昨日の日経朝刊15面の法務欄に「知財、利益にどうつなぐ 標準化・独占 使い分け」のタイトルの記事が掲載されていた。


 上記記事によると、 「企業がグローバル市場で勝つにはどんな知的財産戦略をとるべきか。特許などで技術を独占するのが有利に見えるが、実は技術の標準化によるビジネスの普及との絶妙な組み合わせが競争力を最大限に高めるという。」


 知財(特許権化)と標準化について、「市場規模」、「コスト」、「他社技術との関係」でのそれぞれの利点の、良いとこ取りを可能にする戦略についてまとめている。


 そんな虫がいい話しがあるかと思いつつ記事を読むと、以下の3つの戦略について具体例をまじえて解説している。


 特許権化した場合の利点
 「市場規模」では「自社シェア拡大」
 「コスト」では「ライセンス収入の拡大」
 「他社技術との関係」では「製品の差別化・模倣の防止」
 標準化した場合の利点
 「市場規模」では「市場が拡大」
 「コスト」では「製造コスト減少」
 「他社技術との関係」では「製品の共通化」
 
 両者の良いとこ取りを可能にする戦略


 その1
 「重要特許丸ごと標準化」戦略
 自社の重要特許を国際標準化する。
 そうすると、
 ライセンス収入が増大し、
 新興国企業の参入が容易となる。
 具体例としては、例えば
 米クアルコムの携帯電話通信技術がある。
 なお、日本電機メーカーのDVD関連技術については、普及期になって安価な製品を供給するアジア企業が参入し、日本製品は市場から駆逐されて失敗に終わった。



 その2
 「オープン&クローズ」戦略
 自社の重要技術は特許で守り(クローズ戦略)、その周辺技術を他社に開放(オープン戦略)し市場を拡大する。
 具体例としては、例えば
 米インテルのCPU
 独ボッシュの燃料制御システム
 三菱電機の工場内配線規格
 などがある。
 米インテルでは、パソコンのマザーボードの規格を標準化して台湾企業に技術供与し、同社のCPUを搭載したパソコンを普及させ、一方、CPUを特許で守り独占した。
 独ボッシュでは、燃料噴射システムの制御ソフトを特許権化した上で、燃料噴射システムを自動車エンジンに取付ける接続規格を途上国の企業に供与した。途上国の企業はボッシュ製品を採用すればノウハウを知らなくても最新の燃費や環境規制に対応した車を製造できる。



 その3
 「自社の強みを際立たせる評価方法などを標準化する」戦略
 自社製品は特許で保護しつつ、自社製品の長所を際立たせる「評価手法」を国際標準化する。
 具体例として、例えば
 根本特殊化学の蓄光性夜光顔料がある。
 「夜光時計の残光視認性」についての検査・測定方法を2000年代半ばにISOの標準にできたこともシェア拡大に役立ち、ライセンス先も含めた世界シェアは100%に近いとのこと。
 中堅・中小企業で実践しやすい戦略とのこと。


 何れにしても中核技術は特許で守る点で共通している。