7月26日、バービカンでコンサート形式のLa clemenza di Titoがありました。

毎年やってるMostly Mozartというシリーズの一環で、私のお目当てはもちろんトビ-君ラブラブ!





1791年プラハ初演のこのオペラ、ボヘミア王レオポルド二世の戴冠祝い用であるからして、「王様は人徳者」というテーマにしなくてはならず、無理な設定でオペラでしか存在し得ない人たちばかりが出てきます(言い換えれば、これぞオペラ!)


舞台は紀元前79年のローマで、主役3人はこんな人たち。


にゃーヴィッテリア(先代ローマ皇帝の娘)


現皇帝ティトの后になるのは前皇帝の娘である私が最適に決まってんじゃん。だけど、皇帝は私を差し置いて異教徒の女を妻にしようってだから腹が立つじゃないの。そんな男は死ねばいいのよ。そうだわ、私にぞっこんのセストに皇帝を殺してもらおう。


えっ、異教徒の女との結婚はやっぱりまずいから止めた?

セスト~!、暗殺は中止よ。代わりは当然この私だわね。なんですって、セストの妹が候補者ですって?んまあ、なんたる侮辱。許せない!セスト、やっぱり暗殺計画は実行よ。


でも、え~っ!またもや変更で、今度は私ですって?

ゲゲッ、もうセストは暗殺に向かってて、止められない・・


(ヴィッテリアさん、冷静に考えれば、殺すべきなのは皇帝自身じゃなくて、ライバルの女たちなんじゃないですか?邪魔なお后候補を片っ端から消せば、例え皇帝がヴィッテリアさんに魅力を感じてなくてもいつか順番が回ってくる筈)


わんわんセスト(ローマの戦士で皇帝の親友。ヴィッテリアの恋人)

恋人と親友の間で僕、困っちゃったんだ。あちらを立てればこちらが立たず、なんて生易しい選択じゃなくて、ヴィッテリアの望みを叶えれば賢い皇帝が死んでしまうんだぜ。結局、友情が愛欲に負けて、ヴィッテリアの陰謀に加担することにしたのさ。だけどドジ踏んでちがう人を刺しちゃったんで面が割れて逮捕されちまった。

ヴィッテリアにそそのかされたって白状すれば罪も軽くなるんだろうけど、愛する女性を守るために死んでもばらすもんか。


(「セストや、女性はね、容姿で選ぶんじゃないよ、大切なのは気立て」ってお母さんに教えてもらわかったの?いくら美人でセクシーでも自分の都合だけでころころ変る腹黒女のために全ローマが尊敬する皇帝を暗殺しようなんて。「優先順位のつけ方」というセミナーにでも行きましょうね)



ヒツジ皇帝ティト

かけがえのない親友だと信じてたセストが私を殺そうとしたなんて。なぜだ、なぜだ、なぜなんだよ~?(←西城秀樹風にね)。本人は絶対口を割らないけど、よほどの理由があるにちがいない。 元老たちはセストは死刑と決定したが、ここは私の一存で無罪にしてあげよう。


(皇帝はん、すぐ近くに、「わらわがお后にならいでどうする!」とメラメラ燃えてて家柄も申し分ないヴィッテリアがいるのに気が付かないで、君主として配慮が足りませんでしたね。そのためにちがう人が犠牲になったし、ローマ炎上でしたもんね。それに、親友だからってえこひいきして無罪にするってどうよ?名君主は公正でなきゃいけなくない?)


叫びという、オペラ界きっての「性悪女」と「お馬鹿」と「度を越したお人好し」のトリオが古代ローマ宮廷を舞台に繰り広げる一大絵巻。と言っても今回はコンサート形式でセットも衣装もゼロなので想像しなくちゃいけないんですけどね。

あ、まだオチがあって、刑場であるコロシアムで、

にゃー「お待ちください!皆々様、全ては私、ヴィッテリアの策略でございます。私のためにセストは皇帝を殺そうとして、しかも罪を自分で被ろうとしているんです。そんなことされた日にゃ、罪の意識に苛まれて后妃になってもおちおち寝てられません。」


ヒツジ「なぬーっ、今まさにセストを許してやろうってとこだったのに、また一人罪人だなんて!しかも后妃候補のヴィッテリア。ええ加減にせえよ! ええーい、もう全員許してちゃる。」


皆の衆「慈悲深い皇帝、万歳!」

(「なにしたって皇帝が許してくれるからな」、ということになってしまうローマが心配・・・)



Orchestra of the Age of Enlightenment
Ed Gardner
conductor
Choir of Clare College Cambridge


Alice Coote Sesto
Toby Spence Tito
Matthew Rose Publio
Hillevi Martinpelto Vitellia
Sarah Tynan Servilia
Fiona Murphy Annio




ヒツジティト皇帝のトビー君、素敵でした。EONのキャンディードの時の漫画っぽい笑顔とは打って変わって、今回は悩むローマ皇帝ですからね、自分が歌わないときも始終まじな目つきで威厳を保とうとしてました。


ほんの小さなカエルが喉にいたみたいで絶好調ではなかったのですが、高音はきれいに出て、立派な出来。懇願してもセストが理由を言わないのにぶち切れた皇帝ががーっと怒った時の力強かったこと!トビー君や、こんな大人の声も出るようになって、王様の風格まで醸し出せるなんて、おかあさんは嬉しいよぉ。

タイトルロールの割には出番が少ないんだけど、女性が多い中でしっかり存在感ありましたよ。今までのトビー君でベストかも。


わんわんこのオペラの主役は馬鹿可哀相なセスト。メゾ・ソプラノのズボン役の中でも、精神的な葛藤の芝居的見せ場も十分な上にコロラチューラの華やかな有名アリアがあり、美味しいところを独占できる大役です。


イギリスを代表するメゾ・ソプラノの一人であるアリス・クート、何度か聴いたけれど、手堅いものの特に魅力的と思ったことはなかったのですが、今日は苦しむセストを真摯に熱演して、これも今まででベスト。


中音がかすれていたので、遠くの席の人には聞きにくかったでしょうが、近くの私にはそのハスキーさが却って素敵で、背が高くないのでフルオペラのズボン役としては見栄えがしないでしょうが、歌唱力だけが頼りのコンサート形式では充分魅力が発揮できます。




にゃーオペラ界きっての悪女ヴィッテリア、主役ソプラノには珍しい憎まれ役ですが、それだからこそ、美声も傲慢なほど圧倒的でないと納得させることはできません。


スゥーデン人のHillevi Martinpeltoは聞いたことのない名前だったので不安でしたが、ハリウッド女優リース・ウィザースポーンが老けて太ったような金髪の彼女、張りのある声はびんびんと響いて、彼女が歌うとぱっと華やかに。私、こういう硬めのよく通る声が好き。ドレスのセンスは最悪だったけど。


リボン后妃にと望まれて、「私には他に好きな人がいるんです。それでもいいのでしたら結婚します」と正直に皇帝に訴えたセストの妹のセルヴィリア。サラ・タイナンは6月のENOの「薔薇の騎士 」でソフィーだった若いソプラノで、この中では一番体も声も細くて頼りなさげですが、この役にはこんな乙女もいいかも。


ジーンズセルヴィリアの恋人のアニオは、皇帝の家来なので「陛下、実はセルヴィラはすでに私と結婚の約束をしてますので、お后にはなりたくないしょう」とは言えない立場。「くそーっ」と思っても「陛下、おめでとうございます」と我慢の子。これもメゾ・ソプラノのズボン役ですが、すらっとした姿態に黒い男性風衣装のフィオナ・マーフィ美しかったこと。よく通る声も素晴らしくて、この人注目株。ENOの「メリー・ウィドウ 」のヴァレンシエンヌも華やかでした。


  ジーンズズボンな二人  


かさ指揮者は去年ENOの音楽監督になった期待の星エドワード・ガードナー。ENOで何度か聴きましたが、きびきびとした若々しい指揮ぶりで、ENOも良い人に来て貰ってよかったです。長くいてくれるといいけど、もうすぐNYメトやスカラ座でも指揮する予定の彼、どっかもっと良いオペラハウスから引きがあるかも。


まじかに見たのは初めてだけど、ほら、振り向いたらこんなに若くてハンサムだしねドキドキ (クリックで写真拡大!)


ところで、


!?このオペラ、ROHで2000年と2002年にやって以来ご無沙汰ですが、もうやってくれないのかしら?シンプルでスタイリッシュな演出はROHの中でも好きなものの一つなので(他所ので同じのをテレビで観たことあり)、近いうちの是非やってもらいたいです。


トビー君にはもちろん出てもらいたし、皆さん素晴らしかったので今日のメンバーで歌唱的には文句ないのですが、視覚面を考慮すると、背が低くて絵にならないセストだけちがう人がいいかな。2002年も2002年もカサロヴァだったので、次はちがう人にしましょう。たまたまこの日にテレビでやってたイドメネオ(こないだボストリッジ博士チーム がやったやつね)のイダマンテだった長身のコジェナがすごく素敵だったので、ああ彼女だったらいいのに、と思って見てたんです、実は。


カメラさ、オマケはトビー君アルバム。

オマケじゃなくて、元々はこれが目的だったんだけど、そのおかげで素晴らしいコンサート・オペラを堪能しました。トビー君、ありがとう!





 

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昨日と今日は猛暑のロンドンですが、まだそんなに暑くはなかった7月26日の土曜日、バービカンに着物で行きました。




         


先週末 に着物でオペラに行ったときは、ショールをしてても肌寒いくらいでしたが、この日は、


「まあ、こんな暑いのにそんなもの着て、大変ねえ」、


と思われたかも知れないですね。



なので、今年初めてババシャツは着ず(肌襦袢の代わりに、襟ぐりの大きい半袖シャツ着てます)、身頃が綿のうそつき襦袢と着物だけにしました。外は快適だけど、地下鉄がね。


露芝柄の洗える紗の着物は、水色が爽やかで夏らしいでしょ? 


帯は白地の正絹の絽で、今年初めて「涼しく見える」を狙った組み合わせにしてみました。


暑いと言っても30度以下でしたから、そう苦しくはなかったですけどね。


今週2度コンサートがあり、着物で行こうと思っているのですが、果たしてそれまでまだ夏でしょうか? 30度はちょっと暑過ぎるので、24、5度になって欲しいです。


                   人気ブログランキング 晴れ  

  


P..S. 夜中に雨が降って、一気に涼しくなりました。やれやれ。24,5度がちょうどいいです。         


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新作映画2本観ました

テーマ:

晴れロンドンも急に暑くなり、日曜日は今年で一番ホット。30度以上のこんな日は冷房の効いた映画館で過ごすことにしようと、家族3人で新作映画2本をはしごしてきました。



1Wall-E 


ムスメはすでに友達と観に行ったのですが、また是非観たいと。評判も上々です。


CGのPixir社製作のディズニー映画で、ゴミ処理ロボットが主役。環境汚染をテーマにした壮大なストーリーで、子供だけに見せておくには勿体ない名作。


ディズニーだから心温まるのは当たり前ですが、細かいところがすごくよく出来ていて、何度も観てしまう映画ですね、これは。DVDになったらすぐに買います。


日本公開は12月だそうですが、こちらでちょっとご覧下さいませ → ウォーリー動画予告編 (日本語)




2Mamma Mia!


ご存知アバのミュージカルの映画版ですが、私の目当てはコリン・ファースドキドキ


普通なら、「誰が一番歌が上手かしら?」ってなるところ、歌を全然売り物にしてない俳優さんたちが自ら歌っているので、「ねえ、誰が一番下手だと思う?」って話題で盛り上るでしょう。メリル・ストリープは台詞に節をつけただけ程度でも、さすがに名女優、それなりに聞かせますが、コリンと先代007ピアース・ブロスナンは・・・


この二人に歌わせようとしてプロヂューサーはこんなこと言ったのではないでしょうか?


「Mrブロスナン、ジェームス・ボンド時代にはできなかったことをやってみましょうよ。歌が心配? ご安心を。コリン・ファースより貴方の方がずっと上手ですから」


「Mrファースさん、大丈夫ですよ、笑い者になるのならブロスナンの方ですから」。


お二人とプロヂューサーの勇気に脱帽です。


どちらがより下手かはご自分で判断して頂くことにして、歌らしくない歌というのも新鮮で面白いし、痛々しい目くそ鼻くそのコリンもピアースも素敵だから許しましょう。


それと、

舞台でミュージカルを見たときは、ギリシャの紺碧の海と白い家を背景にして観られたらいいのに、と思ったのだけれど、実現してみると、舞台という限られた空間の中でこちらの空想力を働かせる方がいいのかも・・・という気になりました。戸外で実写すると、ミュージカルって不自然過ぎてしらけちゃうの。


以前はそんなこと思わなかったのに、これは私がここ数年舞台で生オペラをたくさん観たから感じ方が変ったのかしら?


ま、それはともかくとして、この映画、一度観るには充分楽しめますが、歌がこれでは何度も観たいとは思わないでしょう。


写真や動画はこちらでどうぞ → Mamma Mia 1   Mamma Mia 2



ドクロということで、どちらかしか観られないのであれば、絶対ウォーリーがお勧めです。


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今回のローマ家族旅行、決して貧乏旅行にしようとしたわけではありません。

それどころか、「働いているからちょっと豪華な旅行もできるんだ」とでも思わないと会社行くのが嫌になってしまうし、多分ローマに行くのはこれが最後だから少しは背伸びして、一生の思い出を作ろう、と思っていたんです。


飛行機でも航空券は初めて格安なのを買ってみました。ここで贅沢しなくても無事に着きゃいいんですものね。その分ホテルに回した方がお利口でしょう。


安かろう悪かろうという偏見を持っていたトーチャンを説得して、ヨーロッパ路線では最大手のR社にしましたが、最初に見た日の値段はなんとゼロ。税金やら手数料でもちろんタダってわけにはいかないので、数十ポンドにはなるのですが、それでも200ポンドくらいするスケジュール便よりはうんと安い。


翌日になったら、アレーッ、値段が上がってゼロじゃなくなっちゃったよ~。

と言ってもまだ空港へのエクスプレス電車より下だからこのへんで買っておきましょう。


まだこれから実際に乗るまでになんだかんだとチビチビふんだくられるらしいので油断はできませんが、今のところ、ローマ往復が東京から大阪への新幹線片道くらいでしょうか。



アップじゃあ、飛行機で浮いた分、ちょっと良いホテルにでも泊まろみゃ~。

と、ネットであれこれ探しました。

何度も行ってると、「わ、素敵!いつか泊まりたいわ~」とか「ロケーションが最高」と思うホテルがいくつかできるわけで、今回はチャンスだ。

例えば、


私がローマで一番好きな場所であるナボナ広場近くの蔦(つた)に覆われたロマンチックな Hotel Raphael 。敷居が高そうだけど、うーん、やっぱり値段もすごい。7泊すると二人部屋でも2千ユーロ。

じゃあ、何度行っても感動するパンテオンの前のAlbergo del Senato はどうだ。
3人部屋で7泊するとこれも2千ユーロ以上・・・泊まれなくはないけど、今ユーロが強いから、かなりきつい。

勝手がわかっているという点では12年前に泊まったことのあるSavoy Hotel 。高級なベネト通りにあって、界隈には豪邸が立ち並んで素敵なのよ。でもこれで2人部屋ですら2千ユーロ以上・・・。


いっそ、窓を開けると目の前がトレヴィの泉というFontana Hotel はどうだ?夜中までがやがやしてそうだけど、これぞローマ。


しかし、


どれも高いな~~がま口財布ショック!  


かと言って、雰囲気の悪いテルミナ駅のあたりの安ホテルはできれば避けたい。それでも軽く千ユーロはするだろうから。




ひらめき電球 そうだっっ!


ミクシーで何か見つかるかも。よくロンドンで短期間のフラットありますっていう個人的オファーがあるから、それのローマ版があれば。



ありました~ クラッカー


なんてったって安いのが魅力。 (← さっき言った事と矛盾)


スペースに余裕がありそうなそのB&Bは街の真ん中ではないのがちょい不便だけど、そんなに遠くはないし、観光地ではない普通のローマに滞在するのも面白そうだ。


唯一不安なのはエアコンが無いことで、果たして9月のローマで生き延びられるかどうか考えるとぞっとするけど、それを補っても余りある(?)モノがあるんですよ、ここには。


冷蔵庫もありがたいけど、日本語パソコンがあるというのが決め手になりましたパソコン


パソコン依存症の私にとってはキーボードから離れるのがホリディじゃないの?と自分でも思うのですが、


でもやっぱりあると便利だし、1週間も離れると禁断症状が出そうで、そっちの方が精神衛生上よくないにちがいないです。


一日中歩き回って夜はぶっ倒れてるでしょうから、長い間パソコンに向かうことはできませんが、ブログの更新も少しはできるでしょう。


本

観光地なら英語でOKでしょうけど、ここではレストランで英語のメニュがあるとは思えないし、この辺りの散策もしたいので、やっぱりちょっとイタリア語がわからないと困っちゃうかもしれないでしょ?

というのが、私が「イタリア語会話集」を読んでる理由です。ローマは最後でも、他のところにはこれから行きまくりたいと思ってるし。


お金

というわけで、最初に夢見た「優雅なローマの休日」とは正反対になりそうですが、「節約した分レストランで使ってもいいでしょ」、と無理矢理トーチャンを引っ張っていくことにします。ローカルだと美味しくて安いかもしれないしね。


                             人気ブログランキング   ラーメン

我が家のイタリア旅行に関心を示して下さって、ありがとうございます。旅の準備のイタリアねたは時々アップすることにして、旅行前に溜まっているオペラとコンサートの記事を片付けなくては。
すでに順序が滅茶苦茶なので、できるものからやっつけませう。



7月20日午後、ロイヤルオペラハウスのコンサートに行ってきました。

ROHの若手アーチスト育成プログラムの一年間の成果をご披露する発表会で、切符代もいつもよりはぐんとお安くて、舞台袖で15ポンド。

満席の客席には、出演者の親戚縁者の他、他のオペラハウスのスカウトさんたちも来てるらしいので、若手の皆さんはそりゃ張り切ったし、この舞台には慣れているので堂々としたものでした。

今シーズン最後のオペラチックなイベントですが、華やかにフィニッシュ!というよりは、場所が空いたからトレーニーにやらせてあげるってところでしょうか。本イベントではないようで、ROHオケは前日で今シーズンの契約が終わったので皆さんさっさとおさらばしてしまい出てくれなかったくらいです。代わりにOpera Northオケがなにやら交換条件で喜んで来てくれたそうですが、このイベント用の予算はゼロだし、オペラハウスの好意にすがるしかなくて、苦しいんだそうです。

などということをなぜ私が知っているかと言うと、コンサートの前に30分間、責任者や舞台監督たちの無料トーク・ショーがあったからで、それによると、「フィガロの結婚」のセットは使わせてもらえたけど、衣装も貸してくれるって話だったのに、前夜の最終日が終わってから寸法直すのは無理だってことで急遽自前の衣装になってしまったんですって。

で、その自前の衣装というのが、受けねらいでハメを外した人もいました。その方が面白かったし、学園祭の乗りだと思うことにしましょう。



2001年開始のこの若手育成スキーム、歌手を中心に指揮者や演出家ら毎年10数人が2年間在籍し、歌手はオペラの端役でこき使われているので、皆さんお馴染の顔です。

多数の歌手に見せ場があってコーラス不要という条件を踏まえながら、今年選んだ演目は3つ。

フィガロの結婚(モーツァルト)は前日までやっていて、メンバーはアンダースタディとしてスタンバってし、セットや衣装も借りられるかも、という当然のチョイスでしょう。私は3度も聴いて食傷気味ですが、一流の人たちと比べることができたのはグー。

カプリッチョ(リヒャルト・シュトラウス)は去年の9月にパリのガルニエで観たオペラで(そう、あの
着物でパリ日帰り )、それ以外にも実は去年の秋だったか、ROHの地下の小劇場のワークショップで同じ人たちがカプリッチョをちょっとやり始めたのを観ているので、ことさら興味深かったです。「音楽と歌詞とどちらが大事か?」ということを論議するだけの内容で、アリアがあるわけではないのですが、色々と深読みもできそうな知的なオペラなんですよ。

Il viaggio a Reims(ロッシーニ)の短いシーン、オペラの内容はわからないのですが、ロッシーニらしく楽しくコロコロして華やかにフィナーレ。

尚、私は初めてだったので去年までの様子はわからないのですが、去年まではオケが舞台で演奏していんだそうですが、今年はオケピットに入ってもらい、舞台にはフィガロの結婚から借りた貴族の舘の窓セットにテーブルと椅子を置き、歌手は所狭しと動き回って目一杯お芝居もしてくれました。

ちょい役でお馴染の人ばかりであっても、少しであってもこうやって主役をやると又ちがって見えまするのですが、ざっと私の個人的な好みを全面に出した評価はこちら。



宝石ブルーテノール2人


すでに世界的に活躍している同胞のキムチ君(Wookyung Kim)に似たリリカルな美声で一番ご贔屓にしてるのは韓国人のJi-Min Park。歌は上手いけど、なんだかいつもふざけてるような表情が問題かも。東洋人ってだけで浮いちゃうんだから、控え目にしないと駄目よ。

それはパ-ク君自身もわかっているのか、この頃はおふざけ役を歌はそんなに上手くない中国人テノールのHaoyin Xueに譲ってるみたいで、こないだのナクソス島のアリアドネも専ら彼が ピエロだったし、チャイニーズ君の今日の衣装を見て下さいよ叫び

黒のプレスリーコスチューム、ぴったりサイズだからおそらく彼の自前なんでしょうが、このために作ったというのなら偉い(?)けど、前から持ってたとしたら、これ以外でどんな事をしているのやら・・・。



宝石紫バリトン&バス4人


声に個性もあって存在自体に華のある一番の成長株は、こないだトスカのアンジェロッティ役で光ったリトアニア人のKostas Smoriginas。来シーズンも楽しみです。その後はどこかのオペラ ハウスでちゃんと活躍できるでしょうけど、できればROHにたくさん出てね。

フィガロをやったポーランド人のKrzysztof Szumanskiは全てがぼんやりしてるので、地味な脇役でなら使い出があるかもしれないけど、上手でハンサム揃いのバリトン界では埋没。

南アフリカ人のJacques Imbrailoは、カーディフの歌コンテストでも賞をもらい、脇役ではそれなりに存在感を示して、「あ、今日はあそこにいる」と私も注目してたのですが、なんだか随分小粒で迫力のない助平伯爵でした。カプリッチョの作曲家役でもぱっとせず。貧弱ながら上半身裸にもなったのにね。

同じく南アフリカ人でこちらは黒人のVuyani Mlinde、一昨年のBrish Youth Operaでは目立ってたけど、このレベルの人たちの中に入ると劣って見えちゃいます。かなり黒い肌で得するとも思えないので、前途多難。



     左から、ぼんやりさん、助平さん、可愛子ちゃん、黒ちゃん



宝石赤ソプラノ&メゾ・ソプラノ4人


スリランカ人のKishani Jayasingheは、この中では一番有望と思われているようで、「愛の妙薬」のナンネッタや「フィガロの結婚」のバルバリーナなどの準主役もやってすでに確率してる人なので、私があまり好きな声質ではないけれど、さすがの歌唱力と肩の力の抜けた余裕たっぷりの振る舞いで、まろやかな声も心地よく、安心して観ていられます。

オーストラリア人のAnita Watsonは高音だけはきれいだけど、それだけ。デブがマリリン・モンローの格好しても見苦しいだけだしね。
南アフリカ人のPumeza Matshikiza、ドン・カルロの小姓役では私は全然良いと思わなかったけど、今日はまろやかでまあまあでした。でもすらっとして素敵だけど、この程度の歌唱力では、褐色の肌で主役は回ってくるかどうか。

一番良かったのはエストニア人のMonika-Evelin Liiv。張りのある私好みの声が響きました。トラヴィアータのフローラの時は貫禄もあってこの若手グループの一員とは思えないほと立派でした。


在籍2年なので、何人かはこれで終わって巣立ちますが、私のお気に入りの3人は残るので、まだ何度か観られます。来シーズンは中村恵理さんという日本人ソプラノも仲間入りするので、日本でも話題になるかもしれませんね。

このスキームについてもっとお知りになりたい方は→こちら こちら をご覧下さい。



Mozart - Le nozze di Figaro, Act 4
Conductor  Andrew Griffiths
Continuo  Catriona Beveridge
Director  Vera Petrova
Design  Tanya McCallin
Lighting  Simon Bennison

Susanna  Kishani Jayasinghe
Barbarina P umeza Matshikiza
Contessa  Anita Watson
Cherubino  Monika-Evelin Liiv
Don Basilio  Ji-Min Park
Conte  Jacques Imbrailo
Figaro  Krzysztof Szumanski
Bartolo  Vuyani Mlinde

Strauss - Capriccio, Fugue, Duet, Octet
Conductor  Richard Farnes
Keyboard  Catriona Beveridge
Director T homas Guthrie
Design  Tanya McCallin ? Figaro set Act III, concert dress
Lighting Simon Bennison

Grafin  Pumeza Matshikiza
Die Sangerin  Anita Watson
Clairon  Monika-Evelin Liiv
Flamand  Ji-Min Park
Der Tenor  Haoyin Xue
Graf  Kostas Smoriginas
Olivier  Jacques Imbrailo
La Roche  Vuyani Mlinde

Rossini - Il viaggio a Reims, Gran Pezzo Concertante
Conductor  Richard Farnes
Director/Design Concert staging, concert dress

Madame Cortese  Kishani Jayasinghe
Corinna  Pumeza Matshikiza
Contessa di Folleville  Anita Watson
Marchesa Melibea  Monika-Evelin Liiv
Cavalier Belfiore  Ji-Min Park
Conte di Libenskof  Haoyin Xue
Don Alvaro  Kostas Smoriginas
Lord Sidney  Jacques Imbrailo
Don Profondo  Vuyani Mlinde
Barone di Trombonok  Krzysztof Szumanski

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