ガラスに閉じ込められた色の乱舞
今日はガラスの製法、パットドゥヴェール
(La pâte de verre)についてのお話。
フランス語で「ガラスの練り粉」という意味になります。
パットドゥヴェールとは、ガラスの粉を鋳型に詰め、そのまま加熱して作る技法。
メソポタミアを起源とし、最も古いガラスのテクニックの1つと言われています。
一度はその製作はほとんど途絶えてしまいますが、
19世紀後半に再発見され、多くの工芸家によって作品が製作されました。
鋳型でフォルムをつくるため、形の自由度が高く、
色のついたガラス粉の混ざり具合で
豊かな表情が生み出されるのが魅力です。
初期の頃のドーム兄弟や、
アールヌーヴォーが花開いた街、ナンシーで活躍した
André DELATTE (1887-1953)などが好んで使いました。
パンカーダにも、この技法を用いて製作された
ベルギーのガラスシェードがございます。
ガラスに閉じ込められた色の粉は、まるで乱舞のよう。
いつまでも見ていたくなる不思議な魅力に満ちています。
電灯を灯した時とそうでない時の表情の変化も驚くほど。
深まる秋、パットドゥヴェールのガラスに灯りをともし
おそばに置いてみるのはいかがでしょうか。
by N