ご訪問ありがとうございます。
今日の格言『注意一秒怪我一生』だと思いました。やめようJU○○小説の一気読み(4冊読んだ、死んだ)。
良かった8ビットの脳みそでと本当に思いました。
拍手ありがとうございます。メッセの返事は、後程お伺いします。

Kierkegaard
(朝の落書きは何だったんだろう、読書に忙しかったのである)
その前の話 その1  その2  その3  その4
その5  その6  その7  その8  その9  
その10  その11  その12  その13  その14 
その15  その16  その17

「俺が君を守るといったのに・・・」

静寂と静謐を破る侵入者は、誰だ、触れるな、こいつは、狩人、彼女を狩る者・・・

蓮の意識は混濁し、世界は灰色にしか見えない、緑色だった彼女はいない。

そして狩人を、彼女を狩る者を許さない、無意識に体が動く、教授を跳ね飛ばす、レンジャー隊員が彼を押さえようとするが、190cm越える長身から繰り出される手とうと蹴り、空を切るその風で頬の肉が切れる。
何もだこいつは、確か大学の生物工学部研究室所属のただの助手なのに、強い、手ごわい。

例の未確認飛行物体を確保するために、7名いた隊員も4名しかいない。

民間人相手に発砲するわけにいかない、相手は素人で武器を携帯していない。

目で合図し、全員で蓮の身柄を確保することにした。

さすがの蓮も訓練を受けた軍人が4名では、分が悪すぎた、地べたに抑え込まれ、後頭部に手とうを入れられ意識を失う。

「教授、彼は、その格闘技をやっているんですか?」

「ごほ、う、し、知らん、こんな一面があったなんて、それで彼らはどこに消えたんだ」

「彼が知っていると思うんですが、意識を失ってすぐには聞けないでしょう」

「そうこうしているうちに、逃げるかもしれん、君たちは、追跡装置をもっているんだろう、彼らがどこにいるのか、空中からでも追えないのかね」

「レーダ、および熱感知にも動物ばかりですね。この青年がキーらしい、ベースに連れていけ」

「了解」

蓮を抱き上げ、元来た道を帰ろうとしたとき、緑の迷宮が前に立ちはだかる。

「全員耳栓とスコープを装着!」

目と耳の直接情報を遮断しても、緑の迷宮が続く。

「何だ、これは!」

「あう、あう」

「どうした?あー」

全員の脳に繰り広げられる緑のビジョン、あるものは取り込まれ、あるものは、食虫植物の餌食に、緑の意志、全員の目が白濁し、筋肉が弛緩し、蓮の体が宙に投げ出される、が、それは地面に着くことなく、緑の葉にくるまれ、飲み込まれた。

蓮が消えた瞬間、緑の迷宮は消え、眼前に道が広がる。

最初に意識を取り戻したのは、教授だった。

「か、彼はどこだ!」

「どういうことだ、ここは何だ」

「とりあえず、全員例の場所へ」

全員が未確認飛行物体が置いてある場所へ向かうが、茫然自失の状態でうずくまる三名の隊員がいただけだった。

「おい、どうした、例の物体はどこだ!」

「・・・」

風がそよぐ、緑の葉が揺れる、色とりどりの花が揺れ、鳥が鳴く。

帰れと森が、島が言っているようだった。

緑の意志、人はこの島を立ち去れと、・・・


Kierkegaard


続く その19  へ