<4月21日(火)>

今夜からやっとイギリスの空港がオープンしてやれやれ。これが続いたらスーパーでフルーツや野菜が不足するでしょうから。

上空は火山灰だらけでも、下界はまだ朝晩は冷えるけどお昼は結構気温が上がって春らしいのどかな毎日。でもやっぱり灰は少し落ちてきてるようで、黒い車だとよくわかるのですが、うっすら埃のような灰で覆われています。今週末のロンドン・マラソンに影響が出なきゃいいけど。

---------------------------------------------


オペラ三昧イン・ロンドン


4月5日と13日の2回、ドニゼッティのイタリアのトルコ人Il Turco in Italiaを観に行きました。


どんな人たちが登場人物かは前の記事をご覧頂くとして(→こちら )、要するに、玉の輿でナポリの中年男に嫁いだ浮気な若い妻が旅行中のトルコ男といちゃつきまくるけど、前の恋人が現れて二人の女性の間で迷うトルコ男が三角関係の末にその女とトルコに帰り、イタリア若妻は寛大なおっさん夫と元のサヤにおさまる、というドタバタ仕立て。


モダンでカラフル(ちょっとチープだけど)なプロダクションだということは写真でおわかりでしょう。オペラには珍しく、役柄と歌手の容貌がぴったりなので、今回は拡大でアップです。


オペラ三昧イン・ロンドン
   Composer Gioachino Rossini
   Directors Patrice Caurier/Moshe Leiser
   Set Designer Christian Fenouillat
   Costume designs Agostino Cavalca

   Conductor Maurizio Benini
   Fiorilla Aleksandra Kurzak
   Don Narciso Colin Lee
   Don Geronio Alessandro Corbelli
   Selim Ildebrando D'Arcangelo
   Prosdocimo Thomas Allen
   Zaida Leah-Marian Jones
   Albazar Steven Ebel





オペラ三昧イン・ロンドン

オペラ三昧イン・ロンドン

オペラ三昧イン・ロンドン

オペラ三昧イン・ロンドン

4年前のプレミエはチェチリア・バルトリ出演で超人気でしたが、今回は特に大スターが出ているわけではないので切符の売れ行きはスローでしたが、批評は上々で、それもその筈、皆さん歌も芝居もすごく上手な上クラッカー、私は舞台袖の近い席からじっくり観ましたが、コメディは難しいだろうに細かいところまで演技が行き届いて面白くてたまりませんでしたにひひ


ポーランド人ソプラノのアレクサンドラ・クルチャク(と読むのかどうかはわからないけど)は、2005年のミトリダーテ(モーツァルト)の準主役で初ROH。主役としては2006年のドン・パスクワーレを皮切りに、フィガロの結婚(スザンナ)、愛の妙薬マティルダ・ディ・シャブランと毎回歌も演技も文句ない出来栄えで、私はいつも聞惚れます。

なめらかな伸びる声でコロラチューラもころころとよく回り、今回の浮気妻役でもバルトリの超技巧と比べても決して劣らない立派な主役ぶりだったと思うのに、知名度がイマイチなのはなぜでしょうね?おたふく顔だから?たしかに美人じゃないけど、表情はチャーミングだしスタイルも良くてセクシーだし(同じ衣装でもバルトリの時よりドレスはうんと素敵に見えた)、過小評価されてるソプラノだと思います。


病院行きと重なって諦めた日もあったので2回しか行けませんでしたが、何度でも聴きたいと思った理由は私にとってはクルチャクで、来シーズンはセヴィリアの理髪師のロジーナを歌ってくれるのがとても楽しみ。高い声が売り物なのにメゾソプラノの役までできちゃうなんて凄い(追記?ソプラノ版があるそうです)。そればかりではなく、一時はベルグのルルまでやろうとしたらしく、ROH出演予定は結局キャンセルしたのですが、やる気満々。でも、やっぱりロッシーニとかドニゼッティが一番向いてるので、軽やかな声で明るいオキャン路線でもうしばらくは進んで下さいね。


オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン



タイトルロールのトルコ男は先回と同じイルデブランド・ダルカンジェロ。私が彼をROHで観たいつくかの役のうちではこの女たらしのダンディ役がダントツのはまり役。


低いバス声なのにこの役に必要な軽さもあり、コロラチューラもよく回って凄く上手。この手の濃い顔は好みではないけど、ダークなハンサムぶりは際立っていてとても魅力的ラブラブ そして何よりも賞賛すべきはコメディのセンスにひひで、コメディ専門のコルベッリと互角に渡り合うどころか勝ってましたね。それに、バルトリと共演した時は大スター相手にちょっと遠慮がちだったのが、今回はフィガロの結婚も一緒にやってお馴染みのクルチャクだからラブシーンも思い切りいちゃついてホットだったことメラメラ。もうこの役はダルカンジェロ以外では想像できないわ。


オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン


オペラ三昧イン・ロンドン
若い妻に浮気され放題で困り果ててる中年男のペーソスを体中で表わして、そして歌ももちろん上手なアレッサンドロ・コルベッリは前回同様深みのあるバリトンぶりだったし、スパゲッティに顔突っ込んだりしなくても充分笑いが取れる芸達者。もうすぐ又「連隊の娘」でお目見えです。


同じ中年バリトンでもトーマス・アレンはミスキャストだと思うし(先回もそう思った)、声の衰えも明らか。功績と存在感と威厳と貫禄は認めますが、こないだのコジ・ファン・トゥッテのドン・アルフォンソも彼だったし、ジャンニ・スキッキも彼だったし、正直飽きた・・・。

オペラ三昧イン・ロンドン
  オペラ三昧イン・ロンドン

アレンとは逆に、もっとたくさん歌って欲しいと思ったのが、テノールのコリン・リー

フロレス王子の裏キャストとして使われることが多い彼だけど、一度聴いてみたくて去年のセヴィリアの理髪師は最初から彼が出る日に行ったのに口パク演技だけだったので(声の代役が大好きなトビー君だったので文句はないですが→こちら )、今回やっと聴くことができびっくり。力強い良い声で上手じゃんキスマーク フロレスより好みかも。

 

若妻の浮気相手役をプレスリー風衣装と軽妙な動作で笑いを取り、彼が出てくると盛り上がったこと。5、6月の連隊の娘ではまたフロレスの出ない日に3回歌うのでこれは聴きに行かなくっちゃ。まだ切符は買ってないけど、フロレスがどうせ1、2回はキャンセルするだろうから待ってりゃいいかな。そうならなくてもコリンの出る日は切符の売れ行きが雲泥の差で悪いので(ナタリー・デセイは出るのに!)、そのうちダンピングが始まるかもしれないしね。


トルコ男の元カノのLeah-Marian Jonesは、チェネレントラのお姉さん役、トラヴィアータででィオレッタの友人役、リゴレットの殺し屋の妹などでよく登場する金髪美人。ちょっと年食ったし、今回はダークなカツラで別人に見えたけど、いつも歌も上手で私は結構ファンなのです。


というわけで、先回は大スターのバルトリとその他という図式でしたが、今回はて皆さん同等の雰囲気でアンサンブルとしてのバランスが取れた素晴らしいチームワークでオペラを盛り上げてくれて大満足。


                                      人気ブログランキング  キノコ