2015-07-26 11:00:00

不思議の国のアリスとアンティーク・大ガラスと書き物机

テーマ:アリスとアンティーク家具

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パンカーダ 7月の特別企画
不思議の国のアリスとアンティーク


「不思議の国のアリス」をアンティーク家具の視点で読み解きます。


~大ガラスと書き物机~


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CHAPTER Ⅶ


A MAD TEA PARTY


page100

The Hatter opened his eyes very wide
on hearing this; but all he said was
"Why is a raven like a writing-desk?"


帽子屋は、これをきいて目だまをぎょろりとむきました。が、言ったの
はこれだけでした。「大ガラスが書き物机と似ているのは何故?」




お茶会の時に帽子屋からアリスになげかけられる謎なぞ。

本文では誰も答えがわからない、ということでそのままストーリーは進んでしまいます。


この奇妙な謎なぞは、発刊当時から話題になり、
様々な推測がされたそうです。




1896年の『不思議の国のアリス』の版のキャロルによる序文には、
後から思いついた答えとして以下の回答が付け加えられました。




"Because it can produce a few notes, though they are very flat;
and it is nevar put with the wrong end in front!"


なぜならどちらも非常に単調/平板 (flat) ながらに
鳴き声/書き付け (notes) を生み出す。
それに決して (nevar) 前後を取り違えたりしない!





「決して」は正しい綴りは"never"ですが"nevar"とするとちょうど"raven"(カラス)と逆の綴りになり、取り違えないのに逆になっているというなんともウィットのきいた説明となっています。


しかしこのキャロルの言葉遊びは当時編集者に理解されず、なんと"never"の綴りに直されて印刷。彼はとうとうこの説明を公にすることなく生涯を終えてしまうのでした・・。





本質はキャロルの言葉遊びだったにしろ、アンティーク家具屋としては
見逃せないポイントがあります。


そう、それはボウル&クロウ!


大ガラスの脚はまさに「鍵爪/claw」。



きっとこのお話をつくったときに、
キャロルの頭の中には、このような足元がボウル&クロウの
「書き物机」 があったのではないでしょうか?




「書き物机の脚先がボウル&クロウだから」



これが、今のところなぞなぞの答えなのですが、
どうですか?Mr.キャロル?




by N

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2015-07-17 09:00:00

ルイス・キャロルと家具

テーマ:アリスとアンティーク家具

「不思議の国のアリス」作者、ルイス・キャロルは
どんな家具に囲まれていたのでしょうか。


彼が生きていたのは1832年から1898年。


ヴィクトリア女王の治世が1837年から1901年なので、
ほぼ生涯どっぷりとヴィクトリア時代を生きた、といえるでしょう。


経済の発展が成熟に達し、豊かな中流階級がうまれた
大英帝国の絶頂期。





オックスフォード大学のクライスト・チャーチ・カレッジの数学講師をしながら詩や小説を書き、写真家としても活動していたキャロルは「アリス」の成功により名声と富を得ました。


そんななか、彼が使っていたオックスフォード・クライスト・チャーチの書斎はこんな様子でした。



天井から下がっているのはおそらくガス灯。
個室にガス灯があるのは、金銭的に余裕がなければ出来ない事でした。



柔らかな詰め物をした椅子が好きだったのでしょう、
複数のアームチェアがおかれ、ダブルエンドのセティも置かれています。


その合間にはちいさなワインテーブル。天板はどうやら石のようです。




飲み物などを置くのに便利な石の天板のワインテーブル 、パンカーダにもございます。




こちらはツイストレッグの家具と写るルイス・キャロル。





後期ジャコビアンリバイバルのハイバックチェアは、
まさにパンカーダにあるこちらのチェア と瓜二つ!





本当は画家にもなりたかったというキャロル。


彼独自の美意識で、身の回りの家具も揃えていたのではないでしょうか。


英国ヴィクトリアンの繁栄の結晶を名作と共に鑑賞するのはいかがでしょう。


by N

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2015-07-12 10:00:00

不思議の国のアリスとアンティーク:ウィリアムとうさんのゲートレッグテーブル

テーマ:アリスとアンティーク家具

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パンカーダ 7月の特別企画
不思議の国のアリスとアンティーク


「不思議の国のアリス」をアンティーク家具の視点で読み解きます。


~ウィリアムとうさんのゲートレッグテーブル~

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CHAPTER Ⅴ


ADVICE FROM A CATERPILLAR


page66-68


`Repeat, "You are Old, Father William,"' said the Caterpillar.

Alice folded her hands, and began:--
`You are old, Father William,' the young man said,
`And your hair has become very white;
And yet you incessantly stand on your head--
Do you think, at your age, it is right?'

`In my youth,' Father William replied to his son,
`I feared it might injure the brain;
But, now that I'm perfectly sure I have none,
Why, I do it again and again.'
・・・・・・・・・・・・・・


この部分はアリスが芋虫にそらんじる戯詩。




同じ詩句ではじまるロバート・サウジーの教訓詩「老いた男の安楽、それはいかにして得られたか」(The Old Man's Comforts and How He Gained Them)を言おうとしたアリスが、何故かとんでもない詩をよんでしまう、というもの。


もともとの詩は、ウィリアム神父 (Father William) が老いても健康で静かな生活の秘訣を若者から問われて、若いころの慎み深い信仰生活の大切さにあると答えるという内容なのですが・・・





この「ウィリアムとうさん」は、もう壊れる脳もないからと
逆立ち三昧、バック転をこなし、ガチョウを骨まで食べ、
鼻にウナギを立てる(そんな無茶な!)、という超人ぶり。






当時アリスを読んだ子供たちはきっと大笑いし、

大人たちは眉をひそめつつ笑いをこらえる・・・


そんな様子が目に浮かびます。



この詩はナンセンス詩の傑作として評価され、英国では大変人気があるとか。きっとキャロルも、挿絵画家のテニエルも大のお気に入りだったのではないでしょうか。


おひげが立派なジョン・テニエル。



彼がこの詩を気に入った証拠として・・・。


テニエルによる「不思議の国のアリス」の挿絵は全部で41枚。


そのなかのなんと4枚もの挿絵がこの「ウィリアムとうさん」に使われているのです。どこにどんな挿絵を描くか、決してキャロルのいうがままではなく、自分の意見をしっかり主張し、時には文章まで変えさせたというテニエル。


もう絶対、彼はこのシーンを描きたかったのかも・・・ですね。


そんなウィリアムとうさんのバック転のシーン、
背景にはゲートレッグテーブルが。



バック転をしている場所は「in at the door」。
ちょうど家の出入り口のあたりでしょうか。


参考までにこちらは1852-53年作、ディケンスの「荒涼館」の挿絵。
女流階級のエスタが煉瓦職人の家を訪れる様子が描かれています。





ここにも、ゲートレッグテーブル。





このように、当時の人々の暮らしのなかにはゲートレッグテーブルが頻繁に登場します。





そのことから、家の中の家具の代表的なものとして、テニエルはゲートレッグテーブルを描いたのかもしれません。



畳んでコンソールとしておいておき、広げてちょっとした作業や
お茶をするのにぴったりな便利なテーブル。




ぜひ、ひとつ、いかがでしょうか。


ただし、そばでのバック転はおすすめしません・・・。


by N

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2015-07-05 10:00:00

不思議の国のアリスとアンティーク:帽子屋のお茶会

テーマ:アリスとアンティーク家具

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パンカーダ 7月の特別企画
不思議の国のアリスとアンティーク

「不思議の国のアリス」をアンティーク家具の視点で読み解きます。


~帽子屋のお茶会~

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CHAPTER Ⅶ


A MAD TEA PARTY


page98-101

There was a table set out under a tree..........
The Table was a large one,but the three were all crowded together at the corner of it.
...........,and she sat down in a large armchair at one end of the table.


帽子屋のお茶会。





大きなテーブルの片隅にみっちり座っている帽子屋、3月ウサギ、そしてその間で居眠りをしていてすっかり彼らの肘掛クッションとなっているヤマネ。


大きなテーブルなのに、なぜか「場所はないよ!」と叫ばれ、
置いてもいないワインをすすめられるアリス。


このわけのわからないお茶会、メンバーには実は理由があるのです。




英国には昔から「帽子屋のように気が狂っている/

as mad as a hatter」という慣用句があります。


これはフェルトの帽子を作る時に、硝酸第1水銀で獣毛を帽子に接着させたため、その蒸気を吸って帽子屋が水銀中毒になったと言う悲惨な労働環境から生まれたといわれています。



一方で三月ウサギは3月に発情期となる落ち着かないウサギをモチーフに、ヤマネはヴィクトリア時代にペットとしてティーポットのなかで飼うことが流行っていたとか。





このお茶会のシーン、テニエルのイラストではとてもシンプルに描かれています。



でも、例えばお茶とバターパン以外は飲むことも食べることもできないもので溢れている・・・・このクレイジーなお茶会のテーブルはそんな感じでも面白いかもしれません。





もちろんアリスが座った大きな肘掛椅子はショーウッドチェア




帽子屋たちが座っているのはファーマーズハウスチェア





大きなレフェクトリテーブル に、クロスをかけて。




好きなものをつめこんだ、貴方だけの不思議なお茶会、いかがでしょうか?




ぜひ、パンカーダで不思議な物をみつけてください。



by N



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2015-06-30 11:00:00

不思議の国のアリスとアンティーク:”Drik me” のボトルが乗ったガラステーブル

テーマ:アリスとアンティーク家具

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パンカーダ 7月の特別企画
不思議の国のアリスとアンティーク

「不思議の国のアリス」をアンティーク家具の視点で読み解きます。


~実現不可能なガラステーブル~

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CHAPTER 1

DOWN THE RABBIT HOLE


page7-8

Suddenly she came upon a little three-
legged table,all made os solid glass;
there was nothing on it but a tiny golden
key,・・・・・・・・・・・・


ウサギの穴に落ち、扉だらけの廊下で
始めにアリスがみたガラスのテーブルには、
小さな金の鍵1個しか乗っていませんでした。


あとでいつのまにかそこに「Drink me」のボトルが出現します。


それにしても「 a little threelegged table,all made os solid glass」
「全てガラスでできた三本脚の小さなテーブル」!



現代ではガラスの天板を持つテーブルは珍しくありませんが、
これは丈夫なガラスだからこそ、そして脚までガラスのテーブルには

なかなか出会えません。


ガラスだけでできたテーブルだとすれば、1950年代以降に発明された

フロート板ガラス、そしてさらに丈夫な強化ガラスでないとできないこと。


当然、アリスが発刊された19世紀にはとてもではありませんが、

「固いガラスだけで出来た三本脚のテーブル」なんてありませんでした。




・・・いえ、もし大層なお金持ちが愉しみの為に特注でつくったとしても

とても普通に使えるようなものではなかったでしょう。


当時の上流階級のお宅で愛されていたのは、
こんなふうにディスプレイを兼ねたジュエリーテーブル




ガラスの天板はありますが、木の枠が周囲をおおい、
ガラスだけでもっているわけではありません。




上に乗せるのはせめてジュエリーや、小さなもの。
あくまでディスプレイとしてのテーブルです。


透明なガラスだけでできた、見たこともないような不思議なテーブル。

・・それこそが、不思議の国を象徴する家具だったことでしょう。


by N

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2015-06-27 11:00:00

All in the golden afternoon~不思議の国のアリスとアンティーク~

テーマ:アリスとアンティーク家具

152年前の7月4日、黄金の昼下がり。


英国オックスフォード、テムズ河で舟遊びをしながら少女たちに語られた物語。




チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン という数学者が
ピクニックのつれづれに生み出したものこそが、
「Alice's Adoventure in Wonderland/不思議の国のアリス」の誕生でした。




『不思議の国のアリス』の序詩は次のように始まります。


All in the golden afternoon         
  Full leisurely we glide;             
For both our oars, with little skill,     
  By little arms are plied,           
While little hands make vain pretence  
  Our wanderings to guide 
  
  ものすべて 金の光の昼下がり
我ら舟こぐ ゆたゆたと
二人の漕ぎ手は つたなくて
  か弱い腕で オールこぐ
小さな両手で でたらめに
我らの遊びを 案内する


パンカーダ7月の特別企画は
150年以上を過ぎた今なお世界中の人々を魅了する不朽の名作
『不思議の国のアリス』をとりあげます。



たまたま手に入れた、1914年発行の「Alice's Adoventure in Wonderland」。



初版から既に50年が経過していますが、それでも100年を超えた小さな本は
オリジナルに近い赤い表紙とアリスのゴールドエンボスが施されたもの。


いったい何人が、この本からアリスとともに冒険へと旅立ったのでしょうか。




この本を地図に、アンティーク家具を鍵として
ワンダーランドをご案内します。




さあ、遅れないように、ウサギを追いかけて!


・・・冒険の始まりです。



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"Drink me "のボトルが乗ったガラステーブル






















帽子屋のお茶会















ウィリアムとうさんのゲートレッグテーブル












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by N

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