大分県の旧清川村(現豊後大野市)で一人暮らしの女性を殺害し乗用車などを奪ったとして、強盗殺人などの罪に問われた無職、伊東順一被告(58)に対し、大分地裁(宮本孝文裁判長)は23日、無罪(求刑・無期懲役)を言い渡した。捜査段階で自白と否認を繰り返したとされる伊東被告の供述調書について、判決は信用性を否定した。

 伊東被告は05年3月14日、一人暮らしの山口範子さん(当時61歳)方に侵入したところを、帰宅した山口さんに発見され、コンクリート片で頭を殴るなどして殺害。車などを奪ったとして、07年に起訴された。

 伊東被告は、公判で一貫して無罪を主張。捜査段階で作られた調書の任意性と信用性が最大の争点となった。

 大分地裁は伊東被告の調書について、取調官の証人尋問を経て「任意性はある」と判断し、証拠として採用。信用性については、検察側が「殺害に用いたひもの結び方など、犯人にしか語り得ない内容があり、信用性は高い」と主張したのに対し、弁護側は「捜査段階の供述は変遷しており、客観的証拠もない」と反論していた。

 弁護側は公判前整理手続きで、伊東被告を取り調べた警察官らが作ったメモの開示を請求。地裁が08年5月、警察官5人に直接尋問後、検察側が任意提出する異例の展開をたどっていた。【高芝菜穂子】

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