最近、近所の公園に母と2人の幼い子ども達が遊びに来るようになった。
僕の住むところは日本海に面した雪国で、いつもならまだまだ根雪が残っている。
公園で遊ぶと言ったら、「雪遊び」がほとんどだ。

しかし、今年は記録的な暖冬のせいで、まったく雪がない。ポカポカ陽気に誘われて、
この親子もちょくちょく公園に来るのである。

上の子は女の子、下の子は男の子で、どちらもまだ幼稚園や保育所には行っていないらしい。
仲良くお揃いのピンクのジャケットを着ていたりして、見ていてもとても愛らしい。

そして、母親はいつも何かしら子ども達のtめに遊び道具を持ってくる。
先日も小さなバケツを持ってきたので、「何をするのかなあ?」とワクワクしながら見ていたら、
そのうち3人でシャボン玉遊びを始めた。子ども達は大喜びである。
晴れた空にフワフワと飛んでいくシャボン玉を追いかけ、手で掴もうと何度もジャンプしている。

また、母親はシャボン玉を連弾で飛ばしてみせたり、子ども達の顔ほどもある大きなシャボン玉を
作って見せたりして、子ども達を飽きさせない。
いや、ひょっとして、この母親自身が一番楽しんでいるんじゃないかな?

そうやってしばらくシャボン玉を楽しんだ後に取り出したのは「竹とんぼ」だった。
よく見ると、大きさに大小があり、どうやら母親のお手製らしい。
僕は、「このお母さんやるなあー」と、すっかり感心してしまった。

最近の母親、いや父親もそうだが、どうも野外での子ども達との遊び方を知らないように思う。
室内だと、「親子でテレビゲームやパソコンのオンラインゲームに時間を忘れて熱中しています」みたいな様子を、
さも「これが現代の親子像です」と言わんばかりに紹介されているが、気色悪く感じるのは僕だけだろうか?

かつて僕もそうだったが、父とキャッチボールをしたり、野外で遊んだりするのは、ごく当たり前の風景だった。
ところが最近、そもそも親子で野外で遊んでいることさえ珍しくなってしまったし、たまに遊んでいてもどこかぎこちない
感じを受けてしまう。

その点、この母親はとても上手に子ども達と付き合っているように見える。
最初、この公園に来た時は気付かなかったのだが、どうやらこの母親は以前に
保育関係の仕事に就いていたらしいのだ。勿論、直接本人に訊いたわけではないのだが、
僕も元教育関係の仕事をしていたので、相手の何気ない言葉や態度で分かることがある。

子ども達を自由に遊ばせ、そして自分も楽しんでいる。そして、危ないなあ…と感じたらすぐに対応し、
その場で優しく諭している。
一緒にダンスをしている様子も板についていて、ベテランの保育士、幼稚園教諭そのものである。

まだまだ冬と言ってもいい季節だけど、ポカポカの陽だまりの中で楽しそうに歓声を上げている親子の姿を
見ていると、「もう春の訪れも近いなあ…」と実感させられる。

空高く舞い上がる3つの竹とんぼを見ていたら、こちらまで優しい気持ちを分けてもらった気がした。