5月27日、ロイヤルオペラハウスのフィデリオFidelioの初日に行ってきました。


conductor Antonio Pappano

director Jurgen Flimm

set design Robert israel

costume design Florence von Gerkan


Leonora/Fidelio (フロレスタンの妻。男装して獄卒) Karita Mattile

Rocco(牢獄番) Eric Halfvarson

Florestan(レオノーラの夫で政治犯で牢獄中) Endrik Wottrich

Don Pizarro(牢獄長でフロレスタンの政敵) Terje Stensvold

Marzelline (ロッコの娘で、フィデリオに惚片思い)Ailish Tynan

Jaquino (門番でマルツェリーネに片思い) Robert Murray

minister (司法大臣でフロレスタンの友人) Robert Lloyd



1805年初演のベートーベン唯一オペラですが、今までコンサート形式で聞く機会とか何度かあったのですが、映像ですら観たこともなく、全部通してで聞くのはこれが初めて。


原作はジャン・ニコラス・プイイで、牢獄に不当に監禁されている夫を救うため、男装した妻が囚人世話係として潜入し、危険を犯して夫を救出するというご立派なお話なのですが、ベートーベンのオペラってだけでも華やかさに欠けそうだし、それに私はベートーベンがなぜかいまいち好きじゃないし、おまけにこんな倫理の教科書に出て来そうなお説教めいたストーリーじゃね、と今まで観たいという気持ちが起こらなかったのです。


しかし、どんな難解妙チクリンなオペラでもROHでやるものは一応全部観ることにしているので、今回も私好みの席(とくに値段が)であるupperslipで9ポンド。私としては珍しく一回分しか切符が買ってなくて、もしすごく良かったたらもう一度行こうかなとも思いましたが、一回で止めときます。

せんだって観た観念的なドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」とは対称的に、登場人物は善悪きっちり色分けされてるし、そのまま受け取っていい台詞も単純で非常に理解しやすいお話だから、もう一回観て深い意味を考える必要もないしね。


ドア舞台はスペインの政治犯監獄カギ


門番ヤキーノ 
「ねえ、マルツェリーナ、愛してるよ。結婚してくれる?指輪

マルツェリーナ  「いやよ。(私が好きなのフィデリオだものチョコ)」


獄番ロッコ  「フィデリオよ、お前はよく働く感心な若者だ。わしの娘を嫁にやろう」


フィデリオ(本当はレオノーラ) 「僕を信用してくれるのなら、地下の秘密の牢獄の世話をさせて欲しい。(そこにいるのが夫のフロレスタンにちがいない)。貴方~、絶対助け出すからね自転車


監獄長ピツァロ 「大変だ!誰かが地下に不当に監禁されている国事犯のことを密告しやがったせいで、司法大臣が視察に来るんだと。見つかったら俺はお終いだ。おい、ロッコ、奴を殺せ爆弾


ロッコ 「命令されても殺人は御免ですよ」
ピツァロ 「仕方ない、俺が自分で殺すとするか。じゃあロッコ、すぐ墓穴掘っとけ」


ロッコ 「フィデリオ、墓穴を掘るのを手伝ってくれんか」

レオノーラ 「夫の墓穴を掘ることになるなんて・・・」


夫フロレスタン 「ロッコ、お願いだ、妻のレオノーラに私がここにいると伝えてくれないか」
ロッコ 「悪いが、それはできない」


食パン隠し持っていたパンを差し出すレオノーラに礼を言うフロレスタン。暗闇の中、妻であるとは気がつかず)


監獄長ピツァロ 「俺を失脚させようとしたにっくきフロレスタン、このナイフで死んでもらうぜ手裏剣


レオノーラ 「待ちな!殺すならまず妻を殺してからにしな。(ピストルをつきつけながら)あたしがその妻なのよ」 ←途中から女言葉になってる~www


クラッカーパンパカパーン、「司法大臣のおなり~!」

監獄長ピツァロ 「畜生!もはやこれまでガーン


マルツェリーナ 「うっそ~!フィデリオって女だったの~ガックリ




ジャジャーンとレオノーラと夫が抱き合うところでオペラが終わるのならいいけど、その後が長くてね。延々と「勇気ある妻」を褒め讃えるのは感動の押し売りだだ。

そういうのが好きな方は感涙なさればいいですが、私はしらけちゃってね。


この壮麗なベートーベンの第九的合唱独唱場面は祝典の場で上演されることも多くて、たしか1999年の修復後のROH再開ガラ公演でも長々と退屈にやってましたわ。




話が話ですから優雅でカラフルな舞台セットは期待できませんが、第二次世界大戦中に置き換えられた今回の演出は必要以上に暗くてつまんないんですよ。


これROHでは初お目見えでもNYメトからの借物で、すでに写真で見ていたので覚悟はしてましたが、それでも暗すぎる。それで監獄シーンに転がってたむき出しの蛍光灯が私の天井桟敷席からは角度的に眩しくて目が悪くなりそうだったし、さらに暗く見えてサイテー。


これでパフォーマンスも悪かったら怒りますが(払ったのは僅か9ポンドですが、雨の日曜日にわざわざ出掛けたんだから)、それは素晴らしかったので救われました。オペラは初めてという方をお誘いしましたしね。




このオペラを一人でしょって立つフィデリオ/レオノーラ役のフィンランド人ソプラノのカリタ・マッティラは期待通り素晴らしく文句のつけようはありません。絵的にも長身でほっそりとした彼女は男装には理想的で、女性に恋焦がれられるのが当然の完璧フィデリオ。


私は今までマッティラをROHでは「スペードの女王」、「イエヌーファ」、「アラベラ」、「仮面舞踏会」で観たことがあり、他にリサイタルにも行ったことあるのですが、今日の出来はその中でもベストのひとつではないでしょうか。高音が売り物の彼女ですが、今回は初めて低音の魅力も感じました。


46歳の彼女は今がピーク、すらっとした金髪美人ですから、ちょっと前にNYメトのサロメで全裸になったときもさぞ美しかったでしょうね。(50歳になる前にロンドンでもやってくれないかしら)



ロッコ役は、コベントガーデンではお馴染みのEric Halfvarson。リゴレットの殺し屋とかいつもはギョロ目と迫力ある低音で「できれば係わり合いになりたくない怖いおじさん」のイメージなのですが、今回はお人良しな丸ーい禿げチャビンおじさん。

へえ、この人顔つきと声をコロっと変えてるとこういうキャラもできるんだ、なかなかの役者だな、と感心。


時代劇に出てくるような悪代官の監獄長ピツァロのTerje Stensvoldは丸いロッコと対称的な長身細身のダンディな悪役で、輪郭はっきりした声が結構私の好み。


いただけないかったのは夫フロレスタンのEndrik Wottrich。かっこいいし熱演で存在感はあるけど、高声が篭ってしまう「糞詰まりテノール」は私の評価は低いです(かのドXンゴもその類)。


Robert Lloydは何をやってもロバート・ロイド。たしか3、4年前に大騒ぎで引退した筈なのに、よく出るなあ。パリのバスチーユのLa Juiveユダヤの女 にも出てたし、つい最近のペレアスとメリザンド ではテレタビー風ジャンプスーツにサングラスだったけど、いつでも彼は一本調子の英国紳士。そろそろほんとに後輩に席譲ってね。私も他の人で聴きたいし・・


このオペラの主役とも言うべきコーラスはなかなかよかったです。


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5月26日、ロイヤルオペラハウスに「白鳥の湖」Swan Lakeを観に行きました。


ROHでバレエを観るのは一年ぶりですが、今回は、「そう言えば、私はROHの白鳥の湖を観てないわ。良い席が買えたら行ってみるべー」と思い、幸いコジョカル/コボルグ・コンビで舞台横の特等席(32ポンドという値段の割りには、ですが)が買えたので、随分前から楽しみにしてました。

あの妖精ような可愛くて軽やかなアリーナ・コジョカルのオデット姫はこの上なくチャーミングにちがいないですもんね。シュガーのように甘いコジョカルが黒鳥に変身するところもどんなかしら?ワクワク


しかし、その肝心のコジョカルが首の怪我で今シーズン全てキャンセルしちゃったんですよ~。ガックリガックリ


代役はロベルタ・マルケスRoberta Marquez。小柄なのを買われて選ばれたのでしょうが、バレエに詳しい人何人かの意見は「うーん、いまいちなんだよね」ということだったので、「くっそ~、滅多にバレエには行かない私が折角行こうと思ったのになあ・・」とブツブツ言いながら、期待しないで出掛けました。


イマイチと言っても、一応ロイヤルバレエのプリンシプルだ、そんなにひどいわけはあるまい。


と思ったんだけど、大間違いだったのよね、それが。


普通、主役のバレリーナが登場すると、ぱっと舞台が華やかになって「ウワァ~ッ、美しいわ~、絵になるわ~」と感じるものでしょう? プリマは足音も軽やかよ。


だけど、マルケス嬢がベトベトと重い足取りで現れたときは、「えーっ、これ?!」とがっかり。

顔は女優のペネロピー・クルーズ似の美人でチャーミングなんだけどね、体のバランスが悪い。


小柄なのは女性バレリーナにとって欠点ではないけれど、彼女はまず足が太い。だから見た目が美しくない。オペラ歌手には容貌は要求すべきではないけど、バレエ・ダンサーには大事なことよね。

でもそう言っちゃ終わりだから、太くてもピっと伸びて足が上がれば充分カバーできるってことにしても、マルケス嬢には軽さがなくて、何をやってもドサっという感じ。静止したポーズも絵にならず。


腕の動きも硬くて白鳥と黒鳥もほとんど差が出せないし、見せ場の黒鳥の32回転も28回転だけだったし(ええ、数えましたとも)、軸足もどんどんずれた・・・


脇役にはすらっと長身のバレリーナが揃ってるのに・・・   真ん中のオデット姫が・・・



ダーシー・バッセルが引退して、吉田都さんは日本に行ってしまい、その上コジョカルが大怪我して、ロイヤルバレエ団も大変だろうけど、こんな華のない人がプリンシパルになれるの、この頃は?


ジークフリード王子のヨハン・コボルグJohan Kobborgは、私は結構ファンなのですが、彼一人のジャンプやスピンはさすが上手で拍手喝采でしたが、それはほんの短いシーンだけ。オデット姫がサマにならないと、彼女を支えたり持ち上げたりする王子様が素敵に見えるはずないし、コジョカルあってのコボルグってことだわね。公私共に仲良しカップルのアリーナがいなくて心ここにあらずって顔してのは気のせいかしら?



      
頑張ったけど、カーテンコールも熱気不足


オーケストラは(指揮者はPavel Sorokin)、オペラとは同じ人たちとは思えないほど下手なことも多いんだけど、今日は悪くなかったです。特にハープの音色が美しくて、チャイコフスキーを楽しめました。特に私たちが座っていたのは、指揮者を真横から見る席でいわばオケの上に座っているようなもの。お尻の下からズンズンと響いてきて、ああやっぱりこの席がベストだわ、オペラもいつもここで観られたらどんなに幸せか・・・


それに、こんなに近くで見ると、脇役のダンサー達が塊ではなく個人として感じられることもいいですね。この席で通い詰めたらきっとご贔屓のダンサーができて見守ってしまうでしょう恋の矢


お金と時間があればそれもしたいですが、とても無理なので、これからもバレエにはたまに行くだけにしときましょ。バレエを観るのは好きだけど、生で観る価値があるかどうかは私にとっては疑問。だって、私はバレエは至近距離で観ないと絶対嫌なので、お金が掛かって仕方ないがま口財布ショック!


どの娘を応援しようかな~? 綺麗な日本人(多分)のおねえさんもいますね




  

もちろん着物で出掛けましたよ~。

雨模様だったので、二人とも洗える着物。でも充分ゴージャスでしょ?

友人の帯はお祖母様のお下がりだそうで、当時としてはモダンだったにちがいないエジプト柄。これでアイーダ観に行こうね。


コベントガーデンのChristopher's というレストランでゆっくり食事してワイン飲んで、楽しい3連休の初日でした。


私の藤色小紋は大いに役立ってますが、今まで黒い帯とばかりだったので、今回は母親のお下がりの銀色の帯で私にしては珍しくソフトな色合いで品良くまとめたつもり。


  


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5月14日と21日、ロイヤルオペラハウスにドビュッシーのペレアスとメリザンドPelleas et Melisandeを観にいきました。


ドビュッシーが1902年に書いたこのオペラは(原作はメーテルリンク)、ズンチャッチャというイタリアオペラとは全くちがい、アリアもメリハリもなくセリフを喋るように歌うという言わばワグナー風なのですが、音楽はパステルカラーの印象画のようなドビュッシーそのもの。


下手な歌や演奏だと退屈極まりないでしょうが、幸い今回は指揮がベルリンフィルの常任指揮者のサイモン・ラトル、歌はAキルヒシュラーガー、Sキーリンサイド、Gフィンリーという一流の三つ巴という豪華さで、悪い筈がありません。

どの批評でも、演出はXだけどパフォーマンスはべた褒めという、予想通りの結果になりました。



       5月14日のカーテンコール



conductor Simon Rattle

director Stanislas Nordey

set design Emmanuel Clolus

costume design Raoul Fernandez


Mellisande Angelika Kirchschlager

Pelleas Simon Keenlyside

Golaud General Finlay

Arkel Robert Lloyd

Genevieve Catherine Syn-Rogers

Yniold George Longworth/Tom Norrington


架空の国のゴロー王子は、森で迷ったときに出会った得体の知れない水の精のようなメリザンドと結婚するが、彼女は得体の知れないまま(性格不一致でしょうね)。結婚指輪を失くしてしまった彼女をなじり(スティッフェリオも結婚指輪をなくしたのが問題でしたね。奥様方、気を付けましょう)、弟のペレアス王子と一緒に洞窟に探しに行かせ(そこで落としたわけじゃないのに、メリザンドが嘘ついて。でもゴロー、自分で行けってば。妻と弟が恋仲になるお膳立てなんかするお前がアホ)、現実離れした二人は惹かれ合い、嫉妬したゴローにいちゃんが弟ペレアス君を殺し、メリザンドはお産で死亡。

というのがおおまかな筋なのですが、テーマは痴話喧嘩ではもちろんないだろうし、人間のドラマですらないかもしれなくて、「水」が主題なのかも・・・


こういう観念的で象徴的なオペラは理解するのが難しくて、思わせぶりな全てのセリフに裏の意味があるらしいのですが、一回観ただけではとてもわかりません。私はこれが初めてなので、初回は字幕で筋書きを追うだけで精一杯。


  

   貴方は白組、私は赤組           後にいる物騒なのはどっち組?



椅子セットと衣装ワンピース


理解するためには初心者にはビジュアル面の助けも重要で、こういうのこそ設定に忠実なセットや衣装だと助かるでしょうが、NYメトじゃあるまいしそれは望めません。でも、いくらなんでもここまで外れたものだと、ない方がずっとましって誰でも思うにちがいない程ヘンテコリン。

水とお城の塔とメリザンドの長い髪がこのオペラの三種の神器なのですが、もちろん一つも出てこなくて、全てこちらの想像力で賄わねばなりません。


このプロダクション、ROHでは初めてだけどすでにザルツブルグ・フェスティバルで披露済みなので、ジャンプスーツ衣装は写真で見慣れていました。でも、実際に見てみたらもっと変テコで、腰のところでぶくっと膨らんだズボンは、上半身と同じまともな材質でできているのならまだいいのですが、これがなんと厚手のゴムみたいで、ぶかぶかの潜水服というか着ぐるみコスチューム風というか、動くとまるでテレタビー。これをゴロー/ペレアス一家(じいちゃん、母ちゃん、兄弟、ゴローの息子)が全員お揃いで着てモコモコ歩き。その上、ラブシーンはこの衣装で器械体操のようなイッチニッサン動作。


                  

左からアルケル、ゴロー、ペレアス、イニヨルド    「そう、俺達外出の時はカラフルな服でお洒落するんよね」


新聞批評でももちろん衣装を初め演出は散々で、ザルツブルグであんなに非難されたのだからロンドンではいっそコンサート形式にすべきであった、と書いた人もいました。そうしたいのはやまやまでも契約上無理でしょうが、そうできればよかったのに。


でもセットは悪くなかったと私は思いましたけどね。数個の巨大な屏風というか、閉じた状態で黒子の手押しで滑り出てきて、舞台の上で観音開きされると、その時の状況を表すアイテムが大袈裟に屏風一面に立体的にはめ込まれているんです。最初のゴローからペレアスへの手紙のコピーが何百通も貼ってあったのにはびっくりしましたが、白いお花がぎっしりの屏風は美しかったし、次は何だろうと楽しみでした。


一番おもろかったのは勿論メリザンドの赤いドレスが30数着も昆虫の標本のように貼り付けてあったもので、その真中にメリザンドが立って歌うんです。このシーンは強烈で(漫画的ですが)印象に残ります。塔で長い髪をすいている彼女が髪を下に垂らしてそれをペレアスが愛しそうに愛撫するのがこのオペラのイメージたるべき絵になるロマンチックなシーンなのですが、ちがう意味であれ一番印象的。


  

「メリ義姉ちゃ~ん、どこにおるねん?」     「ここだでね~、真ん中が私だで間違わんでちょ~」




音譜パフォーマンス音譜


ぶどうオーケストラ

指揮者によって出来がこんなにちがうとか、というのはROHのオケを何度か聞けば明らかなのですが、今回はさすがサイモン・ラトル、流れるように美しくて、目を閉じてオケ部分だけ聴いていたいと思わせるほど。ROHオケさんよ、やればできるじゃん。


しっぽフリフリペレアス
これはテノールが歌うこともよくある役だそうで、サイモンも軽く高く若者らしさを出す為に軽く歌っていて役にぴったりだし、こんな風にも歌えるのはさすが一流のサイモンと感心はするものの、ついいつものサイモン的歌唱を期待してしまう私には物足りない印象でした。

バリトンとしてゴローのジェラルド・フィンリーと比べると、フィンリーのエッジの利いた深さが勝つので、キーンリーサイドとフィンリーの二人をバリトンとしてこれで初めて聞いたとしたら、私の軍配はためらいなくフィンリーに上がります。これはサイモンでなくてもいいのでは?次はテノールで聞きたいです。


ヒヨコメリザンド
キルヒシュラーガーももちろん立派で文句のつけようがないのですが、でも敢えてつけると、細くてくせのないキルヒーの理性で完璧にコントロールされた声が理想的なメリザンドかと言うと私には少々イメージちがいで、ワイルドでもいいからソフトで声自体に幅と艶がある人の方がこのとらえどころのない魅力的で嘘つきの水の精には合っているかも・・・誰がいいかなあ?



砂時計メモ

と、ここまで書いてアップできないうちに、21日に2度目に行って来ました。


衣装はもう無視するとして、セットはますます好きになりました。休憩前の4幕目からはもう観音開き屏風は出てこず、血のように真っ赤に塗られた舞台一杯のシンプルな同じついたてが幾重にも置かれていて、前のものから順に取り除かれると段々舞台が広くなり、最初から小道具は一切無しなので、見る側のイマジネーションに任されます。

私は究極的な理想セット(歌手の容貌も含め)は聴く側の想像の中と思っているので、こういうイマジネーションを掻き立てるような舞台は私の好み。


サイモンは、この役の高音は彼には高すぎるのか、その部分になると「やっぱりここはテノールで聴きたい」と思ったものの、変化に富んだニュアンスを伝えられる彼のテクニックには改めて感心。「僕は旅立つんだ」と何度も言うわりには一向に出掛けようとしない無責任で情緒不安定(だからメリザンドと気が合う)は掘り下げれば興味深い役にちがいないです。


ゴロー役のフィンリーは再び素晴らしかったものの、唯一普通の人間らしい感情を持つこの役はこの観念的抽象的オペラの中では現実的すぎてある意味そぐわないこともあり、妻の髪をつかんで暴力を振るったりというアクションがあるにも拘わらず、2回目はペレアスに比べると一本調子に聞こえてしまいました。(でも声として私はサイモンよりもフィンリーの方が好き)


キルヒシュラーガーは一回目は理想的なメリザンドではないかもと思ったのですが、言うことが謎めいていて嘘つきで精神的に破綻しているこの役をこのように知的に淡々とインテリ風に歌う方がかえってぞっとするような狂気を感じさせるものなのかも、という気もして、そう思うと一歩奥に入ったメリザンド像を見出せそうな素晴らしいキルヒーの歌唱でした。


ゴローの息子役イニヨルドは、ソプラノが歌うこともあるそうですが、今回はボーイ・ソプラノで、ダブルキャスト両方を聴くことができました。二人とも堂々とした立派なパフォーマンスでしたが、トム君の方が声量もあり安定していて、でもジョージ君の方がボーイ・ソプラノのあやうい魅力があり、甲乙付け難しってとこでしょうか。


2回行ったのですが、このオペラはまた機会があれば(できればちがう演出で)是非聴いて、深い意味が少しでもわかるようになりたいです。ドビュッシーを見直しましたしね。



                   5月21日のカーテンコール


2回ともupperslipで11ポンドでしたが、セットは全て左右対称なのでどちらでもOK(と、次回のためにメモっとこ)。


しかし、次はいつのことだろうか?

これだけの顔ぶれなのに、なぜか空席が目立ちましたもんね。結局人気がなかったってことでしょうか?

とても良かったのに残念。


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チューリップ赤5月22日、チェルシー・フラワー・ショーChelsea Flower Show に行ってきました。



チェルシーは西ロンドン中心の高級住宅地にあり、Royal Horticultural Society(王立園芸協会)主催のフラワー・ショーは退役軍人住居の広大な芝生の上で一年に一回開かれます。会場をここに移してからは85回目ですが、1862年別のところで開かれたのが起源だそうです。

世界一権威のあるこのショーでメダル(金銀銅)をもらうことは園芸関係者にとっては大きな名誉で、その後の商売にも影響を与えるでしょうから、出品者(主に園芸会社)は開催中にベストな咲き具合になるように涙ぐましい努力をするわけです。



屋外のガーデンと巨大テントの鉢植え&切り花セクションがあり、世界中から珍しい花も集められ、洒落た園芸関係のお店もたくさん出てます。元々何もないところなので、一時的に創り上げる大掛かりなガーデンのために全てが運び込まれ、何千人もが大作業をするんですよ。

毎年すごい人気なので切符はすぐ売り切れ。直前になって「行ってみよっかな~」と思い立っても無理な話です。私が最後に行ったのは3年前で、そのときはトーチャンと一緒だったのですが、一般公開の日は凄い人出だし、彼の典型的な「系統立てて回り、効率よく全てを見ようプラン」で一日中休憩もなく歩き回ってヘトヘトでした。(翌年から入場者数を増やさずに開催日を1日延長したので少しは楽になったらしいですが)

でも今回はちがいます。
ROHの会員であらせられるカルメンさんに誘って頂いて、メンバー・オンリーの日に入場できたのです。それに夕方5時半からだけの切符なので、全部は見られなくてとも、ゆったりと優雅に花を愛でることができればいいなあ、と思い、「優雅とくりゃそりゃ着物だがね、時間も短きゃあし、私たちも花になろみゃあ」と二人で花柄着物で乗り込みましたことよ。

晴れ幸い天気はパーフェクト。

前日の女王陛下もいらっしゃったVIP招待日(女王夫妻、皇太子夫妻、今年はスゥーデン国王夫妻もいらしてました)は寒くて暗くてミゼラブルでしたが、今日は打って変わってピッカピカ。

広い会場ですが2時間半頑張って歩き回り、ざっとですがほぼ全部の展示をカバーしました。

カメラ 写真はクリックで拡大しますので、私のカメラでは質の良い写真は撮れませんが、世界一のフラワーショーをご覧下さい。植物に疎い私なので花の名前はよくわからないし、人気のある庭は人だかりで写真撮れませんでしたけど。



  

黄色い花今日は私たちも花になる~

私は紺地のウールの着物にカルメンさんにお借りしたオフホワイトの帯、カルメンさんは紫の有松絞り。



  

   


    

                

   

          

    


  

盆栽展示はいくつかありましたが、このピンクのツツジが美しかった!



  


  


  



  


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王冠1どうもオペラネタよりも英国王室話題の方が受けがいいようなので、拗ねながらも時々は書くことに致しましょう。


1Prince Harry

ハリー王子を兵士としてイラクに送るかどうかについてちょっと前から揉めていましたが、結局「送らない」という決定がなされました。


彼が職業軍人になったときから危険な前線に出る可能性はあると言われていて、本人もそのつもりだったので、最初に行くという発表がされたときは誰もが当然と思い、6月出兵予定だったので、彼は遠くに住むガールフレンドと別れを惜しんだりしていたのですが、ちょっと前に「この派遣はいかがなものか?」という議論が起こりました。


「敵の標的になるに決まっているハリー王子が率いる小連隊の兵士を巻き添えにして不要な危険に陥れるべきではない」というのが論旨で、本音はどうであれ、「大事な王室のメンバーを危険に晒すべきではない」という意見は(私が知る限り)報道されませんでした。

ハリー本人も「他の兵士と同じように扱って欲しい。僕も国のために戦いたい」といつも言っていて、イラク行きに対しては「待ち遠しい」とも思える態度を示し、「行かせてくれないなら、もう軍隊は辞める」とまで言ったそうな。辞めることに関してはさすがに大人気ないと思ったのかすぐに撤回しましたが、明らかに彼は弱虫ではなく、見直した人も(私も含め)多かったのではないでしょうか?


まあ彼は小さいときから兵隊さんごっこの好きなヤンチャ坊主で、頭脳も容貌も兄より劣る彼としては、神経質でヤワなウィリアム王子に勝るところがあるとすればこれしかないわけで、彼なりに張り切っていたのでしょう。私のハリーに対する思いはこ2年前の記事 で書きました。


その議論が起こったときの軍部で再考の結果は「予定通り派遣する」というもので、ハリー王子もその決定に喜び(他の王室メンバーの意見は報道されなかったと思う)、ある意味筋の通った結論であり、こうなった限りは彼が勇気を示して立派に戦いそして彼の連隊全員が無事帰還という理想のシナリオになるように祈るしかない、と納得したのでした。


英国にはheir and spareという言い方があり、heir(後継ぎ/エアー)とspare(予備/スペアー)という韻を踏んだフレーズです。大事なheirが前線に送られることはまず無いでしょうが、職業軍人になることの多い二男以下のスペア王子の戦死は珍しいことではなさそうです。しかも、こう言っちゃナンですが、ハリー王子はで出来が悪いばかりでなく、父親はちがう人ではないかという根強い噂もあるわけで・・・


しかし、最近になってその決定が覆えされ、結局彼のイラン行きは中止になりました。彼を集中的に狙おうという計画や陰謀が渦巻いていることが発覚したからだそうです。彼の存在が引き金となってイラクの状況がエスカレートするでしょうから、ここは安全な逃げ道を選択するのは正しいでしょう。という訳で喧々諤々の結果、一件落着。



 

ガールフレンドのChelsy Davyとは、意外にも長い間続いています。



2Prince Andrew (Duke of York)


ところで、この一連のことで中年以上の人が(私も含めて)思い出すのは、ハリー王子の叔父君アンドリュー王子。


25年前のフォークランド戦争にヘリコプター・パイロットとして派遣され危険な任務を遂行、一躍ヒーローとなりました。それまでの彼はRandy Andy(好色アンディ)とあだ名され、軽薄なプレーボーイのイメージだったのですが、これで評価が上がり、その後のサラ妃(ファーギー)との離婚騒ぎのときも責められたのは専ら彼女の方で、彼は不義の妻すら庇う立派な夫だと思われていたのですが、それも戦争経験がものを言ったと言えるのではないかと思います。


しかし、アンドリュー王子は、一体どうしているのでしょうか?とんと話を聞きません。


かつては金髪美人をとっかえひっかえ恋人にして国民に話題を提供してくれた彼のこと、急に女好きの性格が変わったわけでも

あるまいに、しかもまだ若くてハンサムなのだから、女性に縁が無い筈はないのですが。
こっそりうまくやっているのでしょうか?それじゃあ面白くないですね。浮いた噂も醜聞も王室メンバーの仕事のひとつなのだから、派手なスキャンダルで娯楽を与えてくれなくちゃ。40代後半の彼が素敵な恋愛をしてくれたら中年を勇気付けることになるんだからさ、人前でいちゃついてくださいませ。

     
あの頃に比べたら年食ったけど、まだまだイケる中年バツイチ王子



3Prince William


19日、やっと完成した新しいサッカー場Wembley Stadium のオープニングとFA Cup Final試合が行われました。


新しい建物のオープニング式は王室メンバーの大切な仕事音一つですが、今回はフルタイムの陸軍士官ウィリアム王子が仕事の合間に駆けつけました。

こういうイベントにはお馴染みのアクロバット飛行チームthe Red Arrowsも登場。
  


 
    べーっだ!ロイヤル・アカンベー

このサッカーの殿堂は我が家から地下鉄で一駅、歩いてでも行けるところにあります。サッカーのリーグ戦には全く興味のない我が家ですが、この新しいスタジアムは楽しみにしていて、建設中に何度か見学に行きました。旧スタジアムには結局なんと一度も入ったことがなかったのですが、世界的に有名は建築家Sir Norman Foster設計の新スタジアムにはいつか絶対行きます!


しかし、再建中の7年間は平和だったこの周辺も、これから又あのフーリガンどもがうろつくのかと思うとぞっとしますガーン


試合のある日は会社帰りの地下鉄で酒気帯びでギャアギャア歌ったり叫んだりと一緒になるのがすごく嫌で(からかわれても、労働者階級の奴らの言ってることはほとんど理解できないのは救いでしたが)、そういう日は帰宅時間を遅くしたり別の地下鉄ラインを使ったりしました。


今度のスタジアムは9万人も入るんだそうで、ああ嫌だ嫌だドクロ



4Kate Middleton




就職して数ケ月のJigsawで早くも昇進するらしいケイト嬢、きっと優秀な社員なのでしょうが(会社にとっては宣伝になるだけで良い社員だ)、写真を撮られるのはクラブで羽目を外して遊んでいる場面ばかり。

今回一緒なのは妹だそうで、ケイトさん、遊び回るのは結構ですだけどね、酔っ払っても気をつけて見苦しいところを見せちゃいけないですよ~。



おっと、今回はまずいモノを写真に撮られてしまいましたね。


なんと、タバコの箱がハンドバックに!


これはまずいですよ。名古屋弁で言うと「だちかん」。


男女に拘わらず、日本よりイギリスの方がスモーカーに対する風当たりは強いですからね。もうすぐ公の場所では全面的に禁煙になりますし。


ケイトさんよ、ここはしっかりふんばって良いとこみせて皆に「やっぱりケイトがよかったのに~」を思わせなきゃ~。オトコはいいけど、タバコはご法度だ。


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