平成23年度 特許出願動向調査-マクロ調査-報告書 その2である。

 

 同報告書は特許庁ホームページ 「お知らせ」欄 2012/6/18更新

にアクセスし、「特許出願技術動向調査等報告を更新しました。」の箇所をクリックして「特許出願技術動向調査等報告」を開くことにより入手することができる。



 今回は、第3章 三極(日米欧、中米欧、韓米欧)コア出願に関する調査結果である。これによると、


 第1節 全体解析
 1.出願人国籍別の三極(日米欧)コア出願件数推移
 日本、米国、欧州の各国(地域)出願人国籍別の三極(日米欧)コア出願(三極のいずれかから三極いずれにも出された出願)の出願件数推移を図3-1(上記報告書の21頁を参照)に示す。2004、2005年をピークに三極コア(日米欧)コア出願件数は日本、米国、欧州ともに横ばいまたは減少傾向になっていることが分かる。




 三極コア出願とは、
 日本、米国、欧州いずれかの国(地域)になされた特許出願であって、その出願を優先権の基礎にして他の2つの国(地域)・機関の両方に出願がなされたもの及び
 最初の出願がPCT出願であって、三極(日米欧)全てに国内移行しているもの
をいう。




 2.出願人国籍別の三極(日米欧、中米欧、韓米欧)コア出願件数
 今回新たに調査を行った、三極(日米欧、中米欧、韓米欧)コア出願の調査結果について見ると、三極(日米欧)コア出願及び三極(中米欧)コア出願は米国及び欧州国籍出願人の出願件数は同程度であるが、日本国籍出願人と中国籍出願人の件数に大きな差がある点で異なることが分かる。一方、米国及び欧州国籍出願人の韓国への出願が、日本及び中国への出願件数に較べて半分程度であることが分かる。(図3-2 上記報告書の22頁を参照)




 3.出願人国籍別の三極(日米欧、中米欧、韓米欧)コア出願件数比率
 優先権主張年2007年及び2008年について、出願人国籍別のルート別の三極(日米欧、中米欧、韓米欧)コア出願率を図3-3(上記報告書の23頁、24頁を参照)に示した。
 日本国籍出願人の三極(日米欧)コア出願に占めるPCT出願の割合は55%、59%である。これは、米国及び欧州国籍出願人の三極(日米欧)コア出願に占めるPCT 出願の割合合計)の各々84%、81%(2007 年)、78%、77%(2008 年)に較べると65%から77%程度である。また、中国籍出願人の三極(中米欧)コア出願率に占めるPCT出願の割合では、ともに82%であり、米国及び欧州国籍出願人の81%から84%と変わらないことが分かる。さらに、韓国籍出願人の三極(韓米欧)コア出願率に占めるPCT出願の割合は、40%、44%と、米国及び欧州国籍出願人の88%から92%の半分程度となっている。




  第7章 今後のグローバル出願に向けて(上記報告書の51頁)
 第1節 日米欧中韓における特許出願動向解析結果を踏まえて
 第2章から第6章までの結果から日米欧中韓における特許出願動向に関わる注目点を記載する。
 (第3章から)
 三極(日米欧、中米欧、韓米欧)コア出願に関する解析によれば、三極(日米欧)コア出願及び三極(中米欧)コア出願では、米国籍出願人と欧州国籍出願人の出願件数は同程度であるが、日本国籍出願人と中国籍出願人の出願件数には大きな差がある点で異なることが分かる。一方、日本及び中国への出願件数に較べ、米国籍出願人及び欧州国籍出願人の韓国への出願件数が半分程度であることが分かる。三極(中米欧)コア出願の結果からは、中国籍出願人は、件数は少ないものの、PCT出願ルートを米国籍出願人及び欧州国籍出願人並みの比率で利用していることが分かる。
 優先権主張年2007 年の三極(日米欧)コア出願について、日本国籍出願人の三極(日米欧)コア出願件数が米国籍出願人及び欧州国籍出願人の三極(日米欧)コア出願件数を大きく上回っている分野は、「電気機械、電気装置、電気エネルギー」、「音響・映像技術」、「光学機器」「エンジン、ポンプ、タービン」及び「運輸」の5分野であり、米国籍出願人及び欧州国籍出願人による三極(日米欧)コア出願件数が日本国籍出願人の三極(日米欧)コア出願件数を大きく上回っている分野は、「医療機器」及び「製薬」の2分野である。




 上記報告書で注目したのは、「中国籍出願人の三極(中米欧)コア出願率に占めるPCT出願の割合では、ともに82%であり、米国及び欧州国籍出願人の81%から84%と変わらない」点である。
 
 中国国内では相変わらず欧米、日本などの外国製品の模倣が蔓延していて知的財産権が守られていない(無法状態にあるのでは)との印象をもつが、中国企業の欧米への出願についてはしたたかな特許戦略がなされていることを忘れてはいけない。


 中国では、中国国内で完成された発明を外国で特許出願する際には、事前に中国特許庁の行う秘密保持審査を受ける必要がある。勝手に出願することができない。国防上の理由からである。
 中国国内で完成された発明については、中国特許法20条で、「いかなる法人又は個人が中国で完成した発明」と規定されていることから、中国国内の外国企業又は外国人も中国企業などと同様に勝手に外国で特許出願をすることはできない。


 

 中国、制約があるものの、確かな特許戦略がなされているけれど、この点について日本はどうなんだろう。

 そういえば、前政権時代に「知財立国」日本を掲げたが、現政権になってあれはどうしたのだろう。


 「知財立国」とは、小泉純一郎首相が2002年に打ち出した国家戦略の1つで、知的財産の創出、保護と活用を、国をあげて取り組む課題として国策にした政策である。
 「知財立国」は、主に世界特許に向けた取り組みや模倣品や海賊版などの対策、大学の知的財産管理機能、営業秘密保護の強化や実質的な特許裁判所機能の創出、法科大学院の設立による知的財産専門人材の育成などがあげられ、2002年11月には知的財産基本法を成立させた。


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