三重県の県立高校が09年、刑事事件で有罪判決を受け教員免許を失った30代の男を、失効の事実を知らないまま講師に採用していたことが分かった。男は採用先の女子生徒の体を触ったなどとして、強制わいせつなどの罪で津地裁に起訴され公判中。学校側には本人の自己申告以外、失効を知る手だてがなく、教育職員免許法が定める失効規定の実効性が問われそうだ。

 三重県教委は09年7月、男を停職の懲戒処分とし男は辞職した。

 ◇児童買春で有罪判決

 捜査関係者によると男は会社員だった08年3月、出会い系サイトで知り合った少女に売春相手を紹介したとして、児童買春禁止法違反の罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた。

 教育職員免許法によると、教員免許保有者に禁固刑以上の有罪判決が確定すると、免許は効力を失う。教員は勤務地の都道府県教委に免許を返還し、教員でない者も居住地の教育委員会に返すよう義務付けられている。さらに地方公務員法では禁固刑以上の有罪の場合、執行猶予中は公立高校などの職員になれないと定めている。

 しかし元講師は有罪判決後も返還せず、執行猶予中であることも明かさないまま09年5月、講師の採用試験を受け、採用された。起訴状によると、この1カ月後の09年6月、女子生徒を殴ったり体を触ったとされる。

 県教委は「採用時に法律違反はないとの誓約書を書かせているが、あくまで自己申告。有罪判決を確認するのは難しい」と話す。

 文部科学省の初等中等教育局教職員課は「採用時の確認方法について国は指針をはっきりと示していない。限界があるのは確かだ」と、制度上の欠陥を認めている。【岡大介】

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