九州南部の梅雨明けの平年値は7/14、北部は7/19ですが、今年は太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、一向に梅雨明けの気配が感じられません。その原因の一つとして南半球の海水温が高い海域が高い(NOAAによる1番目の図)ことが影響していると思います。海洋大陸の南半球で対流活動が活発(2番目の図のブルーの領域)なため、フィリピンの東は下降気流となって対流活動が不活発(オレンジの領域)となり、日本の南海上で太平洋高気圧が強まる代わりに、北への張り出しは弱くなります。その結果として、梅雨前線は西日本から東日本付近に停滞したままです。

しかし、最近1か月の傾向を見ると、南半球の海水温は次第に低下する傾向(3番目の図)が見られるようです。通常、この時期はフィリピンの東で対流活動が活発になって、日本付近が下降気流となって太平洋高気圧の張り出しが強まるのですが、太陽から受けるエネルギーは北半球の方が強いはずの7月に南半球の方が海水温が高いのは異例のことに感じます。

さらには、オホーツク海に顕著なリッジ(4番目の図)ができてブロッキング現象を起こすため、南から湿った空気が入りやすい西谷の気圧配置が続くと同時に、オホーツク海高気圧が強まって北・東日本の太平洋側で天候不順になりやすいことが予想されています。ともに早く解消して、まともな夏になってほしいと願っています。

海水温

OLR

海水温の変化

ECMWF





さて木曜日に更新されている気象庁の1か月予報資料によりますと、先週の予報と一変して西日本から東日本の梅雨明けが遅れそうな予想で、梅雨明けが8月にずれ込む可能性も出てきたようです。しかし、各国の10日先の予報資料をウォッチしていると、日々の予想の変動が大きく、予想が安定していないようです。当面の1週間先の傾向は大きく外れないと思いますが、それ以降の予想は熱帯擾乱などによって大きく変わってくる可能性があります。以下に、気象庁から発表されている1か月予報の概要と根拠についてまとめてみます。

気象庁HP 1か月予報 (地方、要素、予報期間を選択してくださいね)
※詳細予報資料はすべてSunny Spot専門天気図にあります。


<1週目(7/16-7/22)>
カムチャツカでリッジ(上空の気圧の尾根)が顕著になり、ブロッキング現象が発生。対応して地上ではオホーツク海高気圧が現れて、北日本を中心に低温傾向。北・東日本の太平洋側ではオホーツク海高気圧からの冷湿な空気の影響で雲が広がりやすいです。太平洋高気圧は沖縄・奄美で強く、その北への張り出しが弱いため梅雨前線の平均的な位置は西日本から関東の南海上付近。北日本は高気圧に覆われて晴れる日もありますが、東・西日本は前線や湿った空気の影響で曇りや雨の日が多いです。沖縄・奄美は晴れ。詳細のお天気の流れは、明日の週間予報の記事で解説いたします。

<2週目(7/23-7/29)>
日本の北でリッジ、本州付近がトラフ(上空の気圧の谷)の気圧配置が続きます。1週目よりは太平洋高気圧の北への張り出しは強まりますが、平年より張り出しは弱いです。西日本と東日本太平洋側は平年より晴れの日が少ない見込みで、2週目に梅雨が明けるかどうか微妙なところ。北日本と東日本日本海側は平年り曇りや雨の日が多い予想です。中部山岳の日本海側の山は、北陸の梅雨明けが遅れ気味の影響を受ける可能性があります。

<3・4週目(7/30-8/12)>
やっと太平洋高気圧が東日本付近まで張り出します。沖縄・奄美、西日本、東日本は平年同様に晴れの日が多い見込みです。北日本は偏西風の流れが平年より南寄りの影響により、前線や低気圧の影響を受けやすく、平年に比べて曇りや雨の日が多い予想です。




【地上平均気温】
左から1週目、2週目、3・4週目の予想
暖色系の色が濃いほど平年より気温が高くなる確率が大きい
寒色系の色が濃いほど平年より気温が低くなる確率が大きい
地上平均気温




【降水量・日照時間】1か月平均
降水量・日照時間1か月




【850hPa気温推移】1か月予報
左上:北日本、左下:東日本、右上:西日本、右下:沖縄・奄美
ピンク:平年より2℃以上高い、青:平年より2℃以上低い
太線:平均、細線:各メンバー(個々の数値予報の結果)
中央の縦線が7月13日で、その左側は実況、右側は予想
850hPa気温推移