岐路に立つ自主避難者 必要な支援は ~さいたま市~ | ☆☆★☆☆

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NHK おはよう日本クリックより

 

 

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、埼玉県には、今も福島県からおよそ4,500人が避難しています。そのうち500人以上が避難指示区域以外からの、いわゆる『自主避難者』です。今、その住居費は全額が補助されていますが、福島県は来年(2017年)3月に補助を打ち切ることを決めました。一方、埼玉県は自主避難者にどのような支援が必要か模索を始めています。岐路に立つ自主避難者の今を取材しました。

今も埼玉県内に留まり続ける自主避難者。福島に帰りたくても帰れない人が少なくありません。

そんな一人、松本益三さんです。
『(避難指示が出ている)20キロがここ。自宅はここです』と地図を広げる松本さん。

震災の翌日、福島第一原発では20キロ圏内に避難指示が出されました。
松本さんの自宅はそこから1キロほど外にあります。

しかし松本さんは、今後の生活の不安から、避難せざるを得なかったと考えています。
「バスとか作業の車に乗った、機動隊や自衛隊が、防護服を着てマスクをして国道を通る毎日だった。それを見ながら生活するのもちょっと怖い」

福島に残した家は、ローンが7年以上残っていて、今もその支払いを続けています。

妻の紀子さんは、震災後のストレスで眠れなくなり、手足にしびれが出たため、現在、4つの病院に通っています。
福島の自宅に戻った場合、十分な治療が受けられないことが心配です。

「主治医からも『いま帰るのは厳しいと思う』といわれている。『いま帰ったら大変なことになる』と」

そんななか、来年(2017年)、住居費の補助が打ち切られるとの知らせを聞いた松本さんは、今の生活が続けられるのか大きな不安を抱えていました。

5月中旬。
『こんにちは~ すみません・・・』
『お世話になってます~』

松本さんの家に訪ねてきたのは、埼玉県と住宅供給公社の職員です。
「福島第一原発事故による自主避難者向けに、一般住宅で専用枠を設けるしくみを作りました」

埼玉県は今回、県営住宅に自主避難世帯のための『特別枠』を設けました。
一般の県営住宅の入居者と同じく、収入や広さによって1万円から3万円程度の家賃負担を求めます。
負担は増えるものの、埼玉県に住み続ける選択肢を示した県からの提案に、松本さんは、入居を申し込むことにしました。

松本さんは「これから先のことが見えないので、長い目で助けてもらえればありがたい」と話していました。

一方、さいたま市の会社で働く女性は、まだこの制度を利用するか迷っていいます。

シングルマザーで、小学4年生の子どもとアパートで暮らしていますが、県営住宅に移るとなると、『福島からの避難生活で、幼稚園を3度も変わった子どもをまた転校させることになる』と、入居の申し込みに踏み切れずにいるのです。

「最初に避難してきたときは、お友達にバイバイも言えず、突然出てきちゃった。そういうことは、もう二度とないように、このまま卒業させてあげたい」

震災後の広域避難について調査研究を行う専門家は、自主避難者が抱える問題の多様化にどう応えられるかが、いま行政に問われているといいます。

法政大学の教授、西城戸誠さんは「高齢者の介護の問題や、子どもの学校の問題で、将来的には帰りたいけれど今すぐには帰れないという状況の方もいるから、避難者の “今の生活” をどう支えていくかを考えていく必要がある」と話していました。

自主避難者のために県営住宅の『特別枠』を設けた埼玉県の取り組みを伝えましたが、4月に福島県も、経済的に苦しい自主避難者に、最大で月3万円の家賃補助を2年間行う方針を発表しています。

 

問い合わせ先

◇埼玉県の取り組みについて
 「埼玉県住宅供給公社」(公営住宅部・県営住宅課)
 電話:048-829-2875

◇福島県の来年(2017年)度の支援策について
 「福島県・避難者支援課」
 電話:024-523-4250