<9月27日(日)>


暖かくて良いお天気の日曜日にずっと家に引きこもって勿体なかったけど、整理整頓もさらに捗ったし、ドンカルロもやっと片付いたのでスッキリ。来週は仕事が忙しいので、そちらも頑張りましょう。オペラも行きますけどね。

カルメン騒動の始まりだよ~クラッカー

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オペラ三昧イン・ロンドン

ロイヤルオペラハウスのDon Carlo、9月12日のリハーサル、15日の初日、18日の2日目と3回立て続けに行きました。運よく全てストールサークルの席で、リハーサルは報道写真を撮るシャッターの音がうるさかったですが、普通だったら数十ポンドのところが10ポンドだったから仕方ないです。他の日はセットはほとんど見切れる舞台袖の席で13ポンドづつ。舞台は一年前に観たしどうでもいいんです。


全編ハモれるくらいお馴染みになりましたが、飽きるどころか、いかに名作であるかがわかり、さすがヴェルディ、美しくて深くて素晴らしいオペラです。尚、色々なバージョンがありますが、このプロダクションは5幕のイタリア語版。(フランス語版も生で聴きた~い。アラーニャで)


筋書きなどは先回の記事(→こちら )をご覧下さいなのですが、一言で言うと、16世紀のスペイン王室の若い後家王妃と義理の息子の悲恋物語で、シラーの原作はもちろんでっちあげです。


ドンカルロ、東京でも9月初めにスカラ座引越公演があり、天皇皇后両陛下も途中からご鑑賞されたそうで、フリットリ、ヴァルガス、ルネ・パペの3人が揃った日はロンドンは敵わないかもしれませんが、こちらの顔ぶれもなかなかな上に皆さん毎回出てくれたので、当たり外れのなさではロンドンの勝ちかも。

オペラ三昧イン・ロンドン
Composer Giuseppe Verdi
Director Nicholas Hytner
Designs Bob Crowley

Conductor Semyon Bychkov
Don Carlo Jonas Kaufmann
Elisabetta di Valois Marina Poplavskaya
Rodrigo Simon Keenlyside
Philip II Ferruccio Furlanetto
Princess Eboli Marianne Cornetti
Tebaldo Pumeza Matshikiza
Grand Inquisito John Tomlinson
Conte di Lerma Robert Anthony Gardiner
Carlos V Robert Lloyd
Flemish Deputies Dawid Kimberg
Changhan Lim/David Stout/John Cunningham/Daniel Grice/Lukas Jakobski
Voice from Heaven Eri Nakamura



ほら、男性群は凄い面々でしょ? だけど、先回同様(ドンカルロがヴィリャソンだった以外はほぼ同じ)、男性歌手たちは一流を揃えたのに、なんでエリザベッタがこんなソプラノなんだよ~むかっという失望の中で始まったリバイバル第一回目。


オペラ三昧イン・ロンドン
注目はなんと言ってもタイトル・ロールのヨナス・カウフマンで、これが素敵だったのなんのってキスマーク 私だけじゃなく、知り合いの女性たちは皆うっとりして、鼻血を抑えるのに必死でしたよ。私はすごく近い席なのに更に双眼鏡でドアップにしてウハウハラブラブ!


カウフマン、今や世界的人気のテノールになったのはハンサムだからという理由もちょっと入ってるのかな、と実は思っていたのですが、今回のドンカルロで実力も兼ね備えているがよくわかりました。今までROHで生で聴いたのは、ゲオルギューとのつばめ、ネトレプコとのトラヴィアータ、カルメンのドンホセ、トスカと、いわば主役ソプラノの相手役で歌う場面も少なくて、もちろん上手なんだけど充分に評価する材料がなかったけど、このドン・カルロは演技力もスタミナも必要で生半可なテノールなぞには無理な大役。


それをカウフマンは並居るベテランのバリトンたちに一歩も引けを取らず、全ての面で立派なパフォーマンスでしたクラッカー 前回のヴィリャソンが例の熱血ぶりで見所もあったけど危なげでキーンリンサイドとフルラネットの二人より劣ったのに比べるとカウフマンは安定そのもので、二人の重鎮に一歩も引けを取らず互角に勝負してました。数年前の「つばめ」でゲオルギューの貫禄にたじたじだった若者がこんな凄い歌手に成長して、と私は感無量。


こないだシャモニーのリンダに出た新人テノールのコステロ君が素晴らしいと言っても素材だけの青二才なのに比べると、カウフマンは磨かれてピッカピカのダイアモンド宝石ブルー


立派過ぎるのが難と言えば難で、「そんなこと言ったって義母ちゃんを愛してるんだもーん」と駄々をこねる方がドン・カルロらしいのに、カウフマンは大人顔で「そうですね、義母を慕ったりするのはいけないことですね。他のお嬢さんを探して身を引きます」って言いそうな分別あり過ぎのドン・カルロでした。
オペラ三昧イン・ロンドン
暗くて重めの声は特に私好みではないけれど、彼が歌うのならなんでも聴いてみたいです。実は彼のローエングリンが観たくて今年7月のミュンヘン・フェスティバルに切符を申し込んだのですが、超人気のようで買えませんでした(なので代わりにヴェローナに行ったんです)。彼だったらうんと魅力的な白鳥の騎士でしょうねえ。ミュンヘンでは衣装がひどかったのでがっかりでしたが、ROHの古めかしいけど美しいローエングリンに次回出てくれるといいなあ。


こんな歌もルックスも完璧なテノールでドン・カルロを3回も近くから観られて、ROHシーズンのっけから幸先良し!


           オペラ三昧イン・ロンドン ドキドキドキドキ

キラキラキラキラ  こんな美しいドンカルロとロドリーゴは滅多に見られるもんじゃないわよねキラキラ


ロドリゴのキーンリーサイドはプレミエで3回も観たので(一回は代役だった)、今回は退屈するかと思ったら、カウフマンとの美男子コンビで更に見映え度もアップしたし、近くで観られた分、定評のある演技も堪能できてまた毎回引き込まれました。よくコントロールされて変化に富んだ歌唱も素晴らしくてやはりサイモンは凄いと思ったし、ロドリゴがドンカルロに「僕を信用しないのか?この僕が君を裏切ったと?」と畳み込みながらの悲しみに満ちた表情にはぐっときました。ほんと、サイモンは名役者じゃ。
オペラ三昧イン・ロンドン
フィリッポ国王も先回と同じフルラネット。いくら上手でも7回も観るとさすがに新鮮味に欠けて、他の人でも聴いてみたいわと正直思ったりもしましたが、今回彼の偉大さをまざまざと見せ付けられたのは、つい最近のセヴィリアの理髪師(→こちら )のドン・バジリオとあまりにも違ったからです。


ドン・バジリオの時は「うわ~っ、あの威厳あるフィリッポ2世と同じ人だなんて信じられな~い!」と頬っぺたつねりながら大笑いしてたのですが、今回はそのおとぼけドンバジリオのイメージが抜けず、彼を見る目が変わっちゃいました。やっぱりどうしても同じ人とは思えません。凄いわ~。 

いえ、どちらか片方だけでも超一流ということは明らかなんですけどね。バスには惹かれない私、フルラネットの若い時(昔からおっさん風だったけど)の映像とかであまり惹かれるものはなかったけど、年を取るに従って味が出てますます良し。


老人歌手は他にも出てて、ジョン・トムリンソンロバート・ロイドですが、二人ともこの重厚なドラマに相応しい力と品格を備えてて、イギリスのオペラ界の層の厚さはなかなかのものだわとROHの常連は皆ハッピー。でも、ご存知の通り、ロイド爺さんのあの独特の口をひん曲げる歌い方は好きじゃないし、トムリンソンもROHに出過ぎで、ちょっと飽きた・・・。その上、もうすぐ始まるトリスタンとイゾルデのマルケ王がサルミネンからトムリンソンに変更になり、私が行く日はトムリンソンなのでがっかり(サルミネンのマルケ王は2月にスカラ座で観たのでいいのですが)。


容貌も役柄にぴったりで歌も達者な男性軍5人は文句無しでしたが、やっぱり予想通り女性軍が足を引っ張りました。でも、知名度からしてエリザベッタもエボリもうんと格下なのでどうなることかと不安でしたが、心配した程ひどくはなかったので一安心ってとこでしょうか。

オペラ三昧イン・ロンドン
ったく誰か他にいないわけ?バーバラ・フリットリは東京に取られちゃうし、嫌だよね~、と仲間内で不満たらたらだった人選はエリザベッタに今回またポプラフスカヤだったことです。私はプレミエで彼女のくぐもった声を4回聴くのはかなり辛かったので、あれを又今回も何度も聴くのかと想像しただけでぞっとしてました。


でも、あ~、よかった、前よりかなりましになってました。3回目はさすが疲れてたようでまた不快さが戻りましたが、リハーサルの時なんて、「声は嫌いだけど、そう悪くないじゃない? これ程度の足の引っ張り具合なら許せるかも」とすら思いました。エラの張った四角い顔は見たくもないですが、長い綺麗な金髪と凛とした振る舞いは王妃らしい気品があって、後ろからだと美しい女性です。


後ろから見てもうんと遠くから見ても、美女という設定からは思い切りかけ離れてるエボリ皇女。「こんなことが起こるのも私が美貌過ぎるからだわ」、と呪われた美しさを歌う時、オペラ初心者だったらひっくり返っちゃうと思うわ、という程、メゾソプラノのコルネッティは中年の肥満女性。他の人がぴったりなので、ことさらその欠点が目立ってしまいます。これで歌も不味かったら舞台に座布団投げたいところですが、幸いこれが張りのある素晴らしい美声だったので聞惚れて、彼女の出る場面が楽しみでした。当初の予定は先回と同じソニア・ガナッシだったのですが、知名度で勝るガナッシよりこのデブのおばさんの方がずっと良いです。パワフルな低音も素敵で、トロヴァトーレのアズチェーナだったら容姿もどんぴしゃできっと素晴らしいに違いない。


オペラ三昧イン・ロンドン
ちょい役では、ROH若手アーチスト2年生のロバート・アンソニー・ガーディナー君のほっそりとした美貌とよく通る高い声が印象的でした。こんな大きな役は初めてなので「頑張れよ!」と応援してたテノール好きの私は嬉しいです。


同じ若手アーチストを卒業したばかりの南ア人Matshikizaは同じソプラノの中村理恵さんに追い越れてしまって可哀相だったのですが、今回のお小姓役は溌剌としてなかなか良かったです。彼女のまろやか過ぎる声は好きではないけれど。


中村恵理さんはほんの短い声だけ出演なので、カーテンコールもリハーサルだけ登場しました。もうすぐカルメンだから頑張ってね。


指揮者は、先回はROHのパッパーノ大将でしたが、今回はビチコフ。ちょっと前のローエングリンが素晴らしかったので一気にROHで名を上げた指揮者で、ローエングリンほどの感銘は受けなかったものの、確実で見事な統率力でした。


というわけで、ROHの本格的な幕開けとなったドン・カルロ、レベルの高いパフォーマンスで新シーズンを盛り上げてくれました。そして次はトリスタンとイゾルデとカルメンが続きます。


カメラ以下のカーテンコールは写真は3回分が混ざってますが、クリックで拡大します。全てストールサークルで微妙に距離は違います。


オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン

                            指揮者の格好から、これはリハーサルだってわかるね

オペラ三昧イン・ロンドン    オペラ三昧イン・ロンドン  

                                中村恵理さんだけ普通の格好

 

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           赤いオベベのトムリンソンばかりがやけに目立つなあ


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