2010-09-26 11:05:55

トーマス・チッペンデール

テーマ:家具史上の人物

トーマス・チッペンデール、Thomas Chippendale(1718-1779)は

イギリスの家具職人であり、デザイナーです。


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イングランド北西部のヨークシャー州で、

代々Yeoman(独立自営農民)の家に生まれました。

ただ、ロンドンに店を構えるまでは不明なところが多く、

大工の息子という説もあります。

1748年にカトリーナ・レッドシャウ(Catherine Redshaw)と、

カトリーナが亡きあと、1775年にエリザベス・デイビス(Elizabeth Davis)と

結婚したそうです。


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トーマス・チッペンデールは工房と小売店、木材店をかねた大きな店を

ロンドンのCovent Garden近くのSt. Martin's Laneに開きます。


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ロンドン出身でもなく、家具職人として徒弟修業したわけでもなかった彼は、

自分の商売を軌道に乗せるために見本帳を出版し、みごと成功を収めました。

その見本帳とは、彼を英国家具史上、不動の存在にした

"The Gentlemen and Cabinet-maker's Director"

(顧客と家具製造者のための見本帳)です(1754年)。


この見本帳については、次回、詳しくご紹介いたします。


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この見本帳をきっかけに、図版集の出版ブームが起きます。

家具メーカーはマスメディアを利用した宣伝活動に力を入れ始め、

それは新聞広告等による広告戦争へ、家具業界を駆り立てます。



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産業革命を背景に、家具メーカーは、こぞってリスクの大きい高級家具の

生産に走り、家具商同士の激しい生産競争へ展開していきました。


見越し生産に基づく投機的な家具生産は、経営的な危険性を伴います。
市場のトレンドを読み、もっとも効果的な資本投下をする。
投資に成功すれば、莫大な利益を生み出しますが、ひとつ判断を間違えば、

たちまち破産か、高級外来材や輸入青銅金具などの在庫の山を

抱えることにつながります。


トーマス・チッペンデールが経営するチッペンデール商会も、

そんな競争の中、悪戦苦闘していたようです。


法外な値段の精巧な高級家具から、台所用のまな板まで、

あらゆるものを販売していました。

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トーマスは、作業場でのこぎりや斧、ミノを操り、職人の間を行き来して、

進み具合を確認したり、厚い無垢材をどう裁断するか、

裁断線を引いて説明したり、職人にも細かな指示を与えたり。


また、時には家具を注文するために来た顧客に対し、自慢の見本帳を広げて、

ロココ様式を取り入れてみてはと提案などもしていました。


また、顧客獲得のために起きた数々のトラブル、例えば、

破産した顧客に大損害を被ったというエピソードもある一方、

資産家が亡くなったという情報を得ると、家具調度品の一切の処分を

請け負い、その代わりに新しい家具を売りつけたり。


家具職人というよりも海千山千の商人ともいえる人物だったようです。


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商会は、一時的には莫大な利益を得ましたが、内部利益は留保されず、

1766年、共同経営者だったジェームズ・ラニー(James Rannie)が

亡くなって、トーマス・ホッブス(Thoms Hobbs)をパートナーに迎えますが、

その後、運営に支障をきたすようになりました。

表向きは盛況に見えてはいたものの、累積する借金で金縛りとなり、

トーマスの死後、1804年同商会は倒産、全株式は売却されてしまいます。

1779年、彼の死後長男であるThomas Chippendale Jr. により

事業は引き継がれます。
Chippendale Jr. は英国美術協会の会員にもなったそうです。

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