<9月29日(火)>


素晴らしい秋の日が続く散歩日和のロンドン。散歩して運動不足解消をする筈の私ですが、仕事が忙しくてとても無理。

パソコンの前にばかりいるのはうんざりだ~、と思いながらもコンサート記事をシコシコ書いてて夜が終わってしまったじゃないの。

明日のカルメンの前になるべく終わらせたいから頑張ったんだよぉ。

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オペラ三昧イン・ロンドン

9月22日、バービカンのLSOコンサートに行きました。


コンサート形式のベルリオーズのLa Damnation de Faustを生で聴くのは初めてでしたが、ソロ歌手は僅か4人でも大編成のコーラス付のスケールの大きな曲の上、オケも歌手も素晴らしい出来で、夏のオフシーズン後初めてのコンサートを、例によって上からガンガン全身に浴びるような最前列のど真ん中席で堪能しましたドンッ


お馴染みの悪魔に身を売るファウスト博士のキリスト教的お話ですが、ゲーテ原作のフランス語訳が刊行されすぐ感銘を受けたベルリオーズだそうで、なによりもフランスらしい艶のある熱のこもった素晴らしい作品で、1846年初演の作品にしては時代を先取りした斬新さが素晴らしくて、「あ、これはここに出てくるのね」というお馴染みの行進曲もあり、ベルリオーズって凄くいいじゃん、とつくづく思った次第。


余談だけど、ROHの公開インタビュー(→こちら )で「おいらはベルリオーズが一番好きさ」と熱く語ってた同胞のロベルト・アラーニャが聴きに来てるかもと期待したけど(カルメンのリハーサルでロンドンにいるのをちょっと前に目撃してるし)、残念乍ら来てませんでした。


オペラ三昧イン・ロンドン Berlioz
La Damnation de Faust
London Symphony Orchestra
London Symphony Chorus
Valery Gergiev
conductor
Joyce DiDionato Marguerite (Bernarda Finkの代役)
Michael Schade Faust
Willard White Méphistophélès (Thomas Quasthoffの代役)
Florian Boesch Brander


随分前に切符を買った時のお目当ては、ファウスト役のミヒャエル・シャーデでしたが、しばらくして、なんとマルガリーテ役が、知名度もいまいちで手堅いけど地味な中年のフィンクから、今や人気実力ともメゾソプラノのトップの一人であるジョイス・ディドナートに変更になり、一気に楽しみ倍増。


期待通り素晴らしかったシャーデとディドナートをほんの2、3メートルの距離で聴けて大満足ニコニコ
オペラ三昧イン・ロンドン
シャーデ
は結構大男でいかついので、下から見るとゴリラみたいだけど、シャープな高音がきれいに突き抜けて、力強さもあり、私のご贔屓テノールの一人です。


でも、歌唱面では文句ないけど、主役3人の中で唯一の当初メンバーなのに突っ立って目で音譜を追うだけで全く芝居っ気がなかったのがちょっと残念。ラブシーンでは、折角すぐ横でディドナートがファウストをうっとりした目付きで見つめてるのに、彼は彼女の方を見ようともしないなんて、ちぐはぐ過ぎ。


ディドナートは、7月のROHでのセヴィリアの理髪師(→こちら )でパフォーマンス中に足を骨折したけど松葉杖と車椅子で一度もキャンセルしなかった根性のロジーナでしたが、足もすっかり治って、素敵なドレス姿で登場。


ホロストフスキーの穴埋めコンサート(→こちら )のドレスもとても素敵だったしセンスの良い人なのでしょう。美人じゃないけどチャーミングな彼女、この頃はすっかりスターらしい貫禄も身に付き、余裕の歌唱も素晴らしいの一言。今が旬で乗りに乗って輝いてます。出番が少ないのに、代役で出てくれて感謝感謝。12月にウィグモア・ホールでまた聴けるのが楽しみ。ドレスも期待。


オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン

低音歌手にはあまり興味のない私にとってはメフィストフェレス役はどうでもいいんだけど、このコンサートの目玉のように扱われてたトーマス・クヴァストホフは病気でドタキャン。なんと当日の夕方にバービカンからキャンセル連絡メールが来ました。開始時間も15分遅れるとのことで、きっとパニックだったのでしょう。

クヴァストホフは2、3度聴きましたが特にファンでもないし、去年のボストリッジとレシュマンとのコンサート(→こちら )の彼はちょっと観客に対して失礼だったので実はあまり良い印象を持ってない私。キャンセルされても構わないけど、代役はウィラード・ホワイトか・・・・・・むっ


ジャマイカ出身の(黒人だけど)ホワイトおじさん、サーの称号まで貰ってるわけだから全盛期は素晴らしかったんでしょうが、ROHで何度か聴いたときはすでに盛りは過ぎて声量不足だったからなあ・・・

でも、私の席が50センチ横にずれてたら唾が掛かったくらいの距離で聴くと、当たり前だけど迫力はあり、急遽コペンハーゲンからすっと飛んで来た彼、割と最近この役をフル舞台で演じたに違いなく、ほとんど暗譜で身振りもつけて余裕たっぷり。ドタキャン代役のサー・ウィラードが一番役にはまってました。


舞台一杯のこれだけの人数を統率して細やか且つ大胆に盛り上げたLSO首席常任指揮者ゲルギエフもさすがでした。この曲の主役はオーケストラですから。


オペラ三昧イン・ロンドン


つい最近、テレビでNYメト版のファウストの劫罰を観たのですが、画像やダンスを駆使してなかなか面白かったけど、こうしてコンサート形式で全て自分のイマジネーションで舞台を造り上げるのも私は好きです。



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<9月27日(日)>


暖かくて良いお天気の日曜日にずっと家に引きこもって勿体なかったけど、整理整頓もさらに捗ったし、ドンカルロもやっと片付いたのでスッキリ。来週は仕事が忙しいので、そちらも頑張りましょう。オペラも行きますけどね。

カルメン騒動の始まりだよ~クラッカー

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オペラ三昧イン・ロンドン

ロイヤルオペラハウスのDon Carlo、9月12日のリハーサル、15日の初日、18日の2日目と3回立て続けに行きました。運よく全てストールサークルの席で、リハーサルは報道写真を撮るシャッターの音がうるさかったですが、普通だったら数十ポンドのところが10ポンドだったから仕方ないです。他の日はセットはほとんど見切れる舞台袖の席で13ポンドづつ。舞台は一年前に観たしどうでもいいんです。


全編ハモれるくらいお馴染みになりましたが、飽きるどころか、いかに名作であるかがわかり、さすがヴェルディ、美しくて深くて素晴らしいオペラです。尚、色々なバージョンがありますが、このプロダクションは5幕のイタリア語版。(フランス語版も生で聴きた~い。アラーニャで)


筋書きなどは先回の記事(→こちら )をご覧下さいなのですが、一言で言うと、16世紀のスペイン王室の若い後家王妃と義理の息子の悲恋物語で、シラーの原作はもちろんでっちあげです。


ドンカルロ、東京でも9月初めにスカラ座引越公演があり、天皇皇后両陛下も途中からご鑑賞されたそうで、フリットリ、ヴァルガス、ルネ・パペの3人が揃った日はロンドンは敵わないかもしれませんが、こちらの顔ぶれもなかなかな上に皆さん毎回出てくれたので、当たり外れのなさではロンドンの勝ちかも。

オペラ三昧イン・ロンドン
Composer Giuseppe Verdi
Director Nicholas Hytner
Designs Bob Crowley

Conductor Semyon Bychkov
Don Carlo Jonas Kaufmann
Elisabetta di Valois Marina Poplavskaya
Rodrigo Simon Keenlyside
Philip II Ferruccio Furlanetto
Princess Eboli Marianne Cornetti
Tebaldo Pumeza Matshikiza
Grand Inquisito John Tomlinson
Conte di Lerma Robert Anthony Gardiner
Carlos V Robert Lloyd
Flemish Deputies Dawid Kimberg
Changhan Lim/David Stout/John Cunningham/Daniel Grice/Lukas Jakobski
Voice from Heaven Eri Nakamura



ほら、男性群は凄い面々でしょ? だけど、先回同様(ドンカルロがヴィリャソンだった以外はほぼ同じ)、男性歌手たちは一流を揃えたのに、なんでエリザベッタがこんなソプラノなんだよ~むかっという失望の中で始まったリバイバル第一回目。


オペラ三昧イン・ロンドン
注目はなんと言ってもタイトル・ロールのヨナス・カウフマンで、これが素敵だったのなんのってキスマーク 私だけじゃなく、知り合いの女性たちは皆うっとりして、鼻血を抑えるのに必死でしたよ。私はすごく近い席なのに更に双眼鏡でドアップにしてウハウハラブラブ!


カウフマン、今や世界的人気のテノールになったのはハンサムだからという理由もちょっと入ってるのかな、と実は思っていたのですが、今回のドンカルロで実力も兼ね備えているがよくわかりました。今までROHで生で聴いたのは、ゲオルギューとのつばめ、ネトレプコとのトラヴィアータ、カルメンのドンホセ、トスカと、いわば主役ソプラノの相手役で歌う場面も少なくて、もちろん上手なんだけど充分に評価する材料がなかったけど、このドン・カルロは演技力もスタミナも必要で生半可なテノールなぞには無理な大役。


それをカウフマンは並居るベテランのバリトンたちに一歩も引けを取らず、全ての面で立派なパフォーマンスでしたクラッカー 前回のヴィリャソンが例の熱血ぶりで見所もあったけど危なげでキーンリンサイドとフルラネットの二人より劣ったのに比べるとカウフマンは安定そのもので、二人の重鎮に一歩も引けを取らず互角に勝負してました。数年前の「つばめ」でゲオルギューの貫禄にたじたじだった若者がこんな凄い歌手に成長して、と私は感無量。


こないだシャモニーのリンダに出た新人テノールのコステロ君が素晴らしいと言っても素材だけの青二才なのに比べると、カウフマンは磨かれてピッカピカのダイアモンド宝石ブルー


立派過ぎるのが難と言えば難で、「そんなこと言ったって義母ちゃんを愛してるんだもーん」と駄々をこねる方がドン・カルロらしいのに、カウフマンは大人顔で「そうですね、義母を慕ったりするのはいけないことですね。他のお嬢さんを探して身を引きます」って言いそうな分別あり過ぎのドン・カルロでした。
オペラ三昧イン・ロンドン
暗くて重めの声は特に私好みではないけれど、彼が歌うのならなんでも聴いてみたいです。実は彼のローエングリンが観たくて今年7月のミュンヘン・フェスティバルに切符を申し込んだのですが、超人気のようで買えませんでした(なので代わりにヴェローナに行ったんです)。彼だったらうんと魅力的な白鳥の騎士でしょうねえ。ミュンヘンでは衣装がひどかったのでがっかりでしたが、ROHの古めかしいけど美しいローエングリンに次回出てくれるといいなあ。


こんな歌もルックスも完璧なテノールでドン・カルロを3回も近くから観られて、ROHシーズンのっけから幸先良し!


           オペラ三昧イン・ロンドン ドキドキドキドキ

キラキラキラキラ  こんな美しいドンカルロとロドリーゴは滅多に見られるもんじゃないわよねキラキラ


ロドリゴのキーンリーサイドはプレミエで3回も観たので(一回は代役だった)、今回は退屈するかと思ったら、カウフマンとの美男子コンビで更に見映え度もアップしたし、近くで観られた分、定評のある演技も堪能できてまた毎回引き込まれました。よくコントロールされて変化に富んだ歌唱も素晴らしくてやはりサイモンは凄いと思ったし、ロドリゴがドンカルロに「僕を信用しないのか?この僕が君を裏切ったと?」と畳み込みながらの悲しみに満ちた表情にはぐっときました。ほんと、サイモンは名役者じゃ。
オペラ三昧イン・ロンドン
フィリッポ国王も先回と同じフルラネット。いくら上手でも7回も観るとさすがに新鮮味に欠けて、他の人でも聴いてみたいわと正直思ったりもしましたが、今回彼の偉大さをまざまざと見せ付けられたのは、つい最近のセヴィリアの理髪師(→こちら )のドン・バジリオとあまりにも違ったからです。


ドン・バジリオの時は「うわ~っ、あの威厳あるフィリッポ2世と同じ人だなんて信じられな~い!」と頬っぺたつねりながら大笑いしてたのですが、今回はそのおとぼけドンバジリオのイメージが抜けず、彼を見る目が変わっちゃいました。やっぱりどうしても同じ人とは思えません。凄いわ~。 

いえ、どちらか片方だけでも超一流ということは明らかなんですけどね。バスには惹かれない私、フルラネットの若い時(昔からおっさん風だったけど)の映像とかであまり惹かれるものはなかったけど、年を取るに従って味が出てますます良し。


老人歌手は他にも出てて、ジョン・トムリンソンロバート・ロイドですが、二人ともこの重厚なドラマに相応しい力と品格を備えてて、イギリスのオペラ界の層の厚さはなかなかのものだわとROHの常連は皆ハッピー。でも、ご存知の通り、ロイド爺さんのあの独特の口をひん曲げる歌い方は好きじゃないし、トムリンソンもROHに出過ぎで、ちょっと飽きた・・・。その上、もうすぐ始まるトリスタンとイゾルデのマルケ王がサルミネンからトムリンソンに変更になり、私が行く日はトムリンソンなのでがっかり(サルミネンのマルケ王は2月にスカラ座で観たのでいいのですが)。


容貌も役柄にぴったりで歌も達者な男性軍5人は文句無しでしたが、やっぱり予想通り女性軍が足を引っ張りました。でも、知名度からしてエリザベッタもエボリもうんと格下なのでどうなることかと不安でしたが、心配した程ひどくはなかったので一安心ってとこでしょうか。

オペラ三昧イン・ロンドン
ったく誰か他にいないわけ?バーバラ・フリットリは東京に取られちゃうし、嫌だよね~、と仲間内で不満たらたらだった人選はエリザベッタに今回またポプラフスカヤだったことです。私はプレミエで彼女のくぐもった声を4回聴くのはかなり辛かったので、あれを又今回も何度も聴くのかと想像しただけでぞっとしてました。


でも、あ~、よかった、前よりかなりましになってました。3回目はさすが疲れてたようでまた不快さが戻りましたが、リハーサルの時なんて、「声は嫌いだけど、そう悪くないじゃない? これ程度の足の引っ張り具合なら許せるかも」とすら思いました。エラの張った四角い顔は見たくもないですが、長い綺麗な金髪と凛とした振る舞いは王妃らしい気品があって、後ろからだと美しい女性です。


後ろから見てもうんと遠くから見ても、美女という設定からは思い切りかけ離れてるエボリ皇女。「こんなことが起こるのも私が美貌過ぎるからだわ」、と呪われた美しさを歌う時、オペラ初心者だったらひっくり返っちゃうと思うわ、という程、メゾソプラノのコルネッティは中年の肥満女性。他の人がぴったりなので、ことさらその欠点が目立ってしまいます。これで歌も不味かったら舞台に座布団投げたいところですが、幸いこれが張りのある素晴らしい美声だったので聞惚れて、彼女の出る場面が楽しみでした。当初の予定は先回と同じソニア・ガナッシだったのですが、知名度で勝るガナッシよりこのデブのおばさんの方がずっと良いです。パワフルな低音も素敵で、トロヴァトーレのアズチェーナだったら容姿もどんぴしゃできっと素晴らしいに違いない。


オペラ三昧イン・ロンドン
ちょい役では、ROH若手アーチスト2年生のロバート・アンソニー・ガーディナー君のほっそりとした美貌とよく通る高い声が印象的でした。こんな大きな役は初めてなので「頑張れよ!」と応援してたテノール好きの私は嬉しいです。


同じ若手アーチストを卒業したばかりの南ア人Matshikizaは同じソプラノの中村理恵さんに追い越れてしまって可哀相だったのですが、今回のお小姓役は溌剌としてなかなか良かったです。彼女のまろやか過ぎる声は好きではないけれど。


中村恵理さんはほんの短い声だけ出演なので、カーテンコールもリハーサルだけ登場しました。もうすぐカルメンだから頑張ってね。


指揮者は、先回はROHのパッパーノ大将でしたが、今回はビチコフ。ちょっと前のローエングリンが素晴らしかったので一気にROHで名を上げた指揮者で、ローエングリンほどの感銘は受けなかったものの、確実で見事な統率力でした。


というわけで、ROHの本格的な幕開けとなったドン・カルロ、レベルの高いパフォーマンスで新シーズンを盛り上げてくれました。そして次はトリスタンとイゾルデとカルメンが続きます。


カメラ以下のカーテンコールは写真は3回分が混ざってますが、クリックで拡大します。全てストールサークルで微妙に距離は違います。


オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン

                            指揮者の格好から、これはリハーサルだってわかるね

オペラ三昧イン・ロンドン    オペラ三昧イン・ロンドン  

                                中村恵理さんだけ普通の格好

 

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           赤いオベベのトムリンソンばかりがやけに目立つなあ


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<9月26日(土)>


何も予定のない週末、溜まってるオペラやコンサート鑑賞をアップできるように頑張ろうという予定だったのに、トーチャンのイヤミな一言で、整理整頓をに一日費やしてしまったわ。できたのは洋服の整理だけだけど、すっごくすっきりした気分。何がどこにあるか把握できたのも助かるけど、なんと言っても、痩せたお陰で又着られる服がどっさり見つかっのが嬉しくてニコニコ  

胃がすっかり治った今、また必要になるかもしれないデブ用服を捨てる覚悟はできてないけど、このままの体型でいられるように自ら叱咤激励せにゃ。


さて、今更ですけど、ROHの幕開けコンサート・オペラの記事がやっとできました。

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オペラ三昧イン・ロンドン

9月7日と14日の2回、ロイヤルオペラハウスにドニゼッティのLinda di Chamounixを聴きに行きました。


今年のROH新シーズンの幕開けは又コンサート形式で、リンダ役でエディタ・グルベローヴァでも出てくれるのであればオープニングらしい華やかさと超満員の熱気で盛り上がるのでしょうが、リンダは無名の新人で、他に一枚看板で客を呼べる大スターが出てるわけでもないので、切符の出足は悪く、私の知る限りではダンピングまではされなかったけど、そこそこ埋まってはいたものの、なんだか活気のないオペラハウスでした。おまけにポールハムリンホールは準備が間に合わなかったのか、シャンペンバーやグランドピアノ、長椅子まで取り払るれたまま。


オペラの内容は他愛ないあほらしさで、一言でまとめると身分違いから起こる恋のドタバタ。シャモニーの山娘リンダの恋人カルロは貧しい画家というふれこみだったのに本当は伯爵で(オペラにはよくある嘘も方便的設定)、母親がしかるべき家柄の令嬢と結婚させようとするのを、カルロに裏切られたと思い込んだリンダは発狂し(ルチアと云い、ドニゼッティはヒロインを発狂させるのが好きですね。狂う場面は見せ場になるし、ヒロインに同情が集まって盛り上がるからでしょうけど。

でも、ルチアの惨事(婿さんをナイフでぶすっと刺し殺すんですもの)とは大違いで、息子に懇願されて伯爵夫人は(オペラには登場しませんが)案外あっさりと結婚を許し、カルロが二人の愛の思い出を語り掛けたらリンダは正気に戻ってめでたしめでたし。


これだけでは長いオペラ(長過ぎ)はもたないので、リンダに横恋慕するカルロの叔父さんとか、リンダがパリで贅沢な生活をしているのを見て妾に身を落としたに違いないと思って怒る父親とかが出てくるのですが、話は薄っぺらいまま。

ま、美しく歌うのが目的のベルカントオペラでは内容なんかどうでもよくて突っ込むのさえ時間の無駄なので、「あ、そう」と軽く受け流しましょう。でも、面白そうだからもっと詳しく知りたいじゃんと仰る奇特な方は、→こちら をご覧頂くのはいかがでしょうか。勝手に他人のXXXXで相撲を取る椿姫でございます。


あまり上演されないのは(ROHではなんと120年以上振りですって)、話がつまらないからでは勿論ないし、音楽の出来が悪いからでもなく、リンダの歌が難しいからだと思うので、例えパフォーマンスが下手くそでも、私は一度も生で通しで聴いたことがないこのオペラがとても楽しみでした。


そして、期待に違わず、職人作曲家ドニゼッティが、どうすれば受けるかを考えて作曲したオペラですから、悲劇と喜劇とごちゃ混ぜなところがどっちつかずなものの、甘くロマンチックでちょっぴりエキゾチックで心地よい美しさ。上手な歌手ばかりで聴いたらどんなに素晴らしいことであろうかと思うのですが、今回はそれが叶わなかったのが残念でなりません。


カメラ右側からは7日、左側からは14日の写真です。ストールサークルの左右対称の同じ席で7ポンドづつでした。オペラ三昧イン・ロンドン

Composer Gaetano Donizetti
Conductor Mark Elder
Linda Eglise Gutiérrez
Carlo Stephen Costello
Pierotto Marianna Pizzolato
Antonio Ludovic Tézier
Marquis de Boisfleury Alessandro Corbelli
Prefect Balint Szabó
Maddalena Elizabeth Sikora



問題はリンダ役のイグリーゼ・グティエレス(って発音することにしちゃおう)に集約します。

キューバ出身の新人イグリーゼ嬢は、リンダ役に最も大切な超高音とコロラチューラはまあまあだったし(グルベローヴァと比べなきゃだけど)、2回のコンサートで大きく外れたのは一回だけだったから(グルヴェローヴァは外さないでしょうけど)、歌自体の難しさを考えたら拍手には値するけど、どうしようもない欠点は中低音に魅力がないこと。


声は好み次第とは云っても、彼女の紗が掛かったような声を良いと思う人はまずいないでしょうし、高音と低音の声質が違い過ぎるのも気になるし、声量も不十分。一回目は緊張の余り喉が開かなかったかしらと同情したけど、2回目も同じ出来だったのであれが実力でしょう。


このコンサートでCD録音もしてましたが、タイトルロールがこれでは決してお勧めはできません。グルヴェローヴァの録音があるのに、誰がこんなCDを買うのでしょうか? マーク・エルダー(指揮者)ともあろう人が、一体なに考えてんの? 貴重価値だけで売らないで下さいね。

さて、歌唱力はペケ印のイグリーゼ嬢ですが、容姿はチャーミングと思う人もいるかもしれません。特に男性が。だって、まるで映画「ロジャー・ラビット」に出てくるすんごいプロポーションのお姉さんみたいなんだもの。アニメの彼女が人間離れしてるのは当然だけど、イグリーゼ嬢の超ボイ~ンも凄くて、地味な顔とのミスマッチも却ってセクシーかも。オペラの役柄になるためには邪魔な胸だけど(どんな衣装着ても上半身ばかり重そうだ)、胸の開いたドレス姿は華やかで素敵。
オペラ三昧イン・ロンドン      オペラ三昧イン・ロンドン


オペラ三昧イン・ロンドン
そうだ、初日にちょっとしたアクシデントがありました目


彼女が音譜を床に落としてしまったんですが、すぐ横にいる指揮者が拾ってくれると思ってそのまま立ってるイグリーゼ嬢と、「何してんだ、早く自分で拾わんかい」、という顔のエルダー指揮者。結局(当然)エルダーが指揮台から降りて拾ってあげて皆の失笑を浴びたのですが、エルダーさんってば、イギリス紳士たる者、そういう時はすぐやってあげなきゃ駄目じゃないですか! 

特にあんなドレス着たあんな体型の女性が屈んだら、メロンがはみ出てしまうかもしれないんだからさ。



リンダがナンなんでしたが、他の人は素晴らしかったので全体的には水準の高いパフォーマンスになりました。


オペラ三昧イン・ロンドン

リンダの父親役のルードヴィック・テジエ、さすがこの中では知名度一だけあって、始終立派な歌唱で、バリトンにはあまり惹かれない私もうっとり聞惚れました。ROHにはあまり出てくれないくて去年の愛の妙薬以来2度目ですが、その時のキザな軍曹のコメディアンぶりも悪くはなかったけど、やっぱりテジエはまじめな役が似合います。年齢的には今回のヒロインの父親よりルチアの兄とかヒロインに横恋慕する青年貴族とかがぴったりなので、今度はそういう役で出て欲しいけど。


テジエとは反対に、リンダをものにしようとする侯爵役には年を取りすぎてるアレッサンドロ・コルベッリで、声はおそらく全盛期は過ぎたのでしょうが(それでもとても立派)、この人の名人芸にはいつも感心します。今回も余裕と貫禄と笑いを一手に引き受けるおふざけ役で、一流のエンターテイナーぶりをたっぷり見せてくれました。得な役というだけでなく、彼だけがお芝居もしてくれて、まるで他の若い歌手たちに「ほら、君達、コンサート形式でも、そんな突っ立ってるだけじゃなくてさ、こうして表情や身振りでも役を表現したらどうなんだい?」と促しているようにも感じられました。

テジエやコルベッリには何を期待できるのかわかっていたけれど、リンダの恋人役のカルロは聞いたこともない若いテノールなので不安と期待でワクワクでしたが、幸い嬉しい驚きになり、2回目は彼を聴くためにいったようなもの。

スティーヴン・コステロ君はまだ20代のアメリカ人で、メトのルチアに婿殿(殺されるので出番は短いけど)で出てたんだそうです。ROH初出演ですごく硬くなってたせいもあるのか細かいニュアンスには欠けて一本調子気味でしたが、素質は充分で、きっと近いうちに一流になれます。この役は甘くて軽くてコロコロ転がせるフローレスの方が向いてるのでしょうが、コステロ君の力強い直球テノール声、私はすごく好き。


容姿もなかなかチャーミングで、容貌の貧しい人が多いテノール業界ではコステロ君はグッド・ルッキングと称されるでしょう。背丈も充分だし、いかにもというハンサムではないけれど、素朴な田舎にいちゃん的な好青年なので、今だったら完璧なアルフレード(トラヴィアータの)だわ。

オペラ三昧イン・ロンドン
コステロ君は来月ROHでジャンニ・スキッキに出てくれるので、一度でいいかと思ったスキッキの切符をもう一回分買いました。お気に入りテノールがまた一人増えたのは嬉しいことですラブラブ!


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男性3人が素晴らしかったのに白組に比べて、女性軍はリンダに足を引っ張られて敗北した赤組ですが、ROHには脇役でよく出るお母さん役のエリザベス・シコラがあんなに上手だったのは知らなかったし、ズボン役のピエロットのマリアンナ・ピツォラートも張りのある美声で私は好き(デブなのがちょっと・・・)。


肝心なリンダ役歌手選びには失敗した指揮のマーク・エルダーですが、さすがドニゼッティを得意とするだけあって、明るくて軽くて文句なし。やっぱり初めて聴くオペラは心弾みますしね。


ソプラノとテノールにそれぞれ良いアリアもあるし、もっと上演されても良いオペラだとは誰しも思うでしょう。話がアホらしいので、フルオペラでなくてコンサート形式でも充分と思うけど、歌唱力のあるソプラノでないと辛いので、昨年3月(→こちら )にグルベローヴァがコンサートのアンコールで歌ってくれた鈴のようなリンダの素晴らしさが忘れられない私は、途中からイグリーゼ嬢のぱっとしない歌を聴きながらも、頭の中でグルベローヴァの声に変換する努力をしてました。いつか生で本当に全部聴きたいわああああ。


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<9月24日(木)>


日本はいいよな~、シルバー・ウィークなんてものまで作ってもらえて、休みが増える一方じゃないですか。

イギリスでは8月の祭日の次はクリスマスまでなーんにもない上に、会社も追い込みに入って私はなんやかんや焦ってるってのにさ。


また着物ネタで申し訳ありませんが、今週は平日それくらいしか書けないので悪しからず。

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オペラ三昧イン・ロンドン


9月24日、今年50回目の着物お出掛けをして、目標を早くも達成しましたクラッカー 


この着物は、先週末のジャパンン祭の屋台でリーズナブルなお値段で買った古着ですが、先月日本で5枚も買ったばかりだし、そうでなくても充分過ぎるくらい持ってるから当分はよそう、意識して避けなくてもロンドンで着物なんか売ってないから安全だわ、と安心してた矢先だったんですけどね・・・

オペラ三昧イン・ロンドン
しかも、すぐ後ろでトーチャンとムスメが「えっ! まさか又買うんじゃなかろうな叫び」、という顔で呆れてたので、もちろん私も迷ったんですよ。


    オペラ三昧イン・ロンドン


だけど、まるで私を待ってたような椿柄の着物を見捨てることなんかできないでしょ? 日本から遠く離れた着物人口もゼロに等しいこんな所で、ワタクシ椿姫が買わなきゃ誰が買うって云うんですか?! 50台で買う色柄じゃないことは承知ですけど、もうこれは運命の出会いだからドンッ


オペラ三昧イン・ロンドン
誰にも引き取ってもらえないと、ほら、こんな風に切り刻まれてバッグやお財布にされちゃうかもしれないでしょ。それじゃ着物が可哀相しょぼん (お財布にしちゃでかいので、化粧ポーチかしら? がま口付の大きい方は今ムスメに取っ手を依頼中)

 

着物のまま箪笥の中で冬眠するより、小物に生まれ変わって使ってもらう方が着物も幸せという考え方もあるでしょうけど、縁あって巡り合った椿の着物ですもの、陽の目を見せてあげましょう。

ロイヤル・フェスティバル・ホールのシカゴ交響楽団のコンサートでしたが、コーラス席の最前列ほぼ真ん中というまるで雛壇のような席だったので、この真っ赤な着物はオーケストラの後ろで結構目立ったのではないかしら。ここは演奏中も明るいままなので居眠りもあくびもできず苦しかったですが、目標達成ですから、皆さんに見て頂くのがお祝いです。


オペラ三昧イン・ロンドン オペラ三昧イン・ロンドン

今までの着物お出掛けは→こちら でリストアップしてありますが、数えたらオペラ24回、コンサート13回、琴7回、その他(歌舞伎、能、食事)6回でした。


今月はあと一回だけですが、来月はあれこれイベントがあるので10回を越すかもしれません。去年の計74回を意識するわけではないけれど、ブログネタにもなることだし、新たに調達したものを中心に引き続き頑張ることに致しましょう。今回の薄緑色の帯揚げと抹茶色の帯締めも先月の日本での戦利品です。


人気ブログランキング パーグー50って意味です。ご祝儀にクリックしてたもれ、プリーズ。

着物でオペラ・コンサート

テーマ:

9月22日、バービカンのコンサートに着物で行きました。


ベルリオーズのオペラ「ファウストの劫罰」で、ゲルギエフ指揮のLSO。

コンサートの感想はあらためてアップしますが、今日は着物だけ。


オペラ三昧イン・ロンドン
日本で知り合いに頂いた単衣は私にしては珍しく落ち着いた色柄でしょ。

これで地味な帯を合わせれば年齢相応なのですが、今日の目的はこないだ日本で買った帯を初めて締めることなので、この赤とピンクを混ぜたような派手な名古屋帯にしました。


京都高島屋の和服バーゲンで買ったのですが、古着とは言え使った形跡はなく新品みたいなのにやけにリーズナブルな値段だったので、「これどうしてこんなに安いんですか?」と店員さんに聞いたら、「柄が古めかしくて流行遅れですから」ですって。


云われてみればそうですが、そんなのロンドンではどうでもいいし、私この花柄結構好きですよ。こういう色の帯は合わせやすいので、カジュアルな着物の時に重宝しそうです。


卵色の帯締めも今回の戦利品。ベージュ系の手持ちがなかったので、見つけて嬉しかった小物です。


バッグは、8月にヴェローナで買ったもの。安物で使いにくいけれど、赤い靴やバッグになぜか惹かれる私、いくつになってもつい手が出てしまいます。
オペラ三昧イン・ロンドン
さて、これが今年49回目の着物。 (一覧アップ→こちら


あと一回で目標達成だし、気分的にもやっと着物モードに突入したので、この勢いでこのまま連チャンで頑張ってみましょうかね。


実は今日は会社を午前中休んでるのですが(ROHフレンズのネット予約のため)、今夜コンサートに行くので、今から支度をして着物で行くかも。


(因みに、オペラ切符購入は、ドジを踏んだため今までで最悪の出来。折角休暇まで取ったのに、シクシク・・・しょぼん


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