐原 ミズ
マイガール 1 (1) (BUNCH COMICS)

ちなみに、この佐原ミズさんの作品にも同じ匂いを感じます。岩井俊二作品とこれらの作品を同時にすべて読んでみると、僕がこれらの奥に何を見ているかがわかってもらえるような気がします。


『マイガール』 佐原ミズ著  喪失感の共有による絆は・・・・・
http://ameblo.jp/petronius/day-20070408.html


さらにこれも同じ匂いですね。


ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
海がきこえる
氷室 冴子
海がきこえる (徳間文庫)


■参考記事

『雲のむこう、約束の場所』/『ほしのこえ』新海誠監督
http://ameblo.jp/petronius/entry-10001626726.html

空気に支配される日本人の叙情性好き
http://ameblo.jp/petronius/entry-10034480793.html

『耳をすませば』 近藤喜文監督/せつないほどピュアな憧れ・・・それは、現代の若者には罪悪かも
http://ameblo.jp/petronius/entry-10009979399.html

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赤松 健
魔法先生ネギま! 21 (21) (少年マガジンコミックス)


12月22日(土)記載


■文学と物語の違い~なにが違うのか?


文学とは凝縮。


物語で、週刊連載は、それを「その当時の読者が読めるレベル」まで情報圧縮度を下げる行為なのでは?(仮説)。エンターテイメントというのは、その時代の一定の読者(=マーケットサイズ)を獲得できるレベルまで、情報の圧縮度を下げ、「理解しやすいレベル・様式」まで落としたものなのではないか?というふうに思った。


****************

そういう意味で、今のネギまには、週刊連載レベルで平均値の読者を「ついてこさせる」には少々難解で複雑になりすぎて、いる、と思う。だから、理解できない・読まない・つまらないという層が続出しているのではないか?と思う。難解というのは、中身や動機持ち方が、というのではない。そうではなくて、ある小さな単位(それが週間の回でも、週刊にわたる面でもどちらでもいい)で、読者に「理解しやす」く、「いま自分がどこにいるのか?」ということをシンプルにわかりやすくることを、失っている気がするのだ。異世界編に来ても、「これまでと目的や物語がどう異なったのか?」ということが、読者に伝えきれていない気がするのだ。さらっと、移動しすぎた、といってもいいかもしれない。そういう意味では、富樫先生の、グリードアイランド編の前後の「繋ぎ」は見事ととしか言いようがない。はっきりとな、なになに編!と、イメージが浮かぶでしょう?。その面(ステージ)のなかでの物語は、ちゃんと線になっていて、目的が非常に明快。動機もね。しかも、面ごとの整理が明確についている。


「線と面の物語(byいづみのさん)~わかりやすさは、陳腐ではないのだ」より

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この「線」と「面」という発想には、いくつかの背景が隠されている。


■「線」の物語というシンプルさ~視点をめぐる感情移入が、一直線で疑問の余地がないこと


「線」である限り、それを読んでいる読者に、シンプルで、一本道の「感情移入」が、継続して発生し続け、その感情移入が「どういう意味を持っているか」ということをに読者が常に疑問を持たない状況がある、という暗黙の前提が隠されている。


具体的にいいかえれば、いま連載中の花形には、「甲子園で勝つ」そしてその気に「星飛馬と対決する」という、あまりにわかりやすい「線」が用意されている。いろいろな障害(=ドラマ)のダイナミズムが用意されるが、基本的に主人公の目的は、一直線にぶれることなくこの「目的」に向かっている。だから、読者が、不必要に「この主人公(=感情移入の着地点)がいったいいま何を考えているのだろうか?」、などと悩むことはない。ドラマとは、ドラマトゥルギーの振幅なので、この目的に対して真逆の大きな障害を作れば作るほど、この直線の目的意識に大きな力強さと説得性をもたらすことになる。


さて、ネギまで現在の問題点は、たぶんまず以下に言えると思う。


主人公ネギ・スプリングフィールドの読者からの感情移入からシンプルさが失われている


というのはね、僕は、文学のような圧縮された複雑な動機を持つ主人公は大好きだし、そいう複雑さを「読み解く」のになれもあるし、なによりも「文脈を読むことの好きな種族」であるんですよ。だから、ネギくんの複雑に屈折した動機を丁寧に読み込むことは、可能だし、かなりの複雑さがあっても、すぐ読み解いてしまう。それは、「そもそもそういうことが好きな特殊な層だからなんです」。正しいか正しくないかは置いておいて、複雑な動機や外部環境を整理していこうという意欲は強い。


けれど大多数の読者、とりわけ週刊連載を追い続けるマス・マーケットの読者層、新規に読み始める読者層にとっては、そんな複雑な動機は考えないし、過去の時系列的に離れすぎた伏線を読み解こうとはしないんだよね。そうすると、複雑な動機と連載時期からかけ離れた伏線の確認は、新しい読者を奪い、文脈理解度が低い読者の離反を招くと思うのです。というか、途中から入る気力を喪失させる、というのが一番大きな失策でしょう。


ネギまの面白さは情報の圧縮。しかし、それは、「読者に理解しやすい仕掛けを徹底的に実施した」上での、圧縮だったはずだ。


そのため、ネギまの作風・作画には、陳腐なパロディ風の「どこかで見た既視感」が常につきまとうB級感覚があふれていた。31人のクラスメイトなどの手法も、『ラブひな』などで確立した萌えやラブコメ手法を、これでもかと惜しみなく投入している。いいかえれば、既存の読者が「理解してきた」文脈や記号を、高度に使用しているだけで、読者に圧倒的なオリジナルを体験させているわけではないのです。それはいい悪いではなく、赤松健という作者の思想というか哲学なのだと思う。いや、確立された様式美・スタイルと言い換えてもいい。僕は、この『ラブひな』で確立された萌えとラブコメの様式を、「日常という楽園」と呼びました。今の時代は、この形式が氾濫し

ており(時代が要請している世界観なんだろう)、読者はこの様式がかなり複雑でもやすやすとついてきます。けれども、この様式からの逸脱は、読者に強い混乱をもたらします。ましてや、そういった記号性に依拠していた読者への伝達をしていた作品が、いきなり記号性の常識から逸脱すると、「逸脱の程度」によっては、強い混乱をもたらすのだと思う。もしくは、伝え方を相当に工夫しないと、敷居が、高くなりすぎてしまう。


ネギまへの異世界編への読者の違和感(ってもネットでいわれているだけだが)と、アンケートでの新規読者が少ない?とかは、そういうある種のスタイルの飛躍が起きているにもかかわらず、そのことへの説明や、伝えるためのわかりやすさが抜け落ちているからなのではないか、と思う。


そもそも僕のように、このマンガを少年漫画のビルドゥングスロマンと思って読み込んでいる人には、むしろ違和感はなかったはずだと僕は思う。普通の少年マンガになったともいえるからだ。けれども、ネットでかなりネギまは少年の成長物語であるという意見は広範囲に膾炙していると思っていたが、実は、全く「伝わっていなかった」ということが分かる。まぁ、そんなもんだけれどもね(笑)。自分だけならともかく、いずみのさんの少年漫画論もあったのになー。コミュニケーションはやっぱり断絶しているんだなーと思った。やっぱり、31人のヒロインそれぞれの断片に感情移入する「日常とい楽園」という記号システムによる感受が、読者の圧倒的大多数や、新規読者の参入を促す装置になっていて、読者の人気もやはりそこで支えられていたのだ、ということだろうか?。だからそのベースから逸脱しない形での、バトルシーンや成長物語へのシフトは許容されても、説明LESSで「そこ」へ行くことへの拒否感が読者にはあったということだろうかなー。つまり、一言で言うと、ネギまという作品の「線」のシンプルさが失われている、ということなのかもなー?。



■しかしそれがダメとも、人気を継続できないとも決まったわけではない~新たな需要層の獲得は?


えっと、まだ続く(かない?)。


一言で言うのは、今のネギまがつまらなくなったというネットの感触を、僕自身も、なんとなくそう思うし、いままでの支持者が文句を言っているケースが多いので、分析してみた。


上記の議論は、たぶんいいところついていると思う。数字で証明しないことには、言あげではあるのだがね。


けれど「だからといって」この先もそうであるは言いきれないし、異世界へんなどでのバトルモードへシフト「自体」が悪いとは言い切れない。ようは「接続」いいかえれば「わかりやすく面(=ステージ)で分ける説明の仕掛け」が必要というだけであって、そもそも成長物語のダイナミズムとして設計されているネギま自身の根幹のドラマツゥルギーが否定されているわけではないのだ、ということはまずいっておきたい。


■参考記事


考えるのならばここまで考えて~しかし物語にそこまでの合理性が必要だろうか?
http://ameblo.jp/petronius/entry-10059553111.html

ネギ君の苦しみに共感してます!!!~贖罪意識のトラウマからの解放は難しいんだよ
http://ameblo.jp/petronius/entry-10057112438.html

65~66時間目:『僕だけのスーパーマン』『雪の日の真実』②
http://ameblo.jp/petronius/entry-10001918889.html

『Fate stay night』TYPE-MOON セイバーシナリオについて~不死性とは?
http://ameblo.jp/petronius/entry-10018303436.html

「わかりやすさとは何か?」~最近ネギまは面白くなくなったと思いますか?①
http://ameblo.jp/petronius/entry-10068423918.html


全体最適化と責任について
http://d.hatena.ne.jp/adagium/20071209/p1
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