本ブログで紹介した、東京地裁 平成23年(ワ)第32776号 発光ダイオード事件について、判決では原告の請求は退けられたが、控訴以外で原告側のとり得る措置があったのか?
 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/266/083266_hanrei.pdf


 上記判決では、被告製品(イ号物件、ロ号物件)はいずれも本件発明(本件特許(特許3995011号)の請求項1に係る発明)の技術的範囲に属するとするものの、本件発明は乙3発明(USP3,819,974)から容易に想到可能な発明であって進歩性を欠き,特許法29条2項(進歩性判断の基準時は平成3年11月25日であるから,平成11年法律第41号による改正前のもの)により無効となるべきものであるから,特許法104条の3により,原告は特許権を行使することはできないとして、原告の請求を退けている。

 

 判決確定後、訂正審判を請求してクレームの内容を訂正し、訂正後のクレームに基づいて新たな損害賠償請求や差止請求を行うのはどうなの?


 第1審で被告側の無効の抗弁に対する原告側の訂正の再抗弁ができたのにそれをしなかったのだから、必ずしも認められるとは限らないよね。


 また、訂正の再抗弁には
 ① 適法な訂正審判請求を行っていること、
 ② 当該訂正によって、被告が主張している無効理由が解消されること、
 ③ 対象となる被告製品が、訂正後の特許請求の範囲の記載に基づいて定められる当該特許発明の技術的範囲に属すること、
の3要件が課されるけれど、②と③、特に③が難しいよね。


 訂正が認められるためには、
 出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面の記載の範囲内において特許請求の範囲の減縮する等の訂正をして、
 それが実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、
 また特許出願の際独立して特許を受けることができるようにすることが必要で、
これらが認められれば、
 上記②はクリアできるけれど、
 上記③は被告側の対応(クレームの訂正(減縮)に対応して設計変更等)によっては上手くいくとは限らないよね。

 

 どうも、判決確定後、訂正審判を請求してクレームの内容を訂正し、訂正後のクレームに基づいて新たな損害賠償請求や差止請求を行うのは難しいように思うけど。

 

 他に手段はないのか?


 あります。

 

 前回のブログで紹介した分割出願制度を利用し、訂正後の本件発明の技術的範囲を回避した被告製品に照準を合わせた内容の権利化を目指すことが考えられる。


 ただ、分割を繰り返して出願を特許庁に係属させておく必要はあるけれど。

 

 云いたかったのは、訂正後のクレームに基づいて新たな損害賠償請求や差止請求を行う以外にも分割出願制度を利用する手段もあるという話し。


 このような分割出願制度の利用は、出願手数料を支払わずに繰り返し分割を行って出願を特許庁に係属させておくというトンデモナイ利用の仕方とは一線を画すので、問題はないと思うが。


 どうなんだろう。

 まあ、非難される筋合いはないよね。