「金沢で映像作家はうまれるか?」を見に行く | ぱらぱらあーと編集長日記

「金沢で映像作家はうまれるか?」を見に行く

「金沢で映像作家はうまれるか?」を見に行くぱらぱらあーと編集長日記-eizousai

金沢市は、工芸文化が生活に馴染んでいる街といっていい。そこに、新しい文化(デジタル)を加えようとしている。この「むびぐみ12」が企画した試みも、そのひとつです。近江町の中にある会場「金沢アートグミ」は、現代美術を軸に展開しているギャラリーですが、若い芸術家の通過点にもなっている。わたしがよく訪れる場所のひとつ、でもある。

昨日は、「金沢で映像作家はうまれるか?」をテーマに鈴木康雄さん(金沢美大准教授)と山口泰広(TBSデジコ

ン6ディレクター)のトークセッションです。スクリーンに映し出される、第14回デジコン6の作品(アニメーション)に少なからず驚いた。ここ数年の、アジア各国の映像活動の進展ぶりに驚いたのである。韓国の映像制作の進化は以前から見聞きしていたのですが、中国・インド・シンガポール・フイリピンに至るまで、その技術の急速な進化に驚いたのである。欧米や異質な進化を遂げた日本のアニメにはない、発展ぶりをこれらの国は見せている。アニメ大国「日本」のイメージは確実に薄れてきていることを、会場の雰囲気からなんとなく伝わってくる。アジアの映像文化は、欧米や日本の下請け産業から明瞭に自立し始めている、そのことを知る場でもあった。このセッションのいいところは、背景に「具体的なメッセージ」が込められていることである。「ものづくり日本」が失いつつあるのは、新しい企画力や精密な技術力かもしれない、その素地を養うための「アイデアトレーニング」が欠けているのかもしれない。新しい産業や新鮮な企画の背景には、個々の創意工夫(アイデア)が不可欠でもある。はたして、日本にその活力があるだろうか。