<5th Mar Tue>

あ、そう言えば、もうすぐベルリンに行くんですよね、私。相変わらず余裕がないので何も調べてませんが、ヒマ人トーチャンがガイドブックも買ってしっかり計画してくれてるみたいだから、いつものように全てお任せ。ってことは勿論歩き倒すってことだろうから痛い目に合うだろうけど、やろうとしてもなかなか実行できないダイエットにもなるかも一石二鳥かも。

14日からですが、その前に溜まってる鑑賞記事を少しでも片付けよう、ということで1ケ月近く経ってしまったオペラコンサートについての今更鑑賞記です。

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London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


ヘンデルのオペラは王様やら魔法使いやら仰々しい人たちが出てきて、ストーリーだけ聞くとスケールの大きいドラマなんだけど、単に歌を聴かせるための状況作りなだけですから深刻に取る必要はなく、どうせ感情移入もできないですから、典雅で軽快なバロック音楽と歌手たちの歌合戦を楽しむのがポイント。

このオペラも2行でまとめると、


クリップラダミストは、隣国アルメニアに攻められて囚われの身となったトラキアの王子。アルメニア国王が妻のゼノビアに横恋慕するが、すったもんだの末に夫婦の強い愛の絆が勝利。


ね、単純な勧善懲悪なのもわかりやすくて良いでしょ?


2月10日、週末なのにわざわざバービカンまで出掛けたのですが、実はコンサートが始まる前に、ハリー・ビケットのチェンバロ兼指揮による若いアーチストたちによるパフォーマンスが30分程行われ、バービカンに早く着き過ぎた私とトーチャンはそれも聴いたのですが、歌手のレベルはまちまちだったものの、オケはそこそこ上手だったし、ヘンデルはそう難しくないのかと思ったのですが、メインチームの演奏を聴いたら、同じビケットの指導と指揮でもこんなに違うのかとびっくりするくらいの差。


比較できたおかげで、一見簡単そうなバロック音楽も引き締まったリズム感とメリハリでいかに素晴らしくなれるかを再認識できたのも興味深かったし、一昨年だったかENOで英語で聴いたのをやっと本来のイタリア語で聴けたのが嬉しかったです。(その時のCTはローレンス・ザッゾ)
London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

Handel Radamisto

The English Concert
Harry Bicket
conductor

David Daniels Radamisto (トラキアの王子)
Patricia Bardon Zenobia (ラダミストの妻)
Luca Pisaroni Tiridate (アルメニア国王)
Elizabeth Watts Tigrane (アルメニアの将軍)
Brenda Rae Polissena (アルメニア王妃/ラダミストの妹)
Robert Rice Farasmane (ラダミストの父親)

音譜主要な4人は同じメンバーでこの後ニューヨークのカーネギーホールでも公演があったそうですが、特出した歌手はいなかったものの、全体としてはなかなか高水準のパフォーマンスでした。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
   London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


まず、タイトルロールのディヴ゙ィッド・ダニエルズですが、カウンターテナー好きの私なれど、彼の声と歌い方を好きだと思ったことは一度もなく、男が無理やり裏声で歌う結果、女の腐ったような不快な声に聞えてしまい、カウンターテナーは気持ち悪いと思うほとんどの人は彼のような声を想像するのではないかと・・・。

なので、一年以上も前に切符を買った時からずっと代役にならないかなあと願ってました。これだけ上手なCTが輩出してる昨今、この大役だって歌える人はいるでしょ、きっと? 


だけど、さすが、私の知る限りキャンセルない頼りにできる立派なベテランのダニエルズ、遠くアメリカからちゃんと来てしまいました来てくれました。

で、どうだったかと言うと、おそらく寿命の短いCTとして最盛期はとっくに過ぎているだろうと全く期待はしてなかったのですが、久し振りに聞いたところ、特に衰えてるようにも聞えず、安定したテクニックを保っているのは尊敬に値するし、一昔前大舞台でもCTが活躍できると証明してくれたのはダニエルズだし、その結果が今のCT百花繚乱時代なのかもしれないわけで、彼の功績は大きいと思います。近くで見るとさすがに皺も増えましたが、長年頑張ってくれて感謝しなくちゃね。



London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
でも、彼から一番近くて1メートルの距離だった私には充分聞えたけど、あの声量と響かない声質で果たして後ろの席の人にまで充分届いたかどうか・・・。ダニエルズさん、貴方が道を開いてくれたおかげでヨーロッパには上手なCTがたくさん輩出しましたから、御大はできれば自国アメリカで余生を過ごして下さいね。


というわけで、ダニエルズは期待が低かったのでがっかりもしませんでしたが、意外にも一番の失望は、悪役のルカ・ピサローニ。いつもは鋼鉄のような硬い芯のある声が気味よく直球で飛んでくるのに(グラインドボーンのリナルドとか凄く良かった)、今日はなんだか弱くて迫力不足。調子悪かったんでしょうか。


カーテンコールでピサローニの良い写真が撮れなかったので、代わりに一年半前のグラインドボーンのリナルドの格好良すぎる悪役の写真でもご覧下さい(→こちら )。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
   London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


「パトリシア・バードンとブレンダ・レイ(リーと発音するのかも)は体調不良ですが歌います」とアナウンスされた女性二人でしたが、私は彼女たちを前に生で聴いたことがあるのですが、特に不調とも思えず、長丁場を熱演してくれました。


愛らしい容姿に似合わないハスキーなドス声に魅力は感じませんが、それゆえにユニークな存在感のあるアイルランド出身のバードン嬢、異国調のライトブルーとピンクの衣装がとても素敵でした。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
   London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


でも、視線はやっぱり長身グラマーのブレンダ・レイ目 


この容姿なら何を着てもサマになるでしょうが、ちょっとアラビア風の白いドレスが舞台映えして、とても華やか宝石白


アメリカ人のブレンダ嬢は、ピサローニと共演したグラインドボーンのリナルドの魔女役で黒い皮(実際にはビニールだったけど)のミニドレスとハイヒールというセクシーな衣装が大柄な彼女にとても似合ってて印象的だったのに、今回は夫(アルメニア王)に冷たくされてめそめそする役なのでイメージ狂っちゃいましたが、風邪ひきながらも美女が熱演する様はいいものですね。ちょっとくぐもった特徴のない声にはあまり惹かれませんが・・。


デカ女のブレンダ嬢に密かに想いを寄せる将軍のズボン役が小柄なエリザベス・ワッツなので、二人のシーンは滑稽だったし、ワッツ嬢のオスカル様風の白いひらひらブラウスにズボンとといういでたちは趣味が悪くてビジュアル的には丸っきり外れてましたが、透明な高音が心地よく響き渡り、私は彼女の歌う場面が一番楽しみでした。イギリス人ゆえの身内びいきも多少あるにせよ、彼女に対する拍手が一番大きかったですしクラッカー


たとえ超一流の歌手が揃わなくても、やっぱりヘンデルはいいですね。歌う方も聴く方も歌に集中できるこういうコンサート形式も大好きですから、もっとたくさんやって頂きたいものです。


そう言えば、3月11日から4月16日までロンドン・ヘンデル・フェスティバルというのがあることをこの日のコンサートのプログラムで知ったのですが(→こちら )、こんな直前では良い切符は買えないでしょうねえ。CTのティム・ミードも出るみたいなのに・・しょぼん  どうせ、仕事も忙しいから無理だし・・プンプン



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